「桃太郎電鉄 ~昭和 平成 令和も定番!~」レビュー
プレイからプチ攻略まで「桃鉄」最新作の楽しみ方を大公開!
- 【桃太郎電鉄 ~昭和 平成 令和も定番!~】
- ジャンル:ボードゲーム
- 開発・発売元:コナミデジタルエンタテインメント
- プラットフォーム:Nintendo Switch
- 価格:
- 6,300円(税別)
- 発売日:2020年11月19日
2020年11月18日 00:00
コナミデジタルエンタテインメントからNintendo Switch用ボードゲーム「桃太郎電鉄 〜昭和 平成 令和も定番!〜」が、いよいよ11月19日発売される。そこで今回は、PCエンジン版「桃太郎電鉄」……つまりハドソン時代から「桃鉄」をプレイをしている筆者が、全体的にイメージを一新した本作をレビューしてみたいと思う。
なお、筆者は以前、某ゲーム出版社で攻略本を作っていたことがあるので、ついでにプチ攻略も紹介していく。今作では、とにかく以前までのルールが通用しないので、結構参考になるはず。ぜひ、一読して勝利をつかんでほしい。
ということで、「桃鉄」レビュー出発進行!
「桃太郎電鉄」の楽しさとは?
知らない人もいると思うので、まずは「『桃太郎電鉄』とは何か?」を紹介しよう。
「桃太郎電鉄」は、名前が示すとおり鉄道をテーマにしたスゴロクゲームで、プレーヤーは鉄道会社の社長となってサイコロの出た目を進み、他のプレーヤーよりも早く目的地となる駅を目指すゲームとなっている。ただし、このゲームの“ゴール”は目的地に到着することではなく、自分が経営している鉄道会社の総資産を他のプレーヤーよりも高額にすることだ。目的地に到着することで高額なお金が支給されるが、それは総資産を増やすための1つの手段に過ぎない。目的地となる駅以外にも、少量の所持金をもらえる青マスや、逆に所持金がマイナスになる赤マスなどが用意されているほか、物件駅に到着するとその駅の物件を購入することができ、3月の決算で大きな収益を得ることもできる。目的地を目指しながらも、こういった駅を巡りながら他のプレーヤーよりも総資産を増やしていくのだ。
通常のスゴロク以外の要素としては、カードのシステムが秀逸だ。例えば移動系のカード「急行カード」を使えば、サイコロが2個振れるようになる。「さいはてカード」という攻撃系のカードなら、1人のプレーヤーを「今いる場所から1番遠い駅」に飛ばすこともできる。なお、使用者が有利になるカードばかりではなく、自分に被害のあるカードもあるから要注意だ。カード以外にも、さまざまなイベントや、ボンビーと呼ばれる貧乏神による被害など、ただのスゴロクゲームにはない「桃鉄」ならではの要素が面白さを提供してくれる。
なお、Switch版では、駅の数、イベントの種類、ボンビーの種類などが増え、過去作からかなりボリュームがアップした。また、キャラクターデザインも一新されて、Switch版としてリブートしたイメージもある。細かいプレイ感は後述するが、これまでのユーザーも、これからのユーザーも、みんなが楽しめるように調整されたのではないだろうか。
この「桃鉄」の楽しさは、友達と一緒に遊ぶ「対戦」につきる。今作では3つのマルチプレイ方法が用意されている。
1つめは、自宅に友達を呼んで、1台のSwitchで「みんなで桃鉄」をプレイする方法。2つめは、みんなでSwitchを持ち寄り、「ちかくの桃鉄」でマルチ対戦する方法。そして、最後が、インターネットを使った「ネットで桃鉄」だ。「Nintendo Switch Online」への加入が必須だが、フレンド同士でマッチング対戦が可能になる。途中セーブ機能も搭載されており、長時間プレイになりがちな「桃鉄」を自宅にいながら友達と気軽に対戦できるのは嬉しい。
コンピューター対戦がつまらないわけじゃない。だが、生身の人間相手のプレイは、相手を攻撃して悔しがらせたり、逆に攻撃されてムカつくけど逆襲に燃えたり、とにかく喜怒哀楽があって楽しいのだ。
「桃鉄3年決戦!」で肩慣らしといこうじゃないか
最初のプレイは、今作の全体を把握するために「みんなで桃鉄」から「桃鉄3年決戦!」を選択した。「桃鉄3年決戦!」は通常の「桃鉄」とは異なり、現金1億と移動系カード(「急行周遊カード」「ぶっとびカード」)を持って、3年間だけプレイするショートモードだ。これは、以前の「桃鉄」から搭載されている機能となっており、現金やカードをはじめから持っているので、初心者がルールを理解するのにも最適なモードだ。
ゲームをスタートしてみると、プレイ前にイメージカットなどから感じていた違和感は一気になくなる「こいつはどこからどうみても『桃鉄』だ!」と、ゲームへ入り込めた。ただ、久しぶりのプレイということもあり、「駅の数増えすぎじゃね?」と迷う部分もあった。だが、改良されている「いけるかな」機能を使えば、移動できる駅が光っているので、進行経路や駅の物件を確認しながら最適な場所へ移動できるので問題なしだ。
そのほかにも、新鮮さを感じられる部分がある。例えば、「お殿様カード」でゴールしなくても到着金が貰えたり、「ベビキュラーカード」でほかのプレーヤーの持ち金を奪い取ったりできた。初期のころは「マルサカード」とかで攻撃したなぁ……などと懐かしむ。なかでも一番驚いたのは、カード売り場へ移動できる「☆飛びカード」だ。昔のバージョンでは行けるカード売り場が決まっていたが、今では月ごとに行ける売り場が異なる。なので、ゴール近場の売り場が指定されれば、いい場所へ行けるかもしれない。実際、今回のプレイでは、かなり「☆飛びカード」に助けられた。
また、目新しいものだけでなく、年数を進めると懐かしの「スリの銀次」イベントや、食品日本一系のイベントにも遭遇した。イベント系のグラフィックがとても綺麗になっていて、さすが最新版という感じ。「最下位カード」などの演出効果もいい動きをしていた。
なお「猪突猛進カード」を手に入れたので、良い場所があれば「猪突猛進! 猪突猛進!」と移動するつもりだったが、そのチャンスなく3年が過ぎて終了。キングボンビーが登場しなかったこともあり難なく勝てたが、何となく以前の「桃鉄」よりも目的地に到着しやすくなった気がする。以前の「桃鉄」は、駅近くにいても、サイコロの目が合わずにウロウロした気がするが、今作ではあっさりと必要な目が出る気がした。まあ、これも近年の「桃鉄」仕様なのかもしれない。
新規要素を踏まえたプチ攻略ガイド
「桃鉄」の攻略法はいろいろあるが、究極の攻略方法は「貧乏神を付けない」に尽きるだろう。そこからさらに、「桃太郎電鉄 〜昭和 平成 令和も定番!〜」を20年プレイして本作の攻略法を考えてみた。やりこめばもっと出てくるかもしれないが、新要素を含む攻略法なので、少しは参考になるはずだ。
まず、これまでの「桃鉄」であれば、敵が貧乏神を付けた状態で遠くにいるならば、目的地に到着するよりも、むしろ目的地周辺をうろうろして物件を買ったり、カードを手に入れたりして、貧乏神によるダメージを与えさせるのが良かった。しかし、今回は移動系カードや移動系の駅などがあるため、予断を許さない。逆にいえば、これらのカードや移動駅を上手に利用すればいいとも言える。
移動系カードでぜひ手に入れたいのが、前述した「☆飛びカード」で、周遊バージョンがあればなおよい。そして、今回初登場の「六大都市カード」も可能なら手に入れたい。名前のとおり、東京、横浜、大阪、名古屋、函館、福岡に移動可能だ。ほかにも、目的地に近づける「千載一遇カード」も便利だろう。なかにはサイコロを6個振り続けられる「ロイヤルEXカード」などもあるので、使えばかなり移動が楽になる。いずれにせよ、自分はゴールできなくてもいいから、敵がゴールしそうになったときに近づけられるカードは常備したいところ。特に「☆飛びカード」は意外と手に入りやすかった。
また、これらのカードが手に入らないのであれば、「H」とかかれたヘリポートの利用も検討したい。これまでにあったワープ系の駅のように持ち金がゼロ円になるわけではないので、目的地に近づけるなら利用しよう。ただし、あまり移動先の選択肢はないので、正直当てにならないところもある。だが、どこへ行くかわからない「ぶっとびカード」よりは安心できるだろう。なお、これらがない場合でも、急行系かつ周遊系のカードがあれば何とかなることは多い。「そんなに簡単に手に入らないよ」と思うかもしれないが、例えば千葉エリアには「N」とかかれたナイスカード駅がある。ここでは強力なカードが手に入りやすくなっているので利用してみよう。
次に注意すべき点としては、相手の「絶好調」に気をつけたい。COMによって効果はさまざまだが、「さくま鉄人」なら「プラス駅が5倍」などの効果が、「妖鬼妃(ようきひ)」なら「眠らせたり」してくることもある。「絶好調」を消す「絶好調くずしカード」もあるが、なかなかタイミング良く使えるとは思えない。COMだから強敵を選ばないという手もあるが、弱ければそれはそれでつまらないのが問題だ。
そのほかにも、死なば諸共的な攻撃手段を紹介しよう。それは、今回の新要素であるキングボンビー最凶形態「デストロイ号」を使うことだ。このデストロイ号は、通過した駅すべての物件を敵味方問わずに破壊する。敵が持っている高額物件を破壊できれば、資産の差もなくなるだろう……まあ、ホントに最終手段な気もするケド。
そのほかの注意点や見どころ
最後に、注意点や見どころを紹介しよう。今回は新ボンビーが大量に増えており、「キングボンビーJrポコン」も登場する。このポコンは、竜巻で物件を吹き飛ばすことができるのだが、序盤はあまりうまく操れずに被害は少ない。だが油断していると、後半はかなり吹き飛ばされるので注意が必要だ。また、味方してくれることもあるが、名産怪獣による攻撃もウザい。「男鹿半島怪獣ナマハゲーン」であれば、同じ駅に到着されると、多くの物件やカードを捨てられる。
プラスに働く要素としては「レインボー新幹線」があり、この新幹線と同じ位置に停まれれば、絶好調になるだけでなくサイコロを8個振れるようなる。また、物件を独占すると、エリアによっては歴史上の人物が歴史ヒーローとして味方してくれることも。ほかにも、カードをたくさん買うとポイントがたまり、そのポイントでカードを購入できる要素もある。
なお、今回「桃太郎電鉄」のリニューアルで、1番既存ユーザーが心配したのは、イラストのタッチだろう。だがそんな心配は無用だ。もちろん、昔のほうが味があると言う人もいるだろうが、台風時のイラストを見てほしい。こんなに可愛い夜叉姫はいままであっただろうか。
……とまあ、それはさておき。今回の「桃鉄」は、よりカードによる戦略を練りやすくなり、一方的な試合にならないで済むようになっている。今回紹介したようなルールと戦略、そして攻略要素さえ理解できれば、初心者でも大逆転の可能性はあるかもしれない。久しぶりに、ハマってしまいそうな「桃鉄」に出会えて嬉しい限りだ。
©さくまあきら ©Konami Digital Entertainment