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同社は毎年、中間と期末にそれぞれアナリスト向けの決算説明会を行なってきた。2005年11月の中間決算説明会では、連結子会社となったタイトーの西垣保男代表取締役社長も列席したが、今回はこれまで通り和田洋一代表取締役社長と松田洋祐取締役執行役員によって行なわれた。 連結決算実績として公開されている以外の数値として、決算説明会において「2006年3月期のゲームソフト販売本数」が公開されている。和田氏によれば「ゲームソフトの販売価格が変動しているため指標にならない」としているが、人気のバロメータとしてどれほど売れているのかは注目されるところ。 今期は「キングダム ハーツII」、「ファイナルファンタジーXII」といったビッグタイトルが目白押しだったこともあり、国内で786万本を記録。対前年度比では156万本の増加となっている。北米、欧州、アジアなど日本以外では対前年度割れとなっているが、全世界合計では1,223万本で118万本の増加となっている。 一方、来期は次世代機への移行の端境期として、日本での販売本数は500万本を見込んでいる。逆に「キングダム ハーツII」、「ファイナルファンタジーXII」が全世界展開となる海外では大きな数字を予測しており、全世界的な数値としては1,300万本で77万本増の“今年並み”としている。最近の動向としては、大型タイトルの堅調ぶりとは逆に、中堅タイトルの苦戦が目立つという。 来期の日本での販売本数は慎重な読みとなっているが、この端境期の厳しい時期に重要となってくるのが売り場への営業活動だという。同社は関東圏を中心に販売店でスクウェア・エニックスコーナーを展開しており、新作タイトル以外にも廉価版タイトルの販売強化に努めてきたが、これがすでに10億円以上に達したという。同社は、プレイステーション 2のタイトルもゲームボーイアドバンスのタイトルでも、プラットフォームにかかわらず“アルティメットヒッツ”としてパッケージデザインと統一し販売しているが、こういった戦略も一役買っているようだ。今後、地方にも多数の営業がいるタイトーが加わることで、さらに強化できるとしている。 オンラインタイトルについてはやはり「ファイナルファンタジーXI」が中心だが、「会員数が多くなるとは見ていない」としており、「FF XI」については「横ばい」と見ている。和田氏は「MMORPGでナンバー2は難しく、『FF XI』のようにトップでなければ厳しいことがやってみてわかった。『FF XI』に次ぐものとして色々とやっているが、なかなかうまくいかない。『FF XI』の次フランチャイズは今年度は見込んでいない」ということで、もう少し時間を要するようだ。 携帯コンテンツについても種はまいているが、思ったほどの収益には繋がっていないようだ。しかし、和田氏によれば「ポータルと言われるもの……たとえば『ファイナルファンタジー』や『ドラゴンクエスト』はユーザーが張り付いていることがわかっているので半年ほどずれ込んだが、これから効果が出てくると思う」としている。
■ 和田氏「『FABULA NOVA CRYSTALLIS』は10年仕事だと思っている」 これまでにも和田氏は同社の方針のひとつとして、「ユーザーコミュニティをマーケットと捉えて多面的な接点を作っていくことで収益向上を図る」という点を挙げているが、今回の決算説明会でも説明があった。 この戦略の例としては、「アドベントチルドレン」や「ダージュ オブ ケルベロス -ファイナルファンタジーVII-」といった展開を見せた「ファイナルファンタジーVII」の展開が挙げられる。和田氏は「どんなに楽しいゲームでも『(ユーザーに) ゲームを2本買え』とは言えない。でも周辺グッズの本などが発売されれば買ってもらえるかもしれない」とライフスタイルが変わっても、購入に結びつけるコンテンツの中心となる核が重要だと説明。 和田氏はさらに、「『ファイナルファンタジーVII』は古い作品ですから、こういった展開を前提として作られていない。そういった意味では、E3で発表した「ファイナルファンタジーXIII」を核としたコンテンツとして計画されている『FABULA NOVA CRYSTALLIS』では最初から体系として世界観を作り上げて、その中で制作者の個性で制作して欲しいとしている。わかりやすく言えば『スター・ウォーズ』や『ガンダム』を思い浮かべてもらえればいいと思う。E3ではゲームタイトルを2タイトルと携帯電話での展開を発表したが、今後もゲームがもっと出てくるかもしれない。これは『ファイナルファンタジー』クラスだからできること。10年仕事だと思っているし、『ファイナルファンタジーVII』は20年もつかもしれない」ということで、大きなフランチャイズに育てるべく、かなりの規模を見込んでいるようだ。
このほかにも、こういったコミュニティの作成については、コミュニティ自体の水増し (たとえば子供向けのコンテンツの年齢層をむやみに上げたり、安易に続編を作るといった事) はコミュニティの破壊に繋がるとして、あくまでもオリジナルゲームの作成でコミュニティの作成を続けていくとしている。そういった意味では今後もオリジナルゲームの強化には務めていくようで、和田氏は「オリジナルゲームに執着する」とコメントしている。
□スクウェア・エニックスのホームページ http://www.square-enix.co.jp/ □2005(平成17)年3月期決算短信 (PDF形式) http://www.square-enix.com/jp/ir/j/data/financial/download/tanshin_060524.pdf □関連情報 【2005年11月18日】スクウェア・エニックスとタイトー、共同で中間決算説明会を開催 和田氏「キングダムハーツII」は素晴らしい出来で、PS2で最高傑作」 http://game.watch.impress.co.jp/docs/20051118/sqex.htm 【2005年5月24日】スクウェア・エニックス、2005年3月期決算説明会を開催 和田洋一氏「順調に過去最高益を更新できました」 http://game.watch.impress.co.jp/docs/20050524/se.htm 【2004年11月19日】スクウェア・エニックス、2005年3月期中間決算説明会 「ドラゴンクエストVIII」をベースに多方面へ展開か? http://game.watch.impress.co.jp/docs/20041119/se.htm (2006年5月24日) [Reported by 船津稔]
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