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Electronic Entertainment Expo 2003現地レポートNintendo of Americaブースレポート
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会場:Los Angeles Convention Center
ゲームキューブ(以下、GC)とゲームボーイアドバンス(以下、GBA)の連動と融合。「Connectibity(コネクティビティ)」という言葉で任天堂の考える新しい遊びの方向性を示したのが、昨年のE3だった。昨年も「ゼルダの伝説:風のタクト」や「どうぶつの森+」をはじめとして、GCタイトルの遊びの幅を広げる手段としての、ある意味限定的な連動は導入されてきていたが、GC&GBAという機器構成が前提となる、より濃密な「コネクティビティ」が、今年のNintendo
of Americaブースでは体験できる。
ゲームキューブ向けの「TomCrancy's Sprinter Cell」でも、GBA接続ケーブルを使って接続したGBA側にマップ上の現在地などを表示させることができる |
■ 「The Legend of Zelda : Tetra's Trackers」
「The Legend of Zelda : Tetra's Trackers」は、「ゼルダの伝説:風のタクト」の設定を背景にしたタイトルだ。海賊の若きリーダー“Tetra”のもと、最大4人のリンク達がスタンプラリーに挑む。GCに接続されたメイン側のモニターに表示されるのは、Tetraとフィールドマップ、そして戦績などプレーヤーすべてに共有されるデータである。いっぽう、個々のコントローラーとなるのはGBA接続ケーブルでGCに接続されたGBAあるいはGBA SP。プレイヤーは、GBAの画面でゲームへの参加を選択したり、プレイヤーの性別や名前のイニシャルを登録するほか、このGBAの画面に表示されるプレイヤーキャラである自分のリンクを見ながら、フィールド内を駆け回ることになる。
正面にあるのがGCから出力されている映像。スタンプラリーのフィールドをTetraが案内してくれている。ちなみに試遊機では、GBA画面も手元でモニタ出力されていた |
コントローラーである手元のGBAでは、自分の周囲のフィールドしか見えないので、フィールド全体のマップやスタンプの位置などは、GCのメイン画面とを見比べて確認しなければならない。この時、他のプレイヤーの位置なども分かるようになっているので、目指す番号の近くに他のプレイヤーがいたら、あきらめてその次の番号を先に探しはじめるといった戦略性も重要となる。次に何番をとればいいかや、番号をとったプレイヤーが誰かなどは、常にTetraが教えてくれるのも楽しい。一定時間がすぎればゲーム終了。より多くのスタンプやアイテムを集めたプレイヤーが勝者となって、Tetraが祝福してくれるというのがおおまかなゲームの流れだ。
手元のGBAの液晶画面とモニタに映し出されるGCの画面とを慌ただしく見比べながら進めていく競争はなかなかスリリング。GCの画面である程度他のプレイヤーの位置を把握しておかないと、効率的なスタンプ集めができなかったり、突然自分の液晶画面に他のリンクが入ってきて目的のスタンプを取られてしまったりするスリリングな展開もあったりする。
「The Legend of Zelda : Tetra's Trackers」の発売日や価格などはまだ明らかにされていない。
【スクリーンショット】 | ||
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■ 「The Legend of Zelda : Four Swords」
「The Legend of Zelda : Four Swords」は、日本市場でも発売されているGBAタイトル「ゼルダの伝説:神々のトライフォース&四つの剣」で対戦プレイすることができた“四つの剣”のパートをさらにパワーアップしたタイトルである。
主なプレイフィールドはGC側に表示される画面のほうだ。自分のキャラクターのみが進入したエリアの画面などは、手元のGBA画面に表示される。 |
最大4人のプレイヤーキャラクタであるリンクは、基本的にGC側のメイン画面に登場。フィールド内を自由に動き回ることができる。同じエリア内にキャラクタがいるとき、相互のキャラクタ間の位置が近ければマップはズームインして、狭い表示エリアでそれぞれのプレイヤーキャラが大きく表示される。いっぽう、エリアの端と端にプレイヤーキャラがいる場合などは、視点が自動的にズームアウトして、プレイヤーキャラは小さくなるが、より広いエリアを表示するようになる。これはGCだからこそ実現できた要素といえるだろう。
またフィールド内に点在するダンジョンや、特定のエリアのなどに入った場合は自分のキャラクターが中心となる画面が、手元のGBAの画面に表示されてプレイが進行する。各プレイヤー間での競争と、特定の謎や局面においては協力が必要なこのゲームだからこそ特徴的なプレイスタイルといえるだろう。
「The Legend of Zelda : Four Swords」の発売日や価格などはまだ明らかにされていない。
【スクリーンショット】 | ||
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■ 「Stage Debut」
昨年のE3レポートでも紹介した参考出展のタイトル「Stage Debut」が、今年も出展されている。発売日などは明らかにされていないが、任天堂の宮本茂氏が合同インタビューの席でコメントした内容によれば、今年中の発売を検討しているということだ。
「Stage Debut」は、単純に言ってしまえば自分の分身を仮想空間のなかに登場させるゲームだ。昨年はGAME EYEという名称で紹介されていたカメラ型のカートリッジを使って、まず分身を作りたい人の顔写真を撮影する。簡単に顔の位置などを補正すれば、すぐに自分の分身がゲーム内に登場する。昨年のデモでは衣装や小道具などは自分でチョイスする仕組みになっていたが、今回はいったん裸のまま放り出されて、いくつかのユニークな質問に回答することで、自動的に仮想空間内における職業と衣装が決定するようになっている。
ゲーム(といえるかどうかは微妙だが…)自体は、分身を送り込む仮想空間のテーマに従って、その分身が自由に行動したり、操作したりするもの。例えばステージの仮想空間では、マリオやピーチ姫などのキャラと一緒にダンスをするし、公園の仮想空間では、砂遊びや鉄棒ができるといったものだ。公開されているスクリーンショットには、学校での給食や掃除のシーンなどもあって、ここには任天堂社長の岩田氏や山内会長の姿も見える。
デモには任天堂の人気キャラが登場しているほか、すでに発売されている「どうぶつの森+ カードe」などのカードを、カードeリーダー+を使って読み取ることで、どうぶつの森のキャラクタや、あるいは任意のキャラクタなども仮想空間内に登場させることができるようだ。
カメラ付きのカートリッジを使って、分身を作りたい人の顔写真を撮影する
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ルイージやクッパなどが待つステージの仮想空間に登場 |
【スクリーンショット】 | ||
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ブリーフィングではオリジナルベースのPac-Manを中心に紹介されていたが、ブース内では「パックマニア」を使った対戦プレイも体験することができる |
NOAのブリーフィングレポートでもお伝えした対戦型のPac-Man。パックマンとパックマンを追いかけるモンスターの双方を各プレイヤーが受け持つ。Pac-MacのプレイヤーはGBAを持ってプレイし、基本的にGBAの液晶画面を見ながらのプレイになる。いっぽう追いかけるモンスター側は、GCから出力されるモニタ画面を見ながら追いかけることになるが、こちら側の視界は狭くなっていて、3対1という条件の追いかけっこにスリリングな要素を生み出している。
今回は参考出展と言うことで発売時期や詳細な内容については未定のようだが、宮本茂氏のコメントによれば「コネクティビティ」の楽しさを伝えるために、あっと驚く意欲的な提供手段も検討しているようだ。
【スクリーンショット】 | ||
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E3開催前日のブリーフィングでデモされたPac-Manの画面 |
■ 「Final Fantasy Crystal Chronicles」
サードパーティのタイトルのなかでは、もっとも早く「コネクティビティ」なスタイルで登場するSQUARE Enixの「Final Fantasy Crystal Chronicles」。またゲームキューブ向けとして初めて「Final Fantasy」の名を冠するタイトルでもある。基本的には、GCの画面側でプレイするマルチプレイヤースタイルのRPGだが、GBAやGBA SPをコントローラーとして利用することで、液晶画面には各プレーヤー向けのインフォメーションなどが表示される。時には競い合い、時には協力しあって敵を倒し、謎を解いていくスタイルだ。
【スクリーンショット】 | ||
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いずれのゲームも4人揃ってのプレイが体験できたので、制作者側が意図しているゲームの楽しい部分は十分に感じることができた。気になるのは、プレイヤーが3人、2人となったときにどの程度楽しさが失われてしまうかという部分である。任天堂はオンラインゲームの導入に積極的ではない理由として、皆が平等に楽しむことが困難という(機材、環境的な)ハードルの高さをあげている。コネクティビティを中心とするタイトルについては、オンラインゲームのような環境によるハードルの高さからは解放されるが、プレイヤーすべてが同じ時間に同じ場所に集うという制約もまた存在する。主に低年齢層をターゲットするとタイトルが中心な同社だけに、学校や仲間うちでの遊びの延長上で集う機会がこれらコネクティビティ関連タイトルを中心に生まれることも期待しているということだろう。
□任天堂のホームページ(2003年5月18日)
[Reported by 矢作晃]
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