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★PS2ゲームレビュー★

ツッパリという異次元空間を追求した3Dアクション
「喧嘩番長2 ~フルスロットル~」

  • ジャンル:ツッパリアクションアドベンチャー
  • 発売元:株式会社スパイク
  • 価格:7,140円
  • プラットフォーム:プレイステーション 2
  • 発売日:発売中(3月8日)
  • CEROレーティング:B(12歳以上対象)



 タレント嶋大輔氏の名曲「男の勲章」をテーマソングに起用し、ツッパリの世界をゲームに落とし込んだヒット作「喧嘩番長」の続編「喧嘩番長2 ~フルスロットル~(以下、喧嘩番長2)」が発売された。「喧嘩番長2」はプレーヤーが主人公のツッパリ高校生武田トモヤ(名前変更可能)として、広大な街マップの中で自由に生活(主に喧嘩)するという3Dアクションアドベンチャー。ゲームの主な目的はズバリ「番長である田中ヤスオ(前作主人公)を越える」というもの。今回のプレーヤーキャラクタのポジションは前作のように開幕から番長ではなく、仲間のグループから「ポチ」と呼ばれるほどの格下となっている。

 下っ端という設定ゆえに、ゲーム開始直後の主人公はとてつもなく弱い。少し走らせると息切れして立ち止まり、「ヘナチョコジャブ」という技名どおり、攻撃技のモーションも遅く、体力も敵から数発殴られると倒れてしまうという貧弱さだ。このプレーヤーキャラクタの弱さのおかげで序盤は我慢のゲームを強いられ、筆者もストレスを感じた。だが、そこでコントローラを投げつけるのは少しだけ待ってほしい。

 というのも、1時間あれば主人公は戦えるレベルになるからだ。ザコをチマチマ倒して自宅へ逃げ帰り体力を回復しつつ、漢の器(レベル)を上げて体力・肺活量(息切れ対策)のステータスにポイントを配分。自宅近くの道場へ通い、技の発生が早い技を覚えてしまえば「二中の狂犬」は復活。序盤の辛さだけ乗り切ってしまえば、無闇に熱過ぎるストーリーと1時間を犠牲にして余りあるほどツッパリ体験が満喫できるのだから。

前作の主人公「田中ヤスオ」を越える予定の男「武田トモヤ」の初期状態はひ弱。難易度はイージー、ノーマル、ハードとあるので1周目はイージーにするのもあり
ゲーム開始直後に戦闘からバイクの乗り方までチュートリアルがあるのは親切。だが、それだけでは勝ちにくいのが現実だ……



■ 喧嘩の作法を知り、シブい男を目指す

 このゲームの目的は、番長などの最終地位を目指すこと。自由なゲームシステムの本作だが、一にも二にもやることは喧嘩だ。というのも、街マップのいたるところに敵対勢力の不良グループが闊歩(またはウンコ座り)して待ちかまえているからだ。もちろん走って逃げることもできるが、敵から逃げた場合はかっこよさの基準値である「シャバゾウ度」が“シャバイ (かっこ悪い)”に振られてしまう。

一部地域にレディースも生息しているが、基本的な敵のタイプはスキンヘッド、リーゼント、巨漢が繰り返しわらわらと出現する。巨漢なのに機動力が高いのが不思議


 喧嘩の作法だが、前作から引き続いて初手は「メンチビーム」の切り合いから始まる。メンチビームとは、R2ボタンを押すと両眼からゆるやかに射出されるビームのこと。敵対勢力のメンチビームにメンチビームを当て返せば喧嘩成立だ。眼力をビジュアルで表現するメンチビームは見た目にもユーモラスで、射出時のサウンドも「ピヨヨヨ……」とやけに可愛らしいのが笑える。

 メンチビームは1人に1回ずつ射出するものではなく、集団の敵なら最初に1人だけメンチビームの儀式を済ませればよい。また、ある程度「メンチビーム」合戦をした敵対勢力はいきなり殴りかかってくるようになるため使用頻度はそれほど高くない。このショートカットのおかげで、「最初は面白いけど何度も繰り返して飽きてしまう」ということもないはずだ。

メンチビームを当てた後は啖呵を切る。表示されるお題の啖呵を覚え、単語を繋げていけばよい。成功すれば問答無用の先制攻撃が発動


 メンチビームと啖呵が済んだ後は、拳と拳のぶつかり合い。□ボタンで攻撃、□→□→□→△で連続攻撃、○+△ボタンで範囲攻撃の必殺技、△ボタンの長押しで威力の高いチャージ攻撃を発動できるなど、スタンダードなタイプの3D格闘アクションといえる。だが、難易度は思った以上に高い。はっきりいって3Dアクションが苦手な人はいつゲームオーバーになってもいいように自宅か駅でまめにセーブを行なうか、素直にイージーモードを選んだほうが良いと思われる。

立ち技、連続技、投げ技、プロレス技など技の種類は320種類以上と豊富。新技は道場で購入し、自宅でセッティング可能。オリジナルの連続技を構築できる 道場は自宅近くのこのアイコン。なるべく早い段階で道場へ向かおう


 バトルの難易度は、敵の集団攻撃と反応の早さが押し上げている。相手から距離を空けようと走ると、敵は集団でタックルをかましてくる。敵の判定の強いタックルが決まって吹っ飛んでしまうと、壮絶な空中コンボが待っている。壁際で浮かされた場合、「あれ、いつ地面に落ちるの?」というくらいポンポンとお手玉にされて、大ダメージを受けてしまう恐れがある。下手に逃げ回らず、近接攻撃で多くの敵を巻き込める技を出していったほうが得策だ。

 何度かやっている内に覚えた喧嘩のコツは、L1ボタン2回連続押しのロックオン。ロックオンした敵を軸にスウェー移動ができるようになり、回避力が上がると同時に攻撃も当てやすくなる。ロックオンを覚え、技を強化しても3人以上の敵に遭遇すると厳しい。すぐに包囲されて乱戦に持ち込まれてしまうからだ。そこで、ケータイで仲間の番長を呼び出しておくのが有効だ。

 ケータイで仲間に電話すると、最大1人まで一緒に戦ってくれる。各個撃破はもちろん、こちらが連続技を叩き込まれている時に、ダッシュ攻撃で割り込んできてくれるといった頼もしい行動を取ってくれる。最初は親友くらいしか選ぶことができないが、ストーリーが進むと、味方の幹部たちを呼び出せるようになる。

仲間には指示も出せる。仲間にも漢の器(レベル)があり、敵を倒すと体力や攻撃力が上がっていく


 何でもありの喧嘩だが、無視できないのが警官の存在だ。警官はマップ上を移動しており、警官が接近するとヒートアップしている不良も喧嘩を止めて逃げ出すほどの存在だ。一般市民の往来の多い本作だが、誤って一般市民を攻撃した場合もパトランプが鳴り響きポリスマンが登場。警官に抵抗すると何十人も増殖する上に最悪逮捕されてしまう。自由な行動ができるとはいえ、一般市民の通行中は攻撃ボタンを押さないなど喧嘩中には細かい配慮が必要となるだろう。

逮捕はゲームオーバーではないが、強制丸刈りや罰金刑などのペナルティが待つ。追われたら自宅や商店に逃げ込もう



■ 追うは県警、逃げるは我ら。禁断のバイクライフに挑む

 「喧嘩番長2」ではバイクショップで二輪車を購入して、公道を走ることができる。×ボタンでアクセル、□でブレーキと基本的な操縦方法は普通のレースゲームと何ら変わりはないが、レトロなツッパリゲームへのオマージュのような左右への蹴りや気合いのチャージなどツッパリテイストがこれでもかと盛り込まれている。

免許センターで免許を取得する。試験は無し デフォルトではケッタマシーンしか持っていないシャバゾウな主人公
敵のバイクを盗むと窃盗罪に。素直にバイク屋で買おう。バイクの種類も20種類以上と多彩。やたらと低音の声でダンディなバイクショップ店主も魅力だ


 筆者もバイク購入資金を貯めるためにツッパリを150人ほどぶちのめし(バイトをした方が効率は良いことに後から気づいた)、215,000円もするGBX400FタイプCを購入。メットも装着して風になった。いや、なる予定だった。しかし、そこには厳しい交通法規の壁が待ちかまえていたのだ。

 まず、マップの大部分である一般道はバイクの制限速度が50km。だが、50km以下で走っていては、スピード感に乏しくフラストレーションが募る。たまらず加速すると即座に「速度超過」の罰則アイコンが点灯、そこに気を取られていて「信号無視」、信号を渡っていたポリスマンに衝突して「人身事故」、「交差点安全進行義務違反」、そこから「公務執行妨害」、「安全運転義務違反」、「警察官現場指示違反」というレアな罰則のコンボ。

 あっと言う間に辺りは警官だらけで現逮。総減点数18点で、頭は丸刈り、着ている改造服の没収、29万円の罰金、60日間の免停。バイク入手から3分でバイクの没収という最悪の事態になってしまった。その瞬間は「電車や徒歩の方が移動手段としては早い」、「交通ルールが厳しすぎて、リスクが高すぎる」と唖然としたものだ。

罰則アイコン出まくり、警官隊に追われた末に逮捕という大事件に発展


 だが、シビアな交通ルールの中でも「喧嘩番長2」ならではのバイクライフを見いだすことができる。それが爆走だ。交通ルールをあえて無視し、警察に追われながら逃げるという極限のスリルを味わうというプレイだ。何十台もパトカーを引き連れながらの爆走は、普通のレースゲームにはない恐怖感があるといえる。この時、「フルスロットル」で加速、スタントばりの「アクセルターン」、「ウィリー」などを行なえば最高の走りを体験することができるはずだ。もちろんこういった暴走行為はこのゲームの中だけにしておいて欲しいのだが。

一度コケたら終わりという恐怖の逃亡劇。うまく自宅などに逃げ込めれば、追跡はリセットされる。リプレイ機能があれば最高だった
バイクのカスタマイズはやり込み要素として十分なボリューム。100種類以上のカウル、ヘッドライトパーツなどを購入・改造できる



■ 一直線な生き方が眩しい青春ストーリー

 主人公武田トモヤの成長の過程を体験できる本作のストーリーは、ツッパリならではの仲間意識の大きさと「番長の資格とは何か?」というテーマがきちんと描かれている。一般人にとっては、すでにファンタジー世界に近いともいえる非現実的な不良の世界観がぐいぐいとプレーヤーの興味を刺激してくれるだろう。

 東に味方の幹部が襲撃されていれば駆けつけて敵をボコボコにし、西にダチが乱闘していれば駆けつけて喧嘩に加勢する。救援から喧嘩ばかりがループされているような気もするが、ストレートで骨太なシナリオが腹一杯楽しめる。

並み居る番長の中では、組織の力に頼らずタイマンを挑んでくる羅兎怒の井上と黒澤に侠気を感じた ボスクラスの番長を撃破すると、その勢力を壊滅させたことになる


 幕間のイベントムービーも重要な演出となり、ストーリーの没入度を高める。番長の初登場時などにはナレーションが入り、人物像や対人関係の構図などがきちんと把握できるようになっている。ただ、一つイベントシーンで惜しかったのが背景モデルの荒さ。特にバイクなどは挙動も不自然で、乗り物系が登場するシーンは迫力が格段に落ちてしまうのが残念だった。

 ストーリーを進行させるには、イベントをクリアしていかなければならない。イベント発生のタイミングは、逐一「~で~が発生している」という趣旨のケータイメールが仲間から届くので、きちんと急行すれば見逃すということはないだろう。

 ストーリーの早い段階で主人公の属する田中ヤスオ(前作の主人公)の極東連合で成り上がるか、極東連合に見切りをつけて主人公の親友である如月亮率いる東関狂走連合に移籍するかを選択。極東連合に付いた場合は東関狂走連合から地元と仲間を守るという義侠心に溢れたストーリーが、逆に東関狂東連合に属した場合は野望のままに敵対勢力を潰していくというダークなストーリーを楽しむことができる。エンディングのタイプも複数用意されているので、2週目移行のプレイを新鮮な気持ちで楽しむことができるのも嬉しい。

 サブイベントとして、女性キャラクタとの恋愛や金銭を稼ぐバイトも体験できる。どちらも強制イベントではなくさほどボリュームはないが、「次のデカイ抗争まで7日間空いているぞ」とご丁寧に指令メールが来るので、その間の暇潰しくらいにはなるだろう。

不良をぶちのめすよりは効率がよいバイト。種類も複数存在する ゲーム開始から女教師と幼なじみが登場。2人ともメガネキャラとは偏っているような……?



 前作もそうだったが、堅気とは言動や価値観が異なるツッパリ世界という異次元空間に徹底的にスポットを当てようというスタッフの並々ならぬ情熱を感じる。その再現度も高く、ドカンやボンタンといった着せ替えパーツの名前を見るたびに筆者も「あー、中学の頃こんな服、ダチと探しに行ったな」と郷愁を感じることができた。いい年こいた大人がノスタルジーに浸れるという意味も込めて、ターゲットの年齢層は意外にも広いと思う。

ローディング画面まで容赦なくツッパっている。シームレスマップのために、読み込む場面も少なく、ロード時間も前作と比較して短くなっている


 そして、「ツッパリ」、「喧嘩」という世の中では疎まれている行為が「喧嘩番長の世界」という枠組みに入ることで、エンターテインメントとして昇華されている点も尊敬できる。バトル、友情、勝利、と少年漫画誌のように男を惹きつける要素が「ツッパリ」の世界には確実に存在し、それを真剣に再現すればするほどゲームとしての面白味が出ると思う。そんな図式が「喧嘩番長2」にはカッチリと当てはまっているのだからたまらない。「喧嘩番長2」はワルの世界を悲壮感なく楽しむことができる、貴重なツッパリゲームといえるだろう。

(C) 2007 Spike All Rights Reserved.

□スパイクのホームページ
http://www.spike.co.jp/
□「喧嘩番長2 ~フルスロットル~」のページ
http://kenkabancho.com/
□関連情報
【2006年12月12日】スパイク、PS2「喧嘩番長2 ~フルスロットル~」
公式ホームページでブログパーツ「番長クロック」を配布開始
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20061212/spike.htm
【2006年10月11日】スパイク、PS2「喧嘩番長2 ~フルスロットル~」
2007年1月発売予定。公式サイトをオープン
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20061011/kenka.htm
【2005年7月1日】スパイク、PS2「喧嘩番長」累計出荷本数が10万本を突破
嶋大輔氏のお祝いコメントを発表
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20050701/kenka.htm
【2005年5月9日】スパイク、PS2「喧嘩番長」公式サイトにて
“メンチビーム”で戦うシューティングゲームを公開
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20050509/kenka.htm
【2005年4月15日】スパイク、PS2「喧嘩番長」初回生産版に
阿部秀司氏の漫画「番長連合VS喧嘩番長」などを同梱
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20050415/kenka.htm
【2005年3月25日】スパイク、PS2「喧嘩番長」イメージキャラクタに嶋大輔氏を起用
テーマソングは嶋氏のヒット曲「男の勲章」
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20050325/kenka.htm

(2007年3月22日)

[Reported by 福田雄一郎]



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