【特別企画】

これが次世代画質。Xbox Series X「ウォッチドッグス レギオン」の4K+レイトレ+HDRはガツンとくるぜ!

最新モニター「MSI Optix MAG321CURVJP」で鮮烈グラフィックスを体験した

【MSI Optix MAG321CURVJP】

ジャンル:
ゲーミングモニター
開発・発売元:
MSI
参考価格:
67,000円(税込)前後
発売日:
2020年10月29日

 11月10日、ついにMicrosoftから発売されたXbox Series X。8K解像度、4K/120fps、レイトレーシング対応とまさに“次世代”と言えるスペックを備えているが、そうなると表示する側のTV/モニター側もこだわりたいところ。しかし、8K解像度やHDMI 2.1による4K/120fpsに対応するのはごく一部の大型TVだけと手軽に導入できるものではない。価格的に手が届きやすい、設置しやすいという条件を考えると、フレームレートを優先するならフルHDやWQHD解像度で高リフレッシュレート対応のモニター、描画の美しさを優先するなら4K解像度でHDR対応のモニターという選択肢になる。

 今回は、後者のタイプの注目株である「MSI Optix MAG321CURVJP」を紹介しよう。31.5型の大型サイズで4K、HDRに対応、しかも湾曲タイプなので抜群の没入感も楽しめる。豊富な入力端子で家庭用ゲーム機やPCを複数台接続が可能と使い勝手も上々だ。その「MSI Optix MAG321CURVJP」でXbox Series Xのゲームを遊ぶとどうなのか?早速検証していきたい。

複雑な設定なしに最高の映像を見せてくれる最新モニター&次世代機

 「MSI Optix MAG321CURVJP」は、31.5型で4K解像度のゲーミングモニター。10月29日に発売したばかりの最新モデルとなる。大きな特徴は、湾曲タイプのモニターでも最大級となる1,500Rという高い曲率を実現していること。曲率は数字が小さいほど湾曲が大きいことを示す。人間の視野は1,000Rと言われており、「MAG321CURVJP」ならば、31.5型の大型ということもあり、ほぼ視野全体がモニターという環境を作り出せる。ゲームの世界にいるかのような没入感を味わえるというわけだ。

「MSI Optix MAG321CURVJP」。実売価格は67,000円(税込)前後で、4K/HDR/湾曲であることを考えるとコストパフォーマンスは悪くない
1,500Rは比較的大きな曲り方だが正面ビューは自然に見える
背面は左右非対称デザイン。上部にMSIのロゴが描かれ、左側にRGB LEDを搭載、右側に入力端子をまとめたレイアウト

 次に注目したいのがHDRだ。HDRはHigh Dynamic Range(ハイダイナミックレンジ)の略で、従来よりも明るい場所をより明るく、暗い場所はより暗く表現できる技術。とくに暗い部屋の窓から太陽の光が射し込む、といった明るさと暗さの両方が強烈にあるようなシーンでは、メリハリの効いた、より自然でリアルな表現を体験できる。

 Xbox One時代には⼀部のタイトルだけが対応していたHDRも、Xbox Series Xではローンチタイトルの大部分が標準規格のHDR10対応。次世代機ではレイトレーシングをハードウェア側がサポートしたことで、光の表現は格段に強化されており、"明暗”の表現はダイナミックかつ複雑に進化している。こうした、ゲームの開発者が意図する映像体験を100%得るためには、モニターが“HDR対応”であることが必須の要素なのである。早速、Xbox Series Xを使い、レイトレーシングとHDRでゲーム体験がどれだけ進化するか試して見たい。

レイトレーシング+HDRで映像表現が大幅に強化されたXbox Series X。「MSI Optix MAG321CURVJP」でその映像美をどこまで引き出せるのか試してみる

 なお、Xbox Series Xで4K出力かつHDRに対応するには、Xbox series Xのメインメニューから「設定」→「全般」→「テレビとディスプレイのオプション」と進み、「画面」の解像度を「4K UHD」に設定。詳細設定の「ビデオモード」を選び、「HDR10を許可」にチェックを入れる必要がある。初期設定で有効化されているはずだが、画面表示にHDR感が見られない場合は確認したい。一方、「MSI Optix MAG321CURVJP」側はHDRを自動的に認識して有効になるのでモニター側の設定は不要だ。

4K+レイトレーシング+HDRの実力は?ゲームプレイで検証

 今回は、Xbox Series Xのローンチタイトル複数を用いて、レイトレーシングとHDRを組み合わせた次世代機ならではの進化した映像表現を検証した。ここでは、とくにHDRの効果がを感じられた「ウォッチドッグス レギオン」(Ubisoft)と「Ori and the Will of the Wisps」(iam8bit)での映像体験について紹介したい。

 なお、本稿で検証に用いたXbox Series X本体およびゲームタイトルは、テスト目的でマイクロソフトから提供を受けたもの。検証はXbox Series X本体の発売前となるレビュープログラム期間に実施している。そのため、製品版と細かな仕様が異なる可能性がある点はご了承いただきたい。

 まず紹介したいのは「ウォッチドッグス レギオン」だ。最初に言ってしまうと、本作は次世代ゲーム機の高次元のグラフィックスを存分に味わうことが出来る。味わうと言うよりも、脳髄にガツンとくる鮮烈な映像が次々と繰り広げられる。

 まず本作は、緻密に作り込まれた造形物が、レイトレーシングによる光の表現によってリアル、かつダイナミックに描画される。

 「MSI OptixMAG321CURVJP」の4K解像度で見ると、⽔たまりに周りの景⾊が映り込んだり、店や⾞のガラスに周りや⾃分⾃⾝が映り込み、リアリティは抜群。さらに、ミッション中は薄暗い建物内をスニークしたり、ドローンで飛行したりするが、こうした場所に窓から光が入ってくるときの臨場感は格別だ。

 ちなみに、記事の写真はHDRオン/オフそれぞれの状態を直接収めているが、非HDRディスプレイ用に撮影されているので、HDRのダイナミック感は幾分抑えられている。実機では動きと、湾曲の効果も相まって、もっとすごいことを付け加えておく。

【「ウォッチドッグス レギオン」HDRの比較】
HDRが無効の状態。レイトレーシングのおかげでリアルではあるが、HDRオンの映像と対比すると緊張感が損なわれ日常のような景色に見える
HDRを有効にした状態。最新作では町並みのディテールも大幅にアップしており、陰影のメリハリが利いてまるで映画のワンシーンのようになる
【「ウォッチドッグス レギオン」ゲーム画面】
HDR込みのゲーム画面キャプチャ。ゲーム冒頭のチュートリアルミッションに登場するステージは光の表現が非常に豊富だ。ステンドグラスを通して光が彫像に落ちているが、細かな色ガラスを通った光の色もそれぞれ異なっている!レイトレーシングを駆使した“これぞ次世代機”というグラフィックス表現だ
HDR込みのゲーム画面キャプチャその2。本作から新たに実装された自動運転機能「オートドライブ」は、この美しい景色を堪能するためにあるのではないだろうか。マニュアル走行時も、湾曲モニターだからこそ左右の風景が視界に飛び込んできて臨場感が違う

 次に、アクションゲームの「Ori and the Will of the Wisps」をプレイする。ゲーム冒頭の夕日が射し込むシーンでは、レイトレーシングが強く効果を発揮している。背景は3Dレンダリングで、キャラクターの移動に合わせてカメラが移動、連動して視点が変化するのに合わせ、木漏れ日の差し方もリアルタイムに変化するのだ。

 幻想的な雰囲気の横スクロールアクションである本作。HDRオフの状態でも、これが夕暮れ時のシーンであることは誰の目にも分かる。控え目に言っても、丁寧に書き込まれたグラフィックスだ。

 そして、HDRオン。同じ夕暮れ時でも、キャラクターの⾜下や⽊々には暗い影が落ちており、美しくも不気味な雰囲気が増す。プレーヤーは、主人公の孤独や不安感をぐっと強く感じるはずだ。

 跳んだり跳ねたり武器を振り回したりと何かとアクションの多い本作。どんなに激しく動いてもその情報量が正しく処理されて画面に反映される。ファンタジーではあるものの光の表現に関してはどこまでもリアルに、その世界観にどっぷり浸っている感覚を味わえる。次世代機対応での“進化”を実感できるタイトルだった。

【「Ori and the Will of the Wisps」HDRの比較】
HDRが無効の状態。幻想的な雰囲気ではあるが全体的に白っぽい
HDRを有効にした状態。日差しが強くなり、暗い部分はより暗くと表現力が格段に向上しているのが分かる
【「Ori and the Will of the Wisps」ゲーム画面】
レイトレーシングの力でカットシーンも美しく進化している
画面中央からやや左下、背景に見える湖面には木々がばっちり映り込んでいる

 このように31.5型の大型サイズで、“4K”、“HDR”、“湾曲”の三拍子が揃ったことによる没入感は実に気持ちがよい。バトルロイヤル系のFPSやTPSを中心にプレイするなら、画質よりもフレームレート優先でフルHDやWQHD解像度で120Hz以上の高リフレッシュレートモデルのほうが勝利に近付くかもしれないが、今回プレイしたようなシングルプレイが主体となるゲームでは、圧倒的に4K&HDR環境のほうがよりよいゲーム体験ができる。

 ちなみに、HDRに関してはディスプレイやテレビのスペックにより効き方が大きく異なる。とくに、古いPC用のモニターでHDR対応をうたうものには、しっかりとした効果を得られない「なんちゃってHDR」製品も多いので注意。「MSI Optix MAG321CURVJP」ならば安心して高画質を堪能できる。

ゲーミングモニターらしい独自機能も多数搭載

 さて、ここからは「MSI Optix MAG321CURVJP」の基本スペックや使い勝手について紹介していこう。リフレッシュレートは60Hz、応答速度は4ms(GTG)で、色域は映画撮影に用いられている色空間「DCI-P3」のカバー率78%、標準的な色空間「sRGB」のカバー率94%だ。液晶パネルは黒の表現とコントラストの高さに定評のあるVA方式を採用。スペック上のコントラスト比も2500:1と高い。視野角は上下左右178度と十分広い。表示色は約10億7,300万色に対応する。

 ティアリング(画面ズレ)を防ぐFreeSyncやG-SYNCといったディスプレイ同期機能には対応していないのが少々残念なところだ。

ちなみに、当然ではあるがHDRはゲームだけではなく、そのほかのコンテンツでも有効だ。最近ではNetflixといった動画配信サービスのコンテンツでもHDR対応のものが増えてきている。動画を楽しむモニターとしても有用だ。ただ、スピーカーは備えていない。別途スピーカーやヘッドセットなどを用意しておこう。

各種設定を行なうOSDメニューは背面のスティックで呼び出せる。ゲームジャンルごとの画質プリセットが用意されているほか、画面上に照準を表示させてFPS/TPSで敵を狙いやすくしたり、信号スループットタイミングを軽減させる「ゼロレイテンシ」といった機能が用意されている。ゲーミングモニターらしい機能としては暗部を明るくする「ナイトビジョン」がある。ナイトビジョンは、通常、強い、最も強いの3段階で調整できるほか、画面に合わせて自動調整する「A.I.」設定も用意。ゲームやシーンに合わせてコントロールできるのが便利だ。

OSDメニューは背面のスティックから呼び出せる
OSDメニュー画面
Windows上から操作できるアプリ「Gaming OSD」も用意されている
【「ウォッチドッグス レギオン」ナイトビジョン機能の比較】
ナイトビジョン無効の状態
ナイトビジョンを「最も強い」設定にした状態。暗部がかなり見やすくなった

豊富な入力端子で家庭用ゲーム機、PCとの同時接続にも便利

 本体のサイズは幅710.5mm、奥行き266.5mm、高さ513.6mmで重量は7.3kgだ。電源は90WのACアダプタを使用する。スタンドは、高さを13cmの間で調整でき、チルト(下方向-5度、上方向+20度)も備えている。スイーベル(向きを左右に変える機能)やピボット(画面回転機能)には非対応だが、VESAには対応しているのでモニターアームへの接続は可能だ。また、背面にはRGB LEDも搭載されている。発光色や発光パターンは「Gaming OSD」で設定が行なえる。

高さは上下13cmの間で調整でき、チルトは-5度から+20度まで動かせる
背面にはRGB LEDを内蔵
発光色やパターンは「Gaming OSD」で設定が可能だ
ケーブル類はスタンドの下部の穴を通せばスッキリできる
スタンド固定部分はVESAに対応
電源には90W出力のACアダプタを使用

 映像の入力はHDMI 2.0×2、DisplayPort 1.4×1、USB Type-C(DP Alt mode)と豊富に用意。HDMIの複数のゲーム機を接続、DisplayPortにはPC、USB Type-CにはノートPCなど、多くのデバイスを同時接続できるのも大きな強みだ。このほか、ヘッドホン出力やUSB 3.0対応のハブ(2ポート)も備えている。

4系統の入力を備えている

 Xbox Series Xには、「ウォッチドッグス レギオン」、「アサシン クリード ヴァルハラ」、「サイバーパンク2077」など作り込まれた世界観にどっぷりつかりたくなるシングルプレイ主体のゲームが数多くある。年末年始の休みに腰を据えてプレイをしたいなら、思い切って「MSI Optix MAG321CURVJP」も揃えてしまうのもアリではないだろうか。レイトレーシングと4K、HDRの組み合わせによる美しさと、湾曲が生み出す没入感は文句なしにいいぞ!