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会場:Los Angeles Convention Center
■ 「Diablo」を彷彿とさせる無限のプロシージャルダンジョンが貴方を待ち受ける!!
「Diablo」の素晴らしさというのは、大別すると、自動生成されるダンジョン、抜群のセンスで描かれたビジュアル、クライアント内でサーバーブラウズ可能なマルチプレイモードが挙げられる。いずれも別段「Diablo」が初の試みではないのだが、これらを掛け合わせてゲームとして提供したのはおそらく「Diablo」が初めてで、同シリーズの指数関数的な吸引力というのはここに秘密がある。 その設計の優秀さゆえに、当時韓国で勃興しつつあったオンラインゲーム開発の模範として、積極的に真似られ、無数のコピータイトルが生まれた。しかし、どれひとつとして「Diablo」の水準に達しなかったのは、単に開発力の問題ではなく、先に紹介した要素がブラックボックスだったために、おもしろさのキーとなる部分まではコピーできなかったことに原因がある。 中でも自動生成されるダンジョンは、「Diablo」の吸引力の源泉として、ブラックボックスのまま現在に至っている。足を踏み入れるたびに、ダンジョンの構造や、モンスターの配置、ドロップするアイテムが替わる。この一定のデータ量で、無限のアドベンチャーを提供するという考え方は、Will Wrightが「SPORE」という実験的タイトルで提唱しているプロシージャルシステムに近く、「Diablo」はそのはしりといえる。
「Hellgate: London」は、こうした「Diablo」のみが独占してきた強みをそっくりそのまま受け継ぎ、新しいゲームデザインと、こだわりの3Dグラフィックスで現代に蘇らせたアクションRPGの新定番ということになる。 ■ FPSスタイルで楽しむ新感覚オンラインアクションRPG
基本的なゲームデザインは、1人称視点のガンシューティングスタイルを採用しており、武器は両手に持つ、盾なし二刀流という戦闘スタイルが基本となる。武器は大別してメレー系とレンジ系の2系統があり、状況やプレイ人数に応じて、文字通り二刀流にしたり、二丁拳銃にしたりといったことが可能。ソロプレイでは、片手は剣、片手は銃という遠近両用スタイルが有用なようだ。 武器や防具は「Diablo」同様、モンスターがランダムドロップする。武器は特に銃器類が充実しており、プラズマ、ホーミングレーザー、ロケット弾、ミサイルなどなど、ありとあらゆるタイプの銃器が用意されている。これらはMODSを組み込むことで強化を図ることができる。これらMODSもモンスターからのドロップとなる。 ちなみにゲームの視点は1人称か3人称を任意に選択できるが、メレー系ウェポンを選択した場合は、間合いの概念があるため、強制的に3人称視点に変わる。これは間合い云々よりむしろ、自分のキャラが悪霊をガンガン斬り倒すという格好いいアクションを堪能するためには3人称視点が最適ということであり、こうしたこだわりはいかにも元Blizzardのタイトルらしい。 キャラクタにはレベルの概念があり、敵を倒し経験値を獲得することで強くなっていく。通常のFPSスタイルのアクションゲームは、一定のAiming(対象に素早く照準を合わせ、正確に撃ち抜く技術)の能力が快適にプレイする上での前提条件となっているが、同作は極端な話、レベルを上げ、装備を調えることでいくらでもゲームの難易度を下げることができる。Aimingやスクリプトパターンの習得に頼らず、自らの戦術やプレイスタイルによって難所を突破できるのがこのゲームのおもしろいところだ。 基本的なゲームの展開は、テンプル騎士団の関係者からクエストを受け、それをクリアしていくということを繰り返していく。受けられるクエストというのは、「Diablo」と同様、ホストのユーザーがベースになるようで、あまり進行度の離れたユーザーとは一緒にプレイできないようだ。クエストをこなすことでストーリーが進展していく。
「Hellgate: London」は、拠点となるアンダーグラウンドを中心に、地上と地下に広大なランダム生成ダンジョンが広がっている。今回は地下はおろか地上までランダム生成されるため、ロンドンのどこが舞台ということはない。イメージとしては、ピカデリーサーカス周辺の街並みに近い印象だ。
■ 抜群のセンスとこだわりを感じさせるグラフィックス
具体的には、キャラクタの腕の筋肉に始まり、路上のひび割れ、崩壊した建物のシミ、ロンドン名物赤い電話ボックスや地下鉄案内の古びた感じ、あるいはところどころ抜け落ちたパブの割れたガラス窓など、こうしたディテールの積み上げをテクスチャレベルで行なっており、シェーダー技術では実現できない手描きの味わいにこだわりつつ、荒廃し尽くしたロンドンを丹念に描いている。 今回、Flagship Studiosの技術部門のディレクターに、この件について訪ねたところ、「プログラマブルシェーダーは3.0を採用しているけど、実際にはほとんど使ってないと思うよ、あまり必要だと思わないし(笑)」というATIやNVIDIAの関係者が聞いたら卒倒するような衝撃の答えが返ってきた。高レベルのプログラマブルシェーダーへの対応と実装を謳うメーカーは無数に存在するが、あっさり不要論を唱えたFlagship Studiosの態度は実に見事であり、日本の独立系デベロッパーにも似た確かなクリエイティビティを感じさせる。 こうしたアプローチで開発が進んでいる関係上、開発には非常に時間が掛かることになる。同作は見た目の完成度は非常に高いのだが、全体としてはまだまだ足りないらしい。「レベル(マップパターン)、武器、キャラクタがまだまだ足りない。もっともっと作り込んで2006年には発売したい」ということだ。このトレードオフの関係は、ゲーマーにとっては悩ましいところだが、待つ価値のあるタイトルといえるだろう。 最後に重要なマルチプレイについて触れておくと、基本はBlizzardのbattle.netのようなマッチメイクロビーを提供し、その中でプレイしてもらうスタイルを採るようだ。といっても、同作はスタンドアロンでもプレイできるので、インターネット接続環境は必ずしも必要ではない。 Flagship版battle.netでは、マッチメイクをサービスし、将来的にはラダーやクランといったサービスも提供する。同作は「Diablo」シリーズと同様、非MMO型のオンラインゲームで、キャラクタデータはローカルで持つため、システム的にチート行為が避けられない。そこでキャラクタデータをサーバーに預けるセキュアサービスの存在が重要になるが、こちらは有料での提供になるかもしれないということだ。 同時参加者数は未定とのことだが、少なくとも50人程度は同時参加できるようにするという。仮にそうなればMMORPGのRaidのようなシーンが展開されることになりそうだ。ちなみにマルチプレイ時における経験値ボーナス等のメリットの設定は、具体的な仕様は未定だが、何らかの特典を考えているという。
クリアまでのボリュームはだいたい30~40時間程度。といってもこれは1周の話で、
同作もダンジョンがランダム生成されるメリットを活かして、高難易度の2周目、3周目のプレイも前提にして開発が進められている。日本ではナムコが日本語版での発売を予定。大きなムーブメントの再来を予感させる大作アクションRPGだ。
□Flagship Studiosのホームページ (2005年5月21日) [Reported by 中村聖司]
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