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「疾走、ヤンキー魂。」(以下、ヤン魂。)はヤンキーをテーマに、デコチャリやバイクでの暴走行為、マブ達(フレンド)とのダベリ(オシャベリ)等を通じてヤンキー生活を楽しんでもらおうというスタンスのオンラインゲームだ。「ヤンキー」というと怖いイメージもあるが、どちらかというと漢(おとこ)らしさを追求する「ツッパリ」系。それでいてキャラクタは“どこか緊張感のたりない憎めないやつ”といった感じで、あちこちにギャップを感じる“シュール”な雰囲気のゲームだ。 本作は株式会社スクウェア・エニックスによる開発・運営でチャレンジしたものの、1度“解散”している。しかし、その後も「ヤン魂。」ファンからのサービス再開の願いは強く、署名運動も行なわれた。そして今回、運営を株式会社ゲームポットに移し、前回のコンセプトを引継ぎつつも、ゲームは新たに作り直され、“第2期”として再スタートしたという訳だ。
今回行なわれた「第一回特攻テスト ネットワーク負荷編」は、いわゆるクローズドβテストにあたるもの。あくまで負荷テストが主体で、大量のバグを抱えている事と、仕様が限定されていることが事前に告知されていた。ただ、ユーザーが待ちに待った第2期の初お披露目の機会でもあるので、そういった辺りも踏まえた上で、筆者が体験できた「ヤン魂。」の内容について紹介していこうと思う。
■ ヤンキー生活はトイレから始まった……
今回選択できたキャラクタは男のみで、実は男子校という裏設定。キャラクタはヤンクタイプ「ヤンキー」というスタンダードタイプのみ。キャラクタのステータスは「体力」、「気力」、「攻撃力」、「防御力」、「念力」、「運」、「気合」、「獲得男気」の8種類。「念力」という特殊なステータスや、キャラクタの育成概念もあるのは魅力的だ。
プレーヤーの視点は俯瞰視点で固定されている。操作方法は、マウスを左クリックでその地点まで移動、押し続けで歩き続け、ダブルクリックのまま押し続けると走る。移動速度はやや遅めだが、今後デコチャリやバイクが実装される事を考えるとちょうどいい速さ。大抵の操作はマウスで可能。キーボードでの操作はチャット、ショートカットに登録したアイテムやスキルを使用するといった具合だ。NPCと会話する際には、NPCを左クリックすると頭上に吹き出しが表示され、引き続きクリックする事で会話が進んでいく。
戦闘は「喧嘩ストロングモード」と呼ばれ、戦闘モードへの移行などはなく、フィールド上の敵をそのまま殴り倒す。左クリックで敵をロックオンしたのちに連打することでパンチコンビネーションで敵にダメージを与える。ただクリックするだけではなく、戦闘中は左クリックを押し続けることでゲージが溜まり、ゲージがたまったところでボタンを離せば強烈な一撃が繰り出せる。また、右クリックを押し続ける事で防御、防御後にも押し続けることでカウンターが使える。一瞬でも気を抜くとすぐにやられてしまう、アクション要素の高い攻防となっている。
戦闘に勝つと、「1人で3人も倒したなんてすごい!」と褒められて始まるコテコテの学園ストーリー。「ヤン魂。」だからひねってあるだろうと筆者が勝手に予想したストーリーは、“いじめられっ子を助けたのは実は裏番長! プレーヤーはいじめられっ子を操作して番長を目指す”だったのだが、実際の主人公は直球ど真ん中の正義感たっぷりコース。悪事は許さない熱血漢タイプのヤンキーという位置づけである。
また、攻撃以外にも気力を消費して発動できるスキルとして、体力を回復する「マイラブ」、攻撃力が増加する「フィストラブ」、防御力が増加する「ボディラブ」の3種類が用意されていた。気力の消費量により、序盤使えるスキルは「マイラブ」のみ。プレーヤーのレベルを10まで上げた所で「フィストラブ」が使用できるようになったので試してみると、エフェクトは出るものの、実際に攻撃力があがっているのかどうかは確認できなかった。
■ 拳ひとつでのし上がった主人公、次は依頼をこなしていこう
マップは「哀愁の第二団地」、「絆☆学園」、「きらめき商店街」など、恋愛シミュレーションゲームに出てきそうなミスマッチな名前が付けられている。ただ街並みは喫茶店やコンビニなどがある普通の日本の街の風景で、ここのギャップもまた面白い。 マップ間を移動するには、画面の端まで移動するか、その近くにいるNPCと会話する。6月6日に放送された「ヤン魂。TV」では、スクウェア・エニックスでプロデューサーを務める安藤武博氏が生放送にプレイ中、NPCにプレーヤーが重なって会話できない状態に陥って困っていたのだが、これについては修正すると話していた。 クエストの目的地である団地内に入るためには、キーアイテムが必要だった。キーアイテムは敵を倒す事で稀に入手できる。ダンジョン毎にキーアイテムは決まっているので、ダンジョンから次のダンジョンへと目指す事が筆者がプレイする上での楽しみだった。ダンジョンを攻略して次へ進む、といった点で本作はRPGとも言える。
団地の場合は「大公園」で入手できるチケットが必要だった。このチケットを見せて団地に入れたのは良かったのだが、団地内の敵は攻撃力、防御力ともに桁違いに強かったため、筆者は一撃でノックダウン。早々に自宅へと送り返されてしまった。
■ 自室で着替えて再度特攻!! ……いやコンビニでダベろう
入手した装備品の中には髪のロンゲ、リュック、安全靴などで「ヤンキー」というより「オタク」ファッションに通じるものも存在していた。街中ではスキンヘッドにパンツ1枚といった集団をみかける事もあり、周辺は近寄りがたいオーラを放っていた……なんて事もあったが、人間の適応能力というのは恐ろしいもので、慣れてくると可愛いマスコットのように見えてくるのが「ヤン魂。」独特の雰囲気であり長所である。 着替えは自宅内では可能だが、外では着替えられない。「ヤンキー」は外で着替えをするなんていう恥ずかしい事は許されないようだ。また、今回は未実装だったが、今後のアップデートによって自宅内の家具の配置や間取りの変更もできる予定だ。 着替えをして再度特攻しようと外にでたら、そこはコンビニの駐車場。自宅を出るとコンビニを経由することになるため、自然とプレーヤー同士の会話が始まり、プレーヤーが集まるダベリスポットと化していた。ワイワイ騒ぐ楽しげな様子に、筆者はクエストも忘れて会話に夢中に。
その後はレベルを上げたり、装備品集めなどで楽しませてもらったところで、今回の特攻テストは終了。ゲームの仕様が限定されていたため、第1期からの念願であったバイクにはまだ乗れずじまい。「バイク失踪、ヤンキー魂。」などと密かに思っていたのだが、次回はバイクにのって街を自由に疾走してみたいところだ。
■ 自由な方向へと向かう「ヤン魂。」の将来 前述のとおり今回はバグも多く、プレイ内容も限られているため、本当に“テスト”プレイという印象ではあった。しかしプレイ中には開発サイドの「ヤン魂。」にかける意気込みがひしひしと感じられた。特に開発サイドにも気さくな方たちが多いようで、開発者の1人はゲームに1プレーヤーとして現われて参加者にフレンドリーに話しかけ、ユーザーの意見を聞きながらウイットに富んだ会話で楽しませてくれたりもした。 開発度は、安藤氏曰く、30%とまだまだのレベルではあるが、今回特攻テストを行なったのはプレーヤーの意見を取り入れやすい開発時期だから、“右にも左にも芽を自由に伸ばしていける状態”という事もあると思う。
現段階で「ネットヤンクゲームって何?」と聞かれたら、「RPGのようでもあり、オシャレやダベリ(会話)を楽しむゲーム」としか言えないが、「ヤン魂。」が今後どう変貌していくのかはプレーヤーの意見次第なのかもしれない。今後もプレーヤーの意見を参考にして開発を続行していくとの事で、次回のβテストに参加して自分のアイデアや意見を取り入れてもらい、みんなで「ヤン魂。」を作り上げていくのもよいのではないだろうか。「ヤン魂。」という“種”は撒かれており、プレーヤーの要望という“水”をやり、開発陣の“日光”の当て方でどんな花が咲くか楽しみだ。
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【動作環境(第一回特攻テスト時)】
□ゲームポットのホームページ http://www.gamepot.co.jp/ □スクウェア・エニックスのホームページ http://www.square-enix.com/jp/ □シンクアーツのホームページ http://www.thinkarts.jp/ □「疾走、ヤンキー魂。」のページ http://www.gamepot.co.jp/ □関連情報 【5月8日】So-netとゲームポット、共同制作発表会を開催 「PostPet」のメタバースや、「パンヤ」とのコラボなどを発表 http://game.watch.impress.co.jp/docs/20080508/soga.htm 【2007年12月17日】ゲームポット、WIN「疾走、ヤンキー魂。」 1週間限定の第1期復活をかけて「絆、プロジェクト。」第2弾を実施 http://game.watch.impress.co.jp/docs/20080208/yan.htm 【2007年12月17日】「ヤンキー魂」トークライブに安藤氏登場。クローズドテストは来年4月予定 「ラテール」では榊原ゆいさんがイメージソングを熱唱 http://game.watch.impress.co.jp/docs/20071217/gpf3.htm 【2007年6月13日】ゲームポット、「疾走、ヤンキー魂。」ライセンス契約締結 “つっぱりネットワークゲーム”が3年の時を経て再登場 http://game.watch.impress.co.jp/docs/20070613/yantama.htm 【2004年11月30日】スクウェア・エニックス、「疾走、ヤンキー魂。」 残念ながらサービス終了。安藤氏の“解散宣言”を公開 http://game.watch.impress.co.jp/docs/20041130/yantama.htm (2008年6月10日) [Reported by 日高文典]
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