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「ファイナルファンタジー」オーケストラコンサート開催
「XII」ステージや試遊会、ポーション試飲会などイベントも多彩

2月18日 開催

会場:パシフィコ横浜 国立大ホール

ライティングやスクリーンでの映像にも凝っており、視覚的にも楽しめた
 株式会社スクウェア・エニックスは、「ファイナルファンタジー」シリーズのオーケストラコンサート「VOICES music from FINAL FANTASY」を、パシフィコ横浜 国立大ホールにて2月18日に開催した。

 「VOICES music from FINAL FANTASY」は、国内では2004年の「TOUR de JAPON」以来、2年ぶりとなる「ファイナルファンタジー」のオーケストラコンサート。前回は7都市で開催されたが、今回は横浜での1回のみ。1階席から3階席までの約4,000席のホールは満員で、チケットも発売から30分で完売してしまうほどの人気だったという。

 コンサートの製作総指揮は、「ファイナルファンタジー」シリーズの楽曲の生みの親、植松伸夫氏。指揮はアーニー・ロス氏、演奏は今回のために編成されたというプリマビスタ・フィルハーモニック・オーケストラ。プログラムは2部構成で、全16曲が演奏された。

【演奏曲目】
・第1部
プレリュード
Liberi Fatali(VIII)
フィッシャーマンズ・ホライズン(VIII)
祈りの歌(X)
素敵だね(X) ~RIKKIさん
ファイナルファンタジー・ドゥワップ・メドレー ~モーグリーズ
いつか帰るところ~Melodies of Life(IX) ~白鳥英美子さん
ファイナルファンタジー

・第2部
プリマビスタ楽団(IX)
約束の地(VII アドベントチルドレン)
オープニングテーマより石の記憶~Distant Worlds(XI) ~増田いずみさん
Eyes On Me(VIII) ~アンジェラ・アキさん
Kiss me good-bye(XII) ~アンジェラ・アキさん
オペラ「マリアとドラクゥ」(VI)

・アンコール
スウィング de チョコボ
再臨: 片翼の天使(VII アドベントチルドレン) ~THE BLACK MAGESほか

MCとして登場した植松氏。トークでファンを笑わせ、時には滑りつつ、コンサートを盛り上げた
 曲の合間にはMCとして植松氏が登場。「VOICES」と名づけられた今回のコンサートについて、「『ファイナルファンタジー』も20年ほどやってきて、主題歌や合唱曲など、歌声を使った曲が増えている。今回は歌声にスポットを当ててプログラムを組んでみようかと思った」と語った。これは曲目を見てわかるとおり、歴代シリーズの主題歌が多数組み込まれている。また特定のヴォーカリストが登場しない曲でも、コーラスを使ったものが多く、中にはコーラスのみの曲もあった。

 ヴォーカリストとしては、白鳥英美子さん、RIKKIさん、増田いずみさん、アンジェラ・アキさんの4人が登場。それぞれ自らの「IX」から「XII」までのテーマ曲を歌った。さらにアンジェラ・アキさんは、「VIII」でフェイ・ウォンさんが歌った「Eyes On Me」をカバー。コンサートで「Eyes On Me」がヴォーカル曲として歌われたのは、今回が初めてだという。

 ちなみにRIKKIさんと増田さんは、何とおふたりともおめでた。植松氏もMCで、「今回は妊婦特集でお送りしています」とネタにしていたが、歌声はいつもと変わらず、見事にステージ上で歌いきっていた。

 戦闘勝利のファンファーレをラッパで鳴らしながら登場した謎の5人組「モーグリーズ」は、ドゥワップ・メドレーを披露。ボイスパーカッションを織り交ぜた見事なコーラスなのだが、音楽に合わせて体をコミカルに揺らしてみたり、剣を振るようなアクションに合わせて声で効果音をつけたり、途中でサントリーの「ポーション」を飲んでみたりと、大いに観客を笑わせてくれた。

指揮のアーニー・ロス氏(右)は、今回が初来日。今後もゲーム音楽のコンサートを手がける予定があるそうだ
 また今回のコンサートで特徴的だったのは、視覚的にも楽しませる仕掛けが用意されていた点。テーマソングが流れる際には、ステージ上部のスクリーンに各タイトルの映像が映し出された。また指揮のアーニー・ロス氏がアレンジした「スウィング de チョコボ」では、「II」から登場した歴代のチョコボが次々と登場。最後は見慣れないグラフィックスだったが、もしかすると「XII」のチョコボだったのかもしれない。

 またオペラ「マリアとドラクゥ」も、「VI」のプレーヤーは大いに期待していたところだろう。2月15日に発売されたCD「MORE FRIENDS」にも収録されているが、こちらはロサンゼルス公演の録音となっているため、セリフが英語になっている。今回は日本語になっているだけでなく、3人のオペラ歌手が舞台の上を歩いて演技をしてみせるなど、こちらも見ていて楽しめる臨場感たっぷりの内容となった。

 最後の曲となった「再臨: 片翼の天使」では、ロックバンド「THE BLACK MAGES」とオーケストラが共演。ギターの岡宮氏が観客席まで降りていくパフォーマンスもあり、会場は一気にロックコンサートの雰囲気に。これと「スウィング de チョコボ」の2曲がアンコール曲として用意されていたが、観客の「もう1回!」という声に押されて、何と「再臨: 片翼の天使」を再度演奏することに。植松氏は後のインタビューで、「あんなの予定にはないですよ。レパートリーがないのをばらしてるようなものじゃないですか」と恥ずかしそうに語っていたが、ファンは1回目以上に盛り上がっていた。

コンサートの後、Tシャツ販売コーナーに植松氏が登場。あっという間に大混雑となり、すぐ完売してしまったようだ
 今回、植松氏はMCに徹して指揮棒を振ることはなかったが、合間にはお笑いトークや質問コーナーなどを展開。一番影響を受けた人物はと聞かれて「アントニオ猪木です」と熱いプロレストークを披露しながらも、音楽の質問には真剣に答えた。その中で植松氏は、「声は一番表現力のある楽器。ゲーム音楽なのでインストゥルメンタルが多いけれど、本当は歌ものを作るほうがずっと好きなんです」と語った。また今後の野望として、「インディーズレーベルを立ち上げようかと企んでます」というコメントも。もしかすると今後はゲーム音楽に留まることなく、植松氏のヴォーカル曲が聴ける機会が増えるかもしれない。

 コンサート終了後、取材に応じてくれた植松氏は、「オーケストラのインストゥルメンタルばかりだと、僕は眠くなっちゃう。今回は歌ものばかりだったので、飽きが来なかったんじゃないかなと思います。レパートリーもこれまでとは随分違って、新鮮な曲もあったので、喜んでいただけたんじゃないかと思います」とコンサートを終えた感想を語った。

 コンサートをこの時期に開催したことについては、「やっぱり『XII』の発売ですかね」としながら、「こういうコンサートが毎年あると、飽きられるんじゃないかなという気持ちがあります。オーケストラコンサートと、『THE BLACK MAGES』のコンサートを交互にやるくらいが、皆さんに飽きられないのかなと思っています」と自らの考えを示した。

「THE BLACK MAGES」での演奏後、汗だくの様子で取材に応じた植松氏
 オーケストラとロックバンド、コーラスの合奏となった「再臨: 片翼の天使」については、「実験ですね。これらがどういう風に混ざっていくのか。音楽のジャンルによって大事にするものが違っていて、オーケストラとロックバンドの低音部分はキャラがかぶってないんです。うまく配合させれば、ロックのリズムで前に進めて、色合い的にオーケストラの楽器を混ぜることがいつかできるんじゃないかと思っています」と語った。さらに「まだ完璧ではないですが、これからも続けていきますし、企んでいることもあります」と含みのあるコメントも。聴いているほうもかなり斬新に感じるものだけに、今後はこのほかの曲にも挑戦していただきたいところだ。

 今回、横浜で1回のみの公演になったことについては、「オーケストラが80人もの大所帯なので、なかなか全国を回るのは難しいんです。本当は大阪での公演も予定していたのですが、残念ながら横浜だけになりました。今回も北海道や鹿児島から来られている人もいますし、申し訳ないなと思います。気持ちとしては聴きたい人のところに行きたいとは思っています」と心のうちを語った。ただ「『THE BLACK MAGES』くらいの小さなピースなら動きやすいですけどね」というコメントも聞けたので、こちらで多数の公演を期待したい。



発売間近だけあって注目度も高い「XII」。コンサート会場も女性が多かったが、試遊会では特に女性が目立った
 会場ではコンサートのほかにも、多数のイベントが催された。まず一番の目玉となるのは、3月16日発売予定のプレイステーション 2用RPG「ファイナルファンタジーXII」の試遊会。約50台の試遊台が出展され、2005年7月に実施された「スクウェア・エニックス パーティ」のものとは異なるシーンを体験できた。場所はホール内だったため、チケットを持っている人だけがプレイできたが、それでもコンサート開始までの時間には30分待ちの行列ができていた。

 またコンサートの前には、5人の声優陣が登場するステージイベントも実施。ヴァン役の武田航平さんが「始まったときは17歳で、今は20歳。青春をかけた作品ですね」と語ると、隣にいたパンネロ役の三国由奈さんも「私も青春をかけました!」と答えるなど、声優として作品にかけた思いが語られた。

 さらに会場には、作曲を担当した崎元仁氏も来場。「XII」を手がけるに当たって、「これまで『ファイナルファンタジータクティクス』などはやったが、今回はシリーズの本筋ということで緊張した」という。ゲームについては、「今までのシリーズとは違う意欲作。とても遊びやすい作品になっていると思う」と印象を語った。

 このほかコンサート開始前には、サントリー株式会社が3月7日より発売する清涼飲料「ファイナルファンタジーXII ポーション」の試飲会も実施。小さなグラスに入れられた「ポーション」は、飲料としては珍しいクリアブルー。飲んでみると、確かに栄養ドリンクのような味はするのだが、思いのほか後味がさわやか。ハーブと配合したと聞いていたので苦手に思う人もいるかもしれないが、クセもなく飲みやすい。確かに今までにない、神秘的な味と言ってもいいだろう。

ヴァン役の武田航平さん、パンネロ役の三国由菜さん、アーシェ役の園崎未恵さん、フラン役の深見梨加さん、バッシュ役の小山力也さんが来場。それぞれに「XII」にかける思いを語った 「XII」で作曲を担当している崎元氏もステージに。「制作期間は長かったですが、マラソンをしているような気分でした」と制作中の様子を振り返った おそらく一般初公開となるジャッジマスター像。デジカメや携帯電話で写真を取っていく人が多かったが、誰も近づかず遠巻きに見ていた。威圧感たっぷり
サントリーの「ポーション」試飲会。みな恐々した様子で口をつけていたが、意外とすっきりしていて飲みやすい NTT東日本も小さなブースを出し、チョコボの写真撮影会を実施。10分に1度ほど登場して写真を撮るだけなのだが、こちらも凄まじい人気 物販コーナーでは、2月15日に発売されたCD「MORE FRIENDS」が大人気。今回のコンサートの演奏曲も収録されているので、来られなかった人は聴いてみていただきたい


□スクウェア・エニックスのホームページ
http://www.square-enix.com/jp/
□「VOICES music from FINAL FANTASY」のページ
http://www.square-enix.co.jp/music/sem/page/voices/
□「植松伸夫です。」のページ
http://www.square-enix.co.jp/music/sem/page/uematsu/
□関連情報
【2005年10月21日】スクウェア・エニックス、「声」をテーマにした
「ファイナルファンタジー」オーケストラコンサートを開催
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20051021/ffcon.htm
【2005年9月2日】「ファミ通PRESENTS ファイナルファンタジーXI サマーカーニバル2005」開催
開発陣トーク、バリスタ決勝、ライブと内容盛りだくさん
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20050902/ffxi.htm
【2005年7月30日】PS2「ファイナルファンタジーXII」試遊レポート
ステージイベントでは植松氏がテーマソングを発表
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20050730/ffxii.htm
【2005年2月22日】「ファイナルファンタジー」コンサートを米国で開催
THE BLACK MAGES、白鳥英美子さん、RIKKIさんなど豪華ゲストが出演!
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20050522/ffcon.htm
【2005年1月24日】THE BLACK MAGES、2ndライブ“above the sky”を開催
「ロマサガ」のイトケン、テクノポップユニットmuZikなど隠し球続々
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20050124/tbm2.htm
【2004年3月15日】ファイナルファンタジーオーケストラコンサートツアー
「TOUR de JAPON(ツール・ド・ジャポン)」東京公演開催
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20040315/ff.htm

(2006年2月20日)

[Reported by 石田賀津男]



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