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スクウェア・エニックス、「2009年3月期 第2四半期決算説明会」を開催
和田氏「『ドラゴンクエストIX 星空の守り人』は3月にちゃんと出せる状態」

11月7日 発表

決算説明会に出席したのは、いつも通り和田洋一代表取締役社長と松田洋祐取締役
 株式会社スクウェア・エニックスは11月7日、2009年3月期 第2四半期決算を発表した。連結経営成績については、売上高は前年同期比4.9%減の679億7,400万円、営業利益は6.4%増の93億9,600万円、経常利益が1.0%減の97億400万円、純利益は57.0%増の60億5,400万円となっている。

 連結事業別セグメントの売上高を見ると、ゲーム事業は166億2,200万円で営業利益が34億7,700万円、オンラインゲーム事業は53億3,900万円で営業利益が29億8,100万円、モバイル・コンテンツ事業は33億2,800万円で営業利益が17億円、AM等事業が301億8,400万円で営業利益が8,100万円となっている。

 決算説明会では半期の販売本数が発表された。それによればトップは「ドラゴンクエストV」で115万本。次いで「クライシスコア ファイナルファンタジーVII」が全世界で62万本、ニンテンドーDSでリメイクされた「ファイナルファンタジーIV」が44万本、Xbox 360の「インフィニット アンディスカバリー」が41万本、「ファイナルファンタジー タクティクス A2」が32万本と続いている。全体では498万本で、内国内では205万本となっている。

 この中で「ドラゴンクエストV」は日本でしか発売されていないので、日本だけで115万本となっている。国内205万本の半数以上を「ドラゴンクエストV」が支えていると言うことになる。ちなみにXbox 360といえば北米が強いが、「インフィニット アンディスカバリー」に関して言えば、日本で12万本、北米で20万本、欧州で9万本という結果となっている。

 同時にソフト毎の累計値も発表されたが、それによれば「クライシスコア ファイナルファンタジーVII」が192万本で200万本が視野に入っている。次いで好調なのが「ドラゴンクエストIV」の142万本、そして「ファイナルファンタジーIV」の104万本となっている。「クライシスコア ファイナルファンタジーVII」は日本で82万本、北米で61万本、欧州で46万本とバランスの良い売れ方となっている。和田氏はこの数値を示しながら「全世界で戦うことを考えれば200万本のタイトルをいくつ持つか。そして脇を固めるタイトルとして100万本売れるタイトルや50万本売れるタイトルがいくつあるかと言うことになると思う」と語っている。

 オンラインゲーム部門では売上高は若干減少しているが、利益率は回復している。この点について和田氏は「これまでほとんどが『ファイナルファンタジー XI』だったが、蒔いた種が芽を出し始めた。特に『ファンタジーアース ゼロ』が半期で3億円となっており、相当伸びてきている」とタイトル名をあげて説明。「ファンタジーアース ゼロ」については「基本プレイ無料というビジネスモデルを採用したことが好評を博した」とし、ビジネスモデルを変えることで伸びた例として挙げた。

 同じく売上高は減少している中で利益率が大きく上がっているのがモバイル・コンテンツ事業。実に18.5%から51.1%に跳ね上がっている。これについては「今いるお客さんからいくら払っていただくか。他素材で展開するというのはこれまでから言っていたが、その成功例となった」とし、「『ファイナルファンタジーIV』のその後のシナリオを序章は無料、その後、章ごとに有料で配信したところ有料コンテンツのダウンロード数が200万ダウンロードを記録した」と続けた。これ以外にも「ドラゴンクエスト モンスターバトルロード」の付随サービスとして配信されている携帯コンテンツの客単価が非常に高いと言い「1,000円や2,000円というレベルではない。とてつもない金額」とこういった各種コンテンツが好調であることが利益率の向上に繋がったと分析。和田氏は「大きくドカンとやる商売もあるが、それぞれのセグメントで深く掘っていくやり方もあり、その成功例がモバイル」とした。

 逆に非常に厳しい結果となったのがAM事業。とにかく業界全体において厳しい状況だと言い、各社の売上高が全て下がっているグラフを示し「その中でもトップをキープしているが、とにかく状況は厳しい」と事業環境の厳しさを何度となく口にした。和田氏は「タイトーがグループに入ったときから事業環境が厳しくなることはわかっていて、レンタルやフランチャイズなど手を打った。フランチャイズは1店舗開店して好評を得ているので、来年に向けて花開けばと思う」と今後好転する施策は打っていると説明。さらにタイトーの改革効果については「出てくるのは来年くらい」とコメント。

 一方、その他事業に計上されているスクウェア・エニックスの「ロード オブ ヴァーミリオン」は40億、「ドラゴンクエスト モンスターバトルロード」については16億から17億と好調な数値を残している。「ドラゴンクエスト モンスターバトルロード」はカードも1億枚を突破して「力は落ちていない」と引き続き期待しているようだ。このほかに事業では成長株として「スマイルラボ」の名を挙げている。

 ここまでが和田氏による決算状況の説明で、ここからは質疑応答の中からゲームユーザーにとっても面白いと感じられた内容を拾ってみたい。

 まずは気になるのは「ドラゴンクエストIX 星空の守り人」の発売日や価格について。これまでにも発売日を何度となく延期してきた“前科”があるだけに、説明会に参加したアナリストからも何度となく質問が飛んだ。和田氏は「3月に売るための進捗状況についてですが、開発工程のどの部分かというのはそれぞれ区切り方が違うので一概に言えませんが、いまパンパンの状態ではないです。3月にちゃんと出せる状態」と言い切った。「ドラゴンクエストIX」の情報出しも各メディアに開始されており、3月発売の確度はかなり上がってきたと言えるだろう。ちなみに価格については「まだ考えていません」とした。

 アナリストの質問事項として必ず挙がる販売本数については「どう言っても誤解を招くので言わない」という。「この間、『1,000万本くらい売れたらいいですよね』といったら『1,000万本目標!』と書かれて、開発の連中が倒れていました(笑)。『1,000万本ノルマですか?』と言われ、ノルマにするぐらいだったら最初から言ってる。そんなに売れるわけがない……といった話をしているぐらいで、販売本数のことを言ってもせんないことなので申し訳ございませんが本数はお答えできません」と会場の笑いを誘って話をかわしていた。

 一方、社内改革の話題で「ファイナルファンタジーXIII」についても触れられた。アナリストから「スクウェア・エニックスの社内で制作している部隊はグラフィックスに強いチームが多いが、昨今の販売状況を見ていると、一時期の販売本数の伸びは厳しいように思える。こういったときに『ファイナルファンタジーXIII』が前作より大きく本数を落としてしまうリスクはないのか?」との質問に和田氏は「これまで『ファイナルファンタジーXIII』の発表してきた時のユーザーのリアクションは決して悪くはない。支持を得ている」と本数を落とすことなはいとの見方を示した。開発状況についても「非常に順調。まだタイミングは申し上げられませんが、予定通りきちんと出せる状態です」としている。すでに2009年の3月に発売される「ファイナルファンタジーVII ADVENT CHILDREN」に体験版が付くことが発表されている。まだ発売時期は公開されていないが、そう遠くない時期に遊ぶことができそうだ。

 最後に、ゲーム業界の現状についても若干コメントした。年末商戦について「お店がどこまで在庫投資してくれるか。そうなると厳しめに見ておいた方がいい。お客がソフトを欲しくても、(リテーラーが冒険をしなくなりお店が在庫を持ってくれなければ) 通販でもなければお客に商品が届かない」と流通も含めた状況に危惧を抱いた。そんな中勝ち残るのはどういったメーカーかと言えば「そういった厳しい状況ではブランド力のあるところが強い。幸い我々にはブランド力がある。(お客に対してではなく) リテーラーに対してブランド力を武器に進めるしかない」とスクウェア・エニックスの有利な点として付け加えた。

 また、自社タイトルについても「『すばらしきこのせかい』や『インフィニット アンディスカバリー』は良いタイトルだが、なかなか化けない。『ラストレムナント』もRPGとして非常に出来が良い。どうやってマーケティングするのかというのが難しく、いま我々の弱いところ」と、ゲームの出来を販売本数に結びつけることの難しさを語っていたのが印象的だった。

各種数字の説明を行なった和田洋一氏。今回は四半期決算ということで、社内改革など大きな話題については触れなかった 連結決算の各種数値。前年同期比で大きな変動は見られない 事業別セグメントでは、オンラインゲーム事業やモバイル・コンテンツ事業の利益率が非常に高い数値となる一方で、AM事業の苦戦が目立つ
海外売上比率は、86%が日本ということでかなり偏った数値となっている。タイトーの分もこの中に含まれ、タイトー分はほぼ全て日本なので、グループ的な数値で言えばより日本よりの数値となる 4月1日から9月30日までのソフトの販売本数。「ドラゴンクエストV」が115万本とミリオンヒットを記録。日本での全体が205万本であるため実に半分以上が「ドラゴンクエストV」で占められていることになる 参考データとして公開された累計データ。「クライシスコア ファイナルファンタジーVII」が全世界で192万本で200万本突破が視野に入っている。和田氏によれば全世界で戦う上において200万本がひとつの指標だという。逆に「ドラゴンクエストIV」は日本で売れている
オンラインゲーム事業とモバイル・コンテンツ事業における営業利益率の変化。オンラインゲーム事業については上がり続けているが和田氏はこれが上限と見ているようだ タイトーの既存店売上高前年同月比のグラフ。他社と比較して現状全ての店舗において厳しい状況であると説明。ただこのグラフではその中でもトップであるようだ その他事業扱いとなっているのは、「ロード オブ ヴァーミリオン」とスクウェア・エニックス扱いとなっている「ドラゴンクエスト モンスターバトルロード」の2タイトル。和田氏によれば好調であるという


□スクウェア・エニックスのホームページ
http://www.square-enix.com/jp/
□「平成21年3月期 第2四半期決算短信」のリリース(PDF形式)
http://www.square-enix.com/jpn/pdf/news/20081107.pdf
http://www.square-enix.com/jpn/pdf/news/20081107_02.pdf (決算説明会資料)
□関連情報
【5月23日】スクウェア・エニックス、「2008年3月期 決算説明会」を開催
和田洋一氏「『ドラゴンクエストIX』当年度は出そうと思って作っています」
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20080523/sqex.htm
【2007年11月19日】スクウェア・エニックス、2008年3月期中間決算を発表
「『ドラゴンクエストIX』の発売日は決めていない。まだ粘っている」
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20071119/sqex.htm
【2007年5月23日】スクウェア・エニックス、2007年3月期決算説明会を開催
「ドラクエIX」の開発は順調、今後は海外事業+AM事業の拡大
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20070523/sqex.htm
【2007年1月31日】スクウェア・エニックス、2007年3月期第3四半期決算説明会開催
タイトーの不採算部門に対する対策を発表
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20070131/sqex.htm
【2006年5月24日】スクウェア・エニックス、2006年3月期決算説明会を開催
「『FABULA NOVA CRYSTALLIS』ではさらにゲームが発売される可能性がある」
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20060524/sqex.htm

(2008年11月7日)

[Reported by 船津稔]



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