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会場:帝国ホテル
今回の両社間の業務提携の内容をかいつまんで紹介すると、ジー・モードが7月21日に実施した第三者割当増資の全株(22,467株)をガンホーが引き受け、発行済み株式総数の19.9%を占める筆頭株主となり、共同事業を実施するための提携委員会を設立。主要共同事業の一環として両社が共同出資する合弁会社を10月末を目処に設立する、というもの。 合弁会社の事業内容については、インターネット上の総合エンターテインメントポータルサイト、いわゆるゲームポータルの運営と、携帯電話やPCを主対象としたゲームコンテンツの新規開発などを挙げている。すでにガンホーとジー・モード宮地武氏の実兄である宮地洋一氏が代表取締役社長を務めるゲームアーツとはすでに提携関係にあり、今回の業務提携により、3社の間で強力なトライアングルが成立したことになる。 説明会では、まず最初にガンホー森下氏が登壇し、両社の共同戦略の目的について紹介した。森下氏は、両社のこれまでの取り組みを簡単に紹介した後、「オンラインゲームナンバーワンカンパニーのガンホーと、携帯コンテンツナンバーワンカンパニーのジー・モードが提携することは、M&Aとして理想的なタイアップである」と自画自賛したあと、「オンラインゲームとケータイゲームの融合により、両社の企業価値を高め、新たな価値を提供できる」と業務提携のメリットを強調した。 ガンホーとしては、合弁会社設立を機に、ワンソースマルチユース戦略を積極的に推し進め、共に100万人を超える顧客を持つメーカー同士がタッグを組むことで、会員母数の極大化と顧客単価の向上を狙い、安定した収益基盤の確立を目指していく。 森下氏はモデルケースとして、「ラグナロクモバイル」を取り上げ、携帯コンテンツで稼いだお金を、PC向けMMORPG「ラグナロクオンライン」に転送して利用できるという例を紹介。ただ、説明会に参加していたアナリスト、投資家は、実際のゲームを知らないためか、理解度はいまひとつだったようだ。我々ゲームメディアとしても、チャネルの増大が即顧客単価の向上や収益の安定化に結びつくかというと懐疑的にならざるを得ない。いずれにしても、やはり具体的なビジネスプランの発表が先だろう。 合弁会社については、主要事業のひとつであるゲームポータル運営を取り上げ、両社が目指すゲームポータルのあり方の一例として、「Stay Time」を最大の価値判断基準にするという。つまり、ページビューやユニークユーザー数ではなく、滞在時間の長さこそが、収益機会の向上に結びつくという考え方である。 合弁会社が運営するゲームポータルは、単にゲームコンテンツが軒を連ねるポータルサイトではなく、将来的にはさまざまなエンターテインメント企業との提携や買収をテコに、インターネットを介した強大なメディアになることを最大の目標に掲げている。 森下氏に続いて壇上に上がった宮路氏は、「すべてのネットワークデバイスでデジタルエンターテインメントを提供していく」と抱負を述べ、今回の業務提携により、コンテンツの提供先を、携帯のみに留めず、PCやTVにも広めていくという壮大なプランを紹介。 合弁会社の設立については、携帯コンテンツが、電車での移動時や待ち合わせの時間など、すきまの時間に楽しめるエンターテインメントという特性を紹介。宮地氏によれば、拘束時間の長いオンラインゲームと、すきまエンターテインメントの携帯ゲームを同一ポータル内で取り扱うことにより、「もっとゲームが楽しめるようになる」という。PCプラットフォームと携帯プラットフォームの雄がタッグを組むことにより、どのようなエンターテインメントが創造されるのかが注目されるところである。 今回の発表で個人的に印象に残ったのは、両社の合弁会社に関する微妙な温度差である。ゲームポータルスタート後の、既存サイトの取り扱いについて、ガンホーは“併存”、ジー・モードは“統合”としている。対象プラットフォームについても、ガンホーはPC、携帯、家庭用ゲーム機といったゲームプラットフォームにこだわっていたのに対し、ジー・モードは、TV、iPod、HDDレコーダーなどなど、確定事項ではないとはいえ、ゲームプラットフォーム以外のデバイスにまで関心を示している。
これは、ガンホーの業務がオンラインゲームの運営開発、つまり純粋なゲームメーカーであるのに対し、ジー・モードは多種多様な携帯コンテンツを取りまとめて各キャリアへ配信していくコンテンツプロバイダーという立脚点の違いから出たものと見られる。離合集散が進むゲーム業界において、今回の両社の業務提携が、オンラインゲーム市場にどのような変化をもたらすのか、大いに注目されるところだ。
□ガンホー・オンライン・エンターテイメントのホームページ (2005年7月25日) [Reported by 中村聖司]
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