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Electronic Entertainment Expo 2003現地レポート

任天堂の宮本茂氏とKCEJの小島秀夫氏が合同会見

会期:5月14日~16日(現地時間)

会場:Los Angeles Convention Center

 会期初日の5月14日(現地時間)、Nintendo of Americaは同社ブースで任天堂の宮本茂氏、KCEJの小島秀夫氏、そしてシリコンナイツ社のデニス・ディアック氏による合同会見を行なった。本稿ではその模様を紹介する。

 会見は「METAL GEAR SOLID THE TWIN SNAKES」と「BOKTAI」(国内タイトル「ボクらの太陽」)のビデオ上映から始まった。METAL GEAR SOLIDシリーズをゲームキューブ(以下、GC)向けに発売するにあたって、Konami Computer Entertainment Japan(以下、KCEJ)の小島秀夫監督は、「METAL GEAR SOLIDは5年前に発売したソフトなんですが、ストーリーや世界観についての評判が良かった。いっぽう一昨年のMETAL GEAR SOLID 2は、多彩なアクションが可能なところや敵のAIとかがよくできていて、自由度が高くシステム面で高い評価を受けていました。そこでGC版を制作するにあたって、どうしょうかと考えた時に、最高のシナリオと最高のゲームシステムをひとつにしようと思いました」と、開発の経緯を説明した。「単なるリメイクではなく、最適なシステムで最適な物語を楽しめるのが『THE TWIN SNAKES』なんです」とのこと。

合同会見はブース内の一角で行なわれた。ビデオ映像などは、ブースの演出に使われている頭上のスクリーンに投影されるため、出席者がみんな見上げている。

ゲームキューブのプラットホームにMETAL GEAR SOLIDを提供するにあたって「最高のシナリオと最高のゲームシステムをひとつにしようと思いました」と小島秀夫監督。

シリコンナイツの技術力の高さはもちろん、ゲームづくりのスピリットともいえる部分に共感したというKCEJの小島秀夫監督と、シリコンナイツのデニス・ディアック氏。

 制作を(任天堂のセカンドパーティである)シリコンナイツとともに行なうことになった経緯として小島氏は、これまでGC向けソフト開発の経験がないことをあげて「宮本さんに相談させていただいたところ、カナダに最高のクリエイター集団がいる。と、シリコンナイツを紹介してもらったんです」と説明した。シリコンナイツは「Eternal Darkness:Sanity's Requiem」などGC向けタイトルの開発で実績がある。「すぐに、デニス・ディアックさんをはじめとする開発の中心メンバーが来日されて、中華料理を食べながら語り合いました(笑)。技術力の高さについてはすでに承知していて不満はなく、さらにゲームづくりのスピリットともいえる部分に触れることができて共感、そして即断しました」という。

 小島氏は「僕らの時代のゲーム制作は、ルールづくりが基本と考えていた」と説明。面白いと思ったことをいかにして、ルールのなかに押し込めていくかが重要だという。いっぽうで最近は現実をどこまでリアルに作り込んでいけるかということも重視されている。ひと昔前に日本人が作ったかゆいところに手が届くようなゲームを実際に体験して育った海外の人がいまクリエイター側になって、もともとの技術力の高さとあわせて、よりよいゲームが制作できるようになっていると続けた。

 また、宮本氏から持ちかけられた「GCとGBAをつなぐ“コネクティビティ”で何かできないか?」という提案に対しては、「すでに企画を作っています。僕的には非常に面白いものになりそうだと思っていて、あとはデニスさんに作っていただくだけです」と、THE TWIN SNAKEにもコネクティビティの要素が存在することも明らかにしている。

 制作については、シリコンナイツにKCEJ側からスタッフを派遣して作業を行なうとともに、ストーリーパートの演出に「あずみ」や「VERSUS」などで注目を集めている映画監督の北村龍平氏を起用するなど、大規模なコラボレーションがはかられることになる。「METAL GEAR SOID The Twin Snakes」は、北米および欧州市場で2003年末に、日本では2004年の早い時期に出荷される予定だ。
「Metal Gear Solid The Twin Snakes」


 いっぽう「BOKTAI」(国内タイトル「ボクらの太陽」)に関しては、ゲームカートリッジに太陽光のセンサーが付いているという新しい遊び方へのチャレンジについて説明。「会社は東京の恵比寿にあります。そこで(太陽光の受光を)毎日朝から晩まで試していました。もうすぐ発売になる日本版では、北海道から沖縄、そして鳥取砂丘など各地でチェックを行っています。もともと機密性の高い開発作業のつもりだったんですが、毎日スタッフが同じことを繰り返していたので、近所のひとにはバレているんじゃないかと思います(笑)」とコメントした。

KONAMIブースで展示されていた「BOKTAI」のプロトタイプカートリッジ。基板の上に太陽光センサーが見える

 BOKTAIは室内でプレイすることもできるが、ボスキャラを倒したりするためのエネルギーには太陽の光が必要。最初に日付けや時間、住んでいる地域などを入力するのは、太陽の出ている時間を確認するためだ。カートリッジ内では時計機能で実時間と同じ時間が流れており、実時間で陽が沈むとゲーム内でも夜が訪れる。蛍光灯などでは太陽光センサーが機能しないことから、天気予報をチェックしたり、日差しの強い場所や時間帯をさがすなど、新しいプレイスタイルも生まれてくる。日本における「ボクらの太陽」の発売は、7月17日を予定している。

「ボクらの太陽」

□METAL GEAR SOLID THE TWIN SNAKE公式サイト
http://www.konamijpn.com/products/mgs_tts/japanese/index.html
□関連記事
【5月12日】
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20030512/konami.htm

■ 「Stage Debut」を宮本氏が改めてプッシュ

 任天堂の宮本茂氏は「今年は、まず売れるものから見せよう」という発言で、今回E3に出展したコネクティビティに関連する各タイトルの発売が、いずれも近いことをうかがわせた。宮本氏といえばやはり“マリオ”シリーズということで、海外プレスから「マリオの登場するタイトルはないのか?」という質問も飛んだが、今年はコネクティビティに集中して「パックマン」のほうがふさわしいと思ったと説明。そのうえで「東京に開発チームも作りましたし、来年はマリオのゲームも見せられますから安心して下さい」と追加した。

 今回の合同会見でもっともクローズアップされたのは、E3前日のブリーフィングではほとんど取り上げられなかった「Stage Debut」。宮本氏いわく「こんなバカなものを、3年以上もかけて作ってきた」ということだが、元々は64DDのプラットホームで契約者に提供された「タレントスタジオ」がベース。「(何か)モノを作るということは、誰でも楽しいことなんだけど面倒。だから簡単にモノづくりが楽しめるように……ということで「マリオペイント」を継ぐものとして作り続けている」と説明した。

 宮本氏が自ら行なってみせたデモでは、カメラ付きのカートリッジで撮影した小島氏を、ブース内でもデモしている手順でStage Debutに登場させたほか、すでに販売されている「どうぶつの森」のカードをカードeリーダーで読み取らせることで画面上にそのキャラクタを登場させてみせた。さらに(E3への)出発直前に仕込んできたというカードを何枚か取り出すと、次々とリーダーでスキャン。任天堂の岩田社長やここでは特に名を秘す人物も画面に登場させて、会場の笑いを誘った。

 この宮本氏が使ってみせたオリジナルカードは、すでに市販されているポケモンカードやどうぶつの森カードなどと同様に、特殊なプログラムのコードがサイドに印刷されているものと思われるが、ユーザーレベルで新たにこうしたカードを印刷・作成できるシステムが提供されるのかどうかについては、特に触れられなかった。

 この「Stage Debut」のゲーム性について質問を受けた宮本氏は「例えば、『どうぶつの森』にはゲームが入っていません。世の中にはゲームは遊びたいけど、難しいのは嫌。ゲームの電源は毎日入れたいけど、そんなに長い時間は遊べない、という人がたくさんいます。そういう人に向けたものです……と5年前に言ったらバカにされたんですが、2年前には売れるようになりました。ゲーム性というのはどんどん変わっているものだと思います」と説明。「それにひとりで遊んだらつまらないゲームでも、ネットワークで遊んだら楽しいということもある。新しいチャレンジを昔の型にはめるのではなく。それが受け入れられる時期を、僕らはただ待っているだけなんです」と続けた。

 また、Stage Debutでは、キャラクタの顔写真を入力するためのデバイスとして使われているカメラ付きのカートリッジ「GAME EYE」に関しても「もっと面白いことに使いたい」と可能性を示唆してみせたほか、「Pokemon Colosseum」では、ルビー&サファイア版で登場しなかったポケモンも使えるのかというやや場違いな質問にも、「僕の答えることではないかも知れませんが、安心していてください」と回答していた。


モノを作るということは、誰でも楽しいことなんだけど面倒。だから簡単にモノづくりが楽しめるように……ということで「マリオペイント」を継ぐものとして「Stage Debut」を作り続けている、と宮本氏

どうぶつの森カードや、E3出発前に日本で仕込んできたというオリジナルのカードを次々とスキャン。ゲームキャラクタや、自らを含む関係者を次々に画面に登場させた

「Stage Debut」の画面に登場した小島秀夫監督。後ろには任天堂の岩田聡社長の姿も見える


□任天堂のホームページ
http://www.nintendo.co.jp/
□関連情報
【5月13日】世界最大規模のゲームショウ「E3」明日より開幕
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20030514/e3_00.htm
【5月14日】任天堂、新作タイトル「マリオカート」などをお披露目
岩田社長「次世代機は開発中で、市場で後塵を拝することはない!」
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20030514/ninten1.htm
【5月14日】任天堂発表会現地レポート
新作スクリーンショットを大挙お届け
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20030514/ninten2.htm
【5月17日】Nintendo of Americaブースレポート
~ 多彩なボディカラーのGBA SPがお目見え ~
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20030517/ninten3.htm 

(2003年5月18日)

[Reported by 矢作晃]


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