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会場:品川インターシティホール 入場:無料
株式会社カプコンは、同社の対戦格闘ゲームタイトル「ストリートファイターIV(SFIV)」の公式全国大会「闘志再撃“拳を燃やせ!”ストリートファイターIV全国大会」の決勝大会を、1月18日に東京・品川インターシティホールにて開催した。入場料は無料。 会場には同作品のアーケード版無料試遊台の他、ロビーには2月12日に発売予定のプレイステーション 3版、Xbox 360版の試遊台が、追加キャラクタもすべて使用可能な状態で設置されていた。 全国決勝大会は、当日参加枠を含めた128名がAからHまでの8ブロックにわかれて予選トーナメントを行ない、勝ち抜いた8名によって決勝トーナメントを行なうという流れで進められた。 予選を勝ち抜いたのは伊予選手、ベガカレー選手、金デヴ選手、青汁ガイル選手、りき選手、だしお選手、ときどきヌキンクス選手、あーるえふ選手の8名。 大会当日は公式全国大会の決勝戦のほか、スペシャルステージとして家庭用版であるPS3/Xbox 360版の紹介ステージと、プレス対抗トーナメント大会も行なわれた。 スペシャルステージにはスペシャルゲストとして家庭用版のCMに出演している高良光莉(たからひかり)さんが登場し、その後囲み取材も行なわれたが、その模様は後述するとして、まずはメインイベントである全国大会の方に注目していきたい。
■ 強豪ひしめく予選トーナメント
予選トーナメントは128名を8ブロックに分けてのトーナメント制で実施。128名のうち16名は当日参加枠で、こちらは当日10時半までに会場にて受付が行なわれ、参加申請をしたプレーヤーの中から抽選で選ばれた。 参加者の使用キャラクタ内訳は、もっとも多いキャラクタがサガットで、24名。全体の実に20%近くを占め、大会用のキャラクタとしての人気の高さが伺えた。次に多かったのはルーファスで、12名。従来レポートを行なってきた大会では、あまり人気の高いキャラクタではなかったためこれはやや意外であった。次点はリュウで、10名。以下ザンギエフ、ゴウキ、ケンが9名、バイソン、ヴァイパーが8名、ブランカが7名、ベガ、ダルシムが6名、E・本田、チュンリーが5名、アベルが4名、エル・フォルテが3名、ガイルが2名、バルログが1名となっていた。 予選トーナメントは筐体8セットを使い、各ブロックが同時進行で行なわれ、AからDまでのブロックはステージ上のスクリーンを4分割して対戦の様子が表示されるようになっていた。 とにかくどこを見ても注目選手だらけで、筆者もどこに注目してよいか迷い目移りしてしまったが、特に注目が集まったのはやはりBブロックのウメハラ選手とベガカレー選手のブロック決勝戦だろう。 ウメハラ選手は現在全国ランキングのトップを独走する言わずと知れた強豪プレーヤー。ここまでの3試合はいずれも安定した強さで勝ち上がってきており、この対戦でも順当に勝利すると思われた。 しかし、それに待ったをかけたのがサガット使いのベガカレー選手。1ラウンド目はウメハラ選手が持ち前の的を絞らせない攻めを展開し先取するものの、2ラウンド目はベガカレー選手がうまく凌ぎ取り返す。3ラウンド目はベガカレー選手が先制し、そのまま体力を大幅にリードする。ウメハラ選手の残り体力が残り1割程度、ベガカレー選手が7割近く残っている状態になり、誰もが「ウメハラ選手もここまでか……」と思ったはず。 ところがそこから、ウメハラ選手が昇竜拳をセービングキャンセルして滅波動拳を決めると、会場内にどよめきが起こる。あわやKOかと思われたが、さすがに一撃ではひっくり返らず、なおもベガカレー選手のリード。あと1発タイガーショットが当たればKOという状況でもあきらめないウメハラ選手。しかし最後はタイガーショットを読んだウメハラ選手が飛び込むと、これを読んでいたか我慢をしていたベガカレー選手が、対空のEXタイガーアッパーカットをきっちり決めてKO。決勝進出を決めた。 もうひとつ注目を集めた試合がCブロックのブロック決勝、ルーファス使いの金デヴ選手対サガット使いの坂本少佐選手の試合。金デヴ選手はなんと抽選の当日参加枠を獲得した選手。運も味方につけ、参加選手の中でも最も勢いのあるプレーヤーに感じられた。この試合でも、お互い1ラウンドずつ取った最終ラウンドで、1度は残り体力1発分のところまで追い込まれるが、最後の最後で驚異的な粘りを発揮し、起き攻めで2回連続投げを決めるなど強気な攻めを見せると、そのまま逆転勝利しCブロック決勝進出の権利を手に入れた。 そのほかにも多くの注目選手が出場しており、しかもそれが同時に8筐体で進行するものだから、ほぼどこを見ても注目カードが目白押し。どの試合もじっくり観戦したかったが、気がつくと決着がついていると言う、ある意味非常に贅沢な状態であった。 そんな予選を勝ち抜いた選手が前述の8名。名前を挙げてしまえばそれまでだが、ここに至るまでの過程を実際に見ていると、よくぞここまであがってきたものだと、この時点で表彰してあげたくなるぐらい、実に密度の濃い予選であった。
■ 会場を緊張が包む決勝トーナメント
決勝戦は時間を置き、予選を勝ち抜いた8人によって再度組み合わせが抽選され、2試合先取制にてトーナメント戦が行なわれた。 決勝トーナメント1試合目はサガット使いのあーるえふ選手対チュンリー使いのときどきヌキンクス選手。ときどきヌキンクス選手は小足払い2発からヒット確認してのEX百烈キック~鳳仙花を何度も決めるなど、非常にうまいところを見せ、会場を沸かせたが、サガット対チュンリーという組み合わせだと耐久力の低さもあいまって、サガットの攻撃力の高さが目立つ。お互いに1試合ずつ取り、最終戦にもつれ込んだが、最後はあーるえふ選手が押し切って勝利した。 2試合目はサガット使いのベガカレー選手とベガ使いのりき選手。りき選手は立ち強Kの使い方がうまく、これを中心に徐々にベガカレー選手の体力を奪う。最終的には起き上がりに近づき、ベガカレー選手が起き攻めを嫌って出したタイガーアッパーカットをEXヘッドプレスで切り替えして勝利を決めた。
3試合目はバイソン使いの青汁ガイル選手とダルシム使いの伊予選手の対決。ダルシム対バイソンと言う組み合わせなので、逃げる伊予選手を青汁ガイル選手が追いかける展開。その中で印象的だったのは、伊予選手のヨガタワーの使い方。あまり有効に使っている人を見かけないこの技だが、伊予選手はここでもダッシュストレートにあわせて空振りさせるなど、積極的に使っていた。試合は最終的に伊予選手が凌ぎきり勝利。 4試合目はルーファス使いの金デヴ選手とヴァイパー使いのだしお選手の対決。新キャラ対決となったこの試合は、強気で攻める金デヴ選手に対してだしお選手が丁寧に切り返し、豊富なキャンセル技を使ったテクニカルな攻めで金デヴ選手を追い詰める展開。しかし残り1ドットまで追い詰められた金デヴ選手が怒涛の反撃で1試合目を先取すると、続く2試合目は勢いに乗った金デヴ選手が一気に押しきり、準決勝進出を決めた。
■ 誰が勝ってもおかしくない準決勝
準決勝第1試合はあーるえふ選手対りき選手の対決。1試合目はあーるえふ選手が怒涛の攻めを見せ、りき選手のベガを気絶させるなどして一方的な展開で勝利。2試合目はりき選手も負けじと粘りを見せ取り返すが、最終試合はまたもあーるえふ選手が攻め切り、決勝進出を決めた。 準決勝第2試合は伊予選手対金デヴ選手。ここでも逃げるダルシムに追いすがるルーファスという戦いが展開。1試合目は徹底した伊予選手の立ち回りに、金デヴ選手が近づけない。追い詰められた金デヴ選手が銀河トルネードをガードさせたあと、ジャンプ強Kを当ててからのEX蛇突ネイチャーで逆転するなど見せ場は作るものの、最後はきっちり凌ぎきって伊予選手が先制。 2試合目は一進一退の攻防で始まるが、金デヴ選手が救世主キックの派生技部分で相打ちを取ると、そこにスペースオペラシンフォニーを決めるなどして1ラウンド目を先取。続く2ラウンド目は怒涛の攻めを見せ、一気に金デヴ選手が取り返し、一度つかまると爆発力があるところを見せ付けた。最後の試合も両者一歩も譲らない展開になるが、最終的にはうまく間合いを制した伊予選手が勝利した。 決勝戦の前に行なわれた3位決定戦は、りき選手と金デヴ選手の対決。優勝を逃して緊張感がほぐれたのか、お互いに最初から攻めまくる展開。特に金デヴ選手は先ほどの試合でダルシム相手にうまく攻められなかった鬱憤を晴らすかのごとく、怒涛の攻めを見せ、あわやパーフェクトかと言う内容で勝利。決勝戦に先駆けて、3位の座を獲得した。
■優勝はダルシム使いの伊予選手 決勝戦はあーるえふ選手のサガット対伊予選手のダルシム。対戦が始まってしばらくは、タイガーショットとヨガファイアの打ち合いでゆっくり目の展開。しかしタイガーアッパーカットをセービングキャンセルしてのタイガーディストラクションが決まると、ダルシムは体力の半分を奪われる。常に試合を支配しているかに見える伊予選手だったが、ひとたび捕まるとやはりダルシムは脆い印象を受けた。 それでも緊張感を切らさず、終始徹底した立ち回りを見せた伊予選手が1試合目を先取。ここでも伊予選手は要所にヨガタワーを使い、うまくタイガーショットをやり過ごしていたのが印象的だった。 2試合目も伊予選手が試合を支配する。しかし追い詰めたかに思えた状態から、あーるえふ選手のタイガーアッパーカット~セービングキャンセルが決まる。リベンジゲージもたまっていたため一気に逆転かと思われたが、ここであーるえふ選手がまさかのコンボミス。そのまま伊予選手が守りきって1ラウンド目を取得すると、2ラウンド目も伊予選手が得意の裏周りから連続技を決めるなどとし、落ち着いた立ち回りで勝利。優勝の座に輝いた。 ダルシムというキャラクタは耐久力が低く、判断や操作をひとつ間違えるだけで命取りになる。しかも基本戦法は距離をとっての長距離戦ということで、必然的に1試合のプレイ時間も長くなる。つまり、長時間の間緊張感を維持し続けなければならず、それを全国大会という大舞台で最後まで維持し続けた伊予選手の戦いはそれだけでも賞賛に値するのではないだろうか。
■小野氏男泣き!?
試合後には続けて表彰式が行なわれ、優勝した伊予選手には優勝盾と表彰状に加え、アーケード版で使用できる「2009王座認定者」の称号、Xbox 360バリューパックとXbox 360版「SFIV」ソフト、専用スティックが発売日に贈られる権利が贈呈された。 同じく準優勝のあーるえふ選手には「2009大元帥」の称号、3位の金デヴ選手には「2009至高の闘士」の称号に加えて、盾と表彰状、PS3版かXbox 360版のソフトと専用スティックが選んで贈られる権利が贈呈された。 最後にプロデューサーの小野氏から総評として、「会社内で最初は(本作の開発を)反対されたが、ユーザーからの声に後押しされて作ることができた。TGSの予選を皮切りに、本大会を盛り上げていただいて本当にありがとうございます」とコメントした。途中、感極まったためか声が詰まる場面もあり、小野氏が本作とこの大会にかけていた意気込みを感じさせるコメントだった。
■家庭用版のマッチングシステム
スペシャルステージと銘打たれたステージイベントは、まずプロデューサーの小野氏が登壇し、家庭用版の紹介から始まった。既に公開されている情報ではあるものの、発売日が2月12日であること、追加キャラクタとしてサクラ・ダン・フェイロン・キャミィ・ゲン・ローズなどが使用可能であることなどが明かされた。 その後新情報として、オンライン要素概要が公開された。家庭用版の「SFIV」ではオンライン対戦が可能で、そのマッチングシステムには「アーケード待ちうけ」と呼ばれるシステムが採用されるという。このシステムはアーケード版のリンクマッチのシステムを意識したもので、個別にマッチングルームを作らなくとも、マルチプレーヤーモードでCPU戦をプレイしていると、自動的にマッチングされ、対戦が始まるというもののようだ。 当然対戦相手を指定するフィルタリング機能も存在するとのこと。従来のオンライン対戦格闘ゲームではマッチングされるまでは純粋な待ち時間になってしまい、暇な時間になっていたが、その間にCPU戦を行なえるのはなかなか良いアイディアなのではないかと感じた。欲を言えばCPU戦のみでなく、プラクティスモード的なものもプレイできれば理想だが、それは望みすぎだろうか。 しかしながらオンライン対戦では回線状況などが非常に重要なのも事実。できれば対戦相手を指定し、回線状況が良好な相手を選んで対戦したいようにも思う。この辺りをフィルタリング機能でどの程度カバーされているのかが重要になってくるのではないだろうか。このほか実写版映画「ストリートファイター ザ・レジェンド・オブ・チュンリー」の完成版トレーラームービーが放映された。 さらにここで、もうひとつのコラボレーション企画である家庭用版のオープニングムービーも放映された。EXILEとのコラボ企画であるこのオープニングムービー、筆者はなかなかかっこよく仕上がっているなと感じた。
■スペシャルゲストはCM出演の高良光莉さん 続けて会場が暗転し、本作のテレビCMに出演する高良光莉さんが登場。サクラの衣装で4人の悪漢と戦うアクションが披露された。 高良光莉さんのプロフィールなどについては、以前のCM収録現場取材記事にて公開しているので、詳しくはそちらを参照していただきたい。 アクションシーンが終わると、あまり大勢の前でこのような演技をした経験がなかったためか、非常に緊張した面持ちだったが、CM撮影時の感想を尋ねられると「長い時間かかって、寒くて大変でした」と、真剣に答えてくれていた。 その後プレス向けの囲み取材も行なわれ、こちらでは若干緊張も和らいだ印象。取材はカプコンの広報担当からの質問に高良さんが答えるという形式で進められ、終始笑顔で受け答えしていた。 「ストリートファイターをやったことありますか?」という質問には、「1回だけサクラをプレイしました。やれって言われたから……」と正直にコメント。どうやら普段はあまり格闘ゲームはプレイしないようだ。 今後の抱負としては「アクションも演技も両方できる女優さんになりたいです」とコメントし、なにやら小野氏に耳打ちされたあとに、「カプコン(でCMの仕事をしたこと)も忘れません!」と付け加えられ、締めくくった。
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□カプコンのホームページ (2009年1月19日) [Reported by 米澤大祐]
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