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アトルガンコンテンツの目玉のひとつ、「チョコボレース」がついに実装された。チョコボレースは、「アトルガンの秘宝」のアップデート計画のかなり早い段階から掲載されていたのだが、延期を重ねていた。最大の焦点となったのは、チョコボレースの仕様をアクション仕立てにするか、シミュレーション仕立てにするのかというところだ。この点に関しては、プレミアサイトでユーザーからアイディアを募集し、仕様を練り直したという。そしてついにこの春、満を持しての登場となった。 FFシリーズにおける代表的な乗り物でもある“チョコボ”を“育成”できるという段階から、ついに“育成したチョコボでレースができる”という段階へと発展を遂げた。今回導入された内容はチョコボレースの完成形ではなく、基本的な仕様の導入に留められている。今後は、夏頃に対人戦レース、そしてギャンブル要素の導入が予定されており、さらに秋から冬にかけてはオフィシャルレース、対人練習レースなどを順次実装していく予定ということだ。1年がかり、足掛けでは2年がかりの大規模コンテンツとなったようだ。
非バトル系コンテンツとしても久々の新コンテンツであり、最大規模のものと考えていいだろう。今回は、このチョコボレースの基本的な概要と魅力、そしてチョコボレースに向けたチョコボ育成方法を紹介していこう。
チョコボレースは、通常のチョコボのようにプレーヤーが自由に操作することはできないものの、育成したチョコボのステータス、ジョッキーに指示できるレース中の“作戦”、チョコボに携帯できる“レース用アイテム”など、レース結果を左右する要素がある。レースに参加する他のチョコボも同様に作戦やレース用アイテムを駆使するため、レースに勝つのは一筋縄にはいかないというわけだ。 まずレースに参加するには、前提として“各国のレーシングチーム”に加入することが求められる。これは、自分がチョコボ育成で育てた「成鳥」以上のチョコボを所属させるということで、成鳥以上であれば、すでに引退しているチョコボでも登録ができる。チョコボ育成のメニューから「書類を発行してもらう」を選び、「レース出走許可証」を得て、VCSチョコボレースセンターのNPCにトレードすることで登録完了となる。 このため、チョコボレースを楽しむには、チョコボ育成で成鳥以上に育ったチョコボが必要になる。チョコボレースはそれ単体として成立しているものではなく、チョコボ育成をした先に楽しんでいくひとつの目標であり、連続したコンテンツであるということだ。
「プライベートレース」はいわば練習用のレースで、入賞することで「チョココイン」を獲得できる。ただし、参加にはコインの代わりにギルが必要だ。プライベートレースには、1日に何度でも出走できるうえ、登録料も100ギル程度と高くはない。チョココインを稼ぐのはそれほど大変ではないだろう。 ただし、レースを重ねるごとに登録料が徐々に上がっていく仕組みになっていて、最大で1,000ギルまで上昇する。上昇した登録料は、地球時間で日付が変わると、100ギルにリセットされるという仕組みになっている。所持しているギルの具合によるが、気の済むまで作戦やアイテムの組み合わせを試したり、チョココインを稼ぐこともできるというわけだ。 この他に「クリア済みのオフィシャルレースに参加する」という選択もできる。オフィシャルレースでは入賞以上でギルやチョココインの報酬が得られたが、このクリア済みのレースの場合は報酬がギルのみとなり、金額も引き下げられる。 現段階では、参加できるレースはこの3種類。どれもNPCのチョコボとレースをするもので、対人戦の要素はない。夏頃に予定されている「対人戦レース」、秋から冬予定の「対人戦練習レース」で加わることになるのだろう。
「チョココイン」は、チョコボレースで用いられる独自の貨幣だ。オフィシャルレースの登録料として支払う以外に、様々な特典とも交換してもらえる。交換してもらえる内容には、チョコボ育成に使えるエサと交換したり、育成中のチョコボに特訓をしてもらえたりといった実用的なものが多いが、中にはチョコボの色を染めてもらえるという、ちょっと心理的に嬉しいものもある。ただし染めた色はいずれ落ちてしまうということだ。
まずは、オフィシャルレースにチャレンジしてみる。オフィシャルレースは参加するために登録料のチョココインが必要となるということだが、最初に挑むランク「ノービスレース」では登録料は必要ないため、気軽に体験できる。 レース前には、パドックにて出走するチョコボのステータスを確認できる。サルタバルタとおぼしき場所を動き回る画面で、それぞれのチョコボの名前や性別といった各種ステータス、得意、不得意としている天候、習得しているアビリティなどが見られる。特に重要なのは、自分以外のチョコボの情報で、ジョッキーに指示されている作戦も見ることができる。これらの情報を元にレースの展開を予想し、こちらの作戦を立てられるというわけだ。だが、携帯しているアイテムだけはわからないため、事前にすべてのレース展開を読み切ることはできない。 自分のチョコボに対する作戦は3種類から選べる。序盤からハイペースで飛ばしていく「がんがんいけ」、一定のペースを保ち勝機を伺う「一定ペースだ」、終盤の追い込みまでスタミナを温存する「さいごにいけ」。 レースでは、ガルカのゴッチロというキャラクタが実況を務める。また、解説はチョコボの言葉がわかるという老人マルコヴィッチ、そして天才チョコボのヒナことサクラちゃんというユニークなペアが務める。ゴッチロが大きな体に似合わず細やかな実況をする横で、小さなヒナのサクラちゃんがレースを観戦しながら体をフリフリしつつピヨピヨと喋る。それをマルコヴィッチ老人が訳すというわけだ。
レース開始後は、実況等を含め、すべてが自動で進行する。冒険者にできることは見守るのみだ。走っていく姿が様々な角度で映し出され、その最中にも順位が入れ替わるのが見える。随所に観戦している観衆が一喜一憂している様子も挿入されるなど、単調にならないよう画面は頻繁に切り替わる。レース中には、「ここからが勝負どころだよ」という、ヒナとは思えないような口ぶりのサクラちゃんの解説も面白い。 そしていよいよ最終コーナー。観衆の待つスタンドに、最後の力を振り絞って突入してくるチョコボたち。持久力が尽きつつあるのか、汗をかいていて苦しそうだ。そしてついにゴール! 着順をゴッチロが読み上げ、レースは締めくくられた。1レースの所要時間は大体3分程度だろうか。ジョッキーとチョコボにレースの行方を託し、馬主ならぬチョコボ主として観戦している気分だ。 ノービスクラスのレースを2戦目、3戦目と順調に勝ち進むと、他のチョコボがレース中にアイテムを使うようになってくる。具体的には、スピードが上がるスピードアップルや、他のチョコボのスピードを落とすギサールクラッカーなどだ。もちろんレース中に使えるアイテムはこちらも持たせることができるのだが、アイテムは自身で調達しなければならない。 競売を見ると、獣の餌の項目にはやくもいくつかのレース用アイテムが出品されていた。どうやら調理や、錬金術、裁縫などの合成で作成できるようだ。その中からいくつかを入手し、VCSチョコボレースセンターにトレードしてみる。すると、レース前に選んで携帯させられるようになった。アイテムはレース中に使うと消費して無くなってしまうため、消費した後はその都度補充する必要があるようだ。 アイテムも手に入ったところで、作戦との組み合わせを考えてみた。筆者が現在育成中のチョコボは、力は標準まであと少しながらも、持久力がまったく上がっていない。そこで作戦は終盤までスタミナを温存する「さいごにいけ」にして、アイテムはスピードアップルを持たせてみる。「さいごにいけ」という作戦では、アイテムの使用タイミングも終盤になるという。終盤の追い込みにスピードアップルの加速も上乗せさせようというわけだ。 これがなかなか上手くはまったようで、ノービスクラスを順調に勝ち進めることができた。ちなみに入賞したレースの終了後には、1戦目から順に500ギル、1,000ギル、1,500ギルとチョココイン3枚といった報酬をもらえた。そこまで高額ではないもののなかなかに嬉しい。
レースを開始すると、これまでにない画面が登場した。コースの上で自分と3人の男が立っている。画面が切り替わり、3人組の姿がアップになると、なんとあのアトルガン義勇兵の3人組ではないか。彼らは、本連載の第5回で紹介したクエストや、第11回のチョコボ育成にも登場している。性格が悪い印象ながらも、どこか憎めない情けなさが漂う3人組。チョコボ育成においては、彼らもチョコボを育てており、育成メニューとして競争することもできた。いよいよ本格的なチョコボレースで激突するというわけだ。 このレースは彼ら3人組の育成したチョコボ「ベスト」と一騎打ちになる。ベストの騎手は3人組の誰かがランダムで務めるようだ。2頭がスタートラインにつき、レーススタート! 互いに譲らずレースを展開していたのだが、中盤にベストがスピードアップルを使って加速。差を広げられてしまった。こちらもチョコボも作戦通りに終盤にスピードアップルを使ったものの、そのまま差を埋めることができず敗北してしまった。勝ち誇る3人組の様子が目に浮かぶ。チョコボの実力は近いように思えただけに悔しい。 リベンジのため、作戦とアイテムを再考する。持久力がないことは変わらないので、作戦は変わらず「さいごにいけ」とする。だが、一騎打ちというシチュエーションに合わせてアイテムは別のものにしてみた。選んだのは「ホットクッキー」。1匹のチョコボのスタミナを大幅に落とす、という効果があるようだ。多数のチョコボが参加するレースでは、どの1匹に効果が与えるか狙うことができないかもしれないが、一騎打ちでなら、ピンポイントにベストのスタミナを落としてくれるだろうと考えたのだ。 ちなみにベストに再戦するまでの間に、登録料のチョココインを稼ぐためプライベートレースに何度か参加した。プライベートレースは、8頭参加のベーシックなレースだ。最下位以外ならコインが1枚、2位では3枚、1位になると5枚のコインを得られた。登録に必要なギルは、1戦目が100ギル、そこから1戦ごとに150ギル、200ギル、300ギル、400ギル、最終的には1,000ギルに引き上げられた。オフィシャルレースに向けた練習としても、チョココイン稼ぎとしても、ギルこそかかるものの、気軽に何度でもできるのが嬉しい。
差が広がるなか、「いつホットクッキーを使うんだ!? このままでは挽回できなくなるぞ!」とハラハラしながら見守っていると、こちらのチョコボがホットクッキーを使用した。すると程なくして「Bestはバテてきたのでしょうか!? 足取りが重そうです!!」とゴッチロの実況が入った。効果はしっかり出ているようだ。あとは差を縮め、ゴールまでにベストを抜きさるのみ。
だが、ベストも粘る。レース中盤を越え、微妙な差がついたまま2匹がトンネルに入っていった。固唾を呑んで見守る実況席の様子が挿入され、そして……。2匹がトンネルから走り出てきた。2匹の差はほんのわずかなものに縮まっており、ほぼ横並びの状態に近づいていた。最終コーナーはもうわずか。スタミナを温存しているこちらのほうが有利なはずだ、と手に汗を握る。すると、ベストが汗をかいて走るようになった。こちらのチョコボはまだスタミナを保っているのか、汗はまだかいていない。このペースなら勝てる、がんばれ! と画面を見るこちらも力が入る。そしてレース終盤、ついにベストを抜き去り、そのままゴール! 思わず画面を見つめていた筆者もガッツポーズしていた。高らかに着順が発表され、ベストとの一騎打ちは幕を閉じた。
この力ののばし方に関しては、チョコボ育成を紹介した第10回、第11回で、チョコボ育成の基本的なノウハウに加えて、力を上げるために向いた育成計画、お世話、餌を紹介しているので、基本的な育成方針はそちらを参照頂きたい。筆者は今の育成でも基本的にはこの育て方を踏襲している。 次に育成の中で難しいのは“アビリティの習得”だ。チョコボ用のアビリティにはいくつかの種類があるが、レース向けとして見過ごせないのが、レースにおける速度が上がると説明されている「ギャロップ」だ。このギャロップを習得するには標準に近い「判断力」が必要になる。筆者がまず試したのは、ヒナやコチョコボの期間に音楽を聴かせるなどの判断力が向上する育成を続け、餌を与えてまず判断力を上げるというもの。 この方法では、とりあえずアビリティを習得することはできる。だが、その後に力や持続力を上げる育成に切り替えても、残された育成期間が少ない。そのため、フィジカル、メンタルともに標準クラス付近に成長したところで育成期間が終わってしまう。さらに付け加えると、この方法では、ヒナやコチョコボの期間に性格が穏やかになってしまい、その後は、力や持続力があがりにくいように思えた。つまり結論としては、一代ですべての条件を満たすチョコボの育成は難しいのだ。 そこで重要になるのが、チョコボの世代を重ねて、新しいチョコボにアビリティを引き継がせるという考え方だ。アビリティを習得したチョコボを何匹か育て、交配させると、まれにアビリティを引き継いだチョコボが生まれる。自分でアビリティを習得したオスとメスを用意してもいいが、友人と協力して1匹ずつ育ててみるのもいいし、バザーなどからアビリティを習得した診断書をやりとりしてもいいだろう。最初からアビリティを習得していれば、ヒナやコチョコボの期間から、存分に力や持続力の成長に向いた育成ができるし、その結果、性格もレースに向いたものになってくれることを期待できる。 上の育成方法は、あくまで力とアビリティ「ギャロップ」を重視した育成案に過ぎず、チョコボレースにもっとも適していると確定したわけではない。他の能力がレースに与える影響もまだ定かではないし、なによりチョコボ育成を自由に楽しんでもらいたいと思う。ともあれ、自分で一生懸命育成したチョコボがレースで活躍する姿、魅力は格別。本稿をきっかけに、チョコボ育成、ひいてはチョコボレースを楽めるようになって貰えれば幸いだ。 ちなみにチョコボ育成も以前に紹介したときよりパワーアップしている。中でも「宝探し」というお宝アイテム発掘の要素が追加されているのが最も大きいだろうか。これは様々なエリアに埋められている宝箱をマップのマーカーを頼りにチョコボに乗って探すと言うものだ。宝探しには、それに役立つ「宝の嗅覚」というチョコボ用のアビリティがあるし、判断力や感受性も関わってくるだろう。また、育成メニューの散歩中に、アイテムを拾ってきて冒険者にプレゼントしてくれるなどのイベントも増えている。
だが、今回のレース導入も含めて育成の魅力は広がっているものの、まだまだ改善の余地もあると思える。例えば、長期にお世話ができなかったとき次の育成報告がとても長時間の内容になるのは、育成を再開してみようと思った冒険者のモチベーションを削ぐし、育成メニューまわりの処理が全体的にもっさりとしているのももったいないところだ。チョコボレース自体は、前提となるチョコボ育成をしていないと楽しめないコンテンツだ。レースの拡張と同時に、チョコボ育成のユーザビリティの向上や改善、進化を今後も望みたいところだ。
今回はチョコボレースをテーマに、レースの概要、魅力、さらにレースに向けたチョコボ育成を紹介した。チョコボレースは、まだまだ基本的な要素だけが実装された状態だが、まるで別の競走馬育成シミュレーションゲームがそっくり出現したかのような規模には驚くばかりだ。正直なところ、予想よりずいぶん待たされたという思いはあるが、戦闘システムやキャラクタのレベル、ジョブといった既存の概念から離れた“遊び要素満載”のコンテンツとしては、十二分の内容でとても満足している。 今後の展開に関しては、夏から冬にかけて対人戦やギャンブル要素の導入が予定されており、引き続き注目したいコンテンツだ。もしかすると、チョコボレースのシステムを使った、スクウェア・エニックス公式のチョコボレース全国大会といった展開も可能ではないだろうか。そうした動きにも期待したいところだ。
繰り返しになるが、チョコボレースの参加資格を得るためには、成鳥したチョコボが必要であり、チョコボを育成するためには、最短でも1カ月程度の期間が必要になる。現在チョコボを所持していないユーザーにとっては多少ハードルの高いコンテンツということになるが、チョコボレースの魅力は、なんといっても苦心して育てたマイチョコボがいてこそのものだ。これまでチョコボ育成をしていなかったという人も、ぜひ自分のチョコボを育ててレースに望んでみてはいかがだろうか。 (C)2002-2007 SQUARE ENIX CO.,LTD All Rights Reserved.
□スクウェア・エニックスのホームページ (2007年4月4日) [Reported by 山村智美 / Pomm]
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