【特集】

「アストロシティミニ V」タイトルカタログ!! 全収録タイトルとともに当時の背景を振り返る

【アストロシティミニ V】

7月28日 発売

価格:19,580円(税込)

 いよいよ7月28日、シューティングゲーム好きが待ちに待っていた「アストロシティミニ V」が発売となる。20世紀末までにリリースされたシューティングゲームを多く含む全22タイトルを収録し、当時のアーケード筐体同様に縦型ディスプレイを採用した筐体デザインも魅力の1台だ。当時シューティングをやりこんだ人たちだけでなく、クラシックゲーム機が復刻される昨今のブームでシューティングゲームの魅力を知った人たちにとっても楽しみの1台と言えるだろう。

【アストロシティミニ V】

 収録タイトルが稼働された時代を通してみると、筆者は小学生から社会人になっていった、正に「青春の1台」と言える。ただし、ゲームは好きでもシューティングがあまり得意ではなかった事もあり、殆どのタイトルが抜け落ちている。発売されて「アストロシティミニ V」が手元に届いたら、それらのタイトルをプレイし直すことで、当時の想い出の中で欠けていたシューティングの心を取り戻せればと考えている。

 本稿ではそんな筆者の当時の思い出や、当時のアーケードゲーム界隈において個人的に感じた印象などを簡単に思い出して書き溜めてみた。

「アストロシティミニ V」収録タイトルラインナップ!


1.「ムーンクレスタ」(日本物産)

導入年:1980年

 日本物産から発売した面固定タイプの縦シューティングゲーム。最大3機までの形状の異なる自機をドッキングさせることで、火力が大幅に強化される「ドッキング」システムが特徴だ。

 本作が稼働を開始した1980年のアーケードゲーム界隈はタイトーの「スペースインベーダー」ブームから、画面固定のシューティングゲームを各社が発売しており、前年にはナムコのギャラクシアンが発売されている。

 この頃の筆者は7歳の小学1年生のため、実機でのプレイについてはほぼ記憶にないのだが、このドッキングシステムだけはかなり印象に残っている。その理由は1981年にエポック社より発売されたLSIゲームの「スーパーギャラクシアン」を購入していたからだ。

 なぜ「スーパーギャラクシアン」をガッツリやりこんだ話とドッキングシステムが関係するのか。それは「スーパーギャラクシアン」には、ボーナスステージとしてドッキングシステムが採用されており、自機が分離して再合体することでボーナススコアが稼げるという仕組みが用意されていたのだが、この仕組みが正に「ムーンクレスタ」のドッキングシステムだったからだ。当時は「ムーンクレスタ」の存在を知らなかったが、このようなオマージュが許される時代だった。

 移植については当時の8bit/16bitパソコンやスーパーファミコンなど多くの他機種でリリースされており、直近ではプレイステーション 4やNintendo Switchの「アーケードアーカイブス」でもリリースされている。


2.「ZAXXON(ザクソン)」(セガ)

導入年:1982年

 セガから発売された「ZAXXON」は、斜め右からの視点、クォータービューを採用した疑似3Dシューティングゲーム。単にビジュアルがクォータービューというだけでなく、3Dの仕組みとして高さの概念も導入されており、斬新なシステムだったようだ。

 1982年はまだナムコの「ゼビウス」登場前だが、この時代にすでに疑似3Dのビジュアルだけでなく、シンプルな仕組みながら高さの概念を導入していた辺りは後年、「スペースハリアー」などの疑似3Dタイトルを多くリリースし、最終的に「バーチャ」シリーズなどの3Dタイトルを多くリリースする事になるセガの片鱗がこの時、すでに見えているのが面白い。

 当時の筆者は小学3年生。筆者が当時楽しんでいたゲームと言えば「ゲーム&ウオッチ」で、1980年リリースの「ジャッジ」や後に発売となる「ドンキーコング」などを所持し、ガッツリ遊んでいた。「ZAXXON」については、後にMSX版の移植などで存在を知ることになるが当時は未プレイ。クォータービューのシューティングで印象に残っているのは「ZAXXON」リリースから10年後にリリースされたNEO GEOの「ビューポイント」で、こちらは実際にプレイしたこともある。

 移植についてはMSXやセガの家庭用ゲーム機「SG-1000」など一部リリースされているが、あまり多くの機種に移植されておらず、直近ではWiiのバーチャルコンソールアーケードでリリースされていたので貴重な1本と言える。


3.「テラクレスタ」(日本物産)

導入年:1985年

 日本物産から発売の縦スクロールシューティングで、前述の「ムーンクレスタ」の続編だ。1983年発売の「ゼビウス」の影響を受けた縦スクロールと、前作「ムーンクレスタ」から引き継いだ合体システム、さらには合体した自機を分離させ陣形を組んで攻撃する「フォーメーション攻撃」やアニメ「科学忍者隊ガッチャマン」のアイディアをオマージュした「火の鳥」モードなど豊富なシステムが導入されている。

 1985年はファミコン発売後のため、本作もファミコンに移植されている。この頃のアーケードゲーム界隈はセガが体感ゲーム「ハングオン」や「スペースハリアー」の稼働を開始している。各社ともシューティングやアクションゲームを多くリリースしている時代だ。

 筆者は当時小学5年生。8bitパソコンのMSXとファミコンの2本柱で、自宅にてゲーム三昧の日々となっており、この頃はあまりゲームセンターに行った記憶がなく、「テラクレスタ」もほぼ未プレイ状態だ。

 移植についてはファミコンとX68000、海外パソコンなどあまり多くないが、直近ではPS4/Nintendo Switchの「アーケードアーカイブス」でリリースされている。


4.「コスモポリス ギャリバン」(日本物産)

導入年:1985年

 日本物産から発売のアクションシューティングゲーム。元ネタは疑いようのない「宇宙刑事ギャバン」などの「宇宙刑事」シリーズのオマージュだ。「宇宙刑事」シリーズは1982年から3年に渡って放送された特撮だが、本作の発売時期がちょうど「宇宙刑事」シリーズの3作目「宇宙刑事シャイダー」の放送終了時期と近い辺りが興味深い。

 プレーヤーのギャリバンは変身前の状態からスタートし、この状態では攻撃手段はパンチやキックのみ、ジャンプ力も低いが、アイテム取得でコンバットスーツを装着して変身、以降は銃を撃ったり幅広のビームを放つなどド派手に戦えるようになる。

 当時小学5年生の筆者は当然「宇宙刑事」シリーズは大好きだ。個人的にはBGMが素晴らしく、特に敵とのバトルの終盤にかかるBGMは今聴いてもテンションの上がる名曲揃いで、サウンドトラックも所持しているほどだ。

 移植についてはファミコンと海外向けパソコンなど少数だが、直近でPS4/Nintendo Switchの「アーケードアーカイブス」にてリリースされている。


5.「アクションファイター」(セガ)

導入年:1986年

 セガが発売したアクションシューティング。上からの見下ろし視点のレースゲームに前面の敵を弾で倒すギミックを仕込んだタイトルだ。バイクや車、ジェットスキー、バギー、ヘリなど5つの乗り物を乗り分けてひたすら進んでいく流れで、主人公が乗る自機を変更できる仕組みは当時としては斬新だ。

 1986年のアーケードゲーム界隈は前年以上にタイトルも増えている。バリエーションの拡大として、巨大なキャラクターを動かして戦うナムコの「源平討魔伝」や、タイトーの「黄金の城」などのアクションゲームがリリース、セガは「アウトラン」や「カルテット」など大型筐体のタイトルをリリースするなど、各社の創意工夫が感じられる時代だ。

 当時の筆者は小学6年生。前年に続きファミコンとMSXでゲームを満喫する日々だが、この頃からMSXでの自作に目覚めるが、セガの魅力には気が付かないままだ(後悔)。

 移植についてはセガのゲーム機「セガ・マークIII」のみで、今回のアストロシティミニ Vへの収録がアーケード版の完全移植になるようだ。


6.「TATSUJIN」(東亜プラン)

導入年:1988年

 東亜プランが開発、タイトーが発売した縦スクロールシューティング。筆者の個人的な感想としては、とにかく敵の弾数が凄まじい印象を初めて感じたタイトルだ。プレイの記憶はおぼろげながら、ちょっと困ったらすぐボムを乱打してあっという間にやられてしまった記憶しか残っていない。

 1988年のアーケードゲーム界隈は、個人的にはナムコ全盛期を実感する1年だ。「超絶倫人ベラボーマン」のほか、ナムコの最新基板「SYSTEM II」によるタイトル「アサルト」や「未来忍者」など、豊富なタイトルがこの1年でリリースされている。他にもコナミの「グラディウスII」やアイレムの「イメージファイト」も発売されており、シューティングもアクションも賑やかな時代だ。

 当時の筆者は中学2年生。ゲームはやはりファミコンとMSXで、この頃はRPGの魅力に目覚め、「ドラクエ」をやりはじめたりしている。

 移植は当時の高性能な家庭用ゲーム機、セガ「メガドライブ」や「PCエンジン」のみにされている。直近ではタイトー「イーグレットツーミニ」にも収録されている。


7.「レッスルウォー」(セガ)

導入年:1989年

 セガがリリースしたプロレスゲーム。特徴はとにかく登場するレスラーたちのキャラクターがデカいことで、未プレイながら画面を見ると当時のプロレスゲームと比較してもそのキャラのデカさが感じられる。

 1989年のアーケードゲーム界隈のリリースタイトルはかなり多い。シューティングだけでもタイトーの「ダライアスII」やアイレムの「R-TYPE II」、「Xマルチプライ」、ナムコの「バーニングフォース」や「デンジャラスシード」、東亜プランもタイトー販売で「大旋風」や後述の「鮫!鮫!鮫!」などがリリースされている。

 シューティング以外にもセガ「ゴールデンアックス」などのアクションゲームやカプコン「ファイナルファイト」といったベルトスクロールアクションも登場している。

 筆者は当時高校1年生。この頃はMSXでのゲーム開発が絶頂期だったが、同時にPC-88など他のパソコンに触れたり、ゲームセンターのゲームを見るようになっていく時期でもあるが、残念ながら「レッスルウォー」は未プレイだ。

 移植はメガドライブ版が1991年にリリースされているが、他の情報は未確認のため、貴重な1本になることは間違いない。


8.「鮫!鮫!鮫!」(東亜プラン)

導入年:1989年

 東亜プラン開発、発売の縦スクロールシューティング。ワイドショットや貫通するビーム、炎の柱など3種類の強化ウェポンとボンバーを使うなどオーソドックスながら高難度のシューティングゲームに仕上がっている。難易度はかなり高かったようで、最近のシューティングゲームを楽しんでいる人たちにはいい刺激になりそうだ。

 移植は1990年のメガドライブ版のほか、直近ではエムツーよりPS4/Nintendo Switch用「飛翔鮫!鮫!鮫! -TOAPLAN ARCADE GARAGE-」にて、「鮫!鮫!鮫!」とその前作にあたる「飛翔鮫」がカップリングされ移植されている。


9.「雷電」(セイブ開発)

導入年:1990年

 セイブ開発が発売の縦スクロールシューティング。ショットとサブウェポン、ボンバーが用意され、これらの組み合わせを駆使して戦うシューティングとなっており、当時大ヒットを果たしたようだ。

 1990年のアーケードゲーム界隈は、データイーストの問題作「トリオ・ザ・パンチ」の衝撃以外は個人的にはあまり印象に残るタイトルが少ない。多くのタイトルがリリースされていた時期でもあるのだが、当時の筆者は高校2年生で、ゲームではなくアニメに惹かれ始めた時期だったことも影響しているのかもしれない。

 移植を見るとメガドライブやPCエンジン、Super CD-ROM2にも移植されているほか、スーパーファミコンや初代プレイステーションのほか、PS3やPSPなど新たなハードが出るたびに移植されている。直近ではPS4/Nintendo Switchの「アーケードアーカイブス」もリリースされており、世代を越えて愛されている印象だ。


10.「アウトゾーン」(東亜プラン)

導入年:1990年

 東亜プランの任意縦スクロールシューティングで、日本国内におけるアーケード版初忠実移植となっている。これまでもこれからもシューティングと言えば強制スクロールのタイトルが多い中、縦スクロールで任意スクロールするタイプは珍しい印象だ。

 移植については前述の通り、今回のアストロシティミニ Vへの収録が初となるが、エムツーの2020年の動画配信では、同社が手掛けるシューティングゲーム復刻プロジェクト「M2 Shot Triggers」にて開発中という情報が公開されていたようだ。


11.「ソニックウイングス」(ビデオシステム)

導入年:1992年

 ビデオシステム開発の縦スクロールシューティング。登場キャラクターを前面に押し出すスタイルが特徴で、当時大学1年生の筆者は、アニメや漫画など現在の萌えの先駆けとしてかわいいキャラクターを追い求めている中、出会ったキャラクターの1人が本作に登場する真尾まおだった。

 プレーヤーセレクトとして、比較的大きな領域に女性警察の制服を身にまとい、一日署長のタスキを掛けた真尾まおがドーンと表示され、ステージをクリアすると画面上にビジュアルとセリフが表示される。簡素な仕組みながら衝撃を受けた記憶が強烈に残っている。

 1992年のアーケードゲーム界隈は、前年1991年に発売された格闘ゲーム、カプコン「ストリートファイターII」の衝撃から1年、各社が格闘ゲームを続々とリリースする中、シューティングゲームも本作を含む後述のタイトルが何本かリリースされたほか、アクションゲームもアイレムの「アンダーカバーコップス」やデータイーストの「ザ・グレイト・ラグタイムショー」など名作がちらほら。セガはマイペースに「バーチャレーシング」やコンパイル開発の落ち物パズル「ぷよぷよ」をリリースするなど、界隈全体が活性化されたようにも感じられるが、リリースタイトル数は80年代後半と比べると低下している。

 移植はスーパーファミコンのほか、セガサターンやプレイステーションでもスペシャルとしてリリースされた。


12.「達人王」(東亜プラン)

導入年:1992年

 東亜プラン開発の縦スクロールシューティングで、前述の「TATSUJIN」の続編となっている。当時32ビットパソコンの「FM TOWNS」にて移植されたが、アーケード版の忠実移植は今回が初となる。キャッチコピーは「達人を超えて王となれ!!」とかなり挑戦的で、同社シューティングゲームの中でも屈指の難易度となっている。


13.「ドギューン!!」(東亜プラン)

導入年:1992年

 東亜プランの縦スクロールシューティング。ショットのパワーアップがなく、アイテム取得でショットの種類を切り替えて戦うタイプなのが特徴。本作も日本国内においては初のアーケード版忠実移植となっている。

 タイトル画面にめっちゃカッコいいロボットが表示されているが、実際の自機は普通の戦闘機だ。ではこのロボットは何かというと、最終面の一部で自機がロボット形態に変形してパンチで戦う場面があり、その時のロボットのようだ。


14.「デザートブレイカー」(セガ)

導入年:1992年

 セガが発売した見下ろし視点のアクションシューティングで、今回初めてアーケード版が忠実移植される。イメージとしてはカプコン「戦場の狼」のようなタイプで、3人の戦士から1人を選択し、フィールドを移動しながら敵を銃で倒していく。フィールド内の乗り物に乗れたり、攻撃方法が多彩だったりとユニークな仕上がりになっている。

 筆者は稼働しているのを見たことがないので、「アストロシティミニ V」で触れるのが初プレイとなる。20年以上昔のタイトルとこのような形で出会えるのも「アストロシティミニ V」の面白いところだ。


15.「BATSUGUN」(東亜プラン)

導入年:1993年

 東亜プラン開発、タイトー販売の縦スクロールシューティング。パイロット選択のシステムを採用していたので、数度プレイした記憶がある。本作には2人の女性キャラクターがいたが、当時大学2年生の筆者は緑の帽子とショートカットが好みだったので、迷うことなくアルティーノ=トリューデュ一択だ。

 調べてみると難易度は緩めといった記述が各所で見られるのだが、筆者はステージ1か2くらいまでしか進められなかった記憶だ。これまでの東亜プラン作品と比べて低めというだけで、弾が避けられないと死んでしまうのはシューティングゲームの基本だから仕方ない。演出の派手さなどもあり、人気を博したようだ。

 移植はセガサターン版がリリースされている。


16.「V・V(ヴイ・ファイヴ)」(東亜プラン)

導入年:1993年

 東亜プランの縦スクロールシューティング。東亜プラン開発のゲームにおいては珍しく、選択式パワーアップの仕組みを採用しているのが特徴。

 1993年のアーケードゲーム界隈は格闘ゲーム全盛期とも言える。セガ「バーチャファイター」が登場したほか、NEO GEOの「SAMURAI SPIRITS」、「餓狼伝説スペシャル」などの正統派格闘ゲームに加えて、データイーストの「ファイターズヒストリー」も登場するなど、バリエーション豊かなタイトルがリリースされている。一方でシューティングゲームやアクションゲームなど、その他のタイトルもかなり多くリリースされており、格闘ゲームが呼び声となり、アーケードゲーム界隈全体も盛り上がっている印象を受ける。

 筆者がこの頃ハマっていたのがナムコの「ニューマンアスレチックス」だ。いうまでもなくシャロンが激推しだったのだ。他にも当時は格闘ゲーム全盛ということもあり、「SAMURAI SPIRITS」ではナコルルをこよなく愛し、ガッツリプレイしていた記憶が強く残っている。

 移植は1994年にテンゲン開発でメガドライブ版がリリースされている。


17.「戦国エース」(彩京)

導入年:1993年

 「ソニックウィングス」の開発チームが独立した彩京が開発した縦スクロールシューティング。6人のキャラクターから選択が可能で、当時は何といっても暴れん坊巫女の「こより」が一押しだった。本作ではイラストレーターの中村博文氏がキャラクターデザインを手掛け、各所のイラストなども全て同氏によるものだったこともあり、そこに一番惹かれたのは言うまでもない。

 一方で実を言うと変なメカ好きの側面もあった筆者は変なメカを肩に乗せたからくり屋-源内を選ぶこともあった。本作ではキャラクターと機体が紐づいており、それぞれショットの種類や、特殊なスペシャルウェポンなどの種類が異なっているのも特徴の1つだった。

 移植はPS2版のほか、Switchにて「彩京 SHOOTING LIBRARY Vol.2」に収録されている。


18.「疾風魔法大作戦」(ライジング)

導入年:1994年

 ライジング開発、エイティング発売の縦スクロールシューティング。シリーズとしては1993年に前作「魔法大作戦」がリリース、本作はその1年後にリリースされた続編という位置付けだ。なお、本作から6年後の2000年にはカプコン販売で3作目となる「グレート魔法大作戦」がリリースされている。

 本作の魅力もやはり登場キャラクターが選択可能なシステムだ。当然筆者は魔法使いのチッタをチョイスしていた。また、シューティングにライバルとのレースという要素を追加しており、シューティングゲームの新たな可能性を模索している点も興味深いところだ。

 1994年のアーケードゲーム界隈は、ナムコ「鉄拳」とセガ「バーチャファイター2」の登場により、3D格闘ゲームが主流になり始めた流れが感じられる。シューティングはタイトー「レイフォース」やNMKの「オペレーションラグナロク」などの良作も多いのだが、リリース数が再び減少傾向に転じてしまっている。一方でセガは前述のバーチャ2に加えて、光線銃で敵を倒す「バーチャコップ」やぷよぷよの続編「ぷよぷよ通」などヒットタイトルが多く見られて絶好調だ。

 なお、移植はセガサターン版がリリースされている。


19.「ガンバード」(彩京)

導入年:1994年

 彩京が開発、販売した縦スクロールシューティング。「戦国エース」同様に、中村博文氏がキャラクターデザインやイラストなどを担当しており、魔法少女のマリオンがすごくかわいいんです。はい。また、仙術使いのヤンニャンは雲に乗って移動するなど、「戦国エース」と比べても、よりファンタジー色が強いシューティングとなっている。

 移植はセガサターンとプレイステーション版、PS2版のほか、PS3やPSP、Switchにて「彩京 SHOOTING LIBRARY Vol.2」にも収録されている。


20.「ストライカーズ1945」(彩京)

導入年:1995年

 彩京が販売した縦スクロールシューティング。キャラクター選択といった要素はなく、SF的な設定と実在する戦闘機を自機として選択可能な硬派な作りのシューティングとなっている。システムとしてはこれまでの彩京のシステムと同様で、いずれも戦闘機ごとにショットの種類や性能、ボムなどの性能が異なる仕組みなので、好みに応じて選択して戦う。

 1995年のアーケードゲーム界隈は格闘ゲームも一段落、各社得意分野のタイトルを多くリリースしている落ち着いた印象だ。一方で1994年末に登場したプレイステーションやセガサターンなど、アーケードゲームに負けず劣らずの高性能なハードウェアに対する影響はそれほどは見られない。

 当時印象に残っているタイトルはキャラクターのかわいさで言えば間違いなくジャレコの「ゲーム天国」だ。漫画家のそうま竜也氏のキャラクターデザインが最高すぎる。ゲームとしてはナムコ「アウトフォクシーズ」や、セガ「ファイティングバイパーズ」、そしてロボットを題材にした対戦アクション「電脳戦機バーチャロン」には衝撃を受けた。

 また、大学4年生の筆者にとっての衝撃はなんといっても「新世紀エヴァンゲリオン」だ。当時、夕方18時30分に放映していたとは考えられないレベルのクオリティとその内容は当時のオタクたちに衝撃を与えたのは間違いないし、筆者も思いっきりその影響を受けた1人と言える。

 「ストライカーズ1945」の移植はプレイステーション/セガサターン/PS2/Nintendo Switchのほか、SteamやPS4、Xbox Oneなど新ハードでもプレイが可能な状況となっている。


21.「アームドポリス バトライダー」(ライジング)

導入年:1998年

 ライジング開発の縦スクロールシューティングで、同社開発の「バトルガレッガ」の続編に位置する。アーケード版としては今回が初移植だ。チームシステムを採用し、自機キャラクターを3人選択し、やられた場合はそこで選択した別のキャラクターが登場するというユニークな仕組みとなっている。

 また、同社では「ライジングオールスター」として、「バトルガレッガ」や「魔法大作戦」に登場した機体やボスが再登場するなどライジング作品のファンが喜ぶ作りとなってるのも面白い。

 1998年のアーケードゲーム界隈は「弾銃フィーバロン」や「レイディアントシルバーガン」といった良作もリリースされているが、コナミの「Dance Dance Revolution」のブームがゲームセンターを賑わせた印象が強く残る。こうした体を動かすタイプのゲームが苦手な筆者はあまり積極的にプレイしなかったので、この頃はあまりゲームセンターに顔を出していない。

 気が付けば筆者も大学4年の生活を終えて社会人になっていた。開発会社に入社してPC相手に格闘していた時期となる。


22.「バトルバクレイド アンリミテッドバージョン」(ライジング)

導入年:1999年

 ライジング開発、エイティング販売の縦スクロールシューティング。今回アーケード版としては初の忠実移植となる。なお、収録されるのはマイナーチェンジ版として後発のアンリミテッドバージョンとなる。稼働日数経過後に選択可能な自機が増える。最初は4機から最終的には9種類から選択可能で、メインショットやサイドショットの性能が異なる。

 1999年のアーケードゲーム界隈はナムコの「ミスタードリラー」など魅力あるタイトルも見える中、過去作の続編が目立つ状況だ。格闘ゲーム、アクションゲーム、シューティングゲーム、パズルゲーム、麻雀ゲームなど、いずれも厳しい状況の印象を受ける。

再び盛り上がりを見せつつあるシューティング界隈

 以上、「アストロシティミニ V」収録タイトルの簡単な紹介と合わせて当時を振り返ってみた。何らかのブームがゲームセンターを盛り上げ、ブームが過ぎると減速し、次の新たなタイトルがジャンルを立ち上げて新たなブームを牽引という流れで続いてきたゲームセンターも家庭用ゲーム機の性能向上に伴い、20世紀のうちにその流れがどんどん悪くなっていくのが見えた。そんな中でも、特にシューティングゲームは根強いファンの元、毎年、何かしらのビッグタイトルがリリースされ続けており、ゲーム会社や開発者たちの苦労がしのばれる。

 シューティングゲームに対する指摘の1つとして、難しくなりすぎて、初心者お断りになってしまったというものが上げられる。確かに当時のシューティングは非常に難しかったし、1回100円の仕組みではあまり継続してプレイしようという気にならない場面も多々あった。

 一方で当時から、新たな仕掛けを用意して、プレイが上手ではないプレーヤーを引き留めようとしたり、キャラクター選択などビジュアルを前面に押し出すことで、新たなファンを獲得しようとする試みがあったことなどが、今回の振り返りで見えてきた。そして前世紀のこうした試みは近年着実に芽を出している。

【収録タイトル】

 近年のゲーム業界を見ていると、割とカジュアルにシューティングゲームがリリースされている。いずれも上級者はより高スコアを目指してチャレンジし、初心者であっても最終面のクリアくらいまではどうにかギリギリでたどりつけるような絶妙なバランスのタイトルが多く見られる。

 キャラクターなどのビジュアル面も工夫を凝らしており、見た目でシューティングゲームを選ぶといったこともあるような状況だ。また、家庭用ゲーム機での「アーケードアーカイブス」による当時のゲームリリースも好評のようで、新たなリリース情報が出るたびににぎわっている様子が伝わってくる。

 ゲームセンターについても、エムツーの新規タイトルがゲームセンターで稼働したり、といった逆輸入の話が最近よく聞かれる。格闘ゲームについても、オンライン対戦が主流ながらも、再度ゲームセンターというあの独特の空間でプレイしたいという声も多く聞かれるようになるなど、以前のように戻るのは難しいながらも歩み寄っていく雰囲気が感じられる。

 「アストロシティミニ V」についてもゲームセンターの筐体に備えられていた難易度などの設定をゲームセンター側で変更できる「ディップスイッチ」を備え、これを弄れる機能が施されたり、厳しそうなシーン直前で利用できる「かんたんセーブ」の採用など、幅広い層が楽しめる作りになっている。

 こうした機能の追加で、今まで難しすぎると躊躇していた高難度シューティングに、繰り返し挑戦できるというのはなんともありがたい時代になったと感じる。「アストロシティミニ V」を購入したら、まずは久しぶりに真尾まおで全ステージクリアを目指してみたい。