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会場:台北世界貿易中心
入場料:大人200台湾ドル(約800円)
一方台湾大手のゲームパブリッシャーSoftworldの子会社Game Firstは「World of Warcraft」を大きくアピールし、たくさんのユーザーを集めていた。「World of Warcraft」は「Diablo」、「Starcraft」などを生み出したBlizzard Entertainmentの作品である。そして「Hellgate: London」はBlizzard Entertainmentの元スタッフが起こした新会社Flagship Studiosによって制作されている。 Blizzardの遺伝子を受け継ぐこの2本のタイトルが、今回のTaipei Game Showの目玉になっている点は、1メーカーの影響力の大きさという点でとても興味深い。また2つのブースの来場者のゲームに向き合う真摯な姿勢は、他のブーストとはまったく違うものだった。本稿では両者の出展方法と、ユーザーの反応をお伝えしたい。
■ 「Hellgate:London」の細部まで分析しようとするプレーヤーが集まったFuntownブース
Funtownはミニゲーム集の「Osuke」やカードゲームの「梭哈」、韓国RHAON Entertainmentが開発している「TalesRunner」などカジュアルゲーム中心に展開していた、MMORPGは数年ぶりのタイトルとなる。「Hellgate:London」は台湾国内で100万人以上の会員数獲得を期待している。 Funtownは台湾及び香港でのパブリッシング権を取得しており、今回出展されたクライアントも台湾国内及び、香港を中心とした広東語圏で使用される「繁体字」のものとなっていた。中国本土でのパブリッシングは別のメーカーが取得している。 今回のブースでは建物の中にはいると、本作の世界観をイメージしたフィギュアやジオラマが展示されているホールになっていて、その先に60台の試遊台が設置されていた。ホールではゲームキャラクタを再現したリアルなフィギュアだけでなく、実物大の車を襲う巨大な怪物の像など、本作ならではのこだわりのオブジェクトが置かれていた。このホールでは数時間に1回ムービーを紹介するイベントが行なわれるのだが、ムービーと共にホールの隅で大きな爆竹が鳴らされる。あたりに火薬のにおいが漂い、日本人的には実に荒っぽい印象を受けた。 ブース正面のイベントブースでは、作品とあまり関係がない感じのダンスショウやおなじみのステージ上からグッズのばらまき、また、ブースの隅のコンパニオンの撮影会など、Taipei Game Showらしい、ちょっとゲームの世界観とはそぐわない要素もあり、少しちぐはぐな雰囲気もあった。 本誌でも何度か紹介している「Hellgate:London」は悪霊に支配された未来のロンドンが舞台となる。プレーヤーは彼らに対抗するため、最新テクノロジーと古代の叡智を融合させた強力な武具をふるう「テンプル騎士団」の一団として、荒廃したロンドンを戦い抜くことになる。3Dアクションゲームそのままの軽快な操作性で、ゾンビや悪魔など強大で恐ろしいモンスターをずばずばと倒していく爽快なゲームとなっている。 東京ゲームショウ、韓国のG★などで相次いでプレイアブルで出展されていた本作だが、今回も韓国と同じくシングルプレイとマルチプレイが楽しめるバージョンが出展されていた。シングルバージョンが20台、マルチプレイが40台の計60台の試遊台が設置されていた。今回のTaipei Game Showの最も大きな規模での出展だったが、ユーザーの注目は高く、常に試遊台の前にはプレーヤーがいて、更に後ろにも多くのギャラリーがいるという非常に盛況だった。 プレーヤー達の反応から感じられるのはそのタイトルへのつきない興味である。ステータス画面、装備画面をあけたまま、友人と議論しているプレーヤーの姿も多かった一方、ただひたすら戦い続けるプレーヤーも多かった。「Hellgate: London」では荒廃しているロンドンを歩いているだけで建物の影や前方の暗がりからゾンビやオークのような姿をした怪物が襲いかかってくる。プレーヤーは時にはロケットランチャーで、時には光り輝く剣で怪物を撃退していた。 マルチプレイでは40人のプレーヤーが1つのサーバー上に集い、時には協力してクエストを進めることができるのだが、プレーヤー達を見ていると皆がばらばらに目の前のモンスターを狩ることに夢中になっていたようだった。デモバージョンでは街にあたる地下シェルターでプレーヤーを募り、そこから先はMOとなるという仕様のためか、他プレーヤーの戦いに参加する、という場面を見ることができなかった。ちなみに今回のバージョンでは、他プレーヤーを攻撃するPK行為はできなかった。 試遊台でプレイするプレーヤー達は、ただコンテンツを楽しむのではなく、ゲームを止め仲間に相談をしたり、スタッフと一緒に装備を変えて色々要素を調べたり、他のブース以上に、ゲームの隅々を調べようとするユーザーの熱意は、それだけ本作への期待を物語っているように感じた。 この他、Funtownは「Hellgate: London」の他、「TalesRunner」を10台ほどの試遊台でアピールしていた。「Tales Runner」は2006年6月から基本プレイ無料のアイテム課金形式で正式サービスを開始している。試遊台では小さな子供達が一生懸命にプレイしているのを母親が見守る、といった場面も多く、「Hellgate: London」とはまったく違う雰囲気だった。
会場で開発元の米Flagshipのスタジオコミュニティマネージャー Ivan Sulic氏に話を聞く事ができた。本作の課金モデルは現在の所未定だ。正式な契約は12月に取り交わされたが、翻訳作業そのものは9月から行なっていたという。今回の出展では、特に台湾プレーヤーの「Hellgate: London」に対する真剣な姿勢が印象深かったという。
■ Game Firstブースでは、追加パック「The Burning Crusade」中国語版を一足早く体験
今回のGame Firstブースは全体が「WoW」の世界観に沿ったファンタジー色の強いものになっている。きらきら輝く鎧を着たコンパニオンも多数登場し、プレーヤーの列が絶えない非常に盛況なブースとなっていた。ゲームの人気を数字で表わすと、現在会員数は100万人以上、同時接続者数では12万人と台湾でも大きな人気を誇る。課金方式は月額課金制を採用しており、一カ月のプレイ料金は450台湾ドル(約1,800円)となっている。 今回の来場者の目的は、追加パック「The Burning Crusade」の繁体字中文版だ。「The Burning Crusade」の北米版は1月16日に発売されたが、繁体字中文版は4~5月にリリースされる予定だ。料金は北米とは違い、パッケージとして新たに購入する必要がなく、無償でアップグレードされる。これはコーエーの「大航海時代Online」が台湾では無料で追加パック「La Frontera」にアップグレードしたのと同じに、現地の状況に合わせてのデベロッパーの判断だろう。 「The Burning Crusade」ではキャラクタのレベル制限が60から70に引き上げられる。新種族も Blood ElvesとDraenei という2つの種族が追加され、彼らの故郷となるSilvermoonとThe Exodar、そしてShattrathという都市も登場する。この他にもより高レベル向けのダンジョン、新たな騎乗動物、いくつものクエスト、モンスターなどゲームのスケールが大きくアップする。 加えて「闘技場」でのチーム戦や、15人のチームで旗とポイントをめぐって戦う「Eye of the Storm」といった新しいスタイルのPvP、新たな生産職「Jewelcrafting」などゲーム性も大きく広がる。追加要素だけでなく、インターフェイスの改善やバランス調整なども行なわれている。この追加パックは北米のユーザーからも高い評価を受けている。新しい目標と、新しい遊び方を得て、プレーヤーはより深く「WoW」の世界を楽しめるようになった。 今回のTaipei Game Showでは「World of Warcraft」のプロデューサーShane Dabiri氏が台湾を訪れ、プレス向け発表会で「The Burning Crusade」の各要素を紹介した。氏は発表会で、「今回紹介された要素はすべてSoftworldおよびGame Firstのスタッフによって高品質のローカライズが行なわれ、台湾ユーザーに届けられる。彼らと仕事ができることを喜ばしく思う」と言葉を結んだ。 Shane氏はGame Firstブースも訪れ、ステージから「イー、アル、サン、スー!」のかけ声と共にグッズを投げる台湾ならではのスタイルのグッズ配布を体験した。Shane氏はグッズを手に入れようと必死にステージに向かって手を伸ばす来場者の迫力に、ちょっと驚いていたようにも思えた。Shane氏は10日にはユーザーと対戦するイベントも予定されている。 Game Firstブースでは10台ほどの試遊台を設置し、さらに10台の対戦台を用意し、ユーザーを迎え入れていた。Taipei Game Showでは試遊台の使用に時間制限を設けたり、プレイ待ちの人を列に並ばせるという事は珍しいのだが、試遊台は1プレイ6分の時間制限を設けていた。プレーヤーの列はイベント終了時までとぎれることなく、本作の人気の高さを伺わせた。 対戦台では5vs5の対戦大会と、合間に「The Burning Crusade」の要素の紹介をしていた。対戦台の周りにはギャラリーも集まり、ブース内は移動が思うようにできないほどに混雑してしまっていた。それでもユーザーのタイトルに対する興味は高く、来場者は時には人をかき分けて、時には背伸びをして少しでも画面を見ようとしていた。 Game Firstは「The Burning Crusade」の他に、「ボンバーマン」風のカジュアルゲーム「瘋狂西遊」と、かわいらしいキャラクタが活躍するMMORPG「炎竜騎士団」をブースの側面で展示していた。どちらも低年齢層向けをアピールしており、特に「瘋狂西遊」は女性や子供の姿が目立った。 人気の高さが伺えるGame Firstブースではあるが、特に来場者に配慮するという点では不備が目立った。ただでさえGame Firstブースは、Microsoft Taiwan、Funtown、M-etelがすべて向き合った形でステージを配置し、競い合ってイベントを展開したため、他の会社をかき消そうとMCが躍起になり、ステージを見る人々によって完全に通路がふさがれるという状況になっていた。
Game Firstはそこにさらにプレイ待ちの人々の列を作らせ狭い通路を更に圧迫していた。ブース内でも、来場者にプレゼントするためのじゃんけんゲームや、サイコロゲームなどを行なっていたため、今回のゲームショウで最も通行が困難なブースになってしまっていた。タイトルの人気は非常に高く、来場者を喜ばせようというスタッフの気持ちも伝わってくるのだが、来場者の安全や快適さに関して配慮の欠けた展示である事は否めない。来年の出展には来場者に配慮した出展を強く希望したいところだ。
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□Taipei Game Showのホームページ (2007年2月9日) [Reported by 勝田哲也]
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