レビュー
「ストリートファイター6」レビュー
2023年5月30日 16:00
ビギナーへのサポートが超手厚い!「WORLD TOUR」で格ゲー沼にドップリ
今作は、格闘ゲーム初心者に対してとんでもなくオススメできる作品である、ということは筆者が一番に伝えたい事だ。人を選ぶと言われ続けた格闘ゲーム界隈においてここまで初心者への導入が丁寧なタイトルも珍しく、ビギナーがしっかり順を追って「ストリートファイター」を楽しめるプレイ導線が作り上げられている。
上記で取り上げた「モダンタイプ」や「ダイナミックタイプ」といった操作方法の追加も初心者へのサポートがしっかりしている要素の1つだが、それに加えて本作ではRPG作品のようにストーリーや育成要素も楽しみながら「ストリートファイター」の基礎を学べるビッグコンテンツ「WORLD TOUR」が実装されているのである。
この「WORLD TOUR」では自分の分身となる主人公を作成し、強さを求めて世界各国に存在する強敵との戦いや、オリジナルキャラクター達とのドラマを楽しむことができる。これまで、アーケードモードを含めてキャラごとのストーリーモード的な要素は何となく存在していたレベルの「ストリートファイター」において、実際に自分自身が主人公となって世界を歩き回りオリジナルストーリーを楽しめるモードは非常に革新的だ。
プレイヤーは本作に登場するプレイアブルキャラクター達に弟子入りする事で、各キャラクターのバトルスタイルや必殺技を習得していき、自分オリジナルの技構成をした主人公を作り上げることが可能だ。簡単に例を言えば基本の動きは「春麗」なのに「波動拳」と「ソニックブーム」を打ち分けるキャラクターを作る事が可能だったりもするのだ。
さらに街の人々の依頼を解決したり、道行く人々とのストリートファイトや強敵とのバトルで経験値を獲得する事でマイキャラクターのスキルやステータスの上昇を自由に割り振れるビルド要素や、主人公の見た目を変更して自分好みにオシャレができるキャラクターエディット機能など、従来の「ストリートファイター」シリーズでは決して味わえなかったRPG作品としての面白さを味わえる。
その上でストーリー上で対戦格闘ゲームとしての基礎や、本作の基盤となるシステムや操作方法などについてもチュートリアルしてくれるため、プレイヤーはこのモードを遊んでるだけで本作の基礎を学ぶことができるのである。言い方に語弊があるかもしれないが「めちゃくちゃ力が入ってて超面白いチュートリアル」といった要素もこのモードは含んでいると筆者は感じている。
ストーリーや各種システムも「ストリートファイター」らしい殺伐さとポップさを併せ持った”らしさ”の出ている内容となっている。主人公やライバルキャラクターである「ボッシュ」の目的は強くなる事という、アバウトながらもどこかシリーズの看板「リュウ」を彷彿とさせるモノだったり、道行く人々と何食わぬ顔でストリートファイトする事ができたり、アングラ感の漂う治安の悪い路地裏からローマのコロッセウム・中華風の街並みやUSAのビル群まで各プレイアブルキャラクターに因んだロケーションを実際に歩き回れたりなど、各種要素の徹底ぶりがかなり面白い。
物語も悪の道に進みそうなライバルの「ボッシュ」を追う事をベースに、多くのキャラクター達と関わりながら気になる展開が続くためダレる事が少ない。チュートリアルとして初心者にオススメできるのは当然として、シリーズファンのプレイヤーにも触ってほしい内容となっていた。
「WORLD TOUR」でゲームの基盤を覚えたら、次に挑戦したくなるのが好きなキャラクターの操作方法だ。初心者には「WORLD TOUR」のストーリー内で気に入ったキャラクターに挑戦するといった流れが綺麗に思える。
本作でもプラクティスモードがしっかり充実しており、キャラクター毎の基礎的な動きを解説付きで教えてくれる「キャラクターガイド」を読み、実戦で応用ができる基本~上級コンボに挑戦できる「コンボトライアル」に挑戦。最後に「アーケードモード」で覚えた事を練習すればキャラクターの扱いの基礎が習得可能となっている。「キャラクターガイド」では気になった説明をすぐに試せたり、トレーニングモードで各攻撃で発生する有利/不利フレームが表示できたりなど、格闘ゲームの金字塔というだけあってストレスを感じない各種モードの設計やプレイヤーが欲しがっている要素を全て押さえているのは素晴らしい。
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