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日立製作所、オンラインゲーム事業に本格参入
韓国Hanbitと合弁会社を設立、来年度にMMO2タイトルを投入

11月19日正式発表

会場:日立製作所本社ビル

 株式会社日立製作所は、11月19日、本社ビルにて韓国HanbitSoftと共同で記者会見を開き、12月に合弁会社 株式会社ハンビットユビキタスエンターテインメントを設立し、2005年度にHanbitSoftの新作MMORPG2タイトルを国内展開すると正式発表した。各タイトルのクローズドβテスト開始時期は、「Granado Espada」が2005年第2四半期、「Neo Steam」が2005年第3四半期としている。

会見場にはゲーム関係者よりむしろ、アナリストや新聞記者の姿が目立ったのが印象的だった
挨拶を行なう日立製作所情報・通信グループCSO山口光雄氏。自社のファシリティ関連製品の高信頼性に対して自信のほどを覗かせた
新会社ハンビットユビキタスエンターテインメントのディレクターに就任するIMC GamesCEOのキム・ハッキュ氏
グラフィックスエンジンはオリジナル。キャラクタだけでなく、オブジェクトの描き込みも非常に細かい
 株式会社ハンビットユビキタスエンターテインメント(HUE)は、韓国大手パブリッシャーHanbitSoftのオンラインタイトルを日本展開していく目的で設立されたオンラインコンテンツプロバイダー。出資金は3億5,000万円で、出資比率はHanbitSoftが71.43%、日立製作所が28.57%。代表取締役社長もHanbitSoftのキム・ヨンマン氏が兼任し、実質的には日本市場未参入の最後の韓国大手であるHanbitSoftの本格参入ということになる。

 日立側は、日立グループの実績、ノウハウ共に豊富なサーバー、ストレージ、ネットワーク関連の資産を背景に、高度な技術レベルが要求されるオンラインゲーム市場に参入することで、新たなファシリティ関連製品市場の創出と、新しい市場での実績の積み上げを行なっていく考えだ。

 今回の合弁会社設立は、日立側からの働きかけによるものとしているが、この背景には、2001年に日立製作所とメディアワークスが興したゲームポータルサイト「Level Up」(すでに運営終了)運営時に蓄積されたHanbitSoftとの親密なパートナーシップが下地になっている。

 HanbitSoftは、米Blizzard Entertainmentの正規代理店として「Starcraft」、「Warcraft」を韓国市場で展開し、現在につながるプロゲーム文化の火付け役となったことはよく知られる。一方、「Level Up」も、ストリーム映像の格好の素材として韓国のプロスポーツ文化を紹介するコンテンツを頻繁に提供していた。その際に培われた両社の深い関係が、今日の合弁会社を生んだことは想像に難くない。

 HUEは、基本的に韓国HanbitSoftが手綱を握り、実際の運営は日本人スタッフによって行なわれる。中でも出色の人事が、韓国IMC GamesのCEOキム・ハッキュ氏をディレクターに据えているところだろう。キム・ハッキュ氏は、韓国ゲームベンチャーの先駆けとして名高い韓国GRAVITYの設立者であり、「ラグナロクオンライン」のクリエイターとして知られる。

 彼は、個人レベルでは韓国内でもっとも知名度の高いクリエイターと言えるが、彼自身はその地位に甘んじることなくさらに名をあげるために、GRAVITYを退社し、新会社IMC Gamesを設立。彼が現在開発しているMMORPG「Granado Espada(グラナドエスパダ)」が、今回HUEが日本展開するタイトルのうちのひとつというわけである。

 さて、「Granado Espada」は、17、18世紀の新大陸開拓の時代を描いたMMORPG。プレーヤーは、ヨーロッパの海洋国家のいずれかに所属する開拓民となり、新大陸の開拓に乗り出していく。敵は先住民族だけでなく、競争国家すべてが対象となる。必然的にPvPを強く意識したゲームデザインになっている。

 キャラクタシステムのユニークさが最大の特徴で、1人のユーザーが3人のキャラクタからなるチームを操作する。キャラクタにはライフ(生命)の概念があり、ライフが0になると、一定期間復活が不可能になるという。そしてもっともユニークなのが、自分が育てたキャラクタをトレードできるというシステム。十分に成長し、全身をレアアイテムで固め、ライフを豊富に持ったキャラクタは、それだけ価値のあるキャラクタということになる。

 従来ならば、キャラクタのトレードは、アカウントのトレードと同質のため、簡単にはできなかったが、同作の場合はゲームシステムのひとつとして取り入れられている。こうした言わば「逆転の発想」は、同作の隅々にまで取り入れられており、「ラグナロクオンライン」で散々痛い目に遭ったキム・ハッキュ氏ならではのアイデアが満載だ。

 一例を挙げると、BOT、チートに対する対策。同作では、選挙を経てユーザーから選ばれた指導者に対して、本来GM(システム管理者)が備えていた他プレーヤーの処罰の権限を預けてしまう。つまり、ユーザーが起こした問題は、ユーザー間で解決させるという考え方だ。これはシステム管理の一部をユーザーに委ねるという点で、リスキーなシステムであることは間違いないが、革命的な考え方ではある。

 彼独特の次世代MMORPG観や、「Granado Espada」の具体的な内容については、インタビューにて詳しく聞くことができた。インタビューの内容については別稿にて紹介するつもりだ。

【Granado Espada】
1ユーザーが3人のキャラクタを操作するため、キャラ成長の楽しさもひとしお。ソロでもパーティープレイの醍醐味が味わえるところもユニーク。このあたりはオフラインRPGの発想だ。

 HUEが日本展開を予定しているもうひとつのタイトル「Neo Steam」は、「ポトリス2」を開発したStudio MARSが現在開発しているMMORPG。蒸気で機械を稼働させる、いわゆる「スチームパンク」の世界観を採用しており、それぞれ技術、自然、神秘を信奉する対立関係にある3つの国家を用意し、大規模PvPをサポートする。

 「ポトリス2」の開発元だけあって、ワールドデザインは、キャラクタも含めメルヘンチックになっており、それでいて厳つい蒸気機関のロボットや地下鉄が併存するなど、メルヘンとスチームパンクを融合させることにより独特の世界観を演出している。

 システム的には、プライベートダンジョンやペットシステム、生産/採集システム、攻城戦など、現在のMMORPGのトレンドを目一杯詰め込んだという感じで、「Granado Espada」のような独創性はいまひとつ感じられなかった。もっともβテスト開始は2005年第3四半期でまだ時間にゆとりがあるため、今後の作り込みに期待したい。

【Neo Steam】
個性的なキャラクタはPom、Human、Elf、Luifeの4種族。国家別に微妙にデザインが異なる。小猿を2足歩行させたような3頭身キャラがPomだ

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□日立製作所のホームページ
http://www.hitachi.co.jp/
□HanbitSoftのホームページ
http://www.hanbitsoft.co.kr/
□IMC Gamesのホームページ
http://www.imc.co.kr/
□「Granado Espada」の公式ページ
http://granadoespada.com/jp/
□「Neo Steam」の公式ページ
http://www.neosteam.co.kr/

(2004年11月19日)

[Reported by 中村聖司]


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