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会場:マイクロソフト代田橋オフィス
「Halo Wars」は、タイトルの通り、大ヒットFPS「Halo」シリーズの系譜に連なる作品だ。開発元は、RTSの代表的人気シリーズである「Age of Empire」シリーズを生み出したEnsemble Studiosで、本作はコンシューマ待望の本格的なRTSとして発売が期待されてきた。 ゲームジャンルとしてのRTSは、PCゲームの分野でメインストリームの一角を担う存在ではあるが、その複雑なゲーム性のため、コンシューマ機ではあまり成功例がない。一番の難問は、沢山のユニットを生産し、複数の部隊に指示を与えながら戦いを進行していくというマルチタスク作業をどのように実現するかだ。PCではマウスとキーボードが使えるが、コンシューマ機ではそのすべての操作をゲームコントローラで可能にする必要がある。 今回の体験会では、「Halo」シリーズのファンや、「Age of Empire」シリーズのファンを含むXbox 360コミュニティプレーヤー数十名と、プレス関係者が招待され、発売直前の「Halo Wars」体験版を先行体験した。本格的なRTSのゲーム性をうまくXbox 360に落とし込んだという、本作の興味深い内容を確認することができた。
■ 「Halo」事件の20年前。人類とコヴナントの衝突を戦略視点で描くRTS
本作では、地球軍とコヴナントの戦いを描く方法として、純粋なRTSのゲーム性を採用している。その基本はこうだ。見下ろし型の画面で、プレーヤーは基地を作り、様々な建造物を作成し、それをもとに部隊を育成し、敵地に送り込んで戦う。リアルタイムに変化する状況に合わせ、内政や戦闘の様々な戦略を展開し、敵の基地を壊滅させるといった目的達成を目指す。 このように本作では、プレーヤーは基地や部隊といった様々なゲーム要素の管理を一手に任されている。したがって、ゲームフィールドの状況を把握しつつ、短い時間に多くの操作を行なうことが要求されるので、一番の心配は「コントローラできちんと操作できるのか?」ということになるだろう。 「Age of Empire」を生み出したEnsamble Studiosが手がけた本作は、まさにその点に多くの努力が振り向けられ、誰でも快適にプレイできるという操作性が実現したとされる。だが、やはり実際に試してみるまでは信じられない。今回の体験会で、確かめるべき内容はまさにそこだ。 というわけで、早速本作のプレイ感触をお伝えしたい。今回の体験会でプレイできたのは、本作のチュートリアルミッションと、キャンペーンモードの序盤に相当する2つのミッション、そして対戦形式で展開する「スカーミッシュ」ミッションだ。
・基本操作をチュートリアルミッションで確認。素早く意図した通りのプレイができる
部隊の選択はAボタンで行なう。操作対象は画面中央の照準点を合わせることで選ぶというスタイルだ。Aボタンを長押しすると円形の選択範囲が広がり、複数の部隊を同時に選択できる。Aボタンを2回連続でタップすると、対象の部隊と同種の部隊を同時選択する。また、LBで「画面内の全てのユニットを選択」、RBで「フィールド上の全部隊を選択」が可能であるなど、部隊の選択だけでも幅広い操作が用意されている。 部隊を選択した状態で、地表や、敵の部隊や施設に照準を合わせてXボタンを押すと、移動もしくは攻撃の指示となる。最も大ざっぱなプレイ方法では、LBで画面内の全部隊を選択し、Xボタンで敵部隊への攻撃を司令すればいい。敵が近づけば各ユニットは個々の判断で攻撃を実行するので、部隊の質と量で勝っていれば、それ以上の操作をすることなく敵部隊を殲滅することができる。 細かい操作を行なえばより良く戦うこともできる。ひとつは、各部隊が持つ独自の「特殊攻撃」だ。部隊を選択した状態でYボタンを押すとこれが発動し、地球軍の歩兵部隊なら手榴弾を投擲、ワートホグならば敵兵に体当たりして跳ねとばすといった強力な攻撃を繰り出す。特殊攻撃は一定時間に1回しか発動できないが、戦闘の要所でうまく組み合わせれば効果絶大だ。 本作はほぼこれだけの操作でひととおりのプレイが可能だ。特筆すべきは、事前に想像していたよりもずっと直感的に操作できることだ。10分間ほどのチュートリアルミッションを一度プレイしただけで、戸惑うことなく本作をプレイできるようになった。 チュートリアルを終えてキャンペーンモードのミッションに入ると、今度は基地の管理や部隊の生産といった要素が加わるが、こちらも快適な操作方法にまとめられている。まず、基地の場所はあらかじめきめられており、各種の施設を建設するときは、基地周辺に並べられたスロットに対して建設指示を出すだけだ。場所を自由に選べないかわりに、建物が常に整理された位置にあるというメリットがあり、プレイ中に混乱を来たすことがない。 施設を建設したり部隊を生産するには、「資材」とよばれるリソースが必要だ。これはマップ上で少々回収できるほか、基地に建設する「物資パッド」で継続的に獲得できる。ある程度の「資材」が集まれば、基地をアップグレードして大型化し、技術レベルを上げる「リアクター」や、各種の兵器を作れる工場などの施設を建設して、部隊を拡充していけるようになる。
基地を充実させてから良質の部隊を拡充するか、それともいきなり「兵舎」を作り、初期の歩兵部隊を大量につくって速攻をしかけるか、いずれもプレーヤーの考え次第。「物資」を集めるスピードを高めれば有利になるが、「物資パッド」ばかりを作っていれば防御が手薄になり、大勢が整う前にやられてしまうかもしれない。ここに本作の戦略性が凝縮されているのだ。
■ メインはやはり3対3の対戦が楽しめる「スカーミッシュ」モード
次は高難易度の「ヒロイック」で同様の戦術を試してみたところ、予想よりもずっと早くCPU側が戦車の群れを送り込んできたので、防衛が間に合わず、敢えなく敗北してしまった。そこで、基地機能が充実する前に有る程度の戦力を整え、しっかりと防備してから攻撃に出る作戦に変更。すると、危ないシーンもあったが、最終的には戦力で勝ることができ、2回目のプレイで勝利することができた。 今回プレイしたバージョンは、2月5日に配信が予定されている体験版とほぼ同じものであり、製品版とは異なる可能性もあるが、全体的な難易度はやや低めか、という印象を受けた。CPU側の陣営は、部隊が揃っていても全軍まとめて攻めてくることが少なく、ある程度散発的な攻撃をしかけてくるので、プレーヤーが劣勢を覆しやすいのである。
となれば、本作で一番手応えのある遊びは、やはりオンライン対戦ということになるかもしれない。今回の体験会の最後にプレイを披露した「Age of Empires」の熟練プレーヤー“まつじゅん”さんは、本作でプレーヤーがどこまで強くなれるのか?という疑問の、良い例だ。 ・「Age of Empires」の熟練プレーヤーがトップレベルのプレイを披露
まつじゅんさんは、まずいくつかの「物資パッド」を作り、早速「兵舎」を作成。兵舎では歩兵を生産できるが、これをつかっていきなり全力で歩兵を作り、「ラッシュ」をしかける。ところがこの作戦は失敗。敵が「タートル」戦術を採っていたため、充分な打撃を与えるに至らない。 そこで次に「ブーム」戦術へ移行。物資供給を優先し、技術レベルを高め、ユニットの質量を高めて攻め入るという作戦だ。最初につくったラッシュ用の歩兵を加え、ある程度まとまった数が防備用に揃っていたため、相手の散発的な攻撃は簡単にしのぐ。やがてまとまった軍備が整うと、素早く前線に送り込み、敵の本陣を激しく攻め立ててスピーディな勝利を収めた。 そこで驚いたのが、まつじゅんさんのプレイするスピードだ。RTSでは基地での生産と前線での戦闘が同時進行するが、普通のプレーヤーはどちらか一方に集中しがち。だが、まつじゅんさんは画面を前線、基地、前線、基地と素早く切り替えながら、超高速にあらゆる操作を実行。基地での生産、前線での戦闘が万全の指示のもと、完全に同時進行で進められていたのである。
その秘密は、十字パッドによるカメラショートカット機能を駆使するということだ。本作では、十字パッドの各方向に、「基地にカメラを移動」、「部隊にカメラを移動」といった機能が備わっている。これをうまく使うことで超高速な操作が可能になるのだ。その有様はマウスとキーボードを駆使するPC用RTSにひけをとらないほどで、本作においてプレーヤーが目指せる次元の高さを垣間見ることができた。
2月5日には、この体験会でプレイできたものと同等の体験版が、Xbox LIVE上で配信開始される予定だ。製品は2月26日に発売予定。価格は通常版が7,140円で、グラフィックノベルや追加コンテンツが付属するリミテッド・エディションは7,770円で販売される。
「Halo」シリーズのファンのみならず、手応えのある戦略ゲームを志向するゲーマーは、本作の発売を楽しみに待って欲しい。
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(2009年1月26日) [Reported by 佐藤カフジ]
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