「Xbox Series X|S」レビュー
Xbox Series X|S
2020年11月9日 00:00
後方互換は外付けHDDで十分。わかってきたストレージ周りのレギュレーション
ところで、プレビューでは記述しきれなかったXbox Velocity Architectureの“外の部分”。つまり、外付けストレージを使ったときの動作やパフォーマンスはどうかという部分について。本来はプレビューの時点でそこまで踏み込みたかったが単純に時間が足りなかった。レビューにあたり、時間を取って検証してみたのでその検証結果をご報告しよう。
まず、「外付けストレージを使うと、ゲームのパフォーマンスが下がる」という点については、半分正しく、半分正しくなかった。
正しくなかった部分については、Xbox Oneタイトルまで含めた後方互換タイトルの動作については、外付けストレージでも“パフォーマンスはほとんど落ちなかった”。
下記のベンチ結果は、筆者がXbox One Xで常用しているUSB 3.1接続の2TB HDDと、内蔵ストレージとの差を比較したものだが、Xbox Velocity Architectureをサポートする内蔵ストレージとほとんど変わらないという結果となっている。筆者は2度のプレビューで、「Xbox Series X | S 用 Seagate ストレージ拡張カード」が日本で発売未定だからストレージが足りないと指摘してきたが、この記述は半分撤回したい。後方互換機能については外部ストレージで十分まかなえる。
一方、正しかった部分は、Xbox Series X|Sタイトルは、Xbox Velocity Architectureと一体になっているため“外付けストレージからは起動できない”。つまり、Xbox Series X|SタイトルはXbox Velocity Architectureの外では利用できないため、結局容量不足からは逃れられない。
詳しく説明しよう。Xbox Series X|Sタイトルがインストール出来るのは内蔵ストレージもしくは、「Xbox Series X | S 用 Seagate ストレージ拡張カード」のみで、外付けストレージはインストール先に指定できない。Xbox One環境からインストール済みの外付けストレージをXbox Series X|Sに刺して直接起動させようとすると、後方互換タイトルはそのまま起動するが、Xbox Series X|S最適化タイトルは、起動が途中で中断し、Smart Deliveryが機能し、Xbox Series X|Sバージョンへアップデートするか、起動をキャンセルするかが促される。
「Smart Delivery」とは、「Xbox Play Anywhere」から一歩進んだクラウドサービスで、1度ゲームタイトルを買えば、Xbox Series X|S、Xbox One X|S、そしてPCのいずれのプラットフォームでもプレイできるだけでなく、プラットフォームごとに、常に最適なバージョンがインストールされるというものだ。今回のケースでは、Xbox Series Xで、Xbox One版を起動させようとしたことをOS側で検知し、Xbox Series X版に自動アップグレードしようとした、というわけだ。
「よし、この方式なら行ける!」と思ったのもつかの間、そのアップデートデータ(実際にはアップデートではなくダウンロード版フルサイズ)のインストール先は内蔵ストレージもしくはストレージ拡張カードに限定されてしまった。つまり、外付けストレージでは、どうあがいてもXbox Series X|Sタイトルは起動できないのだ。
このため、Xbox Series X|Sタイトルをガンガン遊ぼうと考えている場合(当然多くのゲーマーがそうだと思うが)、やはりXbox Series X|Sのストレージ容量不足は深刻な問題といえる。ただわずかに救いなのは、外付けストレージにXbox Series X|Sタイトルの“データを置くことはできる”ということだ。このため一時退避として外付けストレージは活用できる。「Halo Infinite」を遊ぶから、「Forza Horizon 4」を一時的に退避させる、みたいな使い方ができるということだ。参考にしてみて欲しい。