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任天堂、新作タイトル「マリオカート」などをお披露目
岩田社長「次世代機は開発中で、市場で後塵を拝することはない!」

発表日:5月13日 発表(現地時間)

会場:米ロサンゼルス Renaissance Hollywood Hotel

 任天堂株式会社とNintendo of Americaは、14日から米ロサンゼルスで開催されるゲーム関連の見本市「E3」の前日となる13日(現地時間)に市内のホテルにおいて新作ゲームなどの発表会「Nintendo Media Briefing」を行なった。毎年のことだが、会場の扉が開くだけで拍手が巻き起こるほどの任天堂ファンで会場は埋め尽くされた。

 まず最初に登場したのはNintendo of Americaの上級副社長George Harrison氏。現在のゲームコンソール市場の各種数字をスライドで指し示しながら、ニンテンドーゲームキューブの位置づけを説明。今年に入って好調であることを強調した。また、「ゼルダの伝説 風のタクト」が販売好調であると語った。

 スピーチの中で今回のE3で自社開発ソフトとしてはビッグタイトルのひとつに上げられる「Mario Kart:Double Dash!!」が紹介された。これまでは自分で運転し、甲羅などのアイテムを使って敵をじゃましてきた。今回も基本的には変わらないが、それぞれ別々に2人で操作できるようだ。詳しい解説はなかったため不明だが、明日からは会場で実際にプレイアブルバージョンを遊ぶことができるので、詳しくお伝えできることだろう。すでにお伝えしているように、ロジクールのニンテンドーゲームキューブ用ステアリングコントローラ「Speed Force」も同時に細かくレポートしたい。グラフィックも相変わらずのかわいらしさで、期待の一作だ。

 このほか、最近の任天堂の合い言葉でもある「Connectivity」に対応したゲームが20タイトル制作中であるほか、日本でも近日投入予定の「eReader」もまた「Connectivity」をテーマに遊びを広げると説明された。

 ここで、任天堂株式会社の社長を務める岩田聡氏が登場。George Harrison氏の勢いのあるスピーチから一転、厳しい話が岩田氏の口から飛び出した。岩田氏は「社長に就任しもうすぐ1年になるが、その間、どう変わるべきか、変わらないべきかの意見を色々と聞いてきた。実際、ゲームキューブは、我々の思ったほど売れてはいない。評判の悪い部分もある。『メトロイド プライム』や『マリオサンシャイン』の販売数も満足させてはくれなかった。これまでコネクティビティを前面に押し出してこなかったことにも原因はある。それに、任天堂だけでなくゲーム業界全体が危機に直面している。高いグラフィックなどを追求しすぎたあまり、すでに今後のシステムの改善点が少なくなってしまった」と現状を分析。さらに「仕事の忙しい人にとって複雑なゲームは必要なのか? 『GTA』のような暴力描写も考えるべきだろう」と問題点を挙げていった。

 これに対する任天堂の答えのひとつが「クリエイティブチームの拡大と東京開発チームの新設」であるという。これまで開発チームが京都を出たことはなく、そういった意味でもエポックメイキングだという。また、近年進めているサードパーティとのつながりの強化なども挙げられるという。

 このあと具体的なソフトの紹介が行なわれ、カプコンの「Resident Evil 4 (biohazard 4)」やLucas Artsの「STAR WARS REBEL STRIKE ROGUE SQUADRON III」、「Duke Nukem 3D」などを制作したFPS系のアクションアドベンチャー「Geist」、そしておなじみの「Fainal Fantasy Crystal Chronicles」などを立て続けに紹介していった。

挨拶を行なったNintendo of Americaの上級副社長のGeorge Harrison氏。ニンテンドーゲームキューブがどの機種よりも好調である点を強調 登壇した岩田聡氏は一転して任天堂の置かれた状況を厳しい目で分析し、その対応策について語った


今年も登場したConnectivity。そして米国では近々投入されるGAMEBOY PLAYER、すでに投入済みのeカードリーダーなどの話題にも触れられた



■ ゲームキューブとGBAのコネクトは、こういった見せ方になる
「The Legend of Zelda:Four Swords」、そして「PAC-MAN」

 ここで宮本茂氏が登場。「Connectivity」を中心としたゲームを紹介した。宮本氏は次々とゲストを招き入れ、新作を説明したが、最も注目だったのは、ゲームキューブ用「The Legend of Zelda:Four Swords」と任天堂の作る「PAC-MAN」だろう。

 「The Legend of Zelda:Four Swords」はゼルダの新作にして、比較的手軽に楽しめる作品のようだ。コントローラを接続するわけではなく、GBAをコントローラとしてゲームキューブに繋げて遊ぶシステムとなっている。ゲームのグラフィックはGBAで発売されたバージョンに似ている。同じフィールドで遊んでいるときはテレビ画面が表示される。キャラクタの動きによって若干ズームアップや引きの画面となるが基本的に従来のゼルダと同じシステムとなっている。

 最も違うのは、たとえばフィールド上にある家の中に一人のキャラクタが入ったとする。するとそのキャラクタは当然テレビの画面から姿を消すことになる。すると、操作をしていたプレーヤーの手元のGBAに家の中が表示されるのだ。家の中に別のプレーヤーが入ってくれば、手元のGBAに友人のキャラが登場する。プレイし終わって家から出ればまたテレビ画面にキャラクタが表示されるといった具合だ。これはダンジョンなども同様の表示となっていた。

 いっぽう「PAC-MAN」は、宮本氏の他、George Harrison氏、ウィル・ライト氏などでゲームをプレイして見せた。宮本氏は「僕はとにかく『PAC-MAN』が大好きで、迷路系のゲームだったら『PAC-MAN』しかないと思っていた。で作ってしまったのだが、まだナムコさんに承認を得ていない。なので、確認してみたいと思います」ということで「PAC-MAN」を作ったナムコの岩谷徹氏が登場。一緒にプレイを楽しんだ。

 こちらの「PAC-MAN」では、ひとりがGBAをゲームキューブに接続。その人がパックマンとなって、他の人が操るモンスターと追いかけっこすることになる。最終的に勝った人がGBAを持ち、今度はPAC-MANとなり再度ゲームをスタートさせる……といった流れのようだ。今回デモが行なわれただけで、ゲーム化されるかは不明だが、みんなでわいわいやるゲームとしては十分楽しめるのではないだろうか。

発表会場でデモが披露された「The Legend of Zelda:Four Swords」。テレビ画面と手元のGBAの画面の切り替え方が面白い。テレビ画面に表示されている家にはいると手元のGBAには家の中が表示され、一緒にプレイしているみんながチョロチョロ動いている

「The Legend of Zelda:Four Swords」のデモに続いて行なわれたのが任天堂の「PAC-MAN」のデモ。登場したのが宮本茂氏、シムシリーズで有名なウィル・ライト氏、George Harrison氏、そして本家「PAC-MAN」を作り上げた岩谷徹氏。これらの超豪華なメンツでゲーム大会が繰り広げられた。ごく短い時間だったが、そこで勝利したのはGeorge Harrison氏だった

4人でプレイするゲームで、一人がパックマン(GBAを持つ)、あとの三人がモンスターとなる追いかけっこのような展開となる。勝った人にGBAを手渡しその人をパックマンとしてゲームをスタート。モンスターの視界は狭く、周りが見えない。一方パックマン側はGBAの画面でゲームを進める



■ 「MGS The Twine Snake」、「Resident Evil 4」など話題作も紹介される

 このほか発表会でお披露目された中では、やはりコナミの。「Metal Gear Solid The Twin Snake」がはずせないだろう。監督の小島氏が登壇。宮本氏が「コラボレーションの話ができるようになって本当にうれしい」と切り出すと、小島氏は「こうやってゲームを作っているのは20年前に『マリオ』に出会ったからで、これがなければいまの僕はいない」と熱い想いを語った。

 コラボレーションとあるように、実は「エターナルダークネス」を制作したシリコンナイツも制作に協力しており、担当者は壇上で「宮本氏はアリストテレス、小島氏はソクラテス。大変刺激的だ」とコメントした。

 そして、「Simcity」などで知られるウィル・ライト氏も新作を紹介。スーパーファミコン版「Simcity」を制作するときに宮本氏と一緒に仕事をした仲だと言われるが、今回ウィル・ライト氏は「任天堂のConnectivityを聞いたとき、これは『The Sims』でいけると思ったんだ。現在制作中でニンテンドーゲームキューブ版とGBA版の2つをそれぞれ作っている。GBA版はゲームデザインを1から再設計している。それぞれ独立して楽しめるけど、繋げることで、人の住む近所を変えたり、ミニゲームを楽しんだりすることができるこのほかにもオークションシステムなども導入される予定だ」と解説した。

 このほかにも、大きな鈎を持ったなぞの男に追いかけられる恐怖を描いた短い新作ムービーが公開された「biohazerd 4」こと「Resident Evil 4」やチラッとムービーの流されたメトロイドなど多数の新作が公開されている。

ニンテンドーゲームキューブとGBAでそれぞれ発売され、コネクティビティでゲームが連動するウィル・ライトの「The Sims」 コナミの小島氏も登壇。「Metal Gear Solid The Twin Snake」のムービーを紹介 カプコンの三上氏は「biohazerd 4」こと「Resident Evil 4」のムービーを紹介。本人はゲームの制作が忙しくて欠席
映画「スター・ウォーズ」のエピソード4から6までのクラシックシリーズを描いたLucas Artsの「STAR WARS REBEL STRIKE ROGUE SQUADRON III」 チラッとムービーが流された「メトロイド」の新作。内容はまったく不明だが、今回はFPS風ではないようだ…… タイトルが「F-Zero GX」に決まり、米国発売が8月25日を予定している。その一場面だが、'85年にファミコンで発売されたロボットが登場し、会場は大ウケに


 最後の最後に岩田氏は、「任天堂はこれまでにないチャレンジを行なっている」と挨拶し、続けて「次世代機をすでに開発中だ。その市場で他のメーカーの後塵を拝することはない」と力強く言い切った。

 このほかの注目の発言としては、直前に行なわれたソニー・コンピュータエンタテインメントの発表会で公開された携帯機「PSP」についての感想もコメントしている。PSPについては、「ついさっき聞いた。色々と機能を詰め込んだソニーさんらしいデバイスと感じた。だが、現在の市場では任天堂しかない。我々は今すぐあわてふためいて何か行動を起こすことはないが、いい作品を送り出し続けることに代わりはない」と岩田氏は言い切った。
 これはノキアの「N-Gage」にも向けられており、「携帯電話の融合に関してチャレンジしているメーカーがあるが、それは驚異に感じてはいない。価格や電池の問題などクリアしなければならない技術革新がまだまだあるからだ」と一蹴している。

 最後に公開質問状として「売れないのはなぜか?」と問われた岩田氏は「昔のゲームマーケットは1本スゴイソフトをリリースすればよかったが、現在は力のあるソフトを束になってリリースしなければならないといったように、市場が変わってきた。我々は反省し、その答えが今回のラインナップなのだ」と締めくくった。その答えであるソフトを明日からじっくりとレポートしていきたいと思う。

□任天堂のホームページ
http://www.nintendo.co.jp/
□関連情報
【5月13日】世界最大規模のゲームショウ「E3」明日より開幕
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20030514/e3_00.htm

(2003年5月14日)

[Reported by 船津稔/Photo by 矢作晃、平澤寿康]


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