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SCEJ、PSP「パタポン2 ドンチャカ♪」発売記念発表会開催
ゲームデザイナーとサウンドデザイナーが開発秘話を披露

11月27日 開催

【パタポン2 ドンチャカ♪】
11月27日 発売

価格:4,980円(UMD版)
   23,800円(Winterギフトパック)
   3,800円(ダウンロード版)

CEROレーティング:A(全年齢対象)

 株式会社ソニー・コンピュータエンタテインメントは、11月27日に発売となったPSP用「パタポン2 ドンチャカ♪」の発売記念イベントを渋谷にて開催した。イベントにはゲームデザイナーの小谷浩之氏とサウンドデザイナーの足立賢明氏が参加し、ゲームの制作秘話などを明かした。

 「パタポン2 ドンチャカ♪」は、リズムに合わせてコマンドを入力することで画面内のパタポンを行進させたり、敵を攻撃したり、守ったりさせる一種の音楽ゲーム (同社のジャンル表記はコマンド・カーニバル)。流れてくる音楽に合わせテンポ良く「パタ (□)・パタ (□)・パタ (□)・ポン (○)」や「ポン (○)・ポン (○)・パタ (□)・ポン (○)」といったコマンドを入力。リズムを奏でる4つのタイコが用意されており、それが、○、△、□、×の4つのボタンに対応している。前述のように様々なコマンドが用意されているので、それぞれの場面で特定のコマンドを4拍子のリズムに合わせて入力し、パタポン軍を操る。価格は、UMD版が4,980円、ダウンロード版が3,800円、PSP同梱版の「Winterギフトパック」が23,800円。CEROレーティングはA(全年齢対象)。

 2007年12月に発売された前作に引き続き発売された2作目となる本作は、ヒーローパタポンや“とりポン”や“ろぼポン”といった新たなパタポンの登場、さらにステージ数、アイテム数、ボス数などが倍増するなどボリュームアップはもちろん、プレイするにあたってより気持ちよくなるようなシステムの改良も施されている。

 そして一番の大きな追加項目は、2つの協力プレイの導入だ。最大4人まで参加することができ、参加人数が足らなければCPUキャラクタがサポートしてくれる。タマゴを運びながら敵を倒して進軍していく「マルチミッション」と、もうひとつはコマンドに合わせてタイコを叩く「ドンチャカ♪」がある。「ドンチャカ♪」はクリアするとタマゴが割れレアアイテムやヒーローマスクなどが手に入る嬉しい特典付きだ。現在「PLAYSTATION Store」で無料で手に入れることができる同作の体験版でも「マルチミッション」は楽しむことができる。

【スクリーンショット】
様々な点で気持ちよくリズムに乗れるような工夫がされている一方で、ヒーローパタポンの登場や、つけるマスクによって能力が変わったり、様々な点で深化している パタポンをレベルアップさせ育てることができる。必要な素材を揃え進化図にしたがって進化させていく。ゲームを進めていくと各種条件をクリアすることで新たな職業のパタポンを作成することができるようなる
最大4人でできる協力プレイが2つ用意されており、こちらは「マルチミッション」。みんなで協力しながら敵と戦いながらタマゴをゴールまで運ぶ こちらは「ドンチャカ♪」。画面に登場するコマンドに合わせてタイコを叩く。クリアするとタマゴが割れレアアイテムやヒーローマスクを手に入れることができる


ゲームデザイナーの小谷浩之氏の一目惚れという「Rolitoland」のページ。初めて見たときこのキャラが荒野を行進する中タイコの音が聞こえてきたとか
 発売記念イベントに出席したゲームデザイナーの小谷浩之氏は発売日を迎えた気持ちを「子供を初めて小学校に送り出したようで、ドキドキしている」と表現。サウンドデザイナーの足立賢明氏も「前作でもそうだったが『やっと出たか!』という気持ち。我が子のように愛しているので、親元から離れた気持ち」と続けた。

 今でこそシリーズ2作目が発売されたが、1作目の制作時は苦難の連続だったようだ。小谷氏は制作の初期段階で「どんなゲームか?」とプレゼンテーションなどで尋ねられたとき「神様となりタイコをたたいてパタポンを引き連れてセッションするように冒険する」と答えると「みな、頭にクエスチョンマークが浮かんでいるようだった」とその面白さを伝えるのに苦労したとか。小谷氏はゲームを完成させて実際に遊んでもらわない限り面白さは伝わらないと考えたようだが、長い制作期間の間に「ゲームになるの? 面白いの??」と周りから言われ、一時は制作中止になりかけたこともあったとか。足立氏も「開発当初から参加することは珍しいが『世の中に本当に出るのか?』という中で開発を続けた」と厳しかった当時を振り返った。

 ちなみに「パタポン」を制作するきっかけは、小谷氏があちこちネットを見ていたときにたまたまフランス人のアーティストの「Rolitoland」のページを見たところからスタートしたという。このページには、ゲームにも出てくる目だけのキャラクタが描かれており、それを見た瞬間小谷氏の頭には「パタポンがたくさん列んでタイコの音に合わせ荒野を行進していくイメージが浮かんだ」のだとか。足立氏は「小谷氏が嬉しそうな顔で説明するんですよ(笑)。私もエスニックな音楽が好きなので協力していきました」と、足立氏も巻き込み本格的にゲーム制作がはじまった。

 ゲーム制作を始めた当初はこれらのキャラクタに名前は付いていなかった。そこで、キャラクタを作り上げたRolitolandに名前の作成を依頼したところ、メールで十数個の案が送られてきたという。小谷氏にとってはフランス語で読めないものもあったというが、その中で目にとまったのが「パタポン」……いや「パタポンしか目に入らなかった (小谷氏)」というのが本当のところだとか。「パタポン」とは「いたずらっ子」という意味で、フランス語の古語でラテン語にちかいという。小谷氏は、「子供のように可愛くコマンドで歩き回る」ということから意を得ていると感じ、その日中に「パタ・パタ・パタ・ポン」というコマンドも決定したのだとか。

 ゲームにはたくさんのパタポンが登場し、歌を披露してくれる。あの音楽はたくさんの人によって録音されているのかと思いきや、「実際はひとり (足立氏)」という驚きの答えが返ってきた。「近所にゲームが好きな子供がいるので……」ということ12歳のBLICO君にお願いすることとなったが、足立氏は「彼でなければ『パタポン』は成り立たない」と最後にはしっくり来たようだった。録音もかなり時間が掛かり、BLICO君に自分なりに「良いパタポン」、「悪いパタポン」、「音痴なパタポン」など設定を考えてもらい、録音に挑んだのだとか。

 さらに足立氏は「小谷氏のイメージを引き出すのが大変でした」と曲作りの大変さを振り返った。煮詰まると共通の趣味だというサーフィンをしながら色々な話をして足立氏なりに曲作りを夜通し進め、一度小谷氏に曲を提出すると歌詞が出来上がってきて、ここで学校から帰ってきたBLICO君と録音作業にはいるという流れだったという。さらにBLICO君には、出来上がった曲を1回聴いてもらい一度それを忘れてもらい、その後ライブで歌ってもらって再度曲を収録するという手の込んだ方法で苦心の末に作り込まれた音楽が、この「パタポン」の曲なのである。

 そうやって1作目が発売された後、小谷氏は「あちこちで反応を探っていくとみんなに楽しんでもらえたようだ。とにかく“パタ・パタ・パタ・ポン”という音楽が頭から離れないという意見が多く、それが嬉しかった」と語った。足立氏も「音楽は世界の共通語だから、そういった反応は嬉しい。音楽で世界の人に楽しんでもらえ、自分をアピールすることができたことで安心した」と続けた。

 そしていよいよ2作目を制作する気運が高まってきたとき、小谷氏は「アレもコレもしたいと思った」とか。小谷氏は「『パタポン』は1作目でゲームの面白さは完成している」と言い、2作目ではより深化させる方向で作り上げたいと考えていたという。このため、プロデューサーから「マルチプレイをお願い!」と言われた時は、「それはねーだろう!!」と思ったのだとか。

 マルチプレイにまったく興味を持てなかった小谷氏だが、インターネットの掲示板などを見ると「マルチプレイはあり得ないだろう」といった書き込みがあり、それはそれで悔しくなり結果的にマルチプレイを作り上げることになった。作り上げた今となっては、「みんなでプレイすることで、深めるんじゃなくて広めることができたと思っている」と締めくくった。

 一番最後に小谷氏は「私はストイックに遊ぶのが好き。1作目のデータを引き継ぐこともできるので、素材を集めて最強の部隊を作って遊ぶのもひとつのプレイスタイル。そこから最初に戻り、最初から苦労しながらパタポン達とゲームを進めるのも良い」としながらも、「1作目は神様 (プレーヤー) とパタポンの2人だけのすごく楽しいセッションだったわけですが、2作目では2人だけのものからみんなで楽しむという広がりがある。そこが1番ジャンプアップした要素だと思うので、自分で育てたパタポンを持ち寄ってみんなで楽しんで欲しいですね」とコメントして締めくくった。

 足立氏も「今回はジャストの瞬間を出したときの気持ちいい感覚を一工夫しているし、タイコの音も良くなっている。気付いたら口ずさんでいる。ぜひとも手にとって体験して欲しい」とアピールして締めくくった。

 前述の通り、PLAYSTATION Storeでは体験版が配信されている。かなり遊び応えのある体験版で、ここで遊んだデータは製品版に引き継ぐことができるという優れもの。ぜひとも一度手軽にジャストでコマンドを叩いたときの気持ちよさを体験して欲しい。

ゲームデザイナーの小谷浩之氏。「1作目でゲームとしての面白さは完成していたと思う」とコメント。今回はより深化させる方向性を考えていたというが、最終的には周りからの要望もありマルチプレイを手がけることに サウンドデザイナーの足立賢明氏。ゲームのシステムから参加することは珍しいということだが、「パタポン」では音楽が重要な位置を占めるため、小谷氏と密接な話し合いの元、イメージを具現化させるよう頑張ったという 今回のイベントでは小谷浩之氏と足立賢明氏にいくつかの質問をぶつけ、開発の裏側を伝えるというイベント内容となっていた
今作で登場するいくつかのパタポンについて一言コメントと共に紹介された。「とりポン」は初期スケッチでも公開されていたが1作目には登場しなかったため幻のパタポンとなっていたが、今回は登場。かなり強いパタポンとなっており、小谷氏は「ぜひ彼を誕生させて、使ってください」とコメント 武闘派の「ろぼポン」。左右違う武器を持つことができるため、つける武器によって色々と威力が変わってくる。小谷氏のオススメ 後半に登場する魔法を使うことができる「まほポン」。攻撃魔法だけでなく回復魔法も使うことができるのが魅力だが、小谷氏によれば「戦い方の次元が変わるので難しいかもしれないが、ぜひ作り方を見つけて使用して欲しい」とのこと
会場では「パタポン2 ドンチャカ♪」のゲーム画面が大きな外部ディスプレイに映し出され誰でも体験することができた。また、リアル“パタポン”タイコや、恐ろしい巨竜“ドドンガ”(とはいえデザインはどことなく可愛らしい) などが飾られていた
会場となった渋谷パルコPart1 イベントスペースのとなりに大きく描かれた壁面ペインティング。その中のひとりのとりポンの目入れを行なった小谷氏。可愛らしいデザインのパタポンは渋谷の街を行き交う人々に大きくアピールしていた 最後に小谷氏、足立氏による協力プレイ「ドンチャカ♪」。アドホック通信で行なわれるため電波状況に左右されることもあり、このときも4人プレイがどうしてもできなかったため3人でプレイ。しかし小谷氏も足立氏も楽しそうにプレイしていた


(C)Sony Computer Entertainment Inc.
(C)Rolito/Interlink

□プレイステーションのホームページ
http://www.jp.playstation.com/
□「パタポン2 ドンチャカ♪」のページ
http://www.jp.playstation.com/scej/title/patapon2/
□関連情報
【11月21日】SCEJ、PSP「パタポン2 ドンチャカ♪」
ヒーローパタポンや新職業を追加して登場
体験版インプレッションも掲載
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20081121/pata.htm
【11月13日】SCEJ、PSP「パタポン2 ドンチャカ♪」
マルチプレイも可能な「おったまげ~の体験版」を配信
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20081113/pata.htm
【10月12日】SCEJブースレポート PSP編
新サービス「アドホック・パーティ」、「PS Store for PSP」
新型PSPで最新タイトルをアピール
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20081012/sce4.htm
【9月2日】プレイステーション・ポータブル年末戦略発表会
コラボレーション・ソフトウェア編
3タイトルのスペシャルパッケージが発売決定
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20080902/psp2.htm

(2008年11月27日)

[Reported by 船津稔]



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