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★オンラインゲームファーストインプレッション★

党(ギルド)の戦いを主軸に置いた意欲作
クローズドβテストの模様を徹底レポート

「グラナド・エスパダ」



 「グラナド・エスパダ」は、「ラグナロクオンライン」を手がけたキム・ハッキュ氏が開発しているMMORPGである。本作を運営するハンビットユビキタスエンターテインメントは日立との合弁会社であり、サーバーシステムもまた日立のシステムを使用していて、ゲームそのもののみならず、多様な点から高い注目を集めている作品だ。

 「グラナド・エスパダ」は開拓時代のアメリカを思わせる「新大陸」を舞台に、17~18世紀の地中海文化圏をモチーフにしたキャラクタが魔法と剣、そして銃を使いこなし、恐ろしいモンスターと戦いを繰り広げていく。プレーヤーは3人のキャラクタを使う事ができたり、ゲーム内に「政治要素」を導入していくといった、世界観、システム両方に興味を惹かずにはいられない意欲的な作品である。

 しかし、2004年11月19日の制作発表から1年近くたつ現在も、本作は韓国、日本で少人数のユーザーを対象にしたクローズドβテストを繰り返しているだけで、未だそのはっきりした姿を見せていない。果たして「グラナド・エスパダ」とはどんな作品なのだろうか?

 筆者は10月19日~23日まで開催された2回目となるクローズドβテスト「Alliance」に参加し、基本的なプレイと共に、今回のテストのテーマである、党(ギルド)vs党の「トーナメント戦」を体験した。筆者自身も党の一員となり、楽しい経験をさせてもらった。今回はゲームの感触と共に、トーナメントの模様をお伝えしたい。


■ 美しいグラフィックスとはっきりしたテーマを持つフィールド

 筆者がゲームをスタートしてまず驚かされたのがキャラクタモデルの美しさである。「グラナド・エスパダ」のキャラクタの顔や衣服のテクスチャはとても細かく描き込まれており、欧米のキャラクタモデルそのものを作り込む方向性とはまったく違うものを感じる。現在唯一の街であるリボルドウェもまた美しい。街には大きな噴水や時計塔があり、空は晴れ渡り、市場がある。歩いて街をまわる、キャラクタの姿をチェックする、プレイしてすぐに、「このゲームは今までと違う」という気持ちがわき上がってくる、印象的なグラフィックスである。

羽の生えた女性はGMが操るキャラクタ。各キャラクタのテクスチャはとても美しい。部屋の中も細かく描き込まれていて、チェックするだけでも楽しい
武器などを売るNPCの前はいつも込み合っている。人が多いように見えるが、プレーヤーの数を数えればそれほどではない
 ただ、しばらく歩くと少し寂しさを感じてしまったのも事実だ。現在のバージョンでは街にはNPCの数が少ない。市場なのに買い物をする人の姿さえもなく、公園にも人がいない。必要最低限のNPCしか人がいないというのは韓国産MMORPGに見られる傾向であるが、せっかく街の造形に人の息吹が感じられるのに、人の姿がないのは不自然である。

 街の寂しさとは逆に、冒険者がいる場所はとてもにぎやかだ。1人のプレーヤーが3人のキャラクタを操っているので、武器屋の前などは大混雑しているように写る。狩り場もまた、そこそこ広いフィールドにも関わらず、他のパーティーと獲物がかぶってしまい少し窮屈な印象を持った。この窮屈さは、プレーヤー全員が1からのスタートだったため、どうしても狩り場が重なってしまうことも原因だったろう。

 今回実装されているMAPは、スタート地点であるリボルドウェの街と「アル・ケルト・モレッツァ」、「テトラ遺跡」という2つのダンジョン、そしてそのダンジョンに続く道だけだったが、けして狭いという印象は受けなかった。フィールド、ダンジョン共に街と同様とても良く作りこまれていて、滝が流れていたり、朽ちた遺跡があったりと変化に富んでおり、移動するたびに驚きがある。限定された空間とはいっても、5日間という時間ではまわりきれない広大さがあった。

 仲間のプレーヤーの指摘で気がついたのだが、「グラナド・エスパダ」では植物の描写が特に美しい。街の緑の木々、アル・ケルト・モレッツァに続く道の無秩序に生えた草、テトラ遺跡の秋を思わせる枯れ草など、各フィールドごとにはっきりと違っていて、とても雰囲気がある。

 モンスターはかなり醜悪でこれもまた面白いセンスだ。プレーヤーの前に初めて姿を現すことになるであろうハニースパイダーは体をぱんぱんに膨らませた昆虫型モンスターで倒すと破裂する。現実にいたら触ることもできそうにもないおぞましさがある。他のモンスターもかなり極端なデザインで、特にテトラ遺跡のモンスターは顔の塊がはいずるように迫ってきたりと恐ろしい外見を持ったものが多かった。

青く澄んだ空の下、平和と活気を感じさせるリボルドウェの街。しかし、だからこそ街の住人がほとんどいないのは不自然である。「生活をしている市井の人々」を描いてもらいたいところだ
アル・ケルト・モレッツァへ続く道。左の巨大な黄色いモンスターがハニースパイダーである。道の後半はダンジョン内にも登場する敵が待ち受けている
秋から冬へと変わっていく季節を感じさせるテトラ遺跡へ通じる道。朽ちた遺跡がそこかしこにある。弱いモンスターが多く、低レベルユーザーにとって格好のレベル上げポイントになる
アル・ケルト・モレッツァ。炎を吐くイノシシや、動く甲冑の様なモンスターが待ち受けている。地下4階にはボスであるディロスラデムが待ち受けている(画面右)
羽の生えたガイコツや、蜘蛛のような下半身を持つ怪物、体中に顔をつけた怪物など醜悪な敵が多いテトラ遺跡。今回のフィールドでは一番対象レベルが高く、高レベルキャラクタでも少人数では奧へ行くことは困難だ


■ 3人のキャラクタを使いこなす独特の操作感。パーティープレイはレイド気分

 自分のキャラクタが3人いるというのはとてもユニークな感触だった。本作にはファイター、ウォーロック、マスケッティア、ウィザード、スカウトの5つの職業が存在し、筆者は主にファイター、ウォーロック、マスケッティアというキャラクタ構成で冒険した。本作のキャラクタは、他のMMORPGに比べて、全体的に攻撃力がかなり高く、モンスターを早く倒せる。基本的にプレーヤーが操る以外のキャラクタは自動で攻撃をするので、まるで移動砲台を後ろに引き連れているかのようで、MMORPGというよりもアクションゲームをプレイしているような感触があった。

ダンジョンの住みに陣取り、現れる敵を次々と撃破する。ウォーロックは防御力が低いので、攻撃されたときはすぐ肉を食べて回復させていた。落ちている肉を必死になって探す貴婦人というのがちょっと面白い
仲間と一室を占拠し、次々と現れる敵を速いスピードで撃破する。再出現が早いため、大人数でもかなりの経験値が稼げ、かつ安全である
 本作は敵の再出現がとても早い。2人のキャラクタは自動で攻撃をしてくれるので極端な話をすれば、、1つの場所にとどまったまま、キャラクタを放置しているだけでも経験値が稼げる。“レベル上げ”はかなり快適だったのは確かだが、これだけ手軽だと、そもそも本作においてレベルを上げるという行動が必要なのかな、とも思ってしまった。

 レベル上げにはさらに効率的な方法がある。数人のパーティーで、ダンジョンの一室を占拠してしまうのだ。1パーティーが3人だから、プレーヤーが6人も集まれば18人ものキャラクタが集まる。この数の「火力」は物凄く、対象レベル的に高めの敵でもどんどん倒すことができる。

 この狩りの方法は党の結束も強めてくれたと思う。マスケッティア、ウォーロック、ウィザードは通常攻撃が遠距離攻撃で、さらにファイターにも銃を持たせれば敵の攻撃範囲外から攻撃できる。高レベルキャラクタが盾になってくれれば、低レベルキャラクタも安心して経験値を稼ぐことができるのである。支援火力があるため、ちょっときついところでも仲間がいれば接近戦もずいぶん楽になる。レベル差が多少あっても、みんなで美味しい経験値稼ぎができるのだ。

 現状、本作には誰でも使える「回復薬」が存在しない。回復はスカウトのみが行なうことができ、スカウトをパーティーに入れていないグループは、敵が落とす「肉」や「スシ」を拾って回復をするのだ。スカウトがいなくてもゲームが進められるが、回復アイテムはストックすることができないので、自分の好きなタイミングで実行できる回復手段がスカウトのスキルのみというのは、疑問に感じたところだ。

 1プレーヤー3キャラクタというこのシステムは党でのイベントも容易にしてくれる。1人ではとうてい無理なダンジョンも、仲間といればぐいぐい前に進んでいくことができるのである。数人のプレーヤーが参加するだけで、20人近くの、「レイド」のような大人数になる。この火力があれば、きついダンジョンのモンスターとも充分渡り合えるのだ。筆者が所属させてもらった党ではダンジョン走破イベントを積極的に行ない、筆者もダンジョンのボスの姿を見ることができた。本作のシステムがなければ、5日間という限られた時間ではとうてい無理だったろう。

 筆者はこの5日間でレベル27まで上げることができたが、熱心なプレーヤーの中には今回のテストの上限である60レベルまで到達できたとのこと。ネット上でプレーヤーの生み出す“コツ”が明らかになれば、さらに効率的な育成が確立されそうだ。

 党のメンバーとも話し合ってみたのだが、このレベル上げのバランスは「トーナメント」を中心に置いているためだと考えられる。キャラクタは熱心にプレイをすればすぐに成長する。しかし、育てたキャラクタがそのまま対人戦でも強いキャラクタではない。「グラナド・エスパダ」のキャラクタはそれぞれの職業に実に多くのスタンスがあり、それによってまったく戦い方が変わってくる。

 強いキャラクタを短時間で育て上げ、対人戦に特化させていく、これは「ダーク エイジ オブ キャメロット」など欧米のPvPをテーマにしたMMORPGに見ることのできる思想だ。

 今回のテストはまさにトーナメントのシステムをテストするために行なわれた。オープンβテスト前に、あえてテスター達を党に振り分け、トーナメントに集中させるというテストは、そのまま本作のPvP要素の強さを表しているように感じた。今後のテストではどういった方向に「グラナド・エスパダ」が向かっていくのか、興味深いところだ。

アル・ケルト・モレッツァにパーティーで突撃。分岐する道が多く、迷いやすい。多くのモンスターが行く手を阻むが、集団ならば力押しで進むことができる。ただし、はぐれてしまうとかなり危険だ
偶然他の党と一緒に攻略することになったテトラ遺跡。協力してくれた党は高レベルキャラクタが多かったようで、かなり楽に奧まで進めた。うとう党のメンバーだけでは苦しかったかもしれない。奧には財宝を詰め込んだ部屋があり、さらに宝箱が人の形をしたようなモンスター、トレジャーゴーレムが待ち受けていた


■ 様々な戦い方を選択できるスキルとスタンス、NPCでのプレイも可能に

 ファイター、ウォーロック、マスケッティア、ウィザード、スカウトの5つの職業が存在する「グラナド・エスパダ」。各職業は“スタンス”によってさらに多くの個性を獲得していく。

膝立ちになったり、両手剣を大きく振りかぶったりと、武器だけでなく、その構え方でスタンスは変化していく。スキルだけではなく防御力や攻撃力も違う。状況によって使いこなすことができれば、特に対人戦では有利に戦えそうである
ファイターは19ものスタンスがある。剣だけではなくピストルも使いこなし、かつ両手でも武器を扱うことができる
左にいる子供はNPCを仲間にしたもの。育てれば大人以上の強さを持つ。通常とは違うキャラクタをそろえられるのはコレクション欲を刺激させられる
 本作におけるスタンスは、いわゆる戦闘スタイルのことを指している。ファイターは特に多く、なんと19ものスタンスがある。スタンスは武器によって系統分けされ、ショートソードと盾の組み合わせのもの、シミターのように斬る攻撃が中心のもの、レイピアのように突くもの、ピストルで戦うもの等の種類があり、さらに攻撃重視や防御重視と分化していく。2刀流や2丁拳銃に対応したスタンスもある。

 ウォーロックは火や氷、雷といった魔法の系統に分かれ、マスケッティアは膝立ちで射撃するスタンスなどもある。ウィザードは敵を不利にしたり、味方を有利にすることができる魔法を使い、スカウトは回復系と支援系のスタンスを持つ。スカウトが回復のエキスパートで、敵への攻撃をほとんどしないというのは面白い解釈である。

 各スタンスにはレベルが設定されており、そのスタンスで戦うことによってレベルが上がり、使用できるスキルが増えていく。スタンスそれぞれに固有のスキルが用意されており、このスキル取得を目的としてスタンスを育てていくことになる。

 今回のバージョンではファイター、マスケッティアのスタンスはとても多く、ウィザードとスカウトは少な目だった。これからの展開ではこの傾向は変わってくるのだろうか。レベル上げが容易なのも、このスタンスをより細かく掘り下げていき、理想的なキャラクタを作るためのように思える。現在まだ有効なスキルの組み合わせなどは解明されていないが、今後確立していくことで流行のスタンス、そしてその流行をうち消すスタンスなど、トレンドが生まれてきそうだ。

 「グラナド・エスパダ」では作成するキャラクタの他に、NPCを仲間にできるというユニークな特徴を持っている。仲間にできるNPCはウェポンマスターやガンスミスといった武器防具を売る商人から、街の少年や料理人まで実に様々である。彼らを仲間にするには条件があり、会話の結果や、お金を払うだけで仲間にすることもできれば、あるスタンスをマスターにしなくてはいけないといったものもある。

 条件を満たすことで彼らから「カード」を与えられ、自分のキャラクタとして作成できるのである。普段のキャラクタと違うNPCを連れて歩いているプレーヤーはとても目立つ。積極的に仲間に引き入れるため条件を調べるプレーヤーも多かった。

 5日間という短期間では、筆者はレベル上げとトーナメント戦が精一杯で、各スタンスの違いや有効なスキル、またそれを使ってのプレーヤー達の戦略、といった部分を掘り下げることができなかった。数多くのスキルやスタンスは、組み合わせやバランス調整などが難しそうではあるが、プレーヤー達の間でどんな戦術が生まれるか、とても楽しみである。

補助系の魔法が得意なウィザード。チーム全体の力を上げることができる 本作唯一の回復役スカウト。パーティーの移動速度を上げるスキルは、トーナメントでの勝敗の鍵を握っていた 強力な攻撃力を誇るウォーロック。反面防御力が低く、ダンジョンでは真っ先に死んでしまうことが多かった
本作ならではの職業といえるマスケッティア。スキルでは特殊弾を使うこともあるが、基本的な攻撃に使う弾は無限である。スキルを使うとマシンガンのように連射することもできる サーベルを構えるファイター。武器によってキャラクタイメージは大きく変わる こちらはレイピア。有効なスキルを模索するのも良いが、プレイスタイルにこだわったスタンスの選択も面白そうだ
NPCは条件を満たすことでカードをもらい、自分のキャラクタとして作成できるようになる。仲間にできる条件は会話での選択からスタンスのレベル、所持金など様々だ


■ スピードと戦略、プレーヤースキル、模索しながら戦術を洗練していったトーナメント

 今回のクローズドβテスト「Alliance」は、他ゲームのギルドにあたる“党”によるトーナメント戦をテストするために開催された。テスター達の多くは今回のテストのために結成された16の党のいずれかに参加し、22日、23日に行なわれたトーナメントに挑戦した。

トーナメントのマップ。コロニーを取るか、本拠地を攻撃するか、防御に集中するか。始まってしまえばほとんど指示もできない。事前の打ち合わせこそ勝利の秘訣である
トーナメント表。優勝はReExodus党、2位が悪党だった。筆者の所属したうとう党は残念ながら初戦敗退に終わった
本拠地を攻撃。高レベルキャラクタの攻撃には紙同然の耐久力しか持っていないため、始まって30秒足らずで決着がついてしまう試合も多かった
今回様々な形で筆者を助けてくれたうとう党の皆さん。誌面を借りてお礼を申し上げたい
 筆者は「まったり楽しむ社会人ギルド」という党首の言葉に惹かれて「うとう党」という党に参加させてもらった。21日からはギルドの仲間と狩りに行ったり、雑談をしたりと、とても楽しい時間を過ごさせてもらった。

 トーナメントは党対党のチーム戦で、両軍が左右に分かれたところからスタートする「コロシアム」で行なわれる。勝利条件は相手チームの本拠地を破壊するか、マップ上に5つあるコロニーを全て占拠するか、相手チームを全滅させるかで決まる。規定時間内に勝負がつかなかった場合はメンバーが多く残っているチームの勝ちだ。本戦前日である21日から積極的に練習試合が行なわれ、党内では有効な戦術を見つけるために、議論がかわされていた。

 まったり派を自認するうとう党も一回練習試合をしてからは、どうやって戦おう、他のチームと練習してみよう、という意見が活発に出て、勝ったり負けたりするたびに、次はどうしよう? と党内チャットで議論をした。戦術を模索し、試すのはとても楽しかった。

 拠点を攻めるか、コロニーを取っていくか、うとう党ではまずこのポイントが議論された。コロニー中央のポイントをさわるだけで奪取できる。敵が守っているコロニーでも強引に入っていって中央にタッチすることで自軍のものにすることができる。最初のころうとう党はこの方法で全てのコロニーを取り、何度か勝利を収めた。

 フィールドは広く、視界に他チームが見えない場合も多い。戦況の把握はなかなか困難である。コロニーを取るためにチームを分けるか、それとも本拠地を攻撃するために戦力を集中するか。チームによっては中央のコロニー死守に気を取られて、本拠地がおろそかになってしまい、あっさり本拠地を奪われてしまうという展開もあった。うとう党は何度か戦った経験から、まずコロニー奪取に向かい、そのまま本拠地に向かうという作戦をとることになった。

 トーナメント本戦は3回戦方式で行なわれた。Empezandob Viaje党と戦ったうとう党は初戦コロニー奪取から敵本拠地に向かい、これを破壊して勝利を得た。Empezandob Viaje党は中央に厚めに防御を置くという戦術をとっていたため、後方の防御が手薄になっていたのだった。しかし、2戦目、3戦目は中央よりも左右から進軍するというこちらの戦術を見破られ、結果としてうとう党は破れてしまった。

 最終戦ではこちらのメンバーの内3名がサーバートラブルで落とされてしまい、数の上でも完全に不利になってしまったのが悔いが残る。あくまで今回はテストであり、敵チームの状況は明かではないが、メンバーにとって運の部分でも残念な結果となってしまった。

 トーナメントは初戦で敗退してしまったうとう党だが、その後も積極的に練習試合を展開し、合間ではダンジョン攻略もしたりして、党の結束を楽しむことができた。

 その後のトーナメントは、筆者はメディア用の特別なシステムで観戦させてもらった。特にユニークな戦術を採っていたのが「悪党」というチームであった。悪党は攻撃用には1~2チームという最低限のチームしか振り分けない。この攻撃チームはスカウトのスキル「アクセラレーション」によりチームの移動速度を上げ、そのスピードに乗って敵の防御陣を突破、ウォーロックやウィザードの大ダメージを与えるスキルによって一気に敵の本拠地を破壊するという戦術をとっていた。

 大部分は本拠地を防衛し、少数のメンバーが手近なコロニーを奪取する。コロニーを自軍のものにすると攻撃力が増すなどの恩恵がある。こうして攻撃チームを援護するのである。この戦術は、高レベルキャラクタの魔法の威力と、本拠地の耐久力の低さに気がついたチームによる考案された戦術である。トーナメントの後半はほとんどのチームがこの方法で勝利を決めていた。電撃作戦とも言うべき戦術で、開始30秒で勝利をもぎ取ってしまう。筆者は観戦していて、プレーヤー達のシステムを把握し、有効な戦術を生み出すその手法に感心させられた。

 少数のエースがスピードを活かして一気に勝利をもぎ取る。悪党は観戦しているチームの中でもこの戦術を特に洗練して実行している印象を受けた。決勝まで勝ち進んだこのチームに、立ちはだかったのがReExodus党である。このチームの戦い方も悪党と同じスピード戦術だが、攻撃側にも多くのメンバーをさいていて、スマートさから言えば悪党の方が上に見えた。

 初戦は悪党の電撃作戦が決まり、ReExodus党はあっと言う間に本拠地を落とされてしまった。しかしそこからReExodus党の反撃がはじまった。攻撃してくる悪党のエースを範囲魔法で迎撃する作戦に出たのである。範囲魔法は強力だが発動までにタイムラグがあり当てるのは困難である。しかし、ReExodus党のプレーヤーは移動範囲が限られる階段の上で、絶妙のタイミングで発動させ、悪党のエースを撃退したのである。

 防御陣の戦術にも差が出た。ReExodus党は本拠地から少し離れた場所で防衛線を設定し迎撃していたのだが、悪党は本拠地近くで迎え撃っていた。このためReExodus党は攻撃チームを倒されながらも確実に本拠地にダメージを与え続け破壊を成功させていた。その結果、勝利をもぎ取り、優勝を果たしたのである。非常に見応えのある高レベルプレーヤー達の戦いだった。

 今回の戦いではPvPでは必ずある敵の足を止める魔法やスキルがなかったか、効果を発揮していないように見えた。まだまだゲームシステム的にも煮詰める必要性も感じたが、その時々に最適の戦術を編み出すプレーヤー熱意は見ていてとても感心させられた。

うとう党員として、北側のコロニー奪取を主な任務とした筆者。側面から攻撃したりと、ルートを工夫したかいがあってか、少しはチームに貢献できたと思う。トーナメントでは結果として負けてしまったが、仲間と議論をして役割を決め、動くのはとても楽しかった
特別な取材システムで観戦させていただいた決勝戦。メンバー達の機能的な動きと練られた作戦は、非常に見応えがあった。次回は是非多くのプレーヤーが観戦できるシステムを実装して欲しい
テストの最後にはボスキャラクタの襲撃イベントが

 今回、プレイをしていて、「グラナド・エスパダ」はまだまだ未完成のゲームであると感じる点も多かった。トーナメントではユーザー達が自分のスタイルを模索していく過程は面白かったが、これはユーザー達の努力であって、システムのおかげではない。

 限られたプレーヤーのみをさらにトーナメントシステムというメーカーのシステムテストのためだけに協力してもらう今回のテストも、少し疑問が残る姿勢だと思う。意欲的なシステムを持った作品であるが、現状ではメーカーが善意のユーザーを振り回している感が強い。

 キム・ハッキュ氏と、「グラナド・エスパダ」に期待している人は多い。筆者は今回実際のタイトルに触れてみて、ゲーム性、システムに強い魅力を感じた。それと同時に開発に時間がかかり、バランス調整にさらに大量の時間を必要とするゲームであることもわかった。しかし、現状のようにテスターのプレミア性を強調した姿勢はメーカーが「出し惜しみ」をしているようにも思えてしまうし、様々なMMORPGが日々生まれている昨今、有料化までに長い時間が残されているとは思えない。

 テストと、それにより生まれる奥深いシステムには期待したいが、まずその前に、多くのプレーヤー達の忌憚ない意見を聞く姿勢をメーカーに期待したい。多くのプレーヤーが入ったときのこの世界を見てみたい。「グラナド・エスパダ」の一刻も早い“開放”を望みたい。

(C)2003-2005 IMC Games Co.,Ltd./Published by Hanbit Ubiquitous Entertainment Co.,Ltd. All Design and specifications are subject to change without notice.


【グラナド・エスパダ】
  • CPU:Pentium III 1Hz以上(Pentium 4 2GHz以上)
  • メモリ:256MB以上(512MB以上推奨)
  • ビデオカード:GeForceMX4000(RAM 64MB)(GeForce4 4200、Radeon9000以上推奨)


□ハンビットユビキタスエンターテインメントのホームページ
http://www.hanbit.jp/
□「グラナド・エスパダ」のページ
http://www.granadoespada.jp/
□関連情報
【9月29日】HUE、MMORPG「グラナド・エスパダ」
第2次クローズドβテスターの募集を9月30日より開始
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20050929/granado.htm
【8月29日】HUE、ユーザーイベント「グラナド・エスパダ X-meeting」を開催
第2次βテストは10月スタート、500人規模を予定
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20050829/granado.htm
【7月7日】HUE、「グラナド・エスパダ」
“X-Tester”募集受付を7月8日より開始
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20050707/xtester.htm
【6月10日】HUE、「グラナド・エスパダ」の記者発表会を開催
小林 智美氏と久保田 修氏が制作に参加!
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20050610/granado.htm
【2月16日】HUE、秋葉原に本社事務所を開設
「Granado Espada」の最新ショットを公開
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20050216/hue.htm
【2004年11月22日】「Granado Espada」クリエイター キム・ハッキュ氏インタビュー
「ラグナロクオンライン」で実現できなかった要素とは!?
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20041122/imcgames.htm
【2004年11月19日】日立製作所、オンラインゲーム事業に本格参入
韓国Hanbitと合弁会社を設立、来年度にMMO2タイトルを投入
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20041119/hue.htm

(2005年10月2x日)

[Reported by 勝田哲也]



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