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スクウェア・エニックス、2007年3月期第3四半期決算説明会開催
タイトーの不採算部門に対する対策を発表

1月30日 発表

 株式会社スクウェア・エニックスは1月30日、2007年3月期第3四半期決算を発表し同日、説明会を開催した。売上高は前年同期比78.3%増の1,230億3,500万円、経常利益が191.6%増の202億2,800万円、当期純利益が111.9%増の90億9,500万円となっている。

 昨年に比べ好調な今年だが、ゲーム事業で言えば、主力商品のひとつである「FINAL FANTASY XII」が北米で発売となり約2カ月強で166万本の販売を達成したほか、「KINGDOM HEARTS II」が欧州で69万本、ニンテンドーDS用「ファイナルファンタジー III」が日本国内95万本、同じくニンテンドーDS用「ドラゴンクエストモンスターズ ジョーカー」が12月末までで91万本 (現状100万本) とおしなべて好調な数字を記録している。さらに廉価版のラインも好調だとしている。国内の2006年4月-12月の実績は564万本、北米で552万本で、全世界で1,311万本となっている。

 説明会に出席した和田洋一代表取締役社長は現状について、「ゲームは踊り場に来ている。現在は準備期間で、次に繋げていきながら、こういった時期は手堅く利益を出していく。そういった意味では、当年度、来期は次世代機のハードを使い切った大作を順次出しては行きますが、どんどんと出していく時期ではない」と、当期・来期の見通しを語った。

 オンライン事業については営業利益が49億9,800万円で利益率も47.3%と高い。和田氏は「堅調である」とコメントし、この点について「この数字はほとんど『ファイナルファンタジーXI』がたたき出した数字。5周年を迎える作品なので、ユーザーが離れていくなど数値が悪くなるところだがこういった数値を記録している。現在、次に来る主力タイトルの仕込みをしており、それまで数値が持続してくれるようなので、そういった意味でも順調だということです」と説明。

 さらに、「オンラインゲームは、ゲームのシステムや、コミュニティはもちろん、ビジネスモデルも重要で多様化している。他社と組むことでそういったノウハウも吸収していきたい。NHNさんはアイテム課金やアバター課金を積極的にやっておられる。そのときお客さんはどう動くのか。そういったノウハウが将来への蓄積となる。ゲームの仕込み、ビジネスモデルの仕込み、そう言ったことを自分たちだけでなく、今後も他メーカーともやっていくつもりです」と今後の方針を語った。


 今回の説明会で時間を割いたのは連結対象となっているタイトーの不採算部門に関する対応の説明だった。全体として目に見える点としては、1,000人くらいいるタイトー社員に対して200数十名の希望退職者の募集を行なうという。和田氏は「当たり前のことを基礎に忠実にスピーディに行なう」とし挙げたのは「不採算事業からの撤退」、「重要事業への経営資源のシフト」、「間接業務の効率化」の3つ。

 具体的に不採算事業からの撤退という点に関しては、すでに事業譲渡が行なわれている「業務用カラオケ」と家庭用ゲームソフト部門の赤字を挙げている。家庭用ゲームソフトについては「スクウェア・エニックスは年間10タイトルから20タイトルだが、タイトーは年間80タイトルから100タイトルを発売していた。これは実質的に、外部からソフトを買ってきて発売するソフトの仕入れ販売だった」とし、発売タイトル数を絞ることにしたという。「タイトーの開発にはユニークなソフトもあるので、開発に特化し本数を絞り、販売はスクウェア・エニックスに移管する (和田氏)」としている。

 さらにアミューズメント施設についても一度、不動産資産の高いものを中心に40数店舗を整理し、そこから再度、拡大に向けて様々な施策を行なっていくという。和田氏によれば「アミューズメント施設の店舗は、まず良い立地を押さえようとして不動産費用に全力を注ぎ込んでしまう。そうなると導入するゲーム機器に手が回らなくなる。なので、我々は『お客さんに50m歩いてもらっても入ってもらえる施設』を目指す。不動産費で浮いた部分を、ゲーム機導入に投入し、あらゆる機器を効率的に活用していく」と説明。タイトーの施設の看板もバラバラで、ブランドを統一することも考慮に入れているようだ。こういった施策は一部ですでに実行中で好調な数字に切り替わりつつあるという。

 タイトーといかにシナジー効果を上げていくかという点について、今年はタイトーの負債を払拭し、「ガッチリやっていくのは2年先 (和田氏)」としている。タイトーの優位点としてあげているのはアミューズメント施設の運営、ゲームを作るメーカーのセクション、そしてネットの新規分野だという。


 このほかで話題に上がった点としては、「ドラゴンクエスト」シリーズに関する話題で、すでに発表されているDS「ドラゴンクエストIX 星空の守り人」の価格に関しては明言しなかったものの、「お客さんが許してくれうるかぎり、高めに設定したい」としており、現状の価格より若干高くなる可能性を示唆している。またシリーズの他作品のリメイクなどについては、「Wii『ドラゴンクエストソード 仮面の女王と鏡の塔』やAC『ドラゴンクエスト モンスターバトルロード』もリリースされる。『ドラゴンクエストIX』までの流れを作りたいので、リメイクなども考えてはいるがリリースするかはわからない」と否定はしなかった。

 また、「プレイステーション 3」についての感想を求められた和田氏は「ロケットスタートはしないと思っていたので、こんな所だろうというのが正直なところ。ハードとしてどう受け止められるのか、もう少し昇華されるまで時間がかかるのでは? プレイステーション 3の良さは、ソフトとサービスとハード。ソフトはスクウェア・エニックスで言えば『FINAL FANTASY XIII』を出すと発表している。サービスに関するアピールはこれからあると思う。まだお客さんに伝わっていないんだと思う。ハードについては完全にハイデフに対応しており、非常にとんがったスペックのプレイステーション 3の機能をフルに引き出すテレビのある部屋がどれくらいあるのか。しかし、そういったテレビの普及率は劇的に変わるのでは。失望はしていない」とコメントしている。

2006年12月末実績。和田洋一代表取締役社長は「予定通り」とコメント 2006年4月-12月の事業別セグメント。「AM等」の項目を除けば数値的にはあまり変わりがないように見える 2006年4月-12月の販売本数。北米では「ファイナルファンタジーXII」がリリースされ、今期販売本数に入っている
連結対象のタイトーの対応策について発表された。方針としてはこのスライドのように「選択と集中」を行なうとしている 不採算事業としてあげているのが業務用カラオケと家庭用ゲームソフトの2部門。業務用カラオケはすでに事業譲渡が行なわれている 家庭用ゲームソフトについては「仕入れ販売からの撤退」を挙げ、「開発は面白いものを作っているので開発に特化する」としている
アミューズメント施設について。和田氏はロケーション施設の不動産費に金額を投入しすぎているとしている。「お客さんに50m歩いてもらっても入ってもらえる施設を目指す」 同社調べによる同業他社とのアミューズメント施設事業の動向調査。4月-12月は、他社が下降状況にある中「上向きで、営業の雰囲気も変わってきている」と評価 発表会に出席した和田洋一代表取締役社長 (向かって左) と松田洋祐取締役


□スクウェア・エニックスのホームページ
http://www.square-enix.com/
□ニュースリリース (PDF形式)
http://www.square-enix.com/jp/ir/j/data/financial/download/tanshin_070130.pdf (財務・業績の概況)
http://www.square-enix.com/jp/company/j/news/2007/download/release_070130.pdf (通期業績予想の修正)
http://www.square-enix.com/jp/ir/j/explanatory/download/20070130.pdf (発表会説明資料スライド)

(2007年1月31日)

[Reported by 船津稔]



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