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会場:横浜クリエイティブセンター
今回の発表会は、2004年3月にナムコ(正確には北米子会社Namco Hometek)とFlagship Studiosの間で結ばれた「Hellgate: London」に関するパートナーシップそのもののお披露目と、ナムコの拠点である日本の記者に対する同作のお披露目という側面の強い内容だった。発売日や価格、課金プランといった具体的な情報については、E3発表当初から変わらず「未定」のまま。日本語版の展開についてはほぼ確実といった印象だが、明確な言明は避けた。 ただ、E3取材を経たメディア側の人間からすると、E3の時と比べ、開発の進展が随所に感じられ、注目に値する発表会だった。発表会後には、個別インタビューも実施されたが、その模様については別途お伝えするつもりだ。本稿では主に発表会のデモンストレーションの過程で判明した「Hellgate: London」最新情報をお伝えしていく。
■ あらゆる要素がランダム生成される脅威のアクションRPG「Hellgate: London」
「Hellgate: London」の魅力は、Roper氏自身が発表会の冒頭で強調したことでもあるが、レベル(マップ)、アイテム、モンスター、イベント、クエストなど、RPGを構成するありとあらゆる要素がランダム生成されるというリプレイバリューの高さにある。それに加え、これも「Diablo」シリーズを踏襲するアイテムカスタマイズ要素、そしてレアアイテムの存在。 今回はさらに「レアマップ」もあるというから楽しみだ。毎回セッションを立ち上げるたびにランダム生成されるマップに、時折、いつもは含まれないレアなエリアが挿入されるケースがあるという。このレアマップには、ストーリーやイベントなども絡んできそうで、興味深い新システムだが、ともかくランダム、レアづくしで、プレイするたびに新たな楽しみが味わえるオンラインゲームが「Hellgate: London」ということになる。 グラフィックスは、オリジナルエンジンによるフル3Dグラフィックスを採用し、1人称もしくは3人称の視点からキャラクタを操作することになる。ズームインズームアウト等、インターフェイスの機能については見えない部分も多いが、いずれにしても、レベル制のゲームであることから、難関の突破はプレーヤースキルではなく、レベルやレアアイテムの有無、武器/防具のカスタマイズで対処していくといった初心者に優しいゲームデザインになっている。 発売時期については、今回の発表でも未定のままだが、今年のE3ではプレイアブル出展を実現しており、今回のデモでも確実に進展が見られ、早ければ2006年にもプレイできることになりそうだ。Roper氏によれば、現在の開発率はだいたい40%。一見低いようだが、ゲームの土台部分はあらかた終えているため、少なくとも発売時期は全然見えないという状態からは脱している模様だ。 ゲームの舞台は、現代から25年後の英国ロンドン。“ヘルゲート”が突如として開いた結果、ロンドンは悪霊に侵略され、人類は生き残りをかけて地下に潜伏することになる。地下には、この状況を予見した秘密結社「テンプル騎士団」が生活しており、プレーヤーは彼らの未来の技術と古代の遺物を結合する不思議な力を借りる形で、人類を救うための行動を開始していく、というのが大まかなバックグラウンドストーリーである。 わずか25年後といえども、悪霊に支配された地上世界は、見事なほどにコナゴナに破壊されており、ヨーロッパの代表的な景観である大通り沿いの建物群は、見る影もなく破壊されている。動く物はすべて敵であり、モンスターばかりで、十字路では必ずと言っていいほど激しい戦闘が発生する。地下鉄への下り階段が唯一のポータルといっていいような世界になっている。 「Hellgate: London」のエリア構造は、上記の広大な地上エリアと、地上からダイレクトに繋がる地下鉄駅の改札エリア、そして駅の改札から長い下り階段を下りた先にある鉄道エリアの3つがある。「Diablo II」における街の存在に相当するのが地下鉄駅の改札エリアになる。ここにはテンプル騎士団員のNPCがおり、彼らを通じてメインストーリーを展開させていくことになる。地下鉄改札エリアの上下には、モンスターの生息する無法地帯が広がるというイメージだ。
今回は地下エリアもたっぷり見ることができたが、地下鉄改札エリアからエリアチェンジを行なうと、地下鉄のプラットフォームからスタートする。当然地下鉄は走っておらず、線路の上をずんずん移動していくことになる。線路は複線を基本にところどころ連絡路を挟みつつどこまでも伸びている。線路の先には車庫があったり、修理施設のような空間があったりして、時にはぼっかり大穴があいていて、さらに1つ地下の鉄道エリアにも繋がっていたりする。曲がり角を行くと、敵に包囲されるのは地上と同じで、ここでも狭い空間で激しい戦闘が行なわれる。
■ テクスチャの描き込みと動的LODによって実現されたフォトリアルグラフィックス
また今回気づいた限りでは、リアルタイムシャドウやLODといった3D表現も使っており、同作のビジュアルのすばらしさは、LODとテクスチャの描き込みの併用により、実現されている。たとえば建物の場合は、遠い距離ではフォグの影響でよく見えないが、近づくにつれて建物のデザインと輪郭がはっきりとわかり、最終的には窓ガラスのひとつひとつに鏡面反射が施されるほどにリアルな表現になっていく。今回でE3に続いて2度リアルタイム映像を見たことになるが、グラフィックスに対する良好な印象はまったく変わらない。実に素晴らしいグラフィックスだ。 最後に、多くの「Diablo」、Blizzardファンにとって気になる要素であるマルチプレイについて触れておきたい。E3までの情報では、battle.netに準拠した新しい専用サーバーが用意されること、数十人規模のマルチプレイといった要素が公開されているが、今回の発表では「専用サーバーを用意して、複数のプレーヤーとの協力プレイを実現する。レアアイテムを容易に交換しあえるトレードシステムも取り入れる」とコメントするに留まり、具体的な仕様については言及されなかった。
今回の発表会でひとつ驚きだったのは、「Hellgate: London」のビジネスモデルは未確定という事実。「Diablo」シリーズのようにパッケージ売りにするのか、それとも時代に即して課金ベースにするのか、まだ決まってないという。Roper氏によれば、いずれのビジネスモデルにも対応できるようにしているというが、あらかじめ前提として開発するのと、仕様に当てはめるのとではやはり最終的な完成度は異なってくる。ビジネスモデルとマルチプレイ、この2つが今後の要注目ポイントであるといえるだろう。
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□ナムコのホームページ (2005年9月15日) [Reported by 中村聖司]
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