★ PCゲームレビュー ★
「ファンタシースターオンライン(PSO)」の魅力について語るとすれば、ドリームキャスト版の同作品のレビュー、特別レビュー(永野 護氏によるやり込みレビュー)もしくは特別レビュー(永野 護氏によるファーストインプレッション)にて、ストレートにこのゲームに対する魅力が語られているので、未読の方、「PSO」に初めて触れるという方はぜひご一読いただきたい。 今回登場したPC版は、DC版「ファンタシースターオンラインVer.2」をほぼそのままの形で移植した作品であることから、根本的魅力はほぼ同じものを持っている。そこで、今回は「PC版をプレイしようかな」と思っている方々に向けて、あえてPC版とDC版の違いなどに注目したインプレッション的内容であることをご容赦いただきたい。
■ HDDへのインストールでシームレスなプレイが可能 PC版になってまず感じるのは、各所でのロード時間が大幅に短縮され、スムーズなプレイが可能になっていること。必要スペックは少々高めだが、ビデオカードに関する情報は非常に細かく示されており(製品情報のスペックに関する項を参照)親切だと感じた。フルインストールを選択すれば、CD-ROMの読み込みなしでゲームプレイが可能で、オンラインプレイ時のサーバーへの接続以外はほとんどロードを感じさせることはない。
B.G.M.のループ時や、初めて攻撃をヒットさせたときなどのS.E.のロードに多少がたつくことはあっても、マシンスペックによっては皆無になるはず。筆者はWindows 98SE、Pentium III 800Mhz、Intel 815Eのマザーボード、NVIDIA GeForce2 MX200(ドライバはDETONATOR XPの最新版)のビデオカード、メモリは256MBというPCゲーム環境としてはやや古いスペックの組み合わせで標準設定のままプレイしたが、ストレスを感じることはなく、逆にリフレッシュレートが高すぎて酔いそうになったぐらいである(2イント=1/30フレームでプレイ)。
PC版のグラフィックは、画面モードは640×480ドットで固定だが、DCのVGAアダプタとPCモニタでプレイしている人と同等、スペックによってはそれ以上のクオリティが実現されている。Pentium 4を使用している人であれば、エフェクトをさらに美しくすることも可能だ。文字もすっきり見やすい。キャラクタのクオリティも設定しだいだがはっきり見えて好感が持てるし、背景も非常に美しい。 それから、PrintScreenキーを押すことによってどこでもスクリーンショットが撮影できる(しかもシャッター音がするので撮られていることがわかる)のはとても楽しい。DC版では限られた条件だけであったが、PC版は気軽に撮影できる(撮影した画像の使用は個人の範囲内で、ということはお約束だが)。
また、接続環境を整えた、特に常時接続しているユーザーであれば、サーバー使用料以外は余計な出費をしなくてもこのゲームを十分遊びこめる、というのは大きい。DCで同じ快適な環境を構築するには、ブロードバンドアダプタ(BbA)+キーボードが必要だったことを考えると、安価に「PSO」を楽しむ選択肢の有力候補としてPC版の存在価値は十分ある。 ひとつ注意点がある。冒頭で「Ver.2」をほぼ移植したとあるが、違いはある。キャラクタデータはローカルに置かれることは変わらないが、トータルで100体のキャラクタデータをセーブできる。
■ 良くなっているところもあり、ちょっと苦しいところもあるPC版の操作系 PC版の操作は、キーボード+マウス、もしくはゲームパッドが対応している。プレイするなら、オプションのマウス操作を「HOLD」にすることをオススメする。マウスによる移動は左ボタン押しっぱなしでの操作がデフォルトになっているが、これは非常にしんどい。「HOLD」をオンにしておけば、一度クリックするだけでマウスポインタを移動させて指示した方向(キャラクタを中心とした360度となる)にキャラが移動する。 デフォルトの設定はもっとクイックなレスポンスが欲しい人向けだが、「PSO」は、ゲームの仕様上、すぐにキャラクタが走ることはあまりなく、しばらく歩いてから走りはじめるし、敵に接近すればスローになるようになっているので、長時間のプレイを考えると「HOLD」設定が妥当だと筆者は考える。方向転換はポインタを移動させるだけでいいし、停止したければその場で左ボタンを押せばいい。もし標準状態でプレイするなら、まずマウスのボタンを押してから、ポインタを移動させる、というコツを飲み込んでおくといいだろう。順序が逆では、ポインタは移動しない(静止状態から移動選択はすべてマウスポインタがキャラクタの中央に戻される)ので注意。 左手で攻撃、右手で移動というこの操作系だが、DC版に慣れた人、そしてFPSなどのPCゲームに慣れた人、それぞれにとってちょっと変わった操作である。家庭用を移植する際に検討されたことだろうと思われるが、設定の変更幅についてももうちょっと自由度をあげてもよかったのではないだろうか(デフォルトではキーボードの左部分をメインに左手で使用する)。なにしろ、デフォルト以外を設定しようとすると、キー本来の入力が生きているため文字が表示されてしまう。テンキーを移動に使う場合はNumLockを外せばいいので問題ないが。 また、メニューの呼び出しがESCボタンというのも、PCの一般のキーボードでは手の移動量が大きすぎるし、メニューの操作時はカーソルキーをカーソルの移動に使うというのも、同じキーを「選択」と「決定(これは攻撃を意味する)」という違う用途に使用することにはとまどいを感じた。左手と右手の役割が変わってしまうのは、慣れれば問題ないが、やっぱりわずらわしさを感じる。チャットにテンキーを使う人はキャラクタが動いてしまうというのもちょっと困った。思い切って、PC用にマウスを基準とした操作系にしたほうが良かったかもしれない。 サーバーとの同期などの問題か、このゲームをウィンドウモードで立ち上げることはできないし、起動中にウィンドウ切り替えを行なうとゲーム自体が止まってしまうことがある。PCゲームユーザーとしては少々窮屈な仕様だが、そこは割り切ってプレイする必要がある。データセーブのこともあるので、ウィンドウ切り替えを行なわないのはもちろん、他のソフトを立ち上げていてもいいことはない。
操作関連に関しては、12月18日の「本日到着! DEMO & PATCH」でも取り上げたようにプレイアブルDemo版がアップされているので、気になる方は一度体験することをオススメする。
それにしてもやはり、オンラインゲームの入門編として、「PSO」はよくできていると感心させられる。コンシューマゲームに慣れ親しんできた層からすれば、このゲームは目的もはっきりしているし、コミニュケーションツールとしても一揃いの機能を持ち合わせているうえ、友達を検索できるギルドカードなどは他のオンラインRPGにはない使いやすさもあり、PC版では機能強化されている。チャット関連の機能にしても、文字のコミュニケーションだけに留まらず、シンボルチャットもある。 PC版は、不具合を修正できるパッチプログラム、そしてオンライン、オフラインで楽しめるダウンロードクエスト、さらに追加の独自アイテムなども将来を考えると楽しみなところ。また、HTMLで書かれたオンラインマニュアルも非常によくできている。攻略本いらず、とまではいかないが、「PSO」に関する基本的なことはこのマニュアルを読破すれば十分の内容なので、初心者にも十分配慮されている。
ダウンロードクエストはDC版の補完からスタートするかもしれないが、オリジナルアイテムにはやはり期待せざるを得ない。プレイ人口の推移に合わせておそらくはいろんなアフターフォローが行なわれることと推測できるが、セガ、ソニックチームにはぜひ、この部分に注力していただきたい、というのが個人的希望だ。できれば、DC版との連動も行なっていただければ最高なのだが……アイテム移動もしたいし(苦笑)。
(C) SONICTEAM / SEGA, 2000, 2001
□セガのホームページ http://sega.jp/ □ソニックチームのホームページ http://www.sonicteam.com/ □『PSO』For WindowsオフィシャルサポートHP http://www.sonicteam.com/pso/pc/ □製品情報 http://sega.jp/pc/pso/ □関連情報 【12月17日】本日到着! DEMO & PATCH http://game.watch.impress.co.jp/docs/20011217/demo1217.htm 【11月23日】PC版「ファンタシースターオンライン」βテストレポート http://game.watch.impress.co.jp/docs/20011123/psob2.htm 【11月20日】セガ、「ファンタシースターオンライン」を12月20日に発売 11月23日より公開βテストをNecca秋葉原で開催 http://game.watch.impress.co.jp/docs/20011120/pso.htm (2001年12月21日)
[Reported by 佐伯憲司] I |
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