Electronic Entertainment Expo 2002現地レポート

カプコン入魂の話題作「STEEL BATTALION(鉄騎)」
E3でプレイアブルデモを展示

会期:5月22日~24日(現地時間)

会場:Los Angeles Convention Center

■ 鉄騎はアメリカでも注目の的

 昨年のE3で「業界に一石を投じる一作になるだろう」という、プロデューサーの三上真司氏の言葉とともに発表された「BRAIN-BOX」。1年の歳月を経て「STEEL BATTALION(以下、鉄騎)」という名前でE3にプレイアブルデモが出品された。

 40を超えるスイッチ、2本のアナログスティック、フットペダルなど、これまでの家庭用ゲーム機の常識を覆す専用コントローラで操作する、ロボット操縦ゲーム。その 「鉄騎」が(アメリカではあるが)ついに一般ユーザーの前に姿を現した。

 E3のMicrosoftブースとCAPCOM USAブースに設置された「鉄騎」の試遊機は、専用コントローラとフットペダルが取り付けられ、あたかも大型アーケードゲーム筐体かのような形状をしていた。それだけでも、他の試遊機とは全く異なる一種独特の雰囲気をかもし出す。その雰囲気に引きつけられるように、大勢のギャラリーが取り囲み、そこだけ周囲とやや異なる熱気に包まれていた。

会場に設置されていた「鉄騎」のデモマシン。まるで大型アーケードゲーム筐体のようだ MicrosoftブースとCAPCOM USAブースに設置された「鉄騎」のデモマシンには、常に黒山の人だかりができていた

■ 専用コントローラはまさにヘビー級

 「鉄騎」の詳しいゲーム内容については過去の記事を参照してもらうとして、ここでは実際にプレイした上での操作感などを中心にレポートをお届けする。

 まず、「鉄騎」の最も重要なポイントである専用コントローラをチェックしていこう。「鉄騎」の専用コントローラは、2本のアナログスティックと40個近いスイッチが用意されたメインコントローラと、3つのペダルが用意されたフットペダル部の2ピース構成となっている。そして、メインコントローラは大きく3つのブロックに分かれている。

 メインコントローラの左ブロックは、プレーヤーが乗り込む「バーティカルタンク(VT)」の移動をコントロールするブロックだ。左のシフトレバーでVTの移動速度(前進5段階、後退1段階、ニュートラル)を決定、アナログスティックでVTの下半身部分のコントロール(方向転換)を行なう。アナログスティックに用意されているハットスイッチは、VTの外部モニター(つまり視点)のコントロールを行なう。アナログスティックの前にあるトグルスイッチは、「鉄騎」の様々な動作回路のスイッチで、VT起動時に操作するものだ。

 メインコントローラの右ブロックはVTの攻撃系の動作をコントロールするブロックだ。アナログスティックで照準を操作し、メインウエポンとサブウエポンのトリガーボタンが用意される。スティック上部のトリガー横には、照準のロックボタンがある。これを押すと、その時点で照準が合っている敵にロックし、それ以降常に照準が合った状態になる。

 また、アナログスティック手前には、外部モニターのズームアップ・ズームダウンや、レーダーウィンドウのON/OFFボタンなどが用意されている。右端の下3個のボタンは、VT起動時に利用するボタン(始動スイッチなど)だ。そして、右上のカバーがかかっているボタンは緊急脱出ボタンだ。VTが敵に撃破されそうになった場合には、このボタンでVTから脱出できる。

 メインコントローラの中央ブロックは、上部が味方VT(コンピュータが操作する)との交信をコントロールする部分、下部が武器の変更やマガジンチェンジ、外部モニターの汚れをクリアするボタン、チャフの発射スイッチなど、攻撃の補助的な操作を行なう部分となる。

 最後にフットペダル部だ。フットペダルは、アクセル(右)とブレーキ(中央)に加え、サイドステップ用のペダル(左)が用意されている。アクセルを踏み込むと、選択されているシフトの位置に従って異なるスピードで移動する。サイドステップとは、VTの上体を横に若干倒すような動作のことで、敵の攻撃を避ける時などに利用する。

「鉄騎」の専用メインコントローラ。VTの操縦はこのコントローラで行なう フットペダル部。右からアクセル、ブレーキ、サイドステップの各ペダルだ メインコントローラはこのように持って操作するのが基本となる
メインコントローラは、左ブロックが移動系、右ブロックが攻撃系操作、中央ブロックが攻撃補助系と大別して配置されている

■ 慣れるまでに時間はかかるが、操作できるようになると楽しさが見えてくる

 次に、「鉄騎」の操作性や仕様面などをチェックしていこう。

 「鉄騎」は、ミッションクリアタイプのゲームだ。登場する敵VTを殲滅するなど、各面決められたミッションをクリアしていけばよい。そして、ミッションをクリアすると、その内容によってお金が手に入る。お金は、VTの武器を強化したり、より強力なVTを購入するための資金となる。また、ミッションをクリアすれば、プレーヤーの階級も上がっていく。

 VTが破壊され、ミッションを続行できなければ作戦失敗となる。とはいっても、その面は、代わりとなるVTをプレーヤー持っている限り何度でもチャレンジできる。ただし、VTが破壊された時にプレーヤーが巻き込まれて死んでしまうと、そのプレーヤーのセーブデータは消去され、二度と使えなくなってしまう(そのプレーヤー名の墓標が作られる)。

 そのため、VTが敵の攻撃によって破壊されそうになった場合は、爆発する前に緊急脱出ボタンで脱出する必要がある。VTが破壊されても、プレーヤーが死ななければ、プレーヤーのデータは消えずに残る。つまり、攻撃ばかりに集中するのではなく、危なくなったらVTを捨てて逃げることも重要な戦略となってくる。専用コントローラ右上の緊急脱出ボタンは、こういった用途に利用するわけだ。

 軍備はお金をかければいくらでも調達できるが、腕のいい兵士はお金では調達できない。時によっては兵器よりも人命を優先する。「鉄騎」は、まさに現実の軍隊ほぼそのままの世界観を再現していると言っても過言ではないだろう。

 先ほど紹介したような大がかりな専用コントローラを利用してプレイする「鉄騎」だが、やはりVTの操縦になれるにはかなりの時間を要するだろう。操作感のベースはオートマチックの車に近いものの、とにかく操作すべきボタン類が多く、初めてのプレイでは、どこをどう操作すればいいのかわからずパニックになり、とにかくあたりをバタバタと走り回り、闇雲に武器を打ち続ける、といった状況に陥ってしまう。

 実際に筆者も初プレイではインストラクターに操作方法を少しずつ解説してもらわないと、全くと言っていいほど操作できず、ストレスが溜まる一方だった。しかし、数回プレイしたところ、最初の面では登場する敵VTが少ないこともあり、そこそこ自由に動けるようになる。そうなると「鉄騎」の楽しさが、コントローラを通して少しずつ伝わってくる。VTを自由自在に操作できるようになれば、どれだけ楽しいか。それを考えただけでワクワクしてくるようになるのだ。

 もちろん、先の面に行けば、より高度な操作が要求されるようになる。例えば、敵VTがこちらの攻撃を避けるようになり、ロックオン機能を使わず、常に手動照準で攻撃する必要が出てくる。また、むやみに突進すると敵に囲まれて、あっという間に倒されてしまうような面もあるとのことで、そういった場合には外部モニターをズームアップし、離れたところから攻撃するといった戦法も必要になってくるそうだ。

 実際にプレイした感覚は、強引に言ってしまうとMechWarriorのそれに近いかもしれない。アーマードコアや電脳戦機バーチャロンのような爽快感はない。しかし、クリア時の達成感は「鉄騎」の方がはるかに大きい。VTを自由自在に操作し、ミッションをクリアした時の達成感は、他のゲームではまず味わえないと言ってもいいだろう。

 現在開発中の「鉄騎」は、1人プレイモードのみだそうだが、社内ではネットワークプレイに対応すればかなりアツイのでは、という意見も多いそうだ。となると、将来ネットワークプレイに対応した「鉄騎」の続編の登場も、かなり可能性が高いのではないだろうか。

 ロボットゲーム好きならば、プレイ必須のソフトと言ってもいい、それほどまでに鉄騎はアツく燃えるゲームだ。


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□E3のホームページ
http://www.e3expo.com/
□カプコンのホームページ
http://www.capcom.co.jp/
□「鉄騎 (仮)」のページ
http://www.tekki.jp/
□関連情報
【5月22日】本格派の専用コントローラを使ってロボットの操縦を完全シミュレート
カプコン、Xboxへ意欲作を投入「鉄騎 (仮)」
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20020222/tekki.htm

(2002年5月23日)

[Reported by 平澤 寿康]

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ウォッチ編集部内GAME Watch担当 game-watch@impress.co.jp

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