【特集】
【アストロシティミニ V特集】東亜プラン最後のシューティングゲーム。優しさにあふれた「BATSUGUN」
2022年7月28日 00:00
- 【BATSUGUN】
- 1993年 稼働開始
- アストロシティミニ Vに収録
「BATSUGUN(バツグン)」は、1993年に東亜プランが発売した縦スクロールシューティングゲーム。8方向レバーとショット、ボンバーの2ボタンで自機を操作し(※「アストロシティミニV」版はオート連射ボタンも搭載)、各ステージの最後に出現するボスを倒せばステージクリアとなる、古い時代からよくあるオーソドックスなタイプの作品だ。
・電源ONの瞬間からアツくなる! 「アストロシティミニ V」開封レポート
・「アストロシティミニ V」タイトルカタログ!! 全収録タイトルとともに当時の背景を振り返る
・ド派手な演出の数々に戦慄! 名作縦スクロールシューティング「TATSUJIN」
・東亜プラン最後のシューティングゲーム。優しさにあふれた「BATSUGUN」
・ドット絵のクォータービューに見惚れる! 高さの概念を取り入れた斜めスクロールシューティング「ZAXXON」
・“ドッキング”システムが革新的。収録タイトルの最古参「ムーンクレスタ」
・駄菓子屋、ダンボール箱、パレード、そしてハイスコア……80年代中盤までのゲームセンターは、そんなキーワードで構成されていた。「テラクレスタ」
・対戦格闘ゲームブームが来る前のゲームセンターは、まだまだシューティングゲームが元気だった。「雷電」
当時としては異色の「優しさ」を感じさせる珍しい作品
筆者が「BATSUGUN」をピックアップしたのは、一時期ゲーセンでやり込んでいただけでなく、自身がライターとなって初めて攻略記事を書いたタイトルが本作だったので、公私共々思い出に残っているからだ。
筆者の本作との出会いは、ライターデビューして間もない93年の秋頃。新作タイトルの紹介コーナーに掲載されているを見て「『達人王』や『V・V(ヴイ・ファイヴ)』に比べ派手さはないけど、東亜プランのシューティングだし、機体が3種類から選べたりしてやっぱり面白そうだな。早く遊んでみたいなあ」と思うのと同時に、「早くシューティングゲームの攻略記事を書いてみたいなあ……」という欲望が沸き上がったのを今でもよく覚えている。
当初は先輩ライターが紹介および攻略記事を書いていたが、筆者も本作をやり込んでるぞ、記事がかけるぞと編集者にアピールをすべく、稼働初日から毎日ゲームセンターに足を運んでやり込んだ。幸いなことに攻略は順調に進み、3プレイ目で1コインクリアを達成した。数々の高難易度シューティングを世に送り出した東亜プランなのに、本作は歴戦のシューティングマニアであれば「これ、ホントに東亜プランのゲーム?」と拍子抜けするほど難易度が低く、筆者も「アレ、もうおしまいなの?」とビックリしてしまった。
本作は1周全5ステージで2周目はなく、5面をクリアすれば即エンディングを迎えてゲームオーバーとなる。思えば当時のゲーセンでは筆者だけでなく、かなり多くのプレーヤーが本作の全面クリアに成功していたと記憶している。今までの東亜プランのイメージを大きく覆す、優しさすら感じさせる本作にはすごく好感を持った。
だが、いくら優しいとはいえ、そこはアーケードゲーム。ミスしやすい難所がいくつかあったので、もし攻略記事を書くのであれば、「4面のボスの途中でムズい所があるな。ここを詳しく解説すれば、きっと読者に喜ばれるだろうな……」などと手前勝手に妄想していた。
そして93年の年末、驚きの知らせが届いた。なんと、攻略記事を担当していた先輩が多忙で手が回らなくなったため、急きょ筆者が原稿執筆を任されることになったのだ。早くも念願がかない、意気揚々と原稿を書き始めたのだが、この仕事を通じて記事を1本書き上げるためには、好きなゲームの攻略パターンを考えるのは楽しい反面、実はとてつもなく大変な労力を要することをイヤというほど思い知ることになった。
攻略記事を書くにあたっては、攻略パターンをきっちり作るのはもちろん、なぜ攻略できたのかをロジカルに説明できる理解、読解力が求められ、なおかつそれを文章に変換するスキルが必須となる。画面写真の撮影方法ももちろん重要で、攻略の場面をピンポイントで撮影するとともに、場面ごとに記事中で何点の写真を使うのかも考えなくてはいけない。しかも、当時は動画や静止画を直接キャプチャーできなかったので、紙焼きフィルムをセットしたカメラで直撮りしていたので、ゲームとは別にカメラを扱う基本技術も必要だった(撮影の大半は編集者に助けてもらったけど……)。
まだほかにも仕事はある。メーカー(東亜プラン)に敵キャラクターの名称や、自分で発見した隠しボーナスの出現条件などを確認するため、編集者を介して随時問い合わせる必要があった(※当時はメールがなく、電話とFAXだけでやり取りした)。ゲーセンでプレーヤーの状況を日々チェックしては、およそ1カ月後に発売される雑誌には何を書いたら喜んでくれるのか、それまでに裏技の存在にみんな気付くのかなどを観察、予測したうえで記事の構成を考えるのも重要なポイントだった。
なので、楽勝でクリアしたから簡単に記事がなんていうのは、大間違いもいいところ。生涯初の徹夜仕事も経験し、攻略記事を書くのはけっして簡単ではないことを教えてくれた意味でも、本作は個人的に思い入れの強い作品だ。
そして、この仕事を機に記事の書き方をわかった(つもりになった)ところで、「東亜プランのシューティングの攻略は、これから俺が全部引き受けるぞ!」と思ったのもつかの間、直後にメーカーが倒産したため、本作が最初で最後の東亜プランタイトルの攻略記事となってしまったことでも思い出深い……(涙)。
と、いうことで(?)、最後に遠い昔の記憶を呼び起こしつつ、ぜひ皆さんにチャレンジしていただきたい、本作の隠しキャラ、ボーナス得点を以下にまとめてご紹介し、とりとめのない話に終始した本稿の筆を置かせていただく。「アストロシティミニ V」をより楽しむための一助となれば幸いだ。
・電源ONの瞬間からアツくなる! 「アストロシティミニ V」開封レポート
・「アストロシティミニ V」タイトルカタログ!! 全収録タイトルとともに当時の背景を振り返る
・ド派手な演出の数々に戦慄! 名作縦スクロールシューティング「TATSUJIN」
・東亜プラン最後のシューティングゲーム。優しさにあふれた「BATSUGUN」
・ドット絵のクォータービューに見惚れる! 高さの概念を取り入れた斜めスクロールシューティング「ZAXXON」
・“ドッキング”システムが革新的。収録タイトルの最古参「ムーンクレスタ」
・駄菓子屋、ダンボール箱、パレード、そしてハイスコア……80年代中盤までのゲームセンターは、そんなキーワードで構成されていた。「テラクレスタ」
・対戦格闘ゲームブームが来る前のゲームセンターは、まだまだシューティングゲームが元気だった。「雷電」
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