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RPGモードとPvPモードの2つのゲームモードを楽しめることをはじめ、従来のオンラインRPGとは一味も二味も異なる新機軸が多く見られるオンラインRPG「ギルドウォーズ(以下、GW)」。本作は、アメリカ、韓国、ヨーロッパに続いて、1月27日からいよいよ日本でもサービスが開始されており、すでに存分に楽しんでいるプレーヤーも多いことだろう。 この連載では、本作のPvPモードにフォーカスを当て、従来のオンラインRPGファンはもちろん、すべてのゲームファンへ、これまでのオンラインRPGとはまったく異なる本作のPvPが持つ魅力をお伝えしていきたい。なお、本作の概要については、レビュー記事をご覧いただきたい。
実際に本作の日本語版をプレイしてみて、こうした「開発側が考えた“無駄な要素”の大胆な削減具合」に驚かされた。上記にあげたような要素は、人によって評価は異なるだろうが、本作のテンポのよさ、ストレスの感じない作りには、好感を抱く方も多いだろう。 RPGモードに関して個人的な感想を言うと、テンポの良さや利便性が追求された結果、若干淡白な印象を覚えた。贅肉がそぎ落とされすぎて痩せすぎな感触だ。ただ、いずれにしても従来のオンラインRPGに慣れている人なら、新鮮な感触のゲームであることは間違いない。 さて、本題に入るが、RPGモードとPvPモードでは、別々にキャラクタを作成することになる。現在のところ作成できるキャラクタ総数は1アカウントあたり4キャラクタまで。この4キャラクタという数字は、絶妙かつ悩ましい数字なのだが、それについては連載中に取り上げることもあるだろう。 PvPモードのキャラクタ作成にはひとつの大きな特徴がある。それは作成した時点でレベルがマックスの20であるということだ。PvPモードのキャラクタを作成したその日から、基本パラメータ的には熟練したプレーヤーたちと互角に戦えるというわけだ。 本作のキャラクタには、「ウォーリア」、「レンジャー」、「モンク」、「ネクロマンサー」、「メスマー」、「エレメンタリスト」というジョブが選択可能。メインジョブに加え、サブジョブの概念があり、メインとは異なるジョブの特性を持たせることができる。ジョブの決定後は、スキルの効果を左右するパラメータである「特性」にポイントを割り振る。さらに、そのキャラに持たせる「スキル」を8個選択していくことになる。 PvPモードのキャラクタ作成は実に悩ましい。作成の時点で「自分がどのような役割を演じたいか」について明確なビジョンを持っていることが望ましいのだが、プレイ当初の段階でそれを持つことは不可能だ。特性ポイントは作成後に街中でいつでも再振り分けが可能なため問題はないが、ジョブの選択に関しては、使用できるスキルがハッキリ違ってくるし、初期のスキルのチョイスも後から入れ替えていくには多少の努力が必要となる。 もっとも、仮にRPGモードを十分にプレイしていても、NPCが相手となるRPGモードと、対人が基本のPvPモードでは、キャラクタに対する考え方やプレイスタイルそのものが大きく異なるので、RPGモードの考え方でキャラクタを作成しても、思った通りにいかないことも多い。そこでここはひとつ、最初の1キャラをPvPモードを理解するためのお試しと考えて、本腰を入れるのは2キャラ目以降、と割り切ってしまうのが良い。 作成には、自由にキャラクタを構成できる「カスタムキャラクタ」のほかに、ある程度プレイコンセプトとそれにあわせたスキルチョイスがなされた「テンプレート」を選ぶことができる。最初のお試しキャラクタはテンプレートから選んでしまうのが良い。
筆者が最初に作成したキャラクタはテンプレートから選んだモンク。正直このキャラクタを作成した時点では、ジョブはまだしも、スキルに関しては何をどのようにチョイスすればいいのかは、まったくわからなかった。考えたコンセプトは単純に、「ヒーラー担当」だ。 ■ ランダムアリーナでPvPの準備運動! あるモンクプレーヤーの悩みが始まる
ランダムアリーナ(以下、RA)は、その名のごとくランダムに4人1組のチームが組まれ、他のチームと対戦がマッチングされる場所。PvPモードのプレイ開始当初は、まずこのRAで勝利数を一定量重ねて、他のルールで戦う場所に移動できるよう増やしていくことになる。 RAでミッション開始のボタンをクリックすると、数秒のカウントの後にパーティが作成されて試合開始となる。組まれたメンバーはランダムなため、ジョブの組み合わせなどは考慮されない。また、組み合わせ後、約10秒から20秒のカウント後にすぐさま試合開始となるため、戦術を確認しあう時間もほとんどない。当たり前だが、この点は相手のチームも同じだ。条件は5分だ。また、RAでの勝利数を増やすことで移動できるようになるチームアリーナ(以下、TA)では、パーティメンバーを事前に組むことができるという点が異なっている。 RAでのマッチングカウントが終わり、試合開始まであとわずか数秒。パーティメンバーに挨拶をかわしたところで試合開始だ。正直RAはランダム性ゆえに、自分の役割を果たすという側面と、自分のやろうとしている動きを一人で試す場所としての側面が大きい。このときにおける筆者の役割とは、もちろん仲間を回復するスキルを試すこと。目的はPvPモードに慣れることだ。 勝利条件のルールは基本的に2つ。ひとつは、敵のパーティーを全滅させるというもの。もうひとつは、一定時間内に敵を倒した回数が多いほうが勝利になるというものだ。相手を倒せばいいことには変わりがない。 自陣の門が開き、エリアの中央へと進んでいく。相手チームが見えてきたところで対峙する両パーティ。このようなシーンは絵面がなかなかにかっこいいのだ。「GW」のPvPは、エリアの作り的に、こういったかっこいいツボを抑えたシーンがよく生まれる。テンションを上げてくれる前フリがよいと言えばよいだろうか。その後の激しい戦いが感慨深いものになる。 この時はウォーリアが2人、レンジャーが1人、加えて筆者のモンクという構成。ウォーリアが「いきます」という短いチャットを出して相手チームに挑みかかる。レンジャーは細い通路にフィールドトラップを張っているようだ。相手チームのメンバーもそれに合わせて前進。激突の瞬間に近づいていく。 と、ここで筆者にとって予想外のことが起こる。互いのチームの先陣を進んでいたメンバーが直接ぶつかりあうことはなく、互いに相手陣地の奥へと交代するかのように交差して進んでいった。相手チームのウォーリアが目指す標的は、筆者のモンクだったのだ。 先にもあるように、RAではその進行上、意思の疎通が必要になるような複雑な戦術は使われない。個々が理解している戦法の基本的なもので戦うことになるのだが、その最もベーシックなもののひとつが「回復源となるモンクを最初に倒す」というものだったのだ。モンクについで、エレメンタリストやネクロマンサーといったスペルユーザーを潰していき、回復方法の絶たれたレンジャーやウォーリアを片付ける。これがすでに多くのプレーヤーに浸透していたのだ。 回復のスキルを駆使することだけを念頭においていた筆者は瞬く間に相手チームに囲まれ撃沈。相手チームにもモンクはいたようだが、この基本戦術に対して、なんらかの対策を持っていた模様。少なくともターゲットされることに無策で挑んだ筆者よりも長く持ちこたえていた。筆者のモンクを倒した相手チームのウォーリアーはついでレンジャーを倒し、戦力を集中させて残ったウォーリアーを倒す。画面には「敗北しました」の文字が躍り、初めてのPvPはあっけない惨敗となった。
気を改めて再度RAのミッションを開始。「モンクは狙われる」という意識を持っての再チャレンジだ。これに対する対策を考えていかなければ、筆者のPvP人生は一歩も前に進まないのである。試合が開始され、案の定、相手チームのウォーリアがこちらに向かってきた。すぐにできる対策として、筆者は自分を必死に回復してみる。こちらのチームが相手チームのスペルユーザーを倒すまで自己回復で耐え切るという構えだ。 ひとりのウォーリアが筆者のモンクに張り付いて攻撃を加え続ける。こちらは必死にヒールのスキルを連打して自己回復を続ける。1対1の状況では、ダメージのやりとりが相殺され続け、膠着状態となった。だが、少しづつ相手の与ダメージがこちらの回復量を上回り始める。自チームのプレーヤーが相手のスペルユーザーを倒して戻ってくるのをいまかいまかと待ち望む。だが、努力は実らず、ダメ押しにもう1人のウォーリアが筆者への攻撃に加わったところで倒れた。多少の時間は稼げたものの、こちらのチームは相手のスペルユーザーを倒しきれなかったようで、結果はやはり敗北に終わってしまった。 何度か同じように「自己回復して耐える」という方法で試合に臨む。だが、筆者を狙うプレーヤーが、1人の場合は耐え切ることもできるが、複数人数に囲まれると回復量が追いつかない。繰り返すうちに何回かは勝利することができたのだが、たいていは、相手チームのプレーヤーが、モンクを狙うという戦法をとってこなかったときであり、こちらのメンバーがしっかり相手のスペルユーザーを狙うことができたときだった。もちろん、このケースが逆になった場合は、こちらのチームの敗北となることが多い。 モンクというジョブの立ち居振る舞いを考えるなかで、少しづつ思考が膠着しはじめた。それは、繰り返しRAのPvPに挑むうちに、パーティーを組む他のプレーヤーともっと意思の疎通を取りたいという思いが湧き上がったためだ。最初にモンクを狙うという戦法に対しての対策。それを立てていくために、狙う側の感触も聞いてみたくなったのだ。筆者が対人戦形式のゲームを遊ぶ場合、まず「相手がされた嫌なことをする」というものがある。なんとも響きの悪いコンセプトだが、直接的に対戦するタイプのゲームは、FPSであろうが、対戦格闘であろうが、相手を苦しめるのが本筋であり大前提なのだ。
モンクを率先して狙うという戦法をとっているウォーリアーの視点から見て、どういうスキルや動きをしてくるモンクが嫌なのか? それを聞きたい。共通の目的を持って話し合える「仲間」が欲しい。この解決策はひとつしかない。「ギルド」に入って共に勝利を目指す仲間を得るのだ。
■ ギルドに加入して「チームアリーナ」に挑戦! スキルの選び方の基本とは?
筆者が加入させてもらったギルドは、当然のごとく設立されたばかり。加入した時点では、ギルド戦に必要となる「ギルドホール」というものも持っておらず、これからがんばっていこうという状態だ。挨拶も早々に、ギルドメンバーからアリーナへの誘いを受けた。移動するのは、ランダムアリーナではなく、固定の4人パーティで挑めるチームアリーナ(以下、TA)だ。 構成はウォーリア2人とモンク2人というかなりわかりやすいもの。あれやこれやと戦法を論ずる前に、まずは一戦挑んでみることとなった。試合が開始され、相手のチームとの距離が狭まっていく。筆者を含むもう1人のモンクはそれぞれに相手チームのプレーヤーのターゲットにされ、ダメージのプレッシャーを与えられる。自身を回復するのに精一杯で手が回らず、毒などの状態異常を喰らっている仲間がいても、なかなかに回復の手を伸ばせない。モンクへのプレッシャーはもちろん、相手チーム全体の動きも鋭い。RAとは異なり、事前にいくらでも準備やコミュニケーションが可能なTAでは、連携という概念が実力を底上げしているのだ。 試しにと挑んだギルドメンバーとの初TAは、やはりモンクの対応という点で劣り、敗北となった。勝ちたいという思いは敗北の数に比例して募り始める。誰からともなく試合と試合の間にチャットによる作戦会議がはじまった。 大きな論点はひとつ。自チームのモンクの動きかたであり、そして相手チームのモンクへの対応だ。相手チームのほぼ8割から9割が、まずモンクを潰してくる戦法をとってくる。筆者は自身を回復させて耐えようとするも、複数のプレーヤーに囲まれてしまうと回復量が足りないと話す。するとウォーリアでプレイしていたギルドメンバーは思いがけないことを提案した。
「狙われたら逃げる」というコンセプトで、試合に再チャレンジ。よく見ればPvPの舞台となるエリアは、ぐるっと一周できるような広い作りのエリアが多い。いざ逃げるときのコースを確認しつつ、相手チームと対峙する。そして、相手チームのウォーリアやレンジャーといった前衛ジョブ的なプレーヤーが一目散に武器を構えて、筆者たちモンクのもとへと向かってきた。ここで向きを変えて、ダッシュ! 狙っていた相手が逃げていくのを見て猛追する相手プレーヤー。だが、なんのステータス変化もない状態では前進する移動速度は変わらない。いくら追いかけても追いつかないのである。 ここで、相手プレーヤーには心理の変化が起こる。それは、今ターゲットにしているモンクへの追撃を中断して、自チームのモンクを狙っているウォーリアたちを先に攻撃するべきか? といった迷いだ。筆者たちのモンクは逃げた結果、前衛ジョブのメンバーと距離が離れているため、回復は行なえない。このまま逃げ続けられているうちに、こちらの後衛ジョブが倒されてしまったら負けてしまう。そういう思いが沸くのだろう。途中で追撃をやめ、他のプレーヤーにターゲットを移す相手プレーヤー。ここでこちらが取る行動はもちろん、逃げるのを止めて、前衛ジョブの回復に戻るというものだ。これにより、自チームは一方的に相手のスペルユーザーを狙え、かつこちらのスペルユーザーは自由に動けるという理想的な流れを作ることができたのだ。 ターゲットする相手に迷い、右往左往する相手チームの前衛ジョブプレーヤー。味方前衛ジョブの回復をたまにいれつつも、戻っては逃げを繰り返し、相手チームの前衛ジョブを翻弄するモンク。そうこうするうちに相手チームのスペルユーザーが倒れた。残るは回復方法の無くなった前衛ジョブばかり。ほどなくしてギルドメンバーとの初勝利を得ることができたのだ! 口々に喜びの声をだす仲間たち。ギルドウォーズ最大の醍醐味は、仲間と協力して勝ち得る喜びだ。これはかけがえのないものだ。 この後、同様の立ち回りでモンクを狙ってくる相手の狙いを乱し、何度か勝利することができた。ただ、この狙われたら逃げるという戦法は当然絶対的なものではない。そのためにある対処法がいくらでもあるからだ。たとえば、ウォーリアのもので、自身の移動速度を25%アップする「ラッシュ」を使って追いつくというものもあるし、スキルを当てた相手を一定時間「不自由」の状態にして、移動速度を低下させる「ハムストリング」というものもある。レンジャーならば遠隔攻撃である弓で使えるボウマスタリーのスキル、「クリップルショット」や「ピンダウン」というものもある。 では、次にそうしたスキルを使ってくる相手に狙われたスペルユーザーはどうすればよいのか? という問題が発生する。そうしたときには、逃げることをあきらめ、ダメージに耐えるものや、ダメージを回避するというものを用意しておくことになる。 モンクが使えるプロテクションのスキルから「ガーディアン」や「シールドハンド」といった、ダメージを一定時間軽減するスキルを併用しつつ、自己回復するだけでかなりの時間持ちこたえることができるようになる。また、ギルドメンバーからは、それらに加えて「フォーチュンリバーサル」という、受けるダメージを一度だけ無効化し、本来受けるはずのダメージと同等の回復がされるというスキルを併用することを薦められた。これらすべてを駆使すれば、1対1の状況であれば、ほとんどの場合耐え切ることが可能になりそうだ。
また、モンクを狙ってくることが多いことを逆手にとって、「アミティ」や「バシフィズム」といった敵を一時的に攻撃不能にさせるスキルを併用するのも面白い。特にアミティは、隣接する敵の攻撃を封じるので、囲まれたときの緊急避難としてもよい。ただ、スキルのセット数はあくまでも最大8個。今挙げたものを組み込んでいくだけで半分近くは埋まっていくわけであり、さらに状態異常を回復するものや、回復をするヒールのスキルといったものが入ると自然に埋まっていくのだ。 ■ 仲間と共に世界の頂点を目指す! 従来のオンラインRPGとは異なる本作の魅力
こうしたことから本作のPvPモードに、敷居の高さを感じている方もいるかもしれない。それは、ひとつにスキルを覚えることが必要であることだ。なにぶん本作のスキルは現時点で500近くもあり、格闘ゲームのコマンド技のごとく、スキルの性能をひとつひとつ覚えていくのは大変だ。この点は、RPGモードでスキルを獲得しつつ覚えていく方法が望ましい。もしくは、本稿で紹介しているように、自分のしたいことを先に考え、それを実現するための性能を持つスキルをチョイスする、という入り方のほうがスムーズかもしれない。結局のところスキルは8個しか使えないのだし、そうしたスタンスで没頭してプレイすれば、気付いたときには知識を得ていると思う。 本作の持つPvPモードを素直にオンラインRPGと呼ぶのには筆者は少々のとまどいがある。対人戦であることがもちろん大きいのだが、相手チームの思考があり、こちらの思惑があり、それらを互いに読みあい、キャラクタを、そしてプレーヤー自身をスキルアップさせていく、というのはFPSや対戦格闘などに必要な能力だ。ファンタジー版のFPS、とでも表現すればよいだろうか。そういった意味でも、本作のPvPモードは、オンラインRPGというジャンルの基本概念を越えているのだ。しかもそれはゲーム全体の小さな要素ではなく、本作の重要な部分だ。
スキルのセレクトや自分の動き、仲間の動きを熟慮する、といった努力は、ひとつのモチベーションで乗り越えられる。それはもちろん「仲間と共に勝利の喜びを分かち合いたい」というものだ。個人差はあるかもしれないが、ギルドに所属することは本作の魅力を味わうのに必要不可欠な要素だと考えている。仲間と共に悩み、切磋琢磨し、勝利をひたすらに目指す。相手は世界だ。このフレーズにやる気がみなぎってくる人ならば、間違いなく本作は素晴らしいタイトルのはずだ。あなたのようなプレーヤーの参加を待ち望んでいるギルドがそこにはある。
□エヌ・シー・ジャパンのホームページ (2005年2月27日) [Reported by 山村智美 / Pomm]
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