レビュー

「ストリートファイター6」レビュー

ここはネット世界のゲームセンター!? 世界中の強者に”本当に”会いに行け!

 次に取り上げたいのが本作におけるオンライン対戦モード「Battle Hub」についてだ。これがかなりワクワクできる要素となっていた。

 このモードでは「WORLD TOUR」で作成したマイキャラクターを操作してプラットフォームを超えた全国のプレイヤーと交流できる。「Battle Hub」内に設置された筐体に座る事で、そのサーバーに居るプレイヤーと対戦できたり、「バトルハブマッチ」ではトレーニングモードで練習しながら対面に誰かが座るのを待つゲームセンタースタイルで対人戦を楽しむことができる。もう完全にオンライン上に作られたゲームセンターと言えるだろう。

 対戦設定はかなり細かく設定できる。ステージの背景などは相手に関係なく自分の好みに変更可能で、好きなステージで戦える。さらに、この「Battle Hub」で遊んでいる間に既存シリーズと同じような「カジュアルマッチ」や「ランクマッチ」を受付状態にする事もできるため対戦三昧の空間を楽しむことが可能だ。

イメージは正に近未来の広大なゲームセンター!本作の対人戦を全力で楽しめるだけでなく”ゲームセンター”としての楽しさを追求した作りには驚愕してしまう
今回は先行プレイだったため、プレイヤーがほとんど居ない閑散とした空間を動き回る事になってしまったが、この空気感も発売後は味わえなくなると考えるとちょっとレアかもしれない

 それだけでなく「Battle Hub」では「WORLD TOUR」で作成したマイキャラクター同士を対戦させる事ができるモードや、通常とは異なるルールの中で戦う「エクストリームバトル」を行えるエリア、さらには「ストリートファイター2」、「ファイナルファイト」、「マジックソード」と言ったゲームセンターの名作タイトルを普通に遊べてしまうエリアまで存在しているのだ。シリーズの過去作を遊べるのはまだ分かるが、別のゲームが遊べるのはとんでもない大盤振る舞いと言えるだろう。

 しかもその筐体ごとにしっかりプレイヤー毎のスコアランキングが表示されたり、「エクストリームバトル」は毎週ルールが変更されて遊べたりなど、もう完全に普通のゲームセンターと言えるほどの力の入れようである。

 さらには、マイキャラクターの見た目を変更できるショップがしっかり併設されていたり、巨大モニターでは多くのプレイヤーと一緒に対戦を視聴する事ができたりなど、本作をオンラインで楽しむ1つの空間として完成度が非常に高いのである。1つのエリアの大きさもかなり広いため、歩き回って色々なユーザーを見ているだけでも楽しめるだろう。何の気兼ねもなくブラっとゲームセンターに立ち寄っていた青春時代を思い出す人も少なくないのではないだろうか。

筐体にプレイヤーが座り合う事で発生する「バトルハブマッチ」は正にゲームセンターらしさ全開の様式美
「ランクマッチ」などとは違い失うもののないカジュアルに戦う形式となっているため気軽に席に座って戦いまくれそうだ!
「ランクマッチ」への受付も施設内で簡単に行なえる。「バトルハブマッチ」などの対戦時の設定なども自分で細かく設定できるため気兼ねなく自分のペースで遊ぶことができる

 単純にランクマッチやカジュアルマッチを実装するのではなく、ここまで力を入れてゲームセンターを作ってしまった事には驚愕を隠せないが、そのおかげもあって歩き回っているだけで何となく楽しかったり、人と交流する事の楽しさを強く味わえるようになっているのは大きなポイントのように感じた。

 今回は先行プレイだったため見知らぬプレイヤーには出会えないと思っていたのだが、偶然にも他メディアのプレイヤーに数名出会い数戦遊んだりエモートを送り合ったりする面白さは格別だったと言える。発売後に人が賑わっているこの空間はオンライン上のゲームセンターとして絶対に面白い空間になると強く実感できるほど、非常に完成度の高いオンライン要素だった。

エモートやチャット機能で初対面のプレーヤーとも十分にコミュニケーションを取る事ができるのもオンラインプレーのいい点だ。あまり人と出会えなかった今回の先行プレーで偶然出会った他メディアのプレイヤーと一戦交えたが、当然のようにボコボコに負けた

 「モダンモード」の追加や「WORLD TOUR」の実装は「ストリートファイター」シリーズにおいても大きな挑戦となる事が予想できるが、少なくてもここから始めるビギナー達には非常に刺さる必要なコンテンツと言えるだろう。プレイヤーの減少が危ぶまれる格闘ゲーム界隈においてこの挑戦は大きな転換期になる可能性を秘めていると筆者は考えている。

 また、本作の面白さの基盤を味わえたといったが本当にまだ魅力の一旦しか味わえていないと思っている。何せオンライン対戦をほとんどプレイできていないのだから、本番はここからだ。

 多くのプレイヤーで賑わうオンライン空間でしか味わえない楽しみがあるはずなので引き続き発売後もプレイしていきたい。初心者でも楽しめる全く新しいゲーム体験を数多く内包した作品となっているため、気になるプレイヤーは是非プレイしてみてはいかがだろうか。