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会場:幕張メッセ
東京ゲームショウ初日には、日本のパブリッシャーであるバンダイナムコゲームスブースで制作発表会が開催され、日本向け公式サイトもついにオープンした。同ブースでは、日本語版がプレイアブル出展され、いよいよ「待ったなし」の状況が整いつつある。 今回は、東京ゲームショウに合わせて来日したFlagship StudiosCEOのBill Roper氏に、「Hellgate: London」の開発の進捗状況を皮切りに、マルチプレイモードの詳細、ローカライズ、ビジネスモデル、サービススケジュールなどについて話を伺った。日本展開については一部、バンダイナムコゲームスCS海外事業グループISDチームチームリーダーの吉澤正彦氏にも補足していただいている。
■ 気になる開発の進捗状況。シングルプレイモードはほぼ完成か。今後はマルチプレイの機能拡充
Bill Roper氏: たくさんありますね。モンスター、アイテム、スキル、クエスト、ストーリーライン、キャラクタ、スキルなど多岐に渡って変わっています。全面的といってもいいです。今回はシングルモードしか出展していませんが、現在はマルチプレイモードの作りこみに注力しています。 編: E3 2006では「Hellgate: London」をひととおりプレイしました。私の中では完成間近という手応えを感じたのですが、まだまだですか? Roper氏: 完成に近づいていると仰って頂いて感謝します。しかしまだまだ作り込まなければいけない点はたくさんあります。キャラクタクラスやエリアの数はもっと増やさなければならないし、クエストやストーリー、そしてローカライズなど仕様としてもまだまだ力を入れていかなければならない部分はたくさん残っています。 編: 現在一番力を入れているところはどこでしょうか。 Roper氏: 完成していない部分としてマルチプレイモードと、これに付随するコミュニティや経済要素が挙げられます。他にクエストやストーリーラインにも追加要素があります。これらを単に開発するだけでなく、いかにゲームの内部に搭載するか、あるいはいかにプレーヤーに見せていくかというところに力を注いでいます。また、キャラクタのスキルをどのように増やしたり、キャラクタがゲーム進行の中でプレーヤーにいかに存在感を与えるようにしたりしていくかということも考えています。 編: ビジュアルやモーションやエフェクトといったグラフィックス部分に関してはいかがでしょうか? Roper氏: まずキャラクタについては、モーションキャプチャは一切使っておりません。ハンドメイドのアニメーションを使っています。そうした作りこみはだいたい落ち着いてきましたが、ゲームの主となる攻撃アニメーションや戦闘アニメーションにはやるべき点が残っています。また、本作の世界に存在するNPCのアニメーションももう少し作り込みたい。 つまり、現在のシングルプレイで盛り込まれているモーションだけでなく、今後取り入れられるマルチプレーヤー要素に合わせて取り入れていきたい部分はたくさんあるということです。まだ完成とはいえませんが、作り手側の気持ちとしては良いものに近づいていると確信しています。 編: 現在の進捗状況についてですが、Rooperさん自身、何%ぐらいだと何点くらいがつけられるでしょうか? Roper氏: 難しい質問ですね。ある部分に関して言えば90%以上できていると感じている部分もありますし、ある部分に関して言えば50%程度しかできていないとも言えます。まだ進化の過程にありますので、もうできていると思っている部分をすべて取ってしまったり、逆に日々新しいアイデアが出てきますのでそれらを入れてみたりすることもあります。ですのでタイトルをリリースしたとしても100%満足ということは無いと思います。 編: 私はE3以外に、韓国や中国、台湾に取材する機会があり、それぞれの地域で「Hellgate: London」の期待の大きさというものを目の当たりにしています。こうしたワールドワイドで大きな期待が寄せられていることについてどのように受け止めていますか? Roper氏: 光栄に思います。そうした期待はチームにとっても良いモチベーションになっています。関心を持って頂いているファンの方のためにもきちんとしたものを作っていきたいと思います。
■ ローカライズはバンダイナムコゲームスのフィードバックを受けつつ、順調に進展中
Roper氏: 確かに昔に比べて革新的な進化を遂げたと思っています。マーケットも大きくなり、そこに加わる開発者やユーザーの数も増えています。もちろん、オンラインゲーム自体も洗練されてきていますので、今後の期待も高いと思います。 編: その中で北米のゲームというのは、日本向けにローカライズしてもなかなか成功しにくいという状況があります。「Hellgate:London」は、そうした中でどのように日本展開していくつもりでしょうか? Roper氏: ローカライズに関しては、言葉1つ1つに対して、日本ではこういったスラングを使っている、こうした言い回しになるという検証を現地のパブリッシャーと検討しています。地域に合った言い回しに合わせるといった調整を行ないながらカルチャライズを行なっていきます。今回ですとバンダイナムコゲームスのローカライズ担当が翻訳したものを、場面にあった言い回しに変えていきます。 また、モンスターのデザインやアイテムや武器、イベントやコミュニティなどにも地域ごとにユニーク性をもたせるような作りこみを考えています。日本ではムラマサブレードなどがありますが、それも1種の地域向けのユニークな武器ということになります。 編: 日本向けローカライズにあたって日本独自の工夫はあるのでしょうか? Roper氏: ローカライズで最も大切なのがフィードバックです。クエストの訳し方1つでも、ゲームの内容にマッチしているのかどうかをFlagshipにフィードバックして検討し、こういうアイデアだったらそうしようとか、とにかくフィードバックと試行錯誤を繰り返してローカライズ行なっていくことが大切だと考えています。もちろんバンダイナムコゲームスとしてもローカライズするにあたっては日本人のユーザーに楽しんで頂けるように、言葉遣いや武器の名前ですとかそうしたものは検討していきたいと考えていますし、flagshipも柔軟に取り決めていきたいと考えています。 編: 今回「Hellgate: London」はクライアントサーバー型のゲームということで運営ということが必要になってきますが、日本語版の運営は、どこがどのように行なうのでしょうか? バンダイナムコゲームス吉澤正彦氏: 色々な案を現在検討しておりまして、できるだけ北米版に負担をかけない形でどういう立ち回りをすればよいのかということを探っている最中です。バンダイナムコで自社のサーバーを運営するというのも1つですし、アメリカのサーバーのミラーサーバーを立てることによって負荷を減らして運営するということも考えられます。色々と検証中です。
■ マルチプレイモードの基本仕様について。ビジネスモデルはすべての可能性を検討中
Roper氏: スタンドアロンゲームではできない、マルチプレーヤーゲームならではのコミュニティ機能、経済システムを作りこんでいます。とりわけグループ内での戦いやコミュニティに関して、ユーザーが円滑な人間関係を作りやすくなるような面を大切に考えています。 編: 「Hellgate:London」のマルチプレイモードは、「Guild Wars」のようなMO+MMOのようなゲームデザインを想像しています。マルチプレイモードの仕様に関しては最終的にどのようになるのでしょうか? Roper氏: MO、MMOいずれの要素もあります。「Guild Wars」は、エキスパンションの発売が本体発売から1年後といった様子ですが、Flagshipでは随時更新していきたいと考えています。また、「Guild Wars」だと8人プレイで戦闘に出て行って、途中で3人が抜けてしまうと、5人でそのレベルをプレイせざるを得ず、レベルが高すぎてユーザーたちがステージのレベルについていけなくなってしまうという弱点があります。 「Hellgate: London」では、その部分を柔軟にしています。途中で抜けてしまった3人を、プレイ中に補充することができます。また、報酬は5人分になってしまいますが、難易度が5人分に下がってクエストを継続していくことができます。フレンドリストやギルドリストを作って、ユーザーがグループを作りやすく、参加しやすいのが、マルチプレーヤーモードの大きな特徴となっています。 編: 「Diablo」シリーズにおける「Battle.net」のようなマッチングロビーは今回どうなるのでしょうか? Roper氏: 旧来の「Battle.net」ですと、チャットルームという側面が強かったですが、今回はMMORPGのように自分の作ったキャラクタを入れてコミュニティや世界観を作りこんでいくという形になります。「Battle.net」のような仕組みは無く、これをもっと進化させた形になります。 編: 「Battle.net」は、ゲーム内だけでなく、ゲーム内データと直結したWebサービスも大きな売りだと思います。例えば「Warcraft 3」ではランキングやラダーの情報があり、尚且つこれらを検索できる機能などは非常に便利ですよね。「Hellgate: London」でのWebブラウザを使ったサービスとはどういったものをお考えていますか? Roper氏: もちろん「Battle.net」の機能を包含するような、ランキングや情報をホームページを利用して提供していくことは当然考えています。ただ、現時点では確実にこうなるということは考えておりません。どのように提供していこうかというアイデアを集めている段階です。 編: ビジネスモデルを教えてください。どのようなプランをお考えでしょうか。 Roper氏: 複数のアプローチを検討しています。1つはスタンドアロンゲーム。1人でプレイされる人はパッケージを買って遊んで頂くという形になります。マルチプレーヤーモードは、日本であれば日本にあったベストな方法が取れるように、展開する地域に合った形での課金要素を模索しなければならないと考えています。 システム的に言えば、1プレイいくらの従量制から、アイテム課金、月額課金といったかいずれの課金方法にも対応できるような作りをしています。日本市場でのビジネスモデルを考えるにあたり、日本市場では月額課金が一般的だとか、アイテム課金がトレンドといった方向性から、バンダイナムコゲームスが考えるビジネスプランをFlagshipに示してもらい、その上で開発する形になります。こうした中から日本独自のビジネスモデルができてくるかもしれません。この辺りはまだ検討段階となります。 編: 最後にサービススケジュールについてお聞かせください。 Roper氏: まずクローズドβを北米で年末までに開始する予定です。それを徐々に内容を拡張していき、ユーザーの反応も伺いながらゲーム自体を発展させていきます。特にタイトなスケジューリングを考えているわけではなく、満足行く内容に仕上がるまでじっくり内容を煮詰めていくつもりです。 編: ありがとうございました。
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□バンダイナムコのホームページ (2006年9月24日) [Reported by 中村聖司]
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