レビュー

「ストリートファイター6」レビュー

格ゲー初心者でもここから始められる”神システム”の数々! 俺より強い奴に会いに行け……!

【ストリートファイター6】

6月2日 発売予定

価格:
7,990円~(スタンダードエディション)
10,490円(デラックスエディション)
12,490円(アルティメットエディション)
CEROレーティング:C(15才以上対象)

 カプコンは6月2日、多くの格闘ゲーマーが熱望した「ストリートファイター」シリーズの最新作「Street Fighter 6(ストリートファイター6)」を発売する。

 本作は「ストリートファイター」シリーズらしいシステムや読み合いの奥深さをしっかり継承しつつ、「ドライブゲージ」を活用した新アクションや新キャラクターの追加によってゲーム性がさらにパワーアップしている。

 さらに新ゲームモード「WORLD TOUR」や新たなる操作方法「モダンタイプ」の追加などによって、ここから格闘ゲームを始める初心者プレイヤーでも最初から十分楽しめるシステムが完備されている。しっかり順を追って格ゲー沼(楽しさ)に引きずり落とせるような導線がしっかりしているのだ。

 今回はそんな本作を一足早くプレイする事ができたので、早速その新システムの数々を紹介していこう。

【『ストリートファイター6』ストーリートレーラー】

「ドライブシステム」がもたらす新たな戦略! 新しいゲーム体験が待ち受ける

 初めに本作の新要素について軽くおさらいしておこう。まずは格闘ゲームにおいて最も重要な対人戦について、重要となりそうな今作の追加システムを紹介する。

 今作では、従来の「ストリートファイター」らしい技の攻防や読み合いに加えて、新たに追加された「ドライブゲージ」を消費して様々なアクションを大幅に強化できる「ドライブシステム」の実装が大きな特徴となっている。

【ドライブゲージ】
体力バーの下にある緑のゲージがドライブゲージだ

 「ドライブシステム」は、従来シリーズの「EX必殺技」のようなキャラクターの必殺技を強化する「オーバードライブ」や、相手の攻撃を一定回数受けとめながらダウンや吹っ飛び効果のある強烈な打撃を行う「ドライブインパクト」、一部の通常技や必殺技の硬直をキャンセルして前方にダッシュし継続してアクションを行える「ドライブラッシュ」、ガードをキャンセルしてダウン攻撃で反撃を行える「ドライブリバーサル」、自動的に全ての攻撃をガードしつつジャストタイミングで発動すれば相手を硬直させて一気に一転攻勢を狙える「ドライブパリィ」など、攻防全てにおいて影響を及ぼす要素となっているため本作の独自性を象徴するシステムと言えるのだ。

【オーバードライブ】
消費するドライブゲージは2つで、使用感は従来シリーズの「EX必殺技」。過去作では「EX必殺技」がほぼ攻撃アクション専用の「EXゲージ」を消費して使用していた事を踏まえると、今作の「ドライブゲージ」は多くのアクションのリソースになるため使用タイミングはよりシビアになったと言える
【ドライブラッシュ】
前方にダッシュするアクション。後述するドライブパリィでは1本、通常技キャンセルでは3本のゲージが必要。攻撃アクションをキャンセルする事でコンボを繋げたりと非常に格ゲーらしい面白さを内包したシステムと言える
【ドライブリバーサル&ドライブパリィ】
消費するドライブゲージはリバーサルが2本、パリィが使用してる間継続してゲージが減り続ける仕様。いずれも上記のアクションと違い防御手段として用いられるドライブ技

 「ドライブゲージ」はMAX6の状態でスタートし、ゲージを消費する事で各ドライブ技を発動できる。ドライブゲージは時間経過などで回復し、相手の攻撃をガードし続けると減少する仕様となっており、「ドライブゲージ」が0の状態まで行ってしまうと完全にゲージを回復するまでドライブ技を使用できない「バーンアウト」と呼ばれる状態になってしまう。実際にプレイして感じたが、今作に置いて各ドライブ技を使用できない状態は”ジャンケンでグーしか出せない状態な”位に不利な勝負なため、「ドライブゲージ」を回復を待つか、そもそも「バーンアウト」に陥るような行動はしない事が非常に重要になりそうだ。

 また、全てのドライブアクションに共通して言えることだが、アクションの演出がカラフルかつ非常に派手になっており、何が起こっているのかがわかりやすいうえ、視覚的に熱くなれるのがとてもいい。格闘ゲームにあまり興味のないプレイヤーが見ても「何か凄い事が起こった!」と直感的に理解しやすい事に加え、その”何か凄い事”が起きやすいため、見ていて面白そうと感じれる演出を作りだせている。これはeスポーツタイトル筆頭の今作においては意外と大事な要素だ。

 その「何か凄い事が起こった!」が一番感じられるのが「ドライブインパクト」だ。

【ドライブインパクト】
消費するドライブゲージは1つで相手の攻撃をスーパーアーマーで受けながら強烈な攻撃を行えるアクション。当たればダウン+追撃のチャンスが生まれ、ガードされても壁やられ状態にする事が可能な攻防一体アクション

 「ドライブインパクト」は、「燃費もいいし相手に攻め立てられた時に簡単に切り返しができるし打ち得じゃん!」とか思っていたがしっかり弱点もある。「ドライブインパクト」同士がぶつかった場合は”後出しした方が打ち勝つ”事に加え、先出しした側はアクションができない無防備な状態を晒すフラつき状態になってしまう。この、「ドライブインパクトに対してドライブインパクトを使う」という状態になると、画面がスローになり派手なエフェクトが発生。プレイヤー側は気持ちのいい瞬間で、見ている側はまさに「何か凄い事が起こった!」になる。

 「ドライブインパクト」はアクションを行う際の動作も派手かつ溜め時間も長いため、「インパクトを見てからインパクトで返す」を誰でもできるのだ。

ドライブインパクトのド派手な演出。当てた瞬間はかなり気持ちがいい

 新要素としては2つの新操作モードが実装されたことも大きい。ワンボタンで必殺技やコンボ等を繰り出せるようになった「モダンタイプ」と、1つのボタン入力で相手の距離や状況に応じて自動的に爽快なアクションやコンボを行なってくれる「ダイナミックタイプ」は本作から格闘ゲームを始めるゲーマー達の大きな助けになってくれるだろう。

 「ダイナミックタイプ」はオンライン対戦では使用できないため、気軽に友人と楽しんだり初めて触るキャラクターの感覚を掴むなどカジュアルに遊ぶ際に適したモードとなっているが、「モダンタイプ」に関してはしっかりとオンライン対戦で使用できる事に加えて格闘ゲームの敷居を高めていた”操作の難しさ”をある程度緩和した丁度いい完成度となっている事で「ストリートファイター」に新たな旋風を起こしてくれる要素になっていると言えるだろう。

方向キー+必殺技ボタンで様々な必殺技を繰り出せるモダンタイプ。コマンド入力という敷居をすっ飛ばして格ゲーに参戦できる

 筆者も今回先行プレイするにあたり、あえて新時代を感じる「モダンタイプ」の操作のみで遊んでいたのだが、印象としてはより”一般コントローラー操作に適した操作タイプ”だったという感じだ。多くの入力操作を「アシストボタン+他ボタン」や「必殺技ボタン+対応する方向キー」等に凝縮する事で操作性を簡単にするだけでなく、一般コントローラーでもガチャガチャ操作にならない、しっかりとキャラクターを操れている感覚を最初の段階から強く感じられた。

 しかし、メリットもあればデメリットもあるように感じたのも事実だ。モダン操作による「アシストボタン」を使用したコンボや攻撃は毎回ほぼ同じ攻撃手段となってしまうため相手に読まれやすい面もある。さらに「必殺技ボタン」で放てる必殺技は各種技の弱~強の打ち分けはできないため、ある程度コマンド入力ができたほうがいいだろう。また1つ1つの攻撃アクションを自分の操作で精密にコントロールできる「クラシック」に比べると、全ての攻撃が「弱~強ボタン」の3つで管理されている分「モダンタイプ」は各通常攻撃アクションを正確に使い分ける事が逆に難しい。

 とは言え、立ち回りが重要となる「ストリートファイター」において簡単に必殺技を放てるという利点は大きい。手元の操作が簡略化されて操作性が安定するという事のアドバンテージは非常に大きいため、今後のオンライン対戦の世界で「モダンタイプ」を極めるプレイヤーが居てもおかしくない使用感だった。発売後に「モダンタイプ」ならではのコンボや立ち回りが研究されて新時代が到来する事も期待したい。

【モダン操作】
操作の簡略化によって必殺技やコンボによるダメージが安定した事が大きく、初心者でも格闘ゲームの醍醐味である”立ち回り”や”読み合い”といった楽しさのステージに速く辿り着けるいいシステムだと筆者は感じた