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ガンホー、株主向けに事業戦略説明会を開催
総合コミュニテインメントポータル「ガンホーゲームズ」今夏サービス開始

3月30日開催

会場:パレスホテル

 ガンホー・オンライン・エンターテイメント株式会社は、3月30日、都内ホテルにて大阪ヘラクレス市場への株式上場後初めてとなる株主総会を開催した。株主総会後には株主を対象にした事業戦略説明会も行なわれ、株式会社ジー・モードとの合弁会社ガンホー・モードの中核ビジネスとして、総合エンターテインメントポータルサイト「ガンホーゲームズ」を今年夏にサービスインすることなどを明らかにした。株主総会については異例なことにプレスの立ち入りを完全規制していたため、後半の事業戦略説明会の模様のみをお伝えする。


■ 「グランディアオンライン」、「北斗の拳オンライン」は年内にサービスイン

株主総会に続いて事業戦略の説明を行なったガンホー代表取締役社長 森下一喜氏
ガンホーグループの事業戦略図。基本的にAOGCで公開したスライドと同じ。新しいビジネスとしては「ガンホーモード」のメディア事業による広告収入モデル
 事業戦略の説明を行なったのはガンホー代表取締役社長 森下一喜氏。壇上には、質疑応答に答えるため、森下氏のほか代表取締役会長 孫泰蔵氏、取締役開発本部長 堀誠一氏、取締役経営企画本部長 松阪洋氏、取締役管理本部長 坂井一也氏など計7名の役員および責任者が登壇した。株主総会から一部出席者が変わっており、取締役の宮内謙氏と3名の監査役に変わって、新任の取締役であるマーケティング本部長 北村佳紀氏とカスタマーサポート本部長 広田知哉氏が新たに加わっている。

 森下氏の説明は、基本的に今年2月に開催されたアジアオンラインゲームカンファレンス2006のキーノートスピーチの内容をベースにしつつ、特に株主向けの説明ということで、さらに経産省や野村総研、電通総研が出した客観的な未来予測データを織り込みつつ、現況は全面的にガンホーにとって追い風で、マーケットトレンドも歓迎すべき状況が到来しつつあり、今後も成長的収益拡大が見込めることを報告した。

 今年の事業戦略は大別して3つのセグメントにわかれており、1つ目がオリジナルタイトル展開。これは著作権の確保、海外展開などによる収益機会の増大などが主な狙いで、この背景には昨年連結子会社化したゲームアーツを開発スタジオ化できたことが大きい。現在、ゲームアーツでは、ガンホーと共同で「グランディアオンライン」、「北斗の拳オンライン(仮)」を開発しており、共に年内のサービスインを見込んでいる。

 「グランディアオンライン」については、早ければ春、遅くとも梅雨時期には正式サービスに向けて本格始動を開始するものと見られるが、「北斗の拳オンライン(仮)」については、現時点でゲーム画面はおろかコピーライトすら定まっていない段階であり、オンラインゲームビジネスの常識から考えて「2006年内サービスイン」は極めてきわどいラインだ。

 ガンホー初のオリジナルタイトルである「エミル・クロニクル・オンライン」については、海外向けライセンスを保有する韓国Gravityを介し、シンガポールのInfocomm Asia Holdingsと、東南アジアおよびオセアニア8カ国でのサービス開始に向けて交渉を進めている段階だという。

 なお、「グランディアオンライン」と「北斗の拳オンライン(仮)」についても、海外展開を前提に開発が進められているようで、共に原作とストーリーがあり、一定のファン層を抱えていることから、日本やアジア圏のみならず、欧米での展開も考えているようだ。質疑応答では、森下氏から今年5月にロサンゼルスで開催されるE3で商談を進める意志も明らかにされた。

 2つ目は「ワンソースマルチユース戦略」。これもオリジナルタイトル展開と並んでゲームメーカーによく見られる展開のひとつだが、ブロッコリーやジー・モードとの業務提携をベースに、グッズやフィギュアといったマーチャンダイズ、モバイルプラットフォームへのマルチ展開、出版事業、eコマース(オンラインショップ)などを展開していく方針としている。

 3つ目が森下氏が「ガンホーグループの中心的役割を担う」と紹介した「ポータル事業展開」となる。これはジー・モードとの合弁会社ガンホー・モードが今夏より正式サービスを開始するポータルサイト「ガンホーゲームズ」を指している。

登壇した出席者。左から順に取締役管理本部長 坂井一也氏、取締役経営企画本部長 松阪洋氏、代表取締役会長 孫泰蔵氏、代表取締役社長 森下一喜氏、取締役開発本部長 堀誠一氏、取締役マーケティング本部長 北村佳紀氏、カスタマーサポート本部長 広田知哉氏


■ ガンホーグループの中核事業「ガンホーゲームズ」

「ガンホーゲームズ」のイメージデザイン。比較的オーソドックスなデザインだが、このイメージではコミュニティ部分がどうなるのかはまだわからない
「ガンホーゲームズ」で提供される右脳系カジュアルゲーム。エデュテイメント系も重視しているところが比較的新しい
 森下氏はガンホーゲームズを“総合コミュニテインメントポータル”と定義し、ゲームコンテンツのみならず、映像、音楽、アバター、コミュニティ、eコマース、SNS、広告などを展開していくと抱負を語った。次の段階では、ナンバーワンの滞在時間を誇るコミュニテイメントメディアとなり、最終的には「グローバルなマスメディア」を目指すという。まさにガンホーグループの今後のビジネスの柱となる壮大な構想である。

 現時点で確定している「ガンホーゲームズ」の概略を説明すると、まず初夏の段階では、ゲーム、アバター、コミュニティの3つのサービスを開放し、順次機能を拡大させていく。サービスを利用するためにはガンホーIDが必要で、すでにガンホーIDを所有しているユーザーは新たな手続きなしでサービスを利用できる。逆にジー・モードの会員は、利用キャリアにかかわらず、新たにガンホーIDを取得する必要がある。仮にガンホーとジー・モードの会員それぞれをユニーク数として換算した場合、すでに230万人相当のユーザーを抱えていることになる。これは大きな強味だろう。

 イメージデザインを見る限りでは、汎用ゲームポータルらしい外見を備えているが、提供ゲームコンテンツは、ガンホーグループ(ガンホー、ガンホー・モード、ゲームアーツ、ジー・モード、ブロッコリー、その他新規事業提携先)に限定する方針で、既存のガンホー公式サイトとの差別化については現在調整中としている。また、対応プラットフォームはPCのみで、順次モバイル(携帯端末)、次世代機へと広げていく。

 初夏に提供が開始される3つのサービスの概要を紹介すると、まず、ゲームサービスについては、ガンホーグループのゲームコンテンツに加え、PC向けのカジュアルゲームも新たに複数が提供される。カジュアルゲームの開発はジー・モードが担当しており、ビジネスモデルについては未定となっている。

 アバターサービスは、いわゆるコミュニティの分身としてのアバターと、そのオシャレアイテムの販売に加えて、ゲーム内アイテム(おしゃれ着、レア装備、レアカラーなど)の販売というニュアンスも含んでいる。現在、期間限定(3月31日まで)でオープンしているガンホーオンラインショップは、いわばそのテストモデルであり、ガンホーゲームズでは現在提供されているサービスの発展型が提供されると考えて良いだろう。

 コミュニティサービスについては、「ユーザーの趣味・嗜好に沿った情報配信」、「ユーザーカスタマイズ機能」、「ブログ機能(ブログ作製、コメント、画像掲載機能)」、「ゲームイベント開催、スケジュール管理機能」などとしており、具体的なデモンストレーションなどは行なわれなかった。

 最後に森下氏は、2006年リリース予定タイトルとして、「グランディアオンライン」、「北斗の拳オンライン(仮)」、「エクストリーム・サッカー」の3本を取り上げた。いずれも具体的なサービススケジュールについては言及しなかったが、同社の中核事業であるオンラインゲームの配信に今後も力を入れていくことをアピール。ガンホーゲームズが予定通りに初夏にサービスが始まり、さらにこれら3タイトルも年内にサービスインするということになれば、今年は2005年度以上に激動の1年になりそうである。

 株主に対してアピールしたこれら努力目標がきちんと達成できるかどうか、オンラインゲーム時代のゲームプロデューサーである堀誠一氏が「グランディアオンライン」で何を見せてくれるのか、ガンホーゲームズの新世代のコミュニティサービスとは何なのか。これらが今年すべて明らかになる。引き続き今後の展開に注目したいところだ。

「ガンホーゲームズ」のビジネスモデルと、ガンホーが2006年にリリース予定のオンラインゲーム。

【質疑応答】
質疑応答では、株主のガンホーに対して期待を寄せるコメントが相次いだ。年配男性からは「オンラインゲームがどういうものかわからない」と言われ、森下氏は苦笑しながら即席オンラインゲーム講座を行なった。孫会長は「信念を持って事業を行なっている」と自説を披露し、株主は満足を得たようだった。カスタマーサポート本部長 広田知哉氏からは、なりすまし行為対策について「ログイン時に本人のみがわかる画像承認のプロセスを加える」とコメントした直後に、森下氏が「なりすまし行為の実例は現在のところ確認されていない」と付け加える一幕も

【「ガンホーゲームズ」のカジュアルゲーム】
カジュアルゲームのジャンルは、いまのところアクション系、パズル系、右脳系の3つが確認できる。開発は携帯コンテンツの開発に豊富なノウハウを持つジー・モードが担当しているだけあってシンプルでわかりやすく、女性や子供にもすんなり受け入れられそうである

(c)2006 GungHo Online Entertainment, Inc. All Rights Reserved.

□ガンホー・オンライン・エンターテイメントのホームページ
http://www.gungho.jp
□ガンホー・モードのホームページ
http://www.gunghomode.jp
□関連情報
【2006年2月9日】BBA、アジアオンラインゲームカンファレンス2006を開催
ガンホー森下氏の基調講演はゲーム産業のパラダイムシフトを強調
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20060209/aogc_01.htm
【2006年2月10日】ガンホー堀氏、次世代のゲームマネジメント構想を紹介
ソフトウェアプラットフォーム構想とそれに向けた取り組みとは?
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20060210/aogc_04.htm
【2065年1月18日】ガンホー代表取締役社長森下一喜氏インタビュー
ガンホー・モードとは何か? ガンホーグループの2006年の展望を聞く
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20060118/gungho.htm
【2006年1月24日】ガンホー取締役開発本部長 堀誠一氏インタビュー
「俺たちの」ソフトウェアプラットフォーム構想とは?
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20060124/gunghori.htm
【2005年7月25日】ガンホーとジー・モード、資本提携に関する共同戦略説明会を開催
両社コンテンツを対象にしたゲームポータルビジネスを共同展開
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20050725/gungho.htm

(2006年3月30日)

[Reported by 中村聖司]



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