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会場:Anaheim Hilton
今回は、「アルタナの神兵」発売という節目、また国産タイトルとしては最長となる7年目のサービスを迎えるにあたって、「FINAL FANTASY XI Fan Festival 2007」に登壇したプロデューサーの田中弘道氏をはじめとした開発チーム5名(プロデューサー田中弘道氏、「アルタナの神兵」ディレクター小川公一氏、バトルディレクター松井聡彦氏、プランナー権代光俊氏、プランナー岩尾賢一氏)と、運営チームトップのSage Sundi氏の計6名に対して単独インタビューを行なった。 ちなみにこのインタビューはFan Festival初日のデベロッパーズパネルと、2日目のデベロッパーズパネルの合間に行なわれているため、初日に発表された既存ジョブ調整については詳しく話を聞くことができたが、2日目の内容についてはカバーできていないので、この点あらかじめご了解いただきたい。
■ 「アルタナの神兵」の基本コンセプトは水晶大戦と原点回帰
小川公一氏: 「アトルガンの秘宝」の開発当初は、「プロマシアの呪縛」の難易度が高いという問題がありました。それを踏まえて、親しみやすい参加しやすいコンテンツを実装していって、割と成功したんじゃないかなと思っています。ミッションのほうは簡単すぎるという意見もありましたが、あれは狙いとしてはストーリーを楽しむ方は難度に縛られず楽しめるような方向を意識していたので、それでよかったと思っています。 編: 拡張ディスク「アルタナの神兵」についてですが、改めて基本コンセプトを教えてください。 小川氏: 「アルタナ」は“水晶大戦”がメインです。これをゲーム的に表現した「カンパニエ」は、敷居自体は「アトルガン」同様低いですけど、フィールド上のバトルとしては割と高レベル向けです。低レベルの方には街で発行される「カンパニエops」と呼ばれるミッションに非戦闘のものなどを用意して、幅広いレベル帯に対応した遊びを提供できればと思います。 編: 田中さんは現時点で「アルタナの神兵」に対してどのような評価をしていますか? 田中弘道氏: 評価ってユーザーの皆さんからこれからいただくものなので、僕らがどうこうというのじゃないですが、「アルタナ」でさらに遊びの幅が広がると思います。「カンパニエ」は非常に大規模で、どういう風にユーザーさんに遊んでもらえるのか、まだまだこちらも作り足りていない部分もありますしね。 編: プロデューサーとしての基本方針はカンパニエのような大規模バトルをもう一度やろうという感じですか? 田中氏: うーん、今回はプロデューサーというよりは現場からどんどんあれもこれもやりたいと動いていってくれているんで、僕は生暖かく見守っているだけと(笑)。 編: 現代から過去に舞台が移るMMORPGというのは非常に珍しいですが、この企画はいつごろ確定したんですか? 田中氏: 昔、「ファイナルファンタジー XI」のVer1.0を最初に作るときに、時代を超えてユーザーが分け隔てられるネタ自体はあったんです。それはもうぜんぜん違うものとして考えられていたんですが、さすがにMMORPGで行き来できない2つの世界にユーザーを分けてしまうのもどうなんだろう、ということでそれは没になったんですけどね。 岩尾賢一氏: 今回の拡張版の開発開始当初は、世界を空間的に横に広げるだけでなく、時間的に縦にも広げてシナリオに奥行きを持たせるのもよいかもしれない、という方向性が確かにありました。 編: 次の拡張ディスクでは、ヴァナ・ディールのどの方面が拡張されるんだろうと予測していたユーザーさんは多かったと思いますが、その裏を突いてみようという意図もあったんですか? 岩尾氏: 裏というより、ユーザーさんに遊んでいただきたい世界の選択ですね。ほかにもオーク帝国の本土とされる闇に閉ざされた北方世界やテンゼン、ゲッショーの故郷である神秘的な東方世界、ミスラたちの本国であるエスニックな南方世界という、空間的な横軸の候補があり、そちらも制作者としてはとても魅力的だったのですが、今回はさまざまな観点より、あえて時間的な横軸の候補を採りました。 編: 今回は過去の世界ということですが、対象レベルはどれぐらいを考えていますか。 松井氏: フィールドに配置されているモンスターは30から上で配置されています。最初からフルに遊びたければ、もちろん高レベルのほうが全要素遊べると思います。あとはこれを機会にはじめようというプレイヤーがちょっとやればこっちに来れてという部分は必要だろうということで、バランス的にはレベル1から受けられるミッションもありますけど、モンスターのほうが30からという形にさせていただきました。 編: 「アトルガン」ではフィールドモンスターをレベル50以上を対象していましたよね。 小川氏: そうですね。「アルタナミッション」という縦軸がありますけど、そちらは30より上、50以上くらいだと思います。 編: 今回、過去の世界でどのようにストーリーを紡ぐのかに興味があります。 小川氏: 現時点ではネタバレになってしまうので話すところが難しい部分はあるんですけどね(笑)。皆さんから「どのぐらいで過去の世界に行けるようになるのか」と聞かれることが多いんですが、それはわりと導入初期に行けますし、ユーザーの行動しだいではあちこちで現代とつながるという。そのあたりは心配しなくても大丈夫です。 編: 昨日、イラストが発表されたネコのようなキャラクタがいました。TGSで公開されたプロモーションムービーの中でもナイトの隣に居て、共にアトモスを眺めていますよね。あのキーパーソンが「アルタナ」で重要な役割を担うと考えていいですか? 小川氏: そのあたりはミッションを進めていただければ明らかになりますんで(笑)。現時点ではノーコメントということで。 編: ストーリーの展開のさせ方ですが、やはりアルタナミッションを軸にという形になるわけですか? 小川氏: スタート時点ではそうですね。そこから三国に派生して行くという流れもあります。 編: ということは、国別に3本の派生シナリオがあるということですか? 小川氏: ミッションという形はとっていないんですが、各国別のクエストを進めることでアルタナミッションが進んで行くという形になっています。これは「カンパニops」とは別の形でです。 岩尾氏: 原点、つまり三国ミッションの頃に回帰するという意味を暗に持たせました。冒険者のみなさんの原点であり、「XI」の原点でもある、いわば三国の物語の過去版なのです。 編: 今回、新規の街はありますか? 小川氏: 今回、三国以外に街はありませんが、冒険者が利用できる施設というのはあります。例えば、現代にもガルレージュ要塞というのがありますが、あれが過去にもあって、過去ではサンドリア軍が使用しているような状態です。モンスターも奥に行けばもちろん存在しますけどね。 編: 現在の扱いと過去の扱いというのは大幅に違うみたいですね。 小川氏: 違うところは割と違いますね、特に現代ではモンスターの巣窟となっているようなダンジョンが、過去では人が使用していたりというのは分かりやすい例ですね。 編: セルビナやマウラといった街はどうなっていますか?
小川氏: 過去エリアといっても、現代にあるエリアすべてが過去として再現されているわけではないです。まったく新規のエリアが現代に合った過去エリアをつなぐ形で配置されていますので、セルビナやマウラなどには行けないかもしれませんね。 ■ 踊り子、学者の誕生秘話。サポ踊り子で盾も可能?
権代光俊氏: 踊り子はもともと踊り子として最初から作っているわけではなかったんです。前衛的な時間の流れの中で「闘える回復役が作りたい」と考えて、実際に作っていったときに、これは何のジョブにしようっていう話があり、モーションの人たちと話をして「“踊り”って作れるんですか?」と相談したところ、「たぶん作れますよ」という返事があって、実際に載せてみたら結構イケていたと(笑)。じゃ、こいつを踊り子にしましょうという流れになりました。 もともとジョブを追加するときは、本線としてどんなジョブを作るかを考えるんですけど、そのときにはあまりジョブ名にはこだわらないで役割から考えていくんですね。実際新しいジョブを作る時って、新しい遊びが入ってないと意味がないと思っています。 学者にしても、「アルタナ」を作るにあたって完全な後衛キャラを「アトルガン」で作っていないので、後衛キャラが好きな人もいるだろうなというのもあって、まずは後衛キャラを考えようとなりました。今まで魔法使いは魔法という分野でしか広がりがなかったので、そこにアビリティを加えてみたらどうだろうと考えていきました。 学者は、自分としては“賢者”を意識して作っていったジョブなんですね。それを田中とか小川に持っていって「それは、学者っていう名前がふさわしいんじゃないか?」という提案を受けたので、じゃあ学者にしましょう。ということになりました。 編: 学者は田中さんから提案されたんですか? 権代氏: 小川と岩尾にまず見せて、「やっぱり、賢者っていう名前はちょっとなぁ」というのがみんなの中で引っ掛かり、賢者は上位ジョブという印象がFFの中であるので、田中に相談して「そういうコンセプトで行くなら学者という名前のほうがふさわしいんじゃないか」と、そういう流れで決まりました。 編: 「アトルガン」ではパペットマスター(からくり士)が、実はネクロマンサーとして企画されていたなんて話も伺いましたが、今回はどういう紆余曲折があったんですか? 松井聡彦氏: 「『アルタナ』では時間が絡むから時魔道士を入れて!」と言う意見も多かったんですけど、ヘイストとかスロウを白魔法に振っていることもあって、どうしても時空魔法だけで一本立ちさせられないとかありまして(笑)。 権代氏: あと、風水師も巷では噂されていたようですが、ジョブを作る場合はまず役割を考えるところがあるんで、そちら側はほぼ考えていませんでした。ほかも開発内部では、「バイキング」を作りたいという人もいましたし、ほぼ決まりかけてたジョブだと「ものまね士」もあったんですけど、結局作るにあたってパーティーでの動きがどうなるかを考えると、ほかのパーティーメンバーの動きを制限する可能性がすごい高いんです。「やっぱりそれはよろしくないだろう」と田中に言われたりもしました。 田中氏: ものまね士と青魔道士の差別化が難しいんじゃないかと思ったんです。 編: 今回、踊りに関してはワルツを初めとした複数のバリエーションが用意されていますが、踊りはどのようにして覚えていくんですか? 権代氏: 踊りは、レベルが上がって行くと勝手に覚えるジョブアビリティなんです。踊り子は前に出て闘いながら、ヒールができるという部分が元のコンセプトです。“ステップ”と“フラリッシュ”は、ボツにしたもう一個のジョブでの実装を考えていたんですよ。ただ、踊り子を作るにあたって、一本だけじゃなくもう一つ柱を作りたいなと考えてボツにしたジョブを合体させて、今の形になったんですけどね。 編: 踊り子というと「ファイナルファンタジー V」のイメージが強いですが、“剣の舞”のような変則的なアタッカーとしての役回りも可能なんですか? 権代氏: 自分は設計時点でメリットポイントを考えながらジョブを作るんですけど、特殊なことは後にしようという思いがあったりします。 編: 一方、学者の専用魔法はどういったバリエーション、修得方法を考えているんですか? 権代氏: 今のところ、天候を変化する魔法と強力なスリップの魔法の2種類があります。スリップ魔法は、今までとは違うスリップの入り方をする魔法です。簡単に言えばスリップのタイミングやスリップの量が分かりやすいという感じですが、詳しくは実際に遊んでみてください。効果は絶大だと思います。習得レベルは60より上です。天候の変化とスリップはどちらも8属性分持っていて、周りの天候や曜日とか敵の弱点にあわせて使い分けるような感じです。 岩尾氏: 学者専用魔法の習得はスクロールではなく、「グリモアに追補する1頁」という形を採っています。機能的にはスクロールとおなじものですが。 編: 今回追加の2ジョブ設計に関して、特にこだわった部分というのはどのあたりですか? 権代氏: これは常々思っているんですが、「FF XI」は6人パーティーを組まないと遊びに行けないと言われているところがあって、少人数でも遊びに行けるような工夫をしたいと思っていました。踊り子は3人ぐらいで遊びに行っても、攻撃も回復もできて、サポートジョブにしたときも便利で、自分がタゲをとるために挑発に相当するアビリティも持っていたりとかを考えて作りました。 学者に関しては、もう純粋にアビリティと絡めて爆発力のあるジョブにしていこうと。単純に習得している魔法を見ると、白や黒に劣るんですけど、アビリティと絡めることで同じことをできたり、今までできなかった、例えば“グラビガ”みたいなことができるようになると。 編: 新ジョブはサポートジョブで使っても有用ということですが、実際どのような効果が得られますか? 権代氏: 特に特徴的なのが学者です。“白のグリモア”と“黒のグリモア”を使用すると、スキル上限が上乗せすることができます。例えば、白魔道士の人が自分より強い敵にパライズのような弱体魔法が入りにくい部分があったものが、サポートジョブを学者にして白のグリモアを使うことによってスキルが底上げされて、入りやすくなります。 編: 白黒のグリモアはサポートジョブでも開放されるのは嬉しいですね。 権代氏: ただ、学者のもうひとつのアビリティである「戦術魔道書」といわれている、チャージして使うアビリティのほうは、サポートジョブではあまり使えないとか、チャージ数が増えないといった制限ははあります。 編: 踊り子に関してはいかがでしょう? 権代氏: 少人数で遊ぶときに便利にしたいので、サポートにつけて一瞬タゲを取って欲しい、そういうときのためにサポートジョブでも挑発や、自分にインビジスニークをかけられる、それからある程度までですが回復能力も持っています。 編: となると、挑発相当のアビリティがサポートジョブでも開放されるということは、今後、ナイトのサポートジョブが踊り子になることはありえますか?
権代氏: HNMと闘うときだと、戦士にしたほうがディフェンダーやダブルアタックがあるので便利だと思いますが、ちょっと遊びに行くときは踊り子のほうが便利だなとか、そういう選択肢はあると思います。 ■ カンパニエについて。カンパニエバトルでは敵の本拠地も制圧可能
小川氏: ビシージは一つのエリアでたくさんのモンスターが怒涛のように攻めてきましたが、カンパニエバトルではそういったモンスターの物量とかバラエティさをもっと散らした感じです。いろんなエリアで参加したい人が参加できるように、同時多発的に起こる設計になっています。 あと、ビシージで拘束時間が長いんじゃないかという意見もあったので、そのあたりを任意で止められるようにしています。シグネットのような魔法をかけてもらうんですけど、今日はここまででいいやとなったらNPCに話しかけて精算して経験値なり戦績を得られるようにしています。 「アサルト」と「カンパニエops」ですが、「アサルト」はひとつひとつがミニゲームのような作りだったわけですが、「カンパニエops」はそれよりはもうちょい軽めのものから、指定やバトルを絡めたようなものまで多種多様になっています。今後もバージョンアップでいろいろなものが増えて行きますが、最初は割とベーシックなものを入れています。 編: カンパニエopsの最大参加人数は6人ですか? 小川氏: 今のところ、そんなに大規模なものは入れていませんが、今後拡張するかも知れません。 編: カンパニエバトルは、スクリーンショットが数点公開されていますが、バリエーションというのはどれぐらいあるんでしょう? 岩尾氏: 数十種類ずつある敵部隊と味方部隊の各々の将軍や兵種の相性。そして、様々な戦場(初回では18)の環境の違い。これらによって、数多くのバトルのバリエーションが生まれるものと思います。 編: プレイヤーは三国のいずれかに所属するということですが、18の戦場に自由にアクセスできるわけですか? 小川氏: 基本的に所属国に制限されることはないので、どこに参加してもOKです。ただ、各国の支配状況やどこを支配したいかによって、優先的に選ぶような形になるでしょうね。 編: 「アルタナ連合軍」という大きな枠組みがすでにあるにもかかわらず、三国のいずれかにわざわざ所属させるというのはなにか意図があるんですか? 小川氏: ゲーム的に見れば、ひとつのところに固まってほしくないというのがあります。あとは、それぞれ愛着がある国があると思いますので、そこはプレイヤーの皆様にゆだねようかなと。もともと、アルタナ連合というものの設定も……。 岩尾氏: 連合という名が示すとおり、女神を信奉する各国の軍の緩やかな共同戦線なのです。ですから、一部の指揮系統や軍内用語を統合しているものの、各国の軍が完全に統一組織として機能しているわけではありません。いわば、寄り合い所帯のようなものですね。ですから、ストーリーやシステムの中でも、そうした部分を少々強調しています。お互いに味方同士だけど、ライバル関係にもある、といった感じでしょうか。 編: アルタナ連合軍の総指揮官はどのような人物なんですか? 岩尾氏: 「アルタナの神兵」公開時は、連合軍が結成されて、まだ間もない頃という設定です。そうした地位はまだ設けられていません。それ故の混乱や失敗も、今後のシナリオで描けていけるとよいですね。 編: カンパニエとアルタナミッションの関わりは何かあるんですか? 小川氏: 基本的には切り離していこうと思っています。アトルガンのように、メインミッションと「アサルト」を割と切り離して、ミッションを進めなくても「アサルト」は全部できたりという方法をとっていましたが、それと同じ考え方です。あんまり縛るのもよくないかなと思うので、基本的には切り離しています。 編: 「アルタナツアー」に参加して、リージョンマップを見てみたら、敵の本拠地らしきリージョンがありました。獣人本拠地に攻め込むことはできるんですか? 小川氏: 11月22日時点ではまだできないんですが、後のバージョンアップで攻めることができるようになります。 編: なるほど、それで敵の本拠地はどのような構造になっているんですか? 小川氏: 予定ではそれぞれ、オーク、クゥダフ、ヤグード、現在でいうならダボイとベドーとオズトロヤがベースになったエリアになる予定です。立派になっているところもあれば、ボロになっているところもありますね。まずはその三拠点ですね。 編: 実際攻め入って陥落させるとどうなるんですか? 小川氏: プレイヤーが有利になる状況、例えば専用のカンパニエopsが発生したりとか。1週間単位で状況が変わって行くんですが、ずっと支配を維持するというのは難しいと思いますね。 編: すべてを冒険者が制圧するという完全勝利みたいな設定はあるんですか? 小川氏: 後の企画としては考えていますが、その状態が続くという保証はないですし、そもそもかなり難しいことだと思います。 編: 「FF XI」本編のキーキャラクターである「闇の王」は、「アルタナ」でどういう形で登場するんでしょう?
小川氏: うーん、思いっきりネタバレになるからな(笑)。史実がベースにあるんで、あとは物語が進むにつれて、真実が明らかになって行きます。何らかの形で物語に関わってくると思います。 ■ スカウトNPC、装甲チョコボについて。新武器、新装備はどうなる!?
小川氏: たくさん居ます(笑)。あとはゲームの中で確かめていただきたいです。今まで登場してきたそれなりの年齢のキャラクターの若いころっていうのは当然あります。ネタ自体はかなり出しましたが、そこからかなり厳選しました。あとは常時、開発側でユーザーさんの声を拾っていってという感じですね。 編: NPCによって参戦の仕方に差があるという事ですが、たとえばマートだとどんな感じになるんですか? 小川氏: 彼はひとりで、彼なりの強さで協力してくれるんではないかと思いますね(笑)。 編: チョ・モーイに関しては、あまりバトル方面でのイメージがわきませんが、彼女が仲間になると、自陣営にどのような変化が起こるんでしょう? 岩尾氏: チョ・モーイも、基本的にはバトルの支援で活躍するキャラクタです。ただし、実は彼女、やや特殊な部類の獣使いでして……自分の偏愛する特定の種類のモンスターを率いて参戦し、いろいろなハプニングを巻き起こしていくことになるでしょう。楽しみにしていてください。 編: NPCの行動バリエーションは何種類ぐらいを考えているんですか? 小川氏: NPCの人数分です。初回だと十数人分……。それがバージョンアップによって増えていくという感じですね。 編: 今回、まだ、新装備に関する情報が出てきてませんが、過去世界の新装備とはどのようなものを想定していますか? 小川氏: ないことはないですが、それ以外のところでかなりボリュームがあるので、新装備は戦績で交換するアイテムが多少ある程度ですね。 編: 最近ですと、エンチャントやコンビネーションなど、装備の新しい楽しみを提案されてますが、今回はなにか新しい提案はありますか? 小川氏: エンチャントという意味であれば、連合軍に入隊したときに支給されるスピードアップ系のブーツがありますね。今回移動を便利にしようという話があったので、エンチャント制ではありますけど全員にもらえるチャンスがあります。仮に使い切ってしまっても、安い戦績で常に持っていられるようにしています。 編: つまり、過去の世界は基本的に走れ!ということなんですか? 小川氏: 「アトルガン」の時と同様、初回の実装時ではチョコボは使えませんからね。もちろん今後、出す予定はあります。 編: そのチョコボについてですが、「アルタナ」にはアーマーを装着した騎兵としてのチョコボがいるみたいですが、あれはプレーヤーも乗れるのですか? 小川氏: 今後のお楽しみという感じです。実際NPCが乗って活躍するという場面はあるんですが、将来的にプレイヤーにもとは考えています。いまいろいろ実験をしています(笑)。 岩尾氏: グラフィックス面では、甲冑を装着したチョコボ「装甲チョコボ」が新しく実装されておりまして、すでに街中で登場していますので楽しみにしてください。 編: 乗るだけでなく、さらにバトルまでできると楽しいですよね。 小川氏: 「ジラートの幻影」のパッケージが出たあたりから、皆さんからそういう意見をいただいているんですが、ベースプログラムがそういう風にできてないので、いろいろ実験をしていかないと難しいところです。チャレンジはすでに何回かしていて、何回か失敗してるという状況です。 編: 話を戻しますが、新しい武器は今後追加する予定はあるんですか? アトルガンでも新しいデザインの槍や両手斧が追加されましたよね。 岩尾氏: いまのところはないですね。 権代氏: 過去が舞台なんで難しいんですよね。東方に行ったら東方デザインというわかりやすい流れはありますが、いきなり足してしまうと過去にあって何で今ないの? という話になっちゃうので。なくなった理由を考えなければいけないですし。 岩尾氏: もちろん、おいおい追加は考えていきたいと思ってますよ。 編: コンセプト的にはたとえばどういったものですか? 松井氏: もっと戦争戦争したイメージなんですよね。 編: 現代と矛盾しないようなデザインにしなきゃいけないというのが難しいですよね。 小川氏: その辺は一応考えないといけないんですが、縛られすぎてもいけないので、多少無視しちゃうこともありますね。 岩尾氏: 設定的には、戦争の時代というのは、たとえ、一度の戦闘で消耗してでも、安価で扱いやすい武器が求められる時代だと思っています。そうした時代性を反映した武器を実装していけたらいいですね。デザイン的には、装飾が少なく武骨であるが故のしぶい魅力がある武器。あるいは、その逆で、戦場で目立つことだけを考えた、ド派手な武器とかも、おもしろそうですね。 編: たとえば、初期からある「グレネード」とかまさに役に立っていない武器の代表だと思うんですが、それらを実戦レベルまで引き上げて投入するという感じですか。
岩尾氏: その手のイレギュラーな武器はすでに実装が予定が入っていまして、次回バージョンアップあたりでご紹介できるのではないかと思っております。詳しいことは控えさせていただきますが、「使用法を考えさせる、トリッキーな武器」とだけ明かしておきましょう。新しい武器や技に関しましては「王立騎士団」や「戦闘魔道団」など、各国の軍隊を率いている「将軍」、あるいは「ゲスト」に、今後の展開のヒントが隠されているかもしれませんよ。是非、探してみてください。 ■ 開発ロードマップは未公開の方針。まずは「アトルガン」と「アルタナ」を並行して
田中氏: 前回アレを発表したことで、開発がすごく苦労することになったんですよ(笑)。 Sage Sundi氏: 私はアレは大反対だったんです。ありえないですよ、MMORPGで1年以上先までの開発ロードマップを出すというのは(笑)。 小川氏: 期限を守れるかどうかわからないほど遠い未来の予定を出したらいけないと(笑)。「アトルガン」は割とバージョンアップごとにシステムからまったく新しいコンテンツを追加していってる感じでした。まだ調整し切れてないコンテンツも多少あるので、それをやりつつ「アルタナ」を追加していくという感じですね。 編: アトルガン関連のアップデートが今後も継続されることはすでに発表されていますが、チョコボレースやパンクラティオン以外にどういったアップデートを考えていますか? 小川氏: エインヘリヤルはもう少し手を入れる必要がありますし、ナイズル塔で落ちるこの武器はなんなんだ? みたいなものも残っています。あの100階で取れる武器がどうにかなっていくと思います。まだしばらくアップデートは続けて行くと思います。 編: 次にアルタナ関連ですが、今後のアップデート計画に関して話せる範囲でお願いします。 小川氏: しばらくはカンパニエとミッション、三国のストーリーの追加を中心にやって行く予定です。 松井氏: 今回間に合わなかった残りのジョブの調整については、次のバージョンアップに向けていろいろなリソースを発注していますんで、次回には入れられるはずと思ってます。 権代氏: 今回間に合わなかった最大の原因は自分たちのデータではない部分の、エフェクトなどが間に合わなかったんですね。新パッケージを作るという時点でそちらにリソースを割かれる分、しょうがない面はあります。今は「アルタナ」がリリースにこぎつけたので、今はこっちにリソースを割いてもらっている状況です。 編: 新モンスターもかなり発表されましたが、新しい種としては何種類追加になったんですか? 公開されている9種類で全部ですか? 岩尾氏: まだ発表してないやつもかなりありますね。 編: 基本のペットとしては何種類ぐらい? 小川氏: ズバリは言いにくいですがそんなに多くはないですね。皆さんがペットにできればいいなと思うやつがいくつか出てくると思います。 編: 「アルタナ」世界にもHNMは存在しますか? 小川氏: カンパニエ専用のモンスターとして、すごい強いのがいますが、初回ではそれぐらいですね。その次、以降ではいろいろと考えてはいます。巨大モンスターから獣人であったりとかもろもろ含めてね。 編: マンドラゴラの亜種はこだわりが感じられておもしろいですが、たとえば、ベヒーモスの昔の姿があったりするんですか? 小川氏: グラフィックスとしてどうかはわかりませんが、設定としてはいろいろ考えているみたいです。 編: ヴァナ・ディール世界ではいろんなHNMがいますが、彼らの若いころの姿が見れるということですか? 小川氏: その可能性はかなり高いですね。 編: アトルガンでは、キキルンが特定の条件でいちもくさんに逃げるというユニークな行動を取るモンスターもいました。今回も何か追加されましたか? 松井氏: 行動ではないんですが、今回追加されるピクシーは倒すこともできるんですが、プレーヤーにとってとても良い効果をもたらしてくれます。 編: 良い効果というのは? 松井氏: それは行ってみればすぐにわかると思います。 編: 一定の範囲内に入るとHPが回復するとか?
松井氏: なかなかスルドイ(笑)。楽しみにしていてください。 ■ 気になる既存ジョブの調整ポリシー。両手武器アタッカーは今後どうなる?
権代氏: ステータスの補正の量が多すぎたんで、そういうところを少し絞ろうかなと。ただ、前の状態に戻すわけじゃなくて、以前は片手が強くて両手が弱いといわれて、両手を調整したら今の状況になってしまったので、なるべく両者を同じぐらいにしたいというのがあります。同じといっても状況によってはこの武器のほうが強いという部分は残します。それを抜きにしても前回の調整前の昔の両手武器に比べたらぜんぜん強いですよ。 編: 武器バランスに関しては、基本的に両手と片手の強さはイコールにしたいと? 権代氏: イコールというよりは選択肢をちゃんと用意したいんですね。こういう状況なら片手のほうが有利だから戦士が片手を使う。固い敵だから両手剣を使う。そういう風になって欲しいですね。今はいつでも「両手武器使ったほうが強いぜ」になっちゃったのが失敗でした。 編: 今回18ジョブすべての調整プランを発表されましたが、調整コンセプトというのはどういうものなのでしょう? 権代氏: そのジョブが本来持っているコンセプトを上に伸ばすのではなく、横に選択肢の幅を広げたり、コンセプト通りの動きをしにくい部分をしやすくしたりとか、パーティー内での動きにおいても幅を持たせるという感じです。 松井氏: 弱いといわれているジョブを強くすることは難しくないんですが、強いジョブに対してなにもしないわけにもいかないので、そのときにどうするかというとバリエーションという方向に行かざるをえないかなと。 編: 私は今回“サブ盾アップデート”という印象を持ったんですが。 松井氏: 確かに「盾が足りない」という声も聞こえてくるんですが、忍者が避ける盾、僕らが一生懸命に並べようとしている耐える盾というナイト系があるなかで、ここにもうひとつの新しい別種の盾の要素を入れるのは難しいし、かといって避ける盾や耐える盾をもう1ジョブとして付け加えるのも問題が発生するという状態で、ではどうしようかなと。今回、新しいジョブを加えた時点でまた低レベルで遊ぶことになると思うんですけど、そのレベル帯であれば既存のジョブでも盾をやっていけるんじゃないかなと思いますね。 権代氏: 一番の問題は、レベリングをやろうとしてパーティを組もうとしたときに盾役が足りないという話で、NMをやろうというときに問題になっているわけじゃないと思うんですよね。だからレベリングをやるときのパーティー構成をもう少し柔軟にしてみようというイメージです。 編: 発想としてターゲットを回してダメージを分散させて行こうという原点回帰的な感じで懐かしい気がしたんですが。 権代氏: ターゲットを回そうというより、ある程度補助を受けたらその人が盾役になれるように作っていきたいと。 編: 今回のアップデートで特に力を入れたジョブというのは何ですか? 獣使いが目立っている印象ですが。 権代氏: 前回、無理やりアップデートに間に合わせて中途半端になってしまった狩人や獣使いに、今回はまず手を入れたいと思っていました。あとシーフは両手武器の強化に相まって、役割的に少し立場が弱くなりかけていました。両手武器の再調整でそこは解消されると思いますが、上手くパーティーの敵対心をコントロールするという元々持っているコンセプトを強くするという意味もこめて敵対心をぬすむアビリティを加えました。2時間アビリティとの組み合わせにも使えると思います。あとは白の人がナイズルに行ったときに、動きにくいというのがあるので、白に睡眠の魔法があってもいいんじゃないかと。 編: 狩人の調整がこの数年間とても苦労しているなという印象があるんですが、最終的にはどういった方向性が理想ですか? 権代氏: 弓を打つからには離れて弓を打ってほしいんです。今回通常攻撃は落ちるけど、遠隔攻撃が強くなるというスタイルになってます。今みたいに殴りながら打つよりも、アビリティを使って適正な距離から適正な武器で打ったほうが効果が高いという。 編: 今回のアップデートで、まさにそれを狙ったアビリティが追加されますが、狩人の調整は一通り完了という感じですか? 権代氏: 実際に見てみないとなんともいえません。ベースで見ても新しい装備が入ったりで、バランスはすぐに変わってしまうので、ジョブは常にバランスを見続けることになります。
松井氏: 両手武器はいきなりやりすぎてしまいましたけど、基本的にはある目標値に対してこれぐらいまでどうだろうかという感じで、ちょっとずつ目標に近づけていく感じにしています。狩人にしろ、獣使いにしろ、白魔道士にしろ、これで終わりということはありません。まずはこのへんで様子を見たいという感じです。 ■ 「アルタナ」ではユーザー登録は万全の体制。過去世界への道のりは「レベル1でジュノを目指すイメージ」
田中氏: 前回は本当にイレギュラーだったんですよ。長年問題が起こっていなかった部分で不思議なことになって、本来だったら流れるはずのものが流れなかったと。原因は明確に分かったんで、今回は通常の体制に戻して、トラブルが起こらないようにテストをしているので、大丈夫だと思います。 前回は負荷試験がちょっと甘かったという感じですね。自社の認証システム部分があって、社外システムによる認証先の相手があって、その間での不整合が発生していたと。それの反省もあって、この1年間ですべてシステムを自社製に切り替えたんです。だから、今回は大丈夫だと思ってます。実際にやってみないとこればっかりはわかりませんけどね。 編: 以前、サーバー構成を全部入れ替えたという話をされていましたが、それは「アルタナ」での登録不具合を防ぐ目的もあるわけですか? 田中氏: いや、関係ないですね。今回はゲームサーバー側だけの話でして、メーカーのサポート打ち切りもあったので今まで使っていたSolarisのシステムを、「アルタナ」で拡張されるものもしっかりさばけるように、このタイミングで最新のサーバー機器に全部入れ替えました。認証システムの話でいうと、以前は半分内製、半分外製でしたが、去年その事件があったときから、すべて内製にしました。 Sundi氏: 「アトルガン」のときに一部切り替えが始まってという感じですね。最初にヨーロッパ、次に北米、日本と課金決済系の認証システムを入れ替えて、1年ほど前の時点ですべて新しいものに変わっています。ゲームサーバーとは別の形で進んで行きましたね。ゲームサーバーは長期仕様によるハードウェア故障により、ごくまれにゾーンがリスタートかかったりしましたが、これは台数を考えると頻度としては減っているわけです。どちらにしても両方ともが以前に比べたら改善されています。 編: いよいよ11月22日に発売されるわけですが、その時点で開放されるコンテンツ、開放されないコンテンツ、あれば教えてください。発表している内容はすべて遊べると考えてよろしいですか? 小川氏: 「スカウト」だけ若干お時間をいただくことになりましたが、他は遊んでいただけると思います。 編: ユーザーさんには初動の段階でどういう遊び方をして欲しいと考えていますか? 小川氏: まずは過去に行ってもらわないと話になりませんよね(笑)。過去に行くこと自体は簡単なんですけど、過去について街にたどり着くまでが厳しいかもしれないです。それはアサルト入隊より若干ハードです。たどり着いてさえしまえばあとは大丈夫だと思いますが。 編: それなりのパーティーでいかないと厳しいという感じですか。 小川氏: まぁアイテムとかいろいろありますから、イメージで言えばレベル1でジュノを目指すのに似たようなイメージかなと思います。見知ったエリアであったとしても同じ方法で抜けられるとは限らないので、そこらへんが肝かなと。 編: 同系のモンスターでも現在と過去で行動パターンが変化しているわけですか? 松井氏: 行動の基本的な部分は変わっていないです。毎回毎回少しずつ変なことをするように担当は考えているし、発注を受けてもいるんで、そういう作業をしています。今回も結構今までになかった仕組みのモンスターが何体もいますんで、楽しみにして欲しいですね。モンスターが楽しいということはプレイヤーにとっては悲鳴を上げたい状況になるのかもしれませんけど(笑)。 編: 最後に、お一人ずつ今回の「アルタナの神兵」に向けた意気込みとユーザーさんに対するメッセージをお願いします。 松井氏: 「アルタナの神兵」で全ジョブに対して要素を追加しますよと約束しながら、全ジョブに対して追加できなかった事が自分としては一番悔いが残る部分です。次のバージョンアップまでには間に合わせますので、皆さんちょっと待ってくださいね。 権代氏: 自分もまったく同じですね。データ的に作り始めていたのが間に合わなかったのが悔しいです。自分は新ジョブ2つを新しく作りました。「アトルガン」のときはメインジョブとして使われることを一番に意識して作ったんですけど、今回はそれを踏まえてサポートジョブでも有用なものを作ったので、メインとしてだけではなく、サポートジョブとして使いたいという人もレベルを上げてくれるといいかなと。 小川氏: 今回過去に行って、見知ったエリアなんだけど自分の思っているものと違うという部分に戸惑いながらも冒険心を持って行動していただければと思います。 田中氏: 新しいジョブも、過去の世界もそうですが、また新しい遊び方ができるので、それで遊びの幅が広がればなと。あと、20日のバージョンアップはWindows版で100MBを越えているので、ダウンロードが大変かもしれないです。混んでいたら少し時間をおいてお願いします。 岩尾氏: 「バック・トゥ・ザ・フューチャー」のような、比較的近い時代へのタイムスリップものの醍醐味って、自分の知ってる世界なんだけど、ちょこちょこと違っている、間違い探しのようなところだと思うんですね。ですから、この場所、よく見ると現代と違って過去では……とか、この人物、現代ではこうだけど、過去では実は……とか、細かい違いを探しながら楽しんでいただけたら、うれしいですね。
Sundi氏: 開発チームはここまでが大変だったと思うんですが、私はここからが大変なことになります(笑)。あと欧州のGMセンターが近日オープンしますので、これからもがんばっていきます。 (C)2002-2007 SQUARE ENIX CO.,LTD All Rights Reserved.
□スクウェア・エニックスのホームページ (2007年11月21日) [Reported by 中村聖司 Photo by 戸塚直太郎]
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