【特集】
【アストロシティミニ V特集】“ドッキング”システムが革新的。収録タイトルの最古参「ムーンクレスタ」
2022年7月28日 00:00
- 【ムーンクレスタ】
- 1980年 稼働開始
- アストロシティミニ Vに収録
「アストロシティミニ V」に収録されるタイトルの中で最も古い、1980年に日本物産(ニチブツ)よりリリースされた「ムーンクレスタ」。レバー(左右2方向)とボタン1つで操作するシンプルなゲームだが、当時のシューティングゲームとしては革新的なゲームシステムが採用され、当時のプレーヤーに衝撃をもたらしたタイトルだ。
・電源ONの瞬間からアツくなる! 「アストロシティミニ V」開封レポート
・「アストロシティミニ V」タイトルカタログ!! 全収録タイトルとともに当時の背景を振り返る
・ド派手な演出の数々に戦慄! 名作縦スクロールシューティング「TATSUJIN」
・東亜プラン最後のシューティングゲーム。優しさにあふれた「BATSUGUN」
・ドット絵のクォータービューに見惚れる! 高さの概念を取り入れた斜めスクロールシューティング「ZAXXON」
・“ドッキング”システムが革新的。収録タイトルの最古参「ムーンクレスタ」
・駄菓子屋、ダンボール箱、パレード、そしてハイスコア……80年代中盤までのゲームセンターは、そんなキーワードで構成されていた。「テラクレスタ」
・対戦格闘ゲームブームが来る前のゲームセンターは、まだまだシューティングゲームが元気だった。「雷電」
ゲームをスタートすると軽快なBGMとともに3機が合体したプレーヤー機が登場。1号機だけが切り離され、孤独な戦いが始まる。敵は全5種類が2回ずつ出現し、全てを倒すとループして最初のステージへと戻る仕組み。
革新的だったのはプレーヤー機のシステムだ。本作のいわゆる「残機」の概念は合体した3機に依存していて、ミスをして1号機がやられると2号機が登場し、2号機がやられると3号機が登場するというルールが設定されている。3機は自機の大きさや攻撃力が異なるので、単独時や合体時で違った攻防が必要とされるのが面白いところだ。
ステージの明確な表記はないが、敵の「スーパーフライ」と「メテオ」との戦闘後に挿入されるボーナスステージにおける自機の「ドッキング」も、本作を象徴するゲームシステムである。ドッキングを成功させると複数の自機が合体した状態で戦いに赴くことができ、画面に撃てる弾の数が増えて、敵との戦いが大幅に楽になるのである。
最終的に3号機まで合体することで、画面に5発の弾を発射することができるようになるが、その状態で戦えるのは最終2ステージのみというのが面白くも切ないポイントである。ドッキングのシステムは続編となる「テラクレスタ」でも原理を変えて採用されているが、個人的にはエポック社から発売されたLSIゲームの「スーパーギャラクシアン」(1981年発売)にそれらしい要素が導入されていたことを今も覚えている。
5種類の敵は色が変わって2回ずつ登場する。色による違いはなく、動きのパターンは基本的に同じだ。全ての敵は弾を撃たず、体当たりのみで攻撃してくることに、その当時はなんとなく硬派な印象を受けたものだ。弾を撃たない分、動きが非常にトリッキーで、自機の下側に潜り込んだあとにU字を描いて上がってくる、いわゆる“アッパーカット”と呼ばれる攻撃に苦しめられた人は多いはず。またステージを重ねていくにつれ、その動きが高速になり、ゲームが難しくなっていく。
ゲームのサウンドも当時としては突出した完成度で、ゲームスタート時やドッキングの成功&ミス時、全ステージクリア時などに流れる音楽は実に印象深く、リリース当時に遊んだ人の耳にも残っているはず。また敵キャラクターが出現するときや倒したときの効果音も全て違っていて、聴いていて実に心地がいい。
現行の各ハードにも移植されていて気軽にプレイできるタイトルではあるが、「アストロシティミニ V」の画面に映ったものをプレイできるのはなかなか新鮮だ。他の収録タイトルとは趣がグッと異なるのだが、個人的にはこの頃のゲームをもっと入れてほしかったとも感じている。続編となる「テラクレスタ」も収録されているので、同じハードの上で共有された世界観を楽しんでみてほしい。
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