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★DSゲームレビュー★

1日30分で遊べる本格RPG!
「キミの勇者」

  • ジャンル:キミだけのファンタジーRPG
  • 発売元:株式会社SNKプレイモア
  • 価格:5,040円
  • プラットフォーム:ニンテンドーDS
  • 発売日:発売中(10月23日)
  • CEROレーティング:A(全年齢対象)



 10月23日に発売された、株式会社SNKプレイモアのDS用「キミの勇者」は、完全新作のRPG。ノベル感覚でプレイできるコンセプトを持ちながらも、戦闘システムなど本格的な内容になっている。キャッチにも書いたとおり、30分で遊べる本格的RPGとして、いろいろな工夫が光るタイトルだ。

 さっそく、本作で知っておきたい特徴を紹介していこう。


■ セイケンを持つ主人公と従者の世界を守る物語 

 遥か昔-神が創り治めた大地、浮遊大陸ミディアリアス。人々が平和に暮らす世界にどこからか魔王と呼ばれる邪悪な存在が現われた。戦いは長期に渡り、魔王率いる魔物たちよって人々が絶望の淵に立たされた、まさにその時……1人の戦士が舞い降りた。その手には星の力を宿すセイケンを。その身、その脚には聖なる武具を。その神々しい出で立ちの戦士を人々は神の使い――勇者と呼んだ。セイケンが振るわれるたび、大陸を包む闇はかき消され、ついには魔王も大地に封印された。永き戦いに終止符が打たれたのだ。世界に復興の兆しが見えたころ、勇者は大陸から姿を消した。人々は天に帰った勇者を称え、星の勇者と呼び、勇者と共に戦った住人たちも星の従者と呼ばれ称えられた。そして……。

 由緒あるリッヂモンド家の1人娘ティオ。勇者と共に戦う選ばれし従者――ソルシィエを目指す試験から物語は始まる。これからどんな冒険が待っているのか?

主人公ワンダ。子供のような性格をしている。その姿からは想像できないような卓越した戦闘能力と神によって選ばれた勇者に与えられる「星鍵(セイケン)」を持つ 従者ティオ。魔法学校の選抜試験を経て、ソルシィエに選ばれる。魔法使いとして高い資質を持っているものの、ワガママで怠け者な性格に邪魔されて、今ひとつ能力を発揮できていない


■ 1日30分で遊べるエピソードと選べる操作方法

 通常のRPGとは異なり、1話・2話・3話とエピソードごとに構成されている本作。1話30分ほどで遊べるように作られているので、1度に長時間プレイできない人でも楽しめる。エピソードは25話用意され、選択肢により、ストーリーが分岐したりもする。サブストーリー(約50話)や、やり込み要素も多くあるので、ボリュームは十分あるといえるだろう。

 各話は、プロローグから始まり、MAP移動、探索(フィールド移動)、イベント/クエストへとつながる。そして戦闘をこなしてエピローグへという流れになっている。

 操作は十字ボタン+ボタンか、タッチペンのどちらでも行なえる。筆者の場合、外で遊ぶときなど、両手でプレイする場合は十字ボタン+ボタン、DSを置いて片手でプレイするときはタッチペンと使い分けている。


■ ストレスなく移動できるワールドマップと便利な施設

 本作では、フィールドを歩いて街や洞窟を探す必要はなく、移動に余計な時間をとられない作りになっている。ワールドマップで目的地にカーソルを合わせて、Aボタンを押すだけで移動が完了するのだ。物語が進むと、Bボタンでエリアごとの移動もできるようになる。ストーリー上、次に行くべき場所には「NEXT」と表示されるようになっているので、迷うこともない。

 街や城ではギルドの利用、住民との会話や買い物ができる。全てコマンド選択式なので、街を歩き回って移動することはない。

 「ギルド」では「休息」、「依頼」ができる。「休息」は、体力であるHPや、「星技(後述)」を使うのに必要なSPの回復、各種状態異常の治療、戦闘不能からの復帰が行なえる。「依頼」では、サブストーリーとなる依頼を受けることができる。依頼には期限や難易度が設定されており、依頼を達成すれば報酬を得られる。依頼を受けなくても、メインストーリーの進行には支障をきたさないので、無理に受ける必要はないが、サブストーリーを楽しんだり、レベル上げや装備強化を兼ねて行なうと都合がいい。

 また、いいことをすると、助けた人の「ありがとう」という言葉で経験値が獲得できる「ありがとうレベルアップ」システムが採用されている(必ずレベルアップするわけではない)。

 「人と話す」では、街や城の人たちと会話ができる。冒険のヒントとなる情報やアイテムがもらえることがある。新しく訪れた街では必ず話を聞いておくといいだろう。

 「買い物」では、「TIM」と呼ばれるお金を使って、道具・武具・星書(後述)の売買が可能。新たにアイテムが入荷されると、「NEW」と表示されるのでわかりやすい。

ワールドマップでの移動。移動に時間がかからずストレスがない ギルドで依頼を受ける。本編だけでなくサブストーリーも楽しい


■ 奥深いコンビネーションシステム 

 戦闘はコマンド選択式の戦闘になっている。簡単にプレイしていくこともできるが、掘り下げていくと奥深くなっている。まずは基本となるコマンドを紹介する。

戦闘コマンド
こうげき 装備している武器で攻撃する。攻撃対象を選んでAボタンで決定。
セイギ SPを消費して星技と呼ばれる特殊な技を使う。使う星技と対象を選んで使用する。※SPは戦闘後に少し回復する。
どうぐ 持っているアイテムを使う。使うアイテムと対象を選んで使用する。
ぼうぎょ 防御体勢をとる。敵の攻撃によるダメージを軽減できる。
じゅんばん/かいじょ キャラクタの行動順番を指定する。順番を指定することで回復魔法のタイミングを選んだりと戦闘の幅を広げられる。
オート 自動で戦闘をする。敵が複数いる場合に分散して通常攻撃を行なう「分散」と1体の敵に集中して通常攻撃を行なう「集中」の2つから選択する。オートでの戦闘はBボタンで解除できる。
にげる 戦闘から逃げ出す。

 次に紹介するのがコンビネーションシステム。同じ敵を連続して攻撃すると、コンビネーションが発動する場合がある。コンビネーション中は2人目以降の攻撃ダメージが増加し、3人目、4人目とダメージは大きくなっていく。敵の攻撃に割り込まれたり、別のターゲットを攻撃してしまうとコンビネーションは成立しない。コンビネーションをうまく戦いに組み込むためには、行動順を理解して、戦略を練ることが重要となる。そこで役立つのが「じゅんばん」のコマンド。これを有効活用することで、コンビネーションを成立させやすくできる。

コンビネーションシステム発動。通常攻撃ながら4人でのコンビネーションなので大ダメージが期待できる コンビネーションで大きなダメージを与えられた。どこまでヒット数とダメージが伸ばせるか挑戦するのも楽しい

 コンビネーションシステムでは、特定の条件を満たしてコンビネーションを成功させると、「上級星技」として、コンビネーションの最後に特殊な「星技」が発動する。上級星技は複数人でのコンビネーションが発動し、かつコンビネーション中に火・氷・雷・風の属性値が多く蓄積していることが発動条件となる。多くの属性値を溜めた方が、より強力な上級星技を発動できるようになっている。属性値は目に見えないが。風の属性値を持つ星技なら「エアロ」と名が付くなど、わかりやすくなっている。

風の属性を持つ星技を全員に使わせてコンビネーションを始動 コンビネーションの後に上級星技エアロガッシュ改が発動 17ヒット、32866という大ダメージを与えることに成功した

 さらに「覚醒星技」と呼ばれる特殊な星技が存在する。覚醒星技は、味方キャラクタが特定の順番で攻撃し、コンビネーションを発生させる際に、特定の技を特定の順番でコンビネーションに組み込む必要がある。発動ルートは特殊なアイテムを使用することで、一部がコンボリストに追加される。もちろん、自分で星技の組み合わせを試し、覚醒星技を発動できれば、コンボリストに追加される。発動方法、条件共に難易度が高い分、効果は相当高くなっている。キャラクタ固有の覚醒星技も存在する。

ポイズンを2つ続けてコンビネーションにしてみる 覚醒星技ポイズンオールが発動 派手な演出と共に敵全体に大ダメージを与えられる

 これらコンビネーションシステムを理解し、自在に発動できるようになれば、大きな戦力となるだろう。


■ ユニークな星書による星技システム 

 王道RPGで言えば、必殺技や魔法にあたるのが本作の「星技」。使用するためにはSPを必要とする。一般的には、レベルが上がると覚えていくものや、書物を購入して覚えていくものが一般的だが、本作の星技は、そのどれにも該当しない。星技は星書を武具と同じように装備するのだ。当然、装備を解除した時点で、装備していた星書に対応した星技は外れてしまう。

 星書は1キャラクタ3つまで装備できるが、使える星技は3つとは限らない。1つの星書に複数の星技が含まれるものもあるからだ。以下に星技の装備例を挙げてみた。

星書の装備例
パターンA
3スロット全てに星書を装備。4つの星技が使える。
スロット1 格闘書・3連撃 3連撃(単体中ダメージ)
スロット2 格闘書・隼 吹き飛ばし(単体小ダメージ)
斬り抜け(単体中ダメージ)
スロット3 格闘書・気 気合(全体小ダメージ)
パターンB
1スロットだけに星書を装備。4つの星技が使える
スロット1 格闘書・戦技 3連撃(単体中ダメージ)
斬り抜け(単体中ダメージ)
気合(全体小ダメージ)
集中(術者ちから↑)
スロット2 なし なし
スロット3 なし なし

 パターンAでは3スロット消費して4つの星技が使えるが、パターンBではたった1スロットで4つの星技が使える上にパターンAの星技のうち3つの星技をカバーしている。このように上位の星書を手に入れられれば、その分空いたスロットに他の星書を装備できるようになり、より多くの星技を使えるようになっていく。これら星書は、街にある星書の店やダンジョンで入手できる。

 星書には格闘書・魔導書・星術・鍵技など複数のタイプがあり、それぞれのキャラクタごとに装備できるタイプが設定されている。

数多くの星書が用意されている。複数の星技を持つものもある 星書は攻撃だけではなく、回復・治療・蘇生などバリエーション豊か


■ 旅の記録や便利な機能を備えた勇者日記 

 メニューから選べるものに勇者日記がある。勇者日記はこれまでの冒険の記録を確認でき、冒険を進めると選べる項目が増えていく。

 ストーリーピースはストーリーで経験したイベントを絵日記として閲覧できる。ストーリーピースを集めるのも本作の楽しみの1つだ。

 依頼一覧は現在ギルドで受けている依頼やこれまでに達成した依頼を確認できる。依頼で何が必要かわからなくなったら、ここで状況を確認するといい。

 コンボリストでは覚醒星技の発動条件を確認できる。発動済みの覚醒星技は発動に必要なスキル順が表示されるが、未発動の覚醒星技のスキル順は「?????」と表示される。覚醒書を使うと覚醒星技の詳細が判明していくようになっている。

集めたストーリーピースを閲覧。物語を振り返ってみると何か発見があるかも!? 依頼一覧で現在受けている依頼や過去に達成した依頼を確認できる 覚醒星技を確認。まだ発見していない覚醒星技の出し方はわからない


■ 最後に 

 1話30分でプレイできるRPGと聞いて、お手軽で簡単な内容だろうと考えてプレイし始めた筆者だったが、本作はなかなか骨太な内容だった。メインストーリーは1話30分ほどでクリアできるが、敵はなかなか強く、コンビネーションなど戦術を練りながらプレイしないと苦戦するだろう。依頼をこなしつつ、レベルと装備を揃えて挑むとスムーズに進められるのでオススメだ。

 移動に時間をとらせない、次の目的地が示される、依頼のターゲットとなる敵がわかるようになっているなど、かゆいところに手が届くようなシステム作りがなされており、プレーヤーに余計なストレスがないよう配慮されていると感じた。

 クリア後に挑戦できる自動生成型の「エキストラダンジョン」や、おなじくクリア後に閲覧できる「後日談エピソード」、集めると良いことがある「コカトリスタンプ」など、やり込み要素もきっちりと用意してある。

 本作は、手軽に遊べるようには作られてはいるが、内容が薄いわけではない。戦闘に重点を置きつつ、それ以外の要素はきちんと整理され、深くも浅くも遊びやすい設計となっている点が魅力的だ。幅広い層が楽しめるゲームになっている佳作といえよう。

(C) SNK PLAYMORE

□株式会社SNKプレイモアのホームページ
http://www.snkplaymore.co.jp/
□「キミの勇者」のページ
http://game.snkplaymore.co.jp/official/kimino_yusha/index.html
□関連情報
【10月12日】東京ゲームショウ2008レポート
SNKプレイモアブースイベント編
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20081012/snk.htm
【10月10日】東京ゲームショウ2008レポート
SNKプレイモア編
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20081010/snk.htm
【8月5日】SNKプレイモア、DS「キミの勇者」発売日決定。
“1日30分の大冒険”をコンセプトにしたファンタジーRPG
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20080805/kimi.htm
【2007年9月22日】東京ゲームショウ2007レポート
新作タイトルが多数並んだSNKプレイモアブース
「どき魔女」、「KOF」、「メタスラ」の続編やオリジナルRPGなど
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20070922/snk.htm
【2006年9月24日】東京ゲームショウ2006レポート
SNKプレイモアブースレポート
「どきどき魔女裁判(仮)」などDSオリジナルタイトルが続々登場
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20060924/snk.htm

(2008年11月14日)

[Reported by 木原卓]



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