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★PCゲームレビュー★
クローズドβテストに引き続き、ついにオープンβテストが始まった「リネージュII」。提供するNCジャパンの予想をはるかに上回る盛況になり、多少混乱も見られるスタートとなった。今回はそのオープンβの状況と、追加された要素を紹介したい。 ■大盛況と大混乱の幕開け
クライアントのアップデートサーバーも負荷が集中、ソフトが動く状態になっても、今度は6台のサーバーすべての状況が「混雑」表示でサーバーに入れない、さらに入れたとしてもスタート地点に人がたくさんで、移動すらままならないという状況だった。 これらの状態は、メーカー側に批判的意見を向けてしまう状況ではあるが、「リネージュII」の注目度の高さをまざまざと見せつけられた結果であるともいえる。このゲームが要求するパソコンのスペックは決して低くない。それでもこれだけのユーザーがこのゲームのプレイを望んでいる。もちろん、テストのために「無料」という要素も強いのだろうが、「ウルティマオンライン」から日本のオンラインゲームを見てきた筆者には、ちょっとした感慨がわき上がってくるものがあった。 筆者はプレイする場所を「Open Beta 3」にする事にした。偶然にも、もっとも混雑していると言われるサーバーであった。そのおかげでかなりユニークな体験ができた気もする。まず、最初の日はあまりのユーザーの集中のためか、キャラクタが縦方向に“飛んで”しまうという状況を体験した。
筆者がはじめたキャラクタはダークエルフで、その村は山の中をくりぬいた洞窟にある。しかし、突然キャラクタが山の上に出現してしまったのだ。もちろんこの場所はキャラクタが歩く場所として想定されていない。1度目は歩いて脱出することができ、空中歩行という非常に貴重な体験をした。しかし、2度目の時はGMを呼ぶしかなくなってしまった。 ■プレーヤー達のものすごい成長スピードに驚かされる 前回、クローズドβテストの時は筆者はヒューマンの魔法使いをクレリックに転職させるレベル20まで成長させたのだが、今回はダークエルフのファイターをメインキャラクタとして使用してみた。クローズドβテストの経験もあり、2月22日の時点でレベル17と順調といえる成長スピードだ。 あくまで個人的な感想だが、本作はレベルが上がりにくいと感じたゲームである。筆者のプレイにも問題があるのかもしれないが、もうちょっと楽に成長させてくれてもなあ、と感じる部分がある。 ダークエルフの特徴としては高い攻撃力と、いざとなれば敵を引き離せる足の速さがある。各種族の能力には一長一短があり、プレイスタイルに密接にかかわってくる。美男美女ばかりの「リネージュII」は、そのグラフィックも魅力だが、戦い方によっても自分に合うキャラクタを探してみるのも有効だと思う。筆者にとってクレリックよりファイターがの方がずっとプレイしやすいと感じたのは、ちょっとした驚きだった。ゲームの印象そのものも、少し変化した。 効率のいい成長を目指して、常にクエストとの併用も心がけた。各種族のスタート地点となる村にはさまざまなクエストがあり、ダークエルフの場合にはキノコの胞子を集めるクエストが、お金を得るのに有効な手段だった。競争率は高かったが、それなりにお金を貯め、装備の更新もスムースにできた。ネットには有用な情報が数多く散らばっている。それを調べることで、有効な成長を目指すことができる。“おいしい”クエストをつねにやっておくのは基本の作戦だ。 レベルが15をこえたあたりから、ソロプレイがちょっと大変になってきたという感触がある。敵を倒すにはMPを消費する“スキル技”が必要となってくるうえ、ダークエルフはもともと打たれ弱い種族なので、HP、MPを回復させるため休む時間が多くなりがちである。筆者的には魔法使いを回復役に頼む「ペアでの狩り」が効率良く感じた。 もっとも、戦闘に限れば戦士2人にバックアップ1人というのがやりやすいが、得られる経験値が減ってしまう。これはフィールドでの狩りの話で、ダンジョンではモンスターの再出現スピードが非常に速いこともあり、多人数での狩りが有効である。パーティーの人数が多ければ経験値ボーナスが増える。9人という最大人数で、強い敵を狩りまくるのも良いだろう。また、ソロプレイの方が気軽だ、という人もいるだろうし、実際このゲームではソロプレイにこだわることも可能だ。さまざまな方法をプレーヤーごとに模索していきたい。 筆者の17レベルという成長速度は、そう遅いものではないが、決して速くない。なによりも、高レベルのプレーヤー達の成長速度、そして資金の潤沢さは真に驚くべきものがある。筆者が1万アデナ(このゲームでのお金の単位)を貯めるのに必死の思いをしている時に、平気で数十万アデナの物品を売り買いしているのだ。本作ではキャラクタを座らせ「露店」を開くことができるのだが、筆者にはとても買えないものばかり。 話を聞いてみると、「グルーディオ城の村」の「不吉なコレクター」というクエストが人気が高いらしい。このクエストで稼ぎまくって装備を充実させているプレーヤーが多いとのことだ。行商をしているプレーヤーも多い。例えばダークエルフの村にはキャラクタを復活させるスクロールは売っていない。ちょっと高価でも、ダンジョンのそばで数を売れば……。そう考えて近くのダンジョン、「黒魔術研究所」で販売をしているプレーヤーもいる。また、「ギラン城の村」は他の地域より1割ほど武器の価格が安いという。遠距離を移動して、仕入れてきた商品を売っているプレーヤーもいる。 高レベルのプレーヤーは既に転職クエストも完了し、20代後半のレベルでパーティーを結成、来る人達の少ないダンジョンなどの狩り場で、ガンガン稼いでいる。大陸の中央部に位置するグルーディオ城の村は、レベル20代の人が集う村だが、日に日に人が増えている。ここ数日でクローズドβテストの頃を思わせる大盛況になっていて、高レベルのプレーヤーの数の多さを体感させる。今はまだ人の少ない危険な狩り場の拠点となる街も、すぐに賑わっていくだろう。 キャラクタの移動といえば、特にドワーフやオークのキャラクタの移動が激しい。ドワーフは選べるキャラクタは戦士のみだし、オークの魔法使いは治療系の魔法がないため、回復役の魔法使いとの冒険を求めて、エルフやダークエルフの村、ヒューマンの村である「話せる島の村」に移動する人達が多いのだ。ドワーフの場合、3,000アデナで大陸中央までキャラクタをテレポートさせてくれる“ゲートキーパー”を利用できるため、早々とお金を貯めてこちらを拠点にしてしまう人も多いという。 また、種族的に人気の高いヒューマンはそのプレーヤーの多さのため、話せる島での狩りが窮屈らしく、初期の頃からエルフやダークエルフの村に移住する人も多い。故郷を離れた場所、姿の違う種族に囲まれた中で、頑張って戦っている彼らの姿はロールプレイ的な視点も加わって、ちょっとかっこいい。 新要素を既に体験しているプレーヤーもいる。「グルーディン村」に“ペット管理人 マーティン”というNPCがオープンβテストで新しく登場している。彼のクエストを遂行することで、「ウルフ」を飼うことができるようになるのである。プレーヤーのパートナーとして戦いをサポートしてくれるキャラクタだが、飼い慣らしておくには餌が必要となる。 この餌はマーティンしか売っていないため、入手が少し面倒である。早速この餌を離れたところで売っているプレーヤーもいて、商魂のたくましさに唸らされた。さまざまなプレーヤーが、多彩なプレイスタイルで既にこの世界で生活している。 プレーヤー達は、転職に関わるNPCが多数いるグルーディオ城の村にいったん集まってから、自分たちのレベルや、冒険の目的に合わせてさまざまな地域に散らばっていくことになる。サーバーごとで違いもできるかもしれない。これからこの世界がどういった状況になっていくかは、筆者にはとても興味深い。
■新名所無謀探索ツアー
このため、新しい場所は強くなったキャラクタのための戦場であるところがほとんどで、とても筆者の弱いキャラクタで踏み込める場所ではない。なにしろ、北東の地域につながる道、「死の回廊」ですら、適性レベルは30という話なのだから、なかなかたどり着ける場所ではない。 この地域とは別に増えた場所も多数ある。プレーヤー達が最も最初に訪れることのできる新しい場所は、グルーディン村から南に下ったところにある「忘れられた神殿」であろう。ここに挑戦しようとする人に話を聞いたところ、適性レベルはレベル23くらいからとのことだ。 ここは、大きな傾斜の洞窟を下った後、山をくりぬかれたダンジョンが広がっている場所。入り口近くにはスケルトンやリザードマンがいた。筆者のキャラクタはいきなりモンスターに捕まって倒されてしまったため、ほとんど中が見れなかったが、奇妙な壁画や、蕩々と流れる噴水など、神秘的な雰囲気を持った場所である。1次転職をしたパーティーで、是非とも挑戦してみたい。 そして、いよいよ死の回廊から先に広がる世界に触れたいと思う。雄々しく移動速度向上ポーションを複数買い込み、ダークエルフならではの足の速さを使ってモンスターから逃げ切ろうとしたが、ふと、ゲートキーパーが目に入った。ギラン城の村のゲートキーパーは、9,000アデナで死の回廊の向こうの世界、「猟師の村」に連れていってくれる。「オーレン城の村」にはもうちょっとお金がかかる。ここは、確実性にかけてみた。死んでしまうと経験値を失ってしまい、気分的にもきつい。前述したように、このゲームはレベル上げが非常にきつく、できるだけ無駄死には避けたいと思ったからだ。 ゲートキーパーを利用する方法で筆者が最初に訪れたのは猟師の村。村の先に広がる「フェアリーの谷」の獲物を求めて、冒険者達が作った村だという。山肌に無理矢理家を建てたような場所だが、深い谷に釣り橋がかかっていたりして、どこか荒涼とした美しさがある。戦士系の転職を可能にするNPCも確認できた。ここでの転職はもちろん2次転職、40レベルのキャラクタが対象で、筆者のキャラクタは全くお呼びではない。 次に訪れたのがフェアリーの谷。緑豊かな場所に、輝く水晶と、サンゴのような極彩色の植物が生え、独特のアクセントになっている、幻想的な雰囲気を持った場所である。入口近くでは太陽を反射する美しい滝も流れ、観光名所としても人気が出そうだ。 しかしこの平和そうな場所は、実はとても危険なところなのである。筆者はもう少し奧にいこうと進んだ瞬間、出てきたモンスターに“なでられた”だけで昇天。ほとんど中に入れなかった。ここはモンスターとして“ユニコーン”が襲ってくるのだが、遠くからしか姿を確認できなかった。噂によれば中心にはフェアリー達の村もあるということだが……。真実は全く確認できなかった。 猟師の村から道沿いに進み、オーレン城の村、そしてオーレン城へ。石づくりの無骨な村と城である。武器の価格はギラン城と同じくらいだ。転職を行なうドワーフやオークが確認できたが、それ以外これといった特徴はみつけられなかった。オーレン城の門は固く閉ざされており、中を伺い知ることもできない。いつかここも攻城戦の舞台になるのだろうか。 オーレン城から北に視線を移すと、空にそびえる巨大なシルエットが見える。これが「象牙の塔」である。現在も魔法の神髄を求める者達が集う塔らしく、魔法使いの転職関連のNPCと、非常に充実した魔法ショップがあった。この塔はいくつかの階層にわかれており、ゲートキーパーが使う転送の呪文で、「魔法エレベーター」のように上下できる。遠くから見える威容、そして中のきらびやかな魔法文明を感じさせるオブジェクト、各階層ごとのテーマの違いと、観光にはおすすめの場所である。フェアリーの谷と違って、まったく危険がないのも良い。 いよいよ今回のラストとなる「胞子の海」への挑戦である。ここはかって人間達とエルフが起こした大戦争により地質そのものが変化、猛毒の胞子をまき散らし、そこに生きる者達の姿をいびつに歪ませてしまった。新名所の中でも屈指の禍々しいエピソードを持つ場所である。今は世界の賢者達によって結界が形成され、この海の拡大を防いでいる。しかし、他の村のクエストをやっているとわかるのだが、胞子の海は確実にこの世界を蝕みはじめていて、さまざまな人達がこれに対応すべく奮戦している。 こんないわくつきの場所で、どこまで迫れるかわからなかったが、とにかく速度ポーションで逃げ足だけは確保、決死の思いで突入をすることにした。近づくにつれ、見えてきた光景は筆者を圧倒するものだった。天まで多う魔法結界の壁。それは竜巻の外縁のような荒々しさと美しさを併せ持つ独特の光景だった。この壁の中にはいるのは、結界の力場になっている塔を経由するしかない。 結界の中には異世界が広がっていた。砂漠を思わせる荒涼とした大地に、“腐海のゴーレム”や“腐海樹”、ゾンビやぼろぼろの翼がドラゴンゾンビを思わせる“ダイアウォーム”など、禍々しいモンスターが所狭しとひしめいている。奧には巨大なきのこのような巨木、天を多う枯れた樹の根、非常にインパクトのある風景である。さらにちょうど夕暮れ時に入ったおかげか、夜に変わったとき、胞子の海はまったく違う光景を見せてくれた。砂漠のような大地が真っ白に変わり、雪原のようなより寒々とした情景に変化したのである。 巨大な蜘蛛に追われ、死を覚悟した筆者には、もう1つだけやってみたい実験があった。この胞子の海は、山を越えると我が故郷、ダークエルフの村なのである。死んだときキャラクタは最も近くの村に転送される。うまくいけば故郷に! ……しかし、筆者の希望むなしく、復活したのはオーレン城の村だった。ここでなければ冒険者は困るわけだから、当然といえば当然だが、それでもここから胞子の海までは遠い。パーティープレイを楽しむなら、仲間を復活させる準備を万端にして挑みたい。 今回、筆者が行ったツアーはまさに無謀というもので、損失も大きく、とてもおすすめできない。なによりも、2万アデナ以上の資金を準備しておかなければ、帰ってこれないという、いわゆる「ハマる」可能性すらある。例えおこなっても筆者同様、入り口で倒れてしまう可能性の方が高い。本当に楽しむなら、適性レベルで、驚きを共有する仲間と共に、モンスターを倒しながら「制覇」してもらいたい。 しかし、実はこの無謀ツアーを安全にできる可能性はけっして0ではない。クローズドβテストで行なわれた「L2 Day」というイベントは、丸一日、ゲートキーパーの使用料と、経験値喪失のペナルティーがないというものだった。こういったイベントのときに、挑戦するにはもってこいである。仲間、友達とともに、驚異の光景を目撃し、興奮を共有して欲しい。 (c) NC Japan K.K All Rights Reserved.
□エヌ・シー・ジャパンのホームページ
(2004年2月26日) [Reported by 勝田哲也]
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