|
今回は、「アトルガンの秘宝」ミッションレポートの第2弾。本連載の第13回に行なったミッションレポート第1弾では、ミッションを盛り上げる主要な登場人物を中心に紹介してきたが、今回はミッションも中盤にさしかかり、各地で巻き起こる様々な出来事や事件を中心にしていこう。 アトルガンミッションは、分かりやすくコミカルなシーンが目立つ。だが、一旦シリアスな場面に展開されてくると、そこには重厚な闇が感じられる。このギャップを生かした盛り上げのうまさが、「ファイナルファンタジー」シリーズの本質的な魅力のひとつではないかと感じられる。MMORPGであるがゆえ、オフラインタイプのRPGのように手軽に遊び終えられるものではないが、「FF XI」のストーリーは非常に魅力的。ファイナルファンタジーシリーズファン、RPGファンにはぜひともオススメしたいところだ。
さて、今回は、ウィンダスの特命全権大使「カラババ」、そして無手の傀儡師「アフマウ」の2人を中心にして展開されるミッションの中盤の名シーンをピックアップした。ミッションを未プレイの方には、どんな展開が待つのかを垣間見る予告編として。プレイ済みの方には、場面を振り返り、数々のキーワードや背景を考察する機会として頂ければ幸いだ。
カラババがオルドゥームの遺物にときどき残っているという雷の絶縁体を欲しがっていることを知ったアフマウとアヴゼン。二人は、エジワ羅洞に先回りして渦紋の欠片を発掘する。だが、それを見ていたキキルンたちに追い詰められ絶対絶命。そこに、冒険者とカラババが遭遇するが……。 ここでの見所はカラババと従者のカーディアン「キング・オブ・ハーツ」の暴れっぷりだろうか。カラババは強大な魔法をお見舞いしてキキルンたちを一掃。その後カラババを嫌っているアフマウとアヴゼンに「キング・オブ・ハーツ」が対峙する。 港でのメネジンとの戦い以来となるカーディアンVSオートマトンの対決。格闘戦で戦ったメネジンに続き、魔法戦を挑むアヴゼン。だが、アヴゼンの魔法はいとも簡単に受け止められ、お返しの魔法の爆発で冒険者とアフマウ、アヴゼンは吹き飛び、気を失ってしまった。アヴゼン、メネジンともに歯が立たずという結果に。東西の機械人形対決はカーディアンの力が大きく勝っているようだ。
残された全員が気を失っているほんのわずかな間に、インプが現れ、うっすらとしか姿が見えない蛮族の影がアヴゼンを掴み連れ去っていく。インプと蛮族が姿を消したあと、アフマウを捜索していた丞相ラズファードや不滅隊のアミナフ、リシュフィーらが到着。アフマウを保護し、冒険者に口止めをし去っていく。
エジワ羅洞でアフマウたちを吹き飛ばしたのち。ミッション「特使の御楯」でナバゴ処刑場にたどり着いてからのシーンだ。ちなみに、このミッションの直前にはサラヒム・センチネルにてナバゴ処刑場へ向かうというカラババのガイドを任された、傭兵ファルズン(本連載第21回で紹介した傭兵長昇進試験に登場している)の見事な土下座が見られる。また、カラババとナジャ社長のやり取りもなかなかに面白い。 サラヒム・センチネルでのやり取りの結果、カラババに同行しナバゴ処刑場を訪れた冒険者。ナバゴ処刑場はトロール傭兵団の根城。ここではトロール傭兵団の長「Gurfurlur」と、とある人物のやり取りが見られる。その会話の中では、皇国の闇のひとつが語られる。命を掛け合わせる禁断の錬金術。命の実験場「ハザルム試験場」の存在。そこから盗み出したという生命の胚から誕生した「キマイラ13」がカラババ一行を待ち受ける。
キマイラ13とバトルフィールドタイプの戦闘に突入する。ここでは、ゲストキャラクタとしてカラババが参戦するのが何よりの魅力だろう。カラババは、攻撃を食らうとブチ切れ、「オーホホホホ!」と高笑いをしながらフレアII、フリーズII、トルネドII、クエイクIIといった高位精霊魔法を連発する。発動のタイミングでは「コマ切れにしてお夕飯の具材にしてさしあげますわ!」といったような、背筋の寒くなる恐ろしいセリフを発する。 キマイラ13は攻撃の間隔が短く、真っ向から相手をすると少々手強い。その反面、麻痺などの弱体魔法効果がよく効くため、グラビデやバインドを駆使してカラババの魔法攻撃を頼るのも手だ。また戦闘中に「息を乱している」と表示されてから「息を整えた」と出るまでの間は、動きが鈍くなって攻撃のダメージも緩む。この時間もうまく使いつつ、正面対決を避けていくのがいい。 もちろん、まともに戦って倒すことも可能だが、やはりここはカラババのインタラクションを楽しみたい。戦闘中にカラババがダメージを喰らうと、ブチ切れて魔法を連発するだけではなく、「○○(パーティーメンバーの名前)! 回復魔法ですわ、回・復・魔・法。少しは役に立ちなさいな。」といったように、名指しで回復を要求してくる。それでもカラババを回復せずにダメージが増え続けると、回復魔法を要求する口調がだんだんと激しくなり、そして……。本気になったカラババの魔力の恐ろしさがこれでもかと楽しめる。ある意味、このバトルフィールド戦はカラババを楽しむためにある、といっても差し支えないだろう。
ミッション「古寺の所縁」より。エジワ羅洞でカラババたちに吹き飛ばされ、アヴゼンをさらわれた後のアフマウ。自らメネジンを連れてアヴゼンを捜索しているようだが、丞相ラズファードや不滅隊の隊士に見つかれば皇宮に連れ戻されてしまう。 冒険者はそんなアフマウの捜索を依頼され、エジワ羅洞に赴く。そこには不滅隊の隊士リシュフィーが倒れていた。リシュフィーは何者かに背後から襲われて気を失ったというが……。リシュフィーの言葉に従って皇国のワラーラ寺院を訪れた冒険者に、アフマウの幼少期の物語が語られる。 静かな、少し物悲しい雰囲気のシーンだが、ここで語られる話からは様々なことがうかがい知れる。同じく傀儡子であったというアフマウの母。アフマウが、アヴゼンとメネジンを誰からもらったのか。そして、その場で会話をしている相手であるメネジンに投げかけた、「メネジンの声は聞こえなくなっちゃった……。」というセリフ。ストーリー中に散りばめられているピースを結びつけるキーワードの多い場面だ。 ここでは、歪んだ視界で何者かが寺院内の様子を伺っている描写が挿入されている。この描写は以前にもアルザダール海底遺跡群にてガッサドと会話した場面でも登場したものだ。アルザダール海底遺跡群とワラーラ寺院で、こちらの様子を伺う存在……。この描写が何を意味するのかはまだわからない。
このシーンでは、マムージャも恐れる東方大陸エラジアを炎に包んだ“機械”の存在、そして、それを防ぐべく手を結ぼうとする、東の勢力の存在も顔を出す。一転して、蛮族たちに正義があるかのような筋書きが頭に浮かぶ。明らかになり始めた真実は、善悪を混迷させていく。また、マムージャ王の一人ガヒージャは南方帰りであるなど、冒険者にとって未開の地の存在が立て続けに並ぶ場面でもある。
ここでは、不滅隊リシュフィーの活躍が見せ場だ。不滅隊は、いずれも青魔道士のメガス装束を身にまとっており、さらにうやうやしい口調をするシーンが多いため、個人の区別がつきにくいところがあるだろう。だが、リシュフィーだけは妙に人間味がある。他の不滅隊隊士と比べると、アフマウと少し特別な関係にあるように感じさせるやりとりが見られたのも興味深い。 しかし、リシュフィーはエジワ羅洞で冒険者と出会ったときから変調をきたしていた。それが青魔道士ゆえの定めによるものかは分からない。だが、不滅隊とは、青魔道士とはどのような存在かを抑えておくと、よりリシュフィーの振る舞いを楽しめることだろう。 ここで戦うのは、南方帰りの騎龍王ガヒージャ。巨獣にまたがって襲い掛かってくる。動物でいうサイのような外見の巨獣は、いかにも前方からの攻撃に強そうに見える。それをさらに活用してくるのが、「グラニットスキン」という防御の技だ。前方に魔法の障壁のようなものを発生させ、正面からの攻撃をことごとく防ぐ。戦闘の後半になるとガヒージャは回復魔法も駆使してくる。正面からの真っ向勝負ではなく、背後をつくなり魔法攻撃を主体にするなりして、一気に押し切るのがオススメだ。
ミッション「海賊の利」と「暗雲の去来」より。物語はいよいよ核心に迫り、残されていた謎の答えが次々に明らかになる。急展開を見せる場面だ。 まず興味深いのは、アシュタリフ号の中でアフマウたちがみつける巨大な絵。ルザフのセリフによればこの絵は、900年ほど前にエラジア大陸で起きた「審判の日」が描かれているという。「審判の日」という言葉は、ここまでのミッション中にも出てきていた重要なキーワードだ。 また、審判の日は「超新星ゴルディオス」により夜をなくした年であり、西方の天晶暦元年として伝わっているという。海の向こうである西方にまで形が変わり伝えられている審判の日。そこには炎に包まれる世界が描かれている。
後半では、アフマウの目の前で宰相ラズファードとルザフが相対し、皇国の闇、そしてルザフの闇がぶつかりあう。アフマウはラズファードの真実に悲嘆し、善悪の所在がどこにあるかを見失う……。アフマウは冒険者に、「あなただけはマウの味方でいて!」と言い残す……。
皇国の大きな闇である「合成獣」の存在。命をかけあわせ、本来ありえない生物を生み出す禁断の錬金術。アトルガン皇国は当初より各ギルドの中でも錬金術が盛んな国家だ。そして、その錬金術は命を曲げてでも、より強大な兵器を生み出し皇国の力を増すために用いられたようだ。この姿勢は、皇国の象徴的な存在である不滅隊、つまり青魔道士にも通ずるものがある。青魔道士もまた合成獣であると言っても言いすぎではないかもしれない。 本連載の第2回では、青魔道士のジョブ取得クエストを紹介しているが、クエストでは力を追い求め魔を喰らう精神的な飢えが求められた。その先に待つアーティファクト取得クエストでは、より強い力を追い求め禁断の道を歩み続けた結果、人にあらざるものへと変容する青魔道士の姿が描かれる。 力を求めた者の体内に移植をほどこし、力が満ちていくに連れて、青魔道士は人の形をした「魔」へと変わっていく。魔に侵されてなお、人たらんと抗い続ける器。魔を受け入れ、人のフリをするだけの器。人と魔を渾然と宿したまま壊れし器。人としての最後の器を失った者の末路を見てもなお、引き換えせぬがゆえ歩み続ける。
ミッション中では、リシュフィーが変調をきたしているシーンもみられた。あれが青魔道士ゆえの変容の兆しだったのか、それとはまた異なるものなのかは定かではない。
いよいよ終盤に向けて加速しはじめたアトルガンミッション。今回はミッション中盤のエピソードをダイジェストで紹介してみた。カラハバ、アフマウたちのコミカルな立ち回りも魅力だが、シナリオの重厚な面がかなり膨らみ、目が離せなくなってきた。 「審判の日」、「災厄の双人形」、「合成獣」、「アルザダール遺跡」、「巨人と騎士」……。目的の定かでなかった各勢力の視点が、ひとつの事柄に集まり始めた。一見バラバラに見えていた事柄が繋がりはじめ、隠された事実が明らかになる。正義がどこにあるのか、それともどこにもないのか、それすらも分からない。いまだ残っている謎もあり、それらがどのような終着点にたどり着くのか、気になるばかりだ。 アトルガンミッションは当初から謎が散りばめられてきたため、一通り実装範囲をプレイし終えたあとに、記憶のウタイビトのNPCで回想シーンを見るといろいろと発見がある。そうした楽しみ方をしつつ、物語を整理して続きを待ってみるのもいいかもしれない。
(C)2002-2007 SQUARE ENIX CO.,LTD All Rights Reserved.
□スクウェア・エニックスのホームページ (2007年5月16日) [Reported by 山村智美 / Pomm]
また、弊誌に掲載された写真、文章の転載、使用に関しましては一切お断わりいたします ウォッチ編集部内GAME Watch担当game-watch@impress.co.jp Copyright (c) 2007 Impress Watch Corporation, an Impress Group company. All rights reserved. |
|