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「Combat Flight Simulator 3」特別インタビュー
「当時の米軍パイロットと同じ驚きを味わってほしい」


 WPC EXPO 2002にあわせて来日したMicrosoftのゲーム制作者へのインタビュー第2弾は、18日に掲載したBruce Shelley氏に続き、「Combat Flight Simulator 3」のデベロップメントマネージャーを務めるMicrosoft Game StudiosのScott Andersen氏にお話を伺った。元パイロットで、現在は飛行教官を務めつつ、同シリーズの初期から企画立案制作に携わってきたという珍しい経歴の持ち主だ。いまやMicrosoftの数少ない自社開発タイトルである「Combat Flight Simulator」シリーズの裏の裏まで知り尽くし、航空業界にも顔が利く事情通ということで、個人的にも非常に楽しいインタビューとなった。やや余談が多い気もするが、久々の大作レシプロ&ジェットシミュレータということで、お祭り気分で読み進めていただければと思う。


実際にそのシーンを見せながら説明してくれたScott Andersen氏
GAME Watch(以下GW) スコットさんにお会いするのはこれで2度目になると思うのですが、本日はついに完成した同作のさまざまな魅力についてお伺いしようと考えています。

Scott Andersen(以下SA) 魅力はいろいろありすぎてどこから初めていいのかわからないな(笑)。それではまず航空機から。航空機は外部ビューで見ればわかるように、飛行中に車輪やフラップなど、各パーツが稼働するようになっている。

GW キャノピー(風防)を開くとどういうメリットがあるんですか?

SA いや、単に「キャノピーの開け閉めを実現してほしい」というファンの期待に応えただけだ。効果は特にないよ。パラシュート脱出する際は、自動的にキャノピーを開いて空中に飛び出すようになっている。余談だが、パラシュート脱出する際に、パラシュートを開くのを忘れるとそのまま墜落死してしまうからね(笑)。

GW なるほど。

SA そして空の雲の表現にも注目してほしい。見ればわかるように「Flight Simulator 2002」とはまったく別次元のクオリティになっている。また、戦術的にも雲の存在は多数の敵に襲われた際の隠れ蓑として利用することも可能になっている。また地上にも注目だ。従来のコンバットシミュレータは地上から3,000から5,000メートルの位置から見るともっとも美しいように最適化されていて、それ以上高度を下げると醜くなってしまう。しかし「CFS3」は3~5メートルまで近づくことができる仕様になっている。高度を下げれば下げるほど地表の表現が細かくなり、家や木、山、川といったオブジェクトがひとつひとつ見えてくる。地形データもGPSを使って当時の景観をそのまま再現したよ。

GW ゲームには航空機以外にも水上艦や戦闘車両など多数のオブジェクトが登場するようですが、総数にしてどれぐらいになるのでしょう?

SA 実は私もよく把握できていないんだ(笑)。大事なのは総数ではなくて、当時の情景をリアルに再現することで、たとえば、水上艦だったら、D-Day(ノルマンディ上陸作戦)の情景をそのまま再現できるように、戦艦や巡洋艦といった大型艦ばかりではなく、揚陸艇や駆逐艦といった小艦艇まで各国別に盛り込んでいる。

GW 戦艦も出るんですね。

SA ドイツ軍には戦艦が登場する。ほかにも列車砲なども登場するよ。


■ ダイナミックキャンペーンの魅力

GW それでは「CFS3」のメインモードである「ダイナミックキャンペーン」について教えてください。

SA 今回我々が新しく開発したダイナミックキャンペーンは、プレーヤーが実際に第二次世界大戦に参戦している気分が味わえることを目指している。まずパイロットを作成する。パイロットには視力、耐G性、最大体力といった能力を持っているんだ。

GW この能力はどのようにして設定されるのですか、また能力を伸ばすことは可能なんですか?

SA 良い質問だ。最初の段階ではみなルーキーだから能力は低い。戦闘で戦功を重ねることでポイントを獲得できる。そのポイントを使って適正にあった能力を延ばしていくことができる。

GW 適正というのは?

SA たとえば戦闘機乗りなら敵機を早期に発見する視力と、急激な旋回に耐えるための耐G性、爆撃機なら被弾して負傷する可能性が高いから最大体力がもっとも重要になる。

GW 戦功を上げてポイントをたくさん稼げば、それだけパイロットの能力も上げられるということですね。

SA そういうことだ。さて、キャンペーンは'43年の3月1日からスタートし、最初に着任する基地を選んでいく。若いパイロットは体力はあるものの、経験に乏しく。年老いたパイロットは経験は豊富だが、体力が低い。さしずめ私なら年老いたパイロットということになる(笑)。

 話を戻すと、「CFS3」の最大の特徴が「ダイナミックキャンペーン」だ。これはゲームを始めるたびに違った展開になる。従来のコンバットシミュレータは各陣営に1本道のシナリオが用意してあって、それをクリアしてしまうとゲームの終わりが見えてしまう。

 しかし、「CFS3」は、キャンペーンを新しくプレイするたびに、同じ戦場を舞台としながらも毎回違う経験を味わうことができる。ゲームは、マップ上に設定されている前線を敵方に押し上げることで進んでいく。基地を選ぶと、次にどの前線を攻めるかを設定する。前線にはそれぞれリソースとリザーブというパラメータが設定されており、この値が有利な地点から狙っていくのがセオリーだ。

 もちろん、戦争はプレーヤーの1機だけで行なわれるわけではなく、一緒に飛んでくれる僚機や、その他の基地で活躍する航空機もたくさんいて、これらはAIで操作され、プレーヤーのミッションと同時進行で戦いに参加する。

GW いまリソースとリザーブの話が出ましたけど、敵の基地を破壊すれば下がるというのはわかるんですが、これを上げる方法というのはあるんですか?

SA 良い質問だ。戦功を上げると、通常のポイント以外に、プレステージポイントが獲得できる。これにより、リソースとリザーブの値を上げたり、また新型機の配備を促進させることができる。たとえばジェット戦闘機とかね。

GW そうすると、戦いの仕方によっては史実よりずっと早くジェット戦闘機に搭乗することもできるということですか?

SA ジェット戦闘機については別に“What If”というシナリオを用意していて、これをクリアすると早く乗ることができるだろう。


■ “What If”というシナリオで体験できること

ドイツ軍のジェット戦闘機メッサーシュミット Me262
未出撃に終わった米軍初のジェット戦闘機P-80 シューティングスター
そしてサプライズエアクラフト認定の万能ジェット機ゴータ Go229
GW “What If”とはどういった内容なんですか?

SA “What If”は、キャンペーンで自軍を有利な状況にすると出現するシナリオで、米軍ならP-80A シューティングスター、ドイツ軍ならメッサーシュミット Me262。両機はだいたい同等の性能を持つと考えられているジェット戦闘機だが、これらに搭乗してミッションにチャレンジすることができる。

GW なるほど、やはりジェット戦闘機は特別扱いというわけですか。

SA 戦況が有利にならないと登場しないという意味では特別扱いの航空機ということになるだろう。史実では、大戦後期にドイツ軍が有利になった時期があって、そのときにMe 262が登場した。ゲームではそれを撃ち負かすジェット戦闘機としてP-80 シューティングスターを登場させている。キャンペーンはプレイするたびに内容が変わってくるので、いつ頃乗れるということはやってみなければわからない。

GW ドイツの全翼型ジェット爆撃機ゴータ Go229もやはり“What If”で登場するんですか?

SA “What If”に登場するはずだ。ただ、ゴータ Go229はさらにジェット戦闘機の上の“サプライズエアクラフト”という扱いになっている。クイックコンバットではすぐ出会えるが、キャンペーンではバードウォッチングで珍しい鳥に出会うような希な存在になっている。

GW キャンペーンで搭乗して操縦することもできるのでしょうか?

SA プレステージポイントをたくさん獲得して、ドイツの戦況を圧倒的有利にすれば登場するかもしれない。当時、P-51Dマスタングのパイロットは、史上初のジェット戦闘機Me 262を見て「あれは何だ」と誰しもが驚いた。我々はその驚きをゴータ Go229を登場させることによってプレーヤーの皆さんにも味わってもらいたいんだ。


■ 「CFS3」ではソ連とイタリアが登場しないのは?

GW さて、ダイナミックキャンペーンの魅力についてはだいたいわかりました。そのほかにいくつか質問があるんですが、1点目は「CFS3」ではソ連とイタリアがまったくゲームに登場しませんね。これは何か理由があるのでしょうか。たとえば、拡張キットのためにあえて残してあるとか……。

SA 我々は「CFS3」のアーキテクチャは後からいくらでも拡張できるようにしている。現時点で私の口からは何もいえないが、サードパーティーによるアドオンの発売は歓迎していく方針だよ。

GW 私の質問に対する答えとしては、ソ連、イタリアはサードパーティーのために残しているという理解でいいですか?

SA (笑)。サードパーティーのために残したというよりも、やはり製品化する以上、どこかで線引きをしなければならなかったということなんだ。やろうと思えば、全世界を盛り込んだ巨大マップを舞台にゲームを楽しむこともできるんだよ。

GW なるほど、それではたとえばサードパーティが「CFS3」のアドオンの制作を開始したとします。ゲームに使われているキャンペーンマップには西ヨーロッパ全域が写されていますが、これを東部戦線マップにしてドイツ対ソ連のアドオンを開発することも可能なんですか?

SA そのとおり、可能だ。ゲームに登場する各種オブジェクトは3D STUDIO MAXやG MAXを利用して制作されているので、極端な話、個人レベルでもアドオンの制作が可能だ。

GW 航空機に関してお聞きしたいのですが、たとえばメッサーシュミット Me262のA-1a/U4型に搭載されている50mm機関砲の射撃音やアニメーションなどは、非常にリアルな印象を受けました。私も実際に見たことないのであれですけど、こうした映像の残っていない部分の開発はどのようにして行なったのですか?

SA 50mm機関砲は私のお気に入りのパーツのひとつだ(笑)。えーと、その答えは、Me 262に搭乗したことがある人にインタビューを行ない、またMe 262に遭遇した経験を持つP-51Dマスタングのパイロットにもインタビューを行ない、その証言をもとに開発を進めていったんだ。

 Me 262についてもう少し話をすると、私の勤務先の少し先にボーイングの工場があって、現在、そこを定年退職した技術者や機械工が、Me 262を再現しようというプロジェクトを進めている。その人たちといろいろ情報交換も行なった。

GW なるほど。実は私も「CFS3」の記事を書く前に、実機を見ておきたいと思って、先月、ワシントンDCのAir & Space Museumに行ってきました。そしたら、見て驚いたんですが、Me 262とP-80 シューティングスターが同じ部屋に並んで陳列されてるんですね。CFS3における両機対決の構図というのはここあたりから生まれたんですか?

SA それは素晴らしい。両者のコンビネーションという発想は、Museumで並んで陳列されているからといよりも、“What If”の内容を検討している段階で自然に生まれたんだ。実際は両機が対決することはなかったわけだけれども、それをゲーム内で再現したらおもしろいんじゃないかとね。

GW アメリカでは両機の対決はミリタリーファンにとって永遠のテーマだったりするんでしょうか?

SA しばしば話されるね。ミラーのビールの宣伝のように(笑)。もっとも、戦闘機の戦いは、戦闘機の性能ではなく、あくまでパイロットの能力にあったと考えている。ぜひ「CFS3」をプレイしたらそのあたりを実際に確かめてみてほしい。

GW どうもありがとうございました。

(C) 2002 Microsoft Corporation. All rights reserved.

□マイクロソフトのホームページ
http://www.microsoft.com/japan/games/
□「Combat Flight Simulator 3」のホームページ
http://www.microsoft.com/japan/games/cfs3/default.asp
□関連情報
【2002年10月16日】マイクロソフト、年末発売のPC向け3タイトルを堂々発表
「Age of Mythology」、「Combat Flight Simulator 3」、「RalliSport Challenge」
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20021016/wpcms.htm
【2002年10月17日】マイクロソフト、松本零士サイン会を開催
松本氏「Combat Flight Simulator 3」に大いにハマる
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20021017/wpccfs.htm
【2002年5月23日】Microsoft、「Combat Flight Simulator 3」プレビュー
P-80 シューティングスターが出撃し、Me 262 シュワルベが迎え撃つ
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20020523/e3cfs3.htm
【2002年2月28日】米英戦略爆撃部隊 vs 独防空部隊の死闘を描いた大作CFS 「Microsoft Combat Flight Simulator 3」
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20020228/igfcfs3.htm

(2002年10月19日)

[Reported by 中村聖司]


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