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「ファイナルファンタジー XI」開発チーム特別インタビュー(前編)
「追加シナリオ」の企画経緯、「アルタナ」の今後の展開、「メイズモンガー」の魅力を聞く

12月5日~6日開催(現地時間)

会場:Renaissance Hollywood

入場料:40ドル(前売り)


 11月と12月に日米で開催されたスクウェア・エニックス主催の「ファイナルファンタジー XI」のオフラインイベントは、成功裏に幕を閉じた。昨年は「アルタナの神兵」という明確なターゲットプロダクトが存在していたのに対し、今年はそれに該当するものがなかったため、若干ネタ出しに苦労している印象があったが、ファンの関心は依然としてすこぶる高く、メジャータイトルならではの熱狂を感じることができた。

 昨年の日米イベントのテーマはずばり「アルタナの神兵」だったが、今年は何だったのかというと、2009年春より順次リリース予定の3本の「追加シナリオ」、2009年もたっぷり楽しませてくれそうな拡張ディスク「アルタナ神兵」、そしてプライベートダンジョン改め「モブリンズメイズモンガー」を筆頭とした大規模攻略型コンテンツの3つがそれに当たると言えるだろう。今回のインタビューでは、「FINAL FANTASY XI Fan Festival 2008」に出席した開発チームのメンバーに、それら新要素についてたっぷり話を伺ってきた。

 例によって非常に長いインタビューになったため、前後編に分けて掲載する。前編では、「追加シナリオ」、「アルタナの神兵」、「モブリンズメイズモンガー」について。後半では、ユーザーの関心の高いジョブ調整に関する話や、初心者~中級者向けの施策、そして2009年の抱負など、ヴァナ・ディール全体について話を伺っている。


■ 主要スタッフの2008年の気になる活動内容について。伊藤氏「来年は凄いことになる」

今回のインタビューでは7名の主要スタッフに出席していただいた
編集部: まずは2008年度の担当された業務と手ごたえや感想などがあれば教えてください。

伊藤泉貴氏: 2008年はずっと「カンパニエ」をやっていました。前回は開発時期がイベントと重なってしまい、北米には来られませんでした。今年後半からは、色々と未来に向けて企画の種まきができました。来年は凄いことになるのではないかと思います(笑)。そのために各方面にネゴシエーションをしています。

松井聡彦氏: 1年前なのにとても昔のことのようであまり思い出せないのですが、2008年で一番大きかったのはレベルシンクでした。本来の予定でしたら12月くらいに入れて、今回実装されることになった「フィールド・オブ・ヴァラー」を先に作ろうとしていたのですが、フリートライアルが入るので順序を入れ替えた方が良いということになり、すごく大変でした。今は「モブリンズメイズモンガー」の基礎的な部分を作っています。

権代光俊氏: 自分は2008年の頭くらいは「アルタナの神兵」で追加した新ジョブの調整であったり、昨年の「ファンフェス」で話をした既存ジョブの手入れをしていました。一番大きいのはレベルシンクを実装できたことで、昨年から言われてきたパーティーを組みやすくしてくださいという、ユーザーさんの声にも自分なりの答えが出せたかなと思います。

 レベルシンクで大変だったのは装備品のアジャストメントでした。元々はレベルシンクと、レベルに合わせて装備品の性能を変えるということはタイミング的に切り離してやろうと考えていたのですが、コミュニティ担当の室内から装備品のアジャストメント機能も「絶対同時に入れろよ」といわれたので、急遽入れることにしました。しかも、もともと、12月に入れるつもりだったのをプロデューサーの田中に「9月に」といわれ、そういうことになったんです(笑)。

田中弘道氏: 僕は担当のユーザーインターフェイス部分ではここ1~2年は固まってきてしまって追加のもの以外はいじっていないです。「メイズモンガー」のインターフェイスはちょこちょこやりましたが、別のプロジェクトの仕事が入ってきてしまいまして、待たせてしまったりもしました。後はプロデューサーとして予算絡みのきな臭いことですね(笑)。

小川公一氏: 私の場合は、ディレクターとして「アルタナの神兵」のイベントのチェックなどの雑多な業務が多かったです。メインではないクエストなどの作成をしていました。今後も全体を見渡しつつ作業をしていくと思います。

藤戸洋司氏: 私はチョコボレースの無差別級を最初の方にやり、「モグボナンザ」を作りました。今回の「メイズモンガー」について企画時間がやたら長かったので、ネゴシエーションに時間を割きました。

Sage Sundi氏: 私は運営なので、北米・欧州などの海外の予算の管理をしていました。フリートライアルやダウンロード販売の海外版の企画を立てていました。当然「STF(スペシャルタスクフォース)」の仕事もやっています。開発の皆さんにコミュニティチームのメンバーががっちりくっついて、STFの業務に絡めて、なんとかGMコマンドでこうしたことができないか、なんとかログ分けをできないかといった部分を、ユーザーの意見を取り入れた企画に対してなんとかお願いします。ということをやっています。今年間に合わなかったワンタイムパスワードを鋭意交渉中です。


■ 3本の追加シナリオについて。ディレクターは小川氏が兼務、スクリプト開発はシリーズ初の外注に

ご存じ「ファイナルファンタジー XI」プロデューサー田中弘道氏
「ヴァナフェス2008」でスペシャルゲストとして登場したシナリオライターの加藤正人氏。田中氏とは「ゼノギアス」の頃からのパートナーだったという
「ヴァナフェス2008」で発表された3本の追加コンテンツ。2009年春から順に数カ月に1本のスパンでの発売が予定されている
編: 今回日米で発表された3本の追加シナリオについて教えてください。まずは企画意図からお願いします。

田中氏: 「アルタナの神兵」の1個1個のイベントやシナリオが凝りに凝りまくっていることがあり、向こう1年マイルストーンを敷いてしっかりやっていく中で、結果として1回の投入量が小さくなっていることと、その上でレベルシンクなどいろいろとやりたいことはたくさんあるわけです。

 そういった流れとは違うもの、具体的には1~2か月で終わるような小さい独立したクエストをやりたいなと考えたんですね。加藤(正人)さんが独立して現在はフリーでシナリオライターとして活躍しているのを思い出して連絡を取りました。そしたら彼はたまたま何かの仕事の合間の時期だったので「やりましょう」ということになりました。

 元々、レベル30から75にまたがる大河クエスト形式の本編とは違うミッションの形式にしようという構想は昔からあったのですが、タイミング的に今がよいのではないかと。シナリオなどのスクリプト制作について、社内のスクリプト開発ラインは「アルタナの神兵」のバージョンアップで精一杯なので、今回始めて外部の開発会社に頼みました。株式会社マトリックスという「ドラゴンクエストV」のPS2版や「ファイナルファンタジーIII」のDS版などをやっている開発会社で、そこが鋭意制作中です。加藤さんとマトリックスとスクウェア・エニックスの3社で行なっています。

編: なぜ今回加藤さんを起用したのでしょうか。

田中氏: 長年「ゼノギアス」や「クロノ・クロス」など、彼が「ファイナルファンタジー XI ジラートの幻影」の後に会社を辞めるまで10年以上タッグを組んでやっていまして、パッと思い浮かぶシナリオライターといえば彼でした。

編: 田中さんの元右腕を起用したというわけですね。

田中氏: というわけではないのですが(笑)、たまたまタイミングがあったということですね。元々彼がスクウェア・エニックスを辞めたときに、「FF XI」を辞めたかったわけではなかったのです。「FF XI」の開発は1年、2年単位で進行します。シナリオは1、2カ月で終わるので空いてしまう時間にフリーで色々なことをやりたいということでした。

編: 追加シナリオの開発は外部ということは、ディレクターも外部なのでしょうか。

小川氏: 私が兼務しております。調整役みたいな役回りです。

編: 同時に3本発表されましたが、開発ラインは3本なのでしょうか。

田中氏: いいえ。順番に1本ずつ開発して1本ずつリリースしていきます。五月雨式にやっています。加藤さんが現在3作目のシナリオをやり始めていて、スクリプトの開発に1本目が入っていて、これが上がっていくとバトルチームにいくという感じです。

編: 今回はパッケージではなくなぜオンライン販売のみに絞ったのでしょうか。

田中氏 : フリートライアルの配信開始によって、オンラインで大きなファイルを配信できるインフラが実現できました。また、ファイルサイズも小さいですので、これまで拡張版をディスクで配る最大の理由はマップのデータを配信することだったのですが、追加される3本のシナリオではマップは追加されませんのでオンラインでできるのではないかということになりました。

編: なぜ追加シナリオをプレイするために、「ジラートの幻影」まで必要なのでしょうか。

田中氏: 元々拡張版の開発コンセプトというのは、「ジラートの幻影」も「アルタナの神兵」も「プロマシア」も「アトルガン」もそれぞれ干渉することなく遊べるということになっていました。ただ、加藤さんのシナリオはオリジナル版の闇の王を倒した後、アークエンジェルなどを含めた「ジラートの幻影」までが核心になります。そういう背景もあって、本編の内容だけで作るのはどうかなと思い、「ジラートの幻影」くらい入れてもよいのではないかと考えました。

 この部分についてはまだ決まっていない部分もありますが、北米や欧州では元々「ジラートの幻影」が入っている状態でリリースされているので、「ジラートの幻影」を入れていないユーザーがいる可能性があるのは日本だけなのです。今回の3シナリオに関してはハイレベル向けのシナリオなので、「ジラートの幻影」くらいはプレイしているでしょうという前提でシナリオ制作を進めています。

編: これまでの拡張ディスクでは、新しいマップだけでなく新しい遊びが追加されてきた経緯があります。この点はどのようになりますか。

田中氏: 今回の拡張についてシステム的な拡張は考えていません。これまでの拡張ディスクではシステムも含めて新しい遊びを入れていこうというコンセプトでしたが、今回は今のマップや今のシステムをベースにした別の遊び方や物語の提示です。

編: 「FF XI」の定期バージョンアップの中で、追加シナリオのバージョンアップも平行して行なわれていくイメージですか。

田中氏: いいえ。追加シナリオについてはリリース時点で完成版としてリリースします。そこに関してバージョンアップは一切ありません。リリースされた時点でエンディングまでプレイが可能です。

編: 一般的なプレイスタイルで、どのくらいのプレイ期間を想定していますか?

田中氏: 2か月くらいかけて遊んでもらえればよいかなと思います。すごくハードに遊ぶ人たちであれば2週間前後か、もっと短く解けてしまうかもしれません。いかに退屈させないで長いステップを積ませるかということをこれから考えていかなければいけません。

編: 新ジョブや新モンスターは追加されないのでしょうか。

田中氏: ジョブはありませんが、モンスターはシナリオの必然性で登場するかもしれません。このシナリオのみに登場するものもあるかもしれません。

編: ユーザーさんが気になるのは報酬の部分だと思います。

権代氏: レベル75の人が手に入れて嬉しいと思えるものを用意するつもりです。今回はグラフィックスに反映されるものを作ろうと思います。予算の話をしたら変ですが、ちゃんとそれだけのものを作るだけのコストを考えてデザイナーさんにお願いしています。各タイトル用に何個このグラフィックスが欲しいということはしてあります。

編: 「だいたい1,000円くらい」という田中さんの発表があった後、ユーザーの反応を見る限りだと、「安いね」だったり、「シナリオにお金取るの?」だったり、様々な意見がありましたが、田中さんはどのような印象を持ちましたか。

田中氏: 僕らは開発コストから逆算しているだけなので、だいたいそれくらいはいただかないと辛いなというところで価格が決まっています。決して儲けがどうこうというわけではないです。

編: 1本目は「石の見る夢」ということになりますが、これはどのような意味なのですか。

田中氏: シナリオもタイトルもすべて加藤さんが考えたものですので、タイトルについてはそれぞれに深い意味があるようなないような感じです(笑)。シナリオのストーリーに絡んでいるものだと思います。クリスタルを今は合成に使っていますが、それ以外の石としてのイメージがありますので、それにまつわるお話しです。ストーリー的にはオープニングのムービーの中にアルドとエメリンの兄弟が追われるシーンがあったと思ったのですが、その後日談を書きたいとのことでした。ゲーム中でもいくつか関連する要素がありますが、その辺がどのように絡んでくるかなと。

編: 今後は、拡張ディスクと追加シナリオの開発が並行して進んでいくということになるのですね。

田中氏: 拡張版のバージョンアップは小川を中心にイベントチームが作っています。彼らの今後のバージョンアップスケジュールは1年くらい先まで何をやるかはきまっているのですが、それとは違うラインで作っています。逆にバトルチームは両方やらなければいけないので大変です。

編: 田中さんとしては、2本の制作ラインが同時並行して進むビジネスを明確に意識されているということでしょうか。

田中氏: そうですね。新しい3つのシナリオについては本流とは違うお遊びみたいなものになる予定です。

編: となると、来年には2本、3本といわずに定期的にリリースしますという方向になるかもしれませんね。

田中氏: どうでしょうかね(笑)。拡張ディスクではマップと遊びを広げる制作体制でしたが、「フリートライアル」を機に、ダウンロードコンテンツによる縦方向への進化が主流になることは考えられなくは無いですよね。

編: 複数のシナリオを集めたパッケージ製品は企画されないのでしょうか。

Sundi氏: オールインワンパックなり、ヴァナ・ディールコレクションはそのときまでにリリースされたすべてのコンテンツが遊べるようになっていますので、追加シナリオもそのときには詰めこまれると思います。

編: それではたとえば、「ヴァナ・ディールコレクション2009」といったタイミングで追加シナリオも同梱されると?

Sundi氏: そういう形になります。容量的には1枚で収まらないかもしれませんが。

編: 1作目の発売時期は2009年の春とのことでしたが、変更はありませんか。

田中氏: 今のところは大丈夫です。今のところは(笑)。どうぞご期待ください。


■ 「アルタナの神兵」の今後の展開について、カンパニエはまだまだ拡張される!?

「アルタナの神兵」ディレクターの小川公一氏。発言からも今年はなかなか思うようにいかなかったという感じが伝わってきた
「アトルガンの秘宝」ではサルベージやエインヘリヤル、「アルタナの神兵」ではカンパニエを担当するなど、大規模バトルコンテンツと言えばこの人、伊藤泉貴氏。インタビュー冒頭でも「来年は凄いことになる」と切り出し、場を騒然とさせてくれた(笑)
小川氏によれば12月アップデートで「アルタナの神兵」は中盤を迎える。公開されたスクリーンショットでは、過去世界では初めてジュノが舞台になっている
編: 次に「アルタナの神兵」についてですが、まず、今回なぜここまでシナリオの進展がゆっくりなのかという部分から教えてください。

小川氏: 演出などの内容が特に凝ってしまいまして、1回のバージョンアップでシナリオの長さ的に多くのものはお届けできなくなっています。

田中氏: 「アルタナの神兵」を作り始めた際の基本コンセプトとしてはシナリオメインではなくてカンパニエメインだということを小川の方が言っていたので、カンパニエのシステムを充実させることに重点が置かれています。

小川氏: 確かに、シナリオが良くてもあくまでシナリオでありまして、遊びではないのです。ゲームとしての遊びを織り込んでいけよという指示は受けていますので今後その辺も考えつつ織り交ぜていきたいです。

編: 今回は、メインのミッションと3国のクエストが絡み合うマルチシナリオみたいなイメージです。そのあたりで結構苦しんでいるところもありそうですね。

小川氏: 「アルトガン」の時にメインのミッションへの開発側の負担が大きかったので、「アルタナ」ではそれを分散させようと3国とミッションで大きなストーリーを構成するように考えました。結果としては分散させた1つ1つのストーリーがふくらんでしまい、負担がそれほど変わらないような状況になってしまいました。

田中氏: 3国クエストと今回の「アルタナの神兵」ミッションを足すと1回のバージョンアップで入っている量というのは前に比べると同じか多いくらいなのです。3国に分散しているので、いずれかの国に所属している1人のプレーヤーから見ると3分の1や4分の1に見えてしまうかもしれませんね。

編: 現状で全体のミッションのうちの何割くらいが実装できているのでしょうか。

小川氏: 12月のバージョンアップでようやく中盤かなと思います。

編: 「アルタナの神兵」の主役はカンパニエということですが、カンパニエは仕様としてはもう固まってきていると考えて良いのでしょうか?

伊藤氏: いえ、まだまだ拡張していく予定です。おそらく皆さんが想像しているようなエリアも広がっていきます。そのほかにも新たな要素を考えています。すごく楽しい要素が入りますよ。

編: 現状のカンパニエについてどのような感想をお持ちですか。

伊藤: 経験値をあげすぎているように思います。レベル上げがほとんどカンパニエベースになってきてしまっているなと思います。そこで別の問題が出てきていて、たとえば武器のスキルをどうしたらよいのかといった問題があります。

編: なるほど、カンパニエだけでレベル75まで育てられるのは便利な反面、カンパニエではスキルが上がりませんから、スキルが真っ白なレベル75プレーヤーがいるわけですか。

伊藤: そうですね。結構周囲にもカンパニエをやっていて、レベルだけは上がっていくのだけどスキルが上がらないのですがどうしたら良いですかという相談をされます。スキルが低いとウェポンスキルなどが当たらないのでどうしようもないです。他のコンテンツの力を借りてスキルを上げてくださいというところです。

編: その状態はやはり異常だろうと?

伊藤: というより、頭でっかちになっていますよね。新たな要素でバランスよく美味しくなれるコンテンツにしたいです。

編: 現時点では、カンパニエでPTを組むメリットはありませんよね。だから、実は軍団ではなく、ソロの集合体になってしまっている。ここが個人的にとても残念なのですが、それが変わる見込みはないのでしょうか。

伊藤氏: それは気軽さと相反してしまうのかなと思います。パーティーを組んだほうがより美味しいよということになると、PT必須という考え方になってしまうと思うのです。カンパニエではそれはしたくないです。PTではなくフィールドという単位でできないかなと思うのです。

編: エリアでいうと北方エリアが未実装ですね。

伊藤: そうです。北方が実装されるということは、3国にも影響が出てくる話です。あちらがオープンすると、どうゲームが変わるのかということを想像していただけるとより楽しめると思います。

編: 北方はさすがにミッションとも絡んできそうですが、現状ミッションとカンパニエは関係ないですよね。

小川氏: 直接は関係ないですね。カンパニエは1週間後とかで状況が変わってくるのであまりシナリオを絡めると整合性が取れなくなってしまいます。一応話の大きな流れで北方エリアが開放されたり、舞台になる程度のリンクはあります。

編: 「デーモン軍団」はどういった部隊になりますか。

伊藤氏: 北方にそれっぽいものが登場するかもしれませんが、お楽しみということでお願いします(笑)。

編: 現在は、獣人拠点を支配下に置いた時だけ、特別なカンパニエopsができたりしますが、そうした特殊な遊びは今後も拡張されていくのでしょうか。

伊藤氏: オープンされているエリアで計画されているものはだいたい入っていて、今後さらにそこに上乗せもされていきますが、それはカンパニエというよりはカンパニエを利用した別のコンテンツという言い方のほうがよいのですが、それはまだいえません(笑)。そうした展開も見せていきます。

編: 今回のデベロッパーズパネルでは、カンパニエについては新要素を追加していきたいとコメントされていましたが、もう少し噛み砕いて教えていただけますか。

伊藤氏: まだ少し先のことなので、がっちりと仕様が決まっているわけではないのです。やろうとしていることは、エリアの支配というものに特典がそれほどありませんがそれをもっと強化しようということです。例で出していたように、東ロンフォールを人間が支配したら、東ロンフォールのどこかに入り口があって、そこからバトルコンテンツに挑戦できて、勝利すればある程度の報酬が得られると。一定のコストなどは必要になると思いますが、チャレンジャブルなバトルコンテンツが楽しめる。そういったものをカンパニエの各エリアのそれぞれに用意します。これによって、ユーザーさんの間で、次はどこを取りたいという風な流れになってくれればいいなと思っています。

編: それはシステム上はカンパニエopsになるのでしょうか。

伊藤氏: opsの扱いにするかどうかは未定です。

編: 既存のエリアを使用するのか、いわゆるレイヤーエリアを使用するのですか。

伊藤氏: レイヤーエリアになるかもしれないですね。開発コスト的なところでまだわからない部分があります。個人的には一般のフィールド上で、プレーヤー全員が見られる環境でやった方が楽しいのじゃないかと思いますが、大勢に楽しんでいただくことを考えると、もう少しコストをかけてレイヤーエリアにした方がいいのではないかと思っています。

編: 気になるのはそのバトルの内容ですが。

伊藤氏: エリアがレイヤーなどにいってしまえば、ゴチャゴチャとしたバトルがあって最後に何かでかい事があるという感じですね。でかいことが何かというところまではまだ見えませんが、バトルフィールドよりはアサルトに近い感じです。

編: その中にも多少のストーリー性があるということですか。

伊藤氏: その通りです。

編: 個人的に期待していて、今回全くお話になかった要素にスカウトNPCがありますが、こちらのシステムは今後拡張する予定などはありますか。

伊藤氏: 拡張していきます。もっともっとNPCを追加していきます。開発人員の問題でまだどうなっていくかは未定ですが、NPCに絡んだ新しいコンテンツも増やしていく予定です。

編: 最終的なカンパニエの姿はどうなっているのでしょうか。

伊藤氏: みんなが仲良く遊べればよいなということがあるのです。現状MOBの取り合いといいますか、自分が稼げないと参加してくれないので占有したいということがあると思うのですけど、みんな誰かが挑発で取っているのを利用してポイントを稼いでいますよね。その部分でちょっとしたいざこざになる部分があるので、それをやってくれて本当にありがとうとなるような世界を目指したいです。


■ 実装を目前に控えた「モブリンズメイズモンガー」について

「モブリンメイズモンガー」の企画を担当したプランナーの藤戸洋司氏。チョコボ関連や釣り、モグボナンザなど、メインストリームではない周辺の遊びの部分を担当
「モブリンズメイズモンガー」のデモンストレーションは、藤戸氏がひとりで行なった。初回デモがうまく行かずハラハラさせられたが、その影響もあってか、デモの最後に予定していた実装日の告知を伝え忘れてしまったという
「メイズモンガー」は、バウチャーにルーンをセットして迷路を設計し、ダンジョンで自らが課した一定の条件を満たすとクリアとなり、報酬がゲットできるというもの
編: 「モブリンズメイズモンガー」について教えてください。固有名詞が多くてややこしそうですが、やってみると簡単そうな気もします。

藤戸氏: 簡単です。やってもらえばわかると思うのですが、難しいと感じるのは設定ができるという前提がありまして、そこをどのように設定しようかであるとか、パーツがどうのこうのという選択肢の多さがそうしたイメージに繋がっていると思います。単純に遊ぶだけなら1個セットして渡すだけなので難しくない。

編: 想定されている遊び方はどういったものでしょうか。

藤戸氏: 何回も繰り返してやってもらったら良いと思います。何でもできるような感じということは「ヴァナフェス」の時には言いましたが、プレーヤーも開発側もそこで新しいことを入れたり実験するということも含めなんでもかんでもできることがコンセプトです。最初に迷路を組み立てるタイプのメイズモンガーを提供することを考えましたが、システム的にも難しいし、それだけでは遊びとして行き詰まると考えました。遊びやそういう方向に広がっていくコンテンツとしてリリースできたらなと考えています。

編: コンテンツの位置づけとして、コアユーザーが全力で遊ぶようなものになりますか?

藤戸氏: ものによると思います。基本間口の広いものが前提です。コアユーザーが好んでやるテーマはもちろんあるし、これは要らないというのももちろんあると思う。それはこちらがそういう風に遊べと決めたものではないので、全力で遊ぶ、みたいなものもそのうち出てくるんじゃないでしょうか。

編: 対象レベルは?

藤戸氏: 全レベル帯です。人数はフレキシブルですが、1人から最大6人までを考えています。将来的には拡張も有り得ます。1人よりも数人でいったほうがクリアしやすいですが、1人だけでも体験することができるというコンテンツではあると思います。

編: プレイ時間は?

藤戸氏: 1回のプレイ時間で30分ほどです。アサルトのような感じと捉えていただければ良いと思います。

編: メイズモンガーには“色々な遊びがある”との事ですが、言葉の意味を詳しく教えてください。

藤戸氏: 遊びというのはクリア条件のことなのですが、そのクリア条件を選ぶというのが選択肢の1つです。それで中でやることが変わってきます。簡単に言えばアサルトなのです。ただしアサルトは決まったやり方で決まったことをするだけなのですが、「メイズモンガー」はそれに加えて横幅が広いです。こういう条件でやりたいといったり、こういうモンスターだけ出したいといったプレーヤーのオーダーを入れることができるということが重要だと思います。

編: 今回のイベントでは主役級の扱いだった「モブリンズメイズモンガー」ですが、実際にユーザーさんがプレイされているのを見られてどのような感想をお持ちになりましたか。

藤戸氏: もっとみんな苦労しているのかと思っていたのですが、意外にすんなり遊べているなと思いました。ただ、プレゼンテーションで「あまりルーンつけていると強すぎるから気をつけろよ」と言ったからなのか、みんなあまりつけていなかった(笑)。皆エレメンタルが出ていてちょっとつまらない戦いになっているのではないかと思いました。そこが改善点ではないかと思います。

田中氏: 12月のバージョンは2段階構成になったのですが、申し上げる機会を逸してしまいました。「メイズモンガー」は9日のバージョンからはバランス調整不足でもれそうなので、さらにもう一週間ぐらい後に導入を予定していています。

編: 今回プレイしてわかったのが、報酬が「モブリンマーブル」という独自のポイントになっていたことです。このポイントシステムを採用した理由は何ですか。

藤戸氏: コンテンツの中で努力して何回か繰り返して遊ぶことによって、報酬に手が届くという仕組みをやはりやりたくなるわけですね。モブリンメイズの場合は他のコンテンツと比べて明らかに土俵が違うので、例えばアサルトポイントやチョコボコインが使えてもいいかなと思ったこともありました。しかしそれでは一番レートのいいポイントを稼ぐためにみんながそこに殺到する可能性もあったので、今回新しいポイントを作らせていただきました。

編: ちなみにポイントでどういったアイテムと交換できますか?

藤戸氏: ちょうどモブリン社長の隣にいるのが交換NPCです。NPCに話しかけていただければ、リストが見られるようになっています。ぜひご自分で確かめてください(笑)。

 今はまだ調整中なので少し変更になる可能性もあるのですが、たとえば100ポイントで他のバウチャーをゲットできたりします。今試遊台でやっているのが、強いモンスター1体と戦うバウチャーですが、その1体以外にも「ヴァナフェス」でも少しお話の中にも出てきた、合成をテーマにしたものとか弱いモンスターがたくさん出てくるタイプのバウチャーを今回は実装を考えているので、ポイントで交換してゲットします。

編: あとはリアル1日1回の区切りがつけられていますが、その理由を教えてください。

藤戸氏: 混雑解消が1番の理由ですが、本当はコストさえ支払えば何回でも入れるようにする方がルーンを設定してどのように変わったのかを確認するためには、絶対有効だというのはわかっているのです。レイヤーエリアを使用するコンテンツのため結構混んでしまうと通信に待たされたりします。最初だし、みんな殺到するのはわかっているので、1人1日1回の作成権を指定させてもらって、その代わりにリーダー以外の人はコストもかからない設計にしました。

編: 12月アップデートで実装予定になっていますが、初回でコンテンツ全体の何割くらいが実装されると考えていいですか?

藤戸氏: かなり大きく作れるようにしてあって、全体のキャパシティの1%とか2%の容量を使っているイメージで考えていただけるといいと思います。

編: とすると、まだまだこれから拡充していくと?

藤戸氏: ええ。「メイズモンガー」は色々な実験など兼ねて、新しいコンテンツの仕組みなどをバウチャーに仕込んでリリースするといった側面もあるので、バウチャーによっては内容ががらりと変わるといったものを今後リリースできたらと思っています。

編: たとえば、今後実装を予定している新しいバウチャーにはどのようなものを考えていますか?

藤戸氏: バウチャーは要するにクリア条件の設定なのですが、そのクリアをするためにどういうことをしたらいいかが遊びに直接繋がっていくわけです。12月で3つ実装しますが、その次以降も計画中のものが2つほどあります。全く関連性のない遊びを2つ用意しようと思っていて、バージョンアップは少し様子を見てみてからと思っています。

編: 好きな組み合わせ、おすすめの組み合わせというものがあれば教えてください。

藤戸氏: もっちー(望月氏)がおもしろいといってたのが、「ビースト」と「大きい」というものと、「動きの追従がある」というルーンのセットです。するとダルメルが出てきます。そのダルメルにさらに白魔道士のルーンを加えると、魔法を唱えるダルメルに変わるのですが、魔法なんて知らないだろうというやつに魔法を唱えさせてみたりという、イレギュラーな組み合わせがとてもおもしろいと思います。

編: いわばなんでもありの世界がそこにはあると考えてもいいのでしょうか。

藤戸氏: 全くその通りですね。楽しんでいただけるのではないかと期待しています。

(以下、後編へ続く)

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□スクウェア・エニックスのホームページ
http://www.square-enix.com/jp/
□「ファイナルファンタジー XI」のページ
http://www.playonline.com/ff11/
□「FINAL FANTASY Fan Festival 2008」のページ
http://www.ffxifestival.com/
□関連情報
【12月9日】「FINAL FANTASY XI Fan Festival 2008」トークセッションレポート
踊り子AF2などバージョンアップ直前情報を多数発表
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20081209/fft.htm
【12月7日】「FINAL FANTASY XI Fan Festival 2008」イベントレポート
「モブリンズメイズモンガー」の詳細を発表。多数の試遊台も設置
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20081207/mmm.htm
【12月7日】スクエニ、「FINAL FANTASY XI Fan Festival 2008」を開催
コミュニティ育成と試遊に特化したユーザー参加型のオフイベント
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20081207/fanfes08.htm
【11月23日】「ヴァナ★フェス2008」トークセッションレポート
「モブリンメイズモンガー」など新要素を多数発表
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20081123/vanat.htm
【11月23日】スクエニ、「FF XI」のオフイベント「ヴァナフェス2008 in 後楽園」を開催
「戦慄! モグ祭りの夜」、「シャントット帝国の陰謀」など3本の追加コンテンツを発表
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20081123/vanafes08.htm

(2008年12月10日)

[Reported by 中村聖司]



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