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ガンホー・オンライン・エンターテイメント株式会社は、Windows用MMORPG「ラグナロクオンライン」において、次期アップデート「モスコビア」を5月27日に実装する。
モスコビアはロシアを思わせる荘厳な建物のある街を持つ島。住人達もロシアや東ヨーロッパを思わせる服をまとっている。初心者でも行くことができる見所の多い場所だ。さらに上級者を目指すプレーヤーの狩り場となる「モスコビアダンジョン」も実装される。今回はガンホー社内で行なわれた先行体験会でモスコビアを見ることができた。各要素をレポートしたい。
■ ロシアの雰囲気を取り入れた新しい島モスコビア。荘厳な雰囲気と、民話を題材にしたストーリーに注目
「ラグナロクオンライン」では上級者向けアップデートが続いていたのだが、今回のモスコビアは初心者でも行ける場所になっており、モスコビアダンジョンは中級者の狩り場となっている。日本をモデルにしたアマツ、タイなどの東南アジアの要素を盛り込んだアユタヤなど、「ラグナロクオンライン」ではいくつか現実の世界の要素を取り入れた場所があるが、モスコビアはロシアの要素を取り入れた場所になっている。 「何故ロシアなのか」、という疑問がわくが、これは「ラグナロクオンライン」のロシアの運営の要望を受けてのことだという。ロシアというと“雪に閉ざされた場所”というイメージを持ちがちだが、モスコビアは厳しい冬が終わり、緑生い茂る場所となっている。モスコビアに行くためのNPC「モスコビア広報大使」は刺繍を施したエプロンに頭巾をかぶった民族衣装を着ているのがかわいらしい。 アルベルタの港からモスコビア広報大使に話しかけることで、プレーヤーはモスコビアに移動できる。モスコビアの港はヴァイキングの船を思わせる、船首に動物の頭を飾り、船の縁に盾を飾ったカラフルな船が停泊している。市場もあるが、観光客向けと言うよりも島の住人の日々の生活用といった規模だ。港の周りには簡素な家や、畑のある小さな集落がある。 港には、ダンジョン入場クエストである「クジラ島を訪ねて」を開始するためのNPCがいる。また、集落ではミハイルという少年が行方不明になっているようだ。モスコビアでは他にもいくつかのクエストが用意されている。展開するストーリーもロシアの民話をベースにしているものもあるとのことで、ゲームで興味を持ったプレーヤーは原典を調べてみるのも楽しいかもしれない。 島をぐるりと回る道を進むと島の中心にあるモスコビアの街に入る。最初に驚かされるのが建物の荘厳さだろう。モスクワの代表的な建物としておなじみのタマネギ型の屋根(聖ワシリー聖堂が有名なようだ)を再現している。街の中心の広場には紋章が描かれている。モスコビアの街は、細かい飾り付けが随所に施されたところである。小さな丸い屋根も様々な建物で見ることができる。 街には野外ステージがあり、太陽の意匠の半ドーム型の屋根と、周りにバレリーナと白鳥のオブジェクトが配置されている。「ロシアといえばバレリーナと白鳥の湖」という感じが楽しい。筆者が一番気に入ったのはロシアの木製人形「マトリョーシカ」型の建物だ。巨大なマトリョーシカの上にはレールが設置されていて、その上を列車のように小さなマトリョーシカが動いている。この列車の実用性はよくわからないが、思わず笑みが浮かんでしまうオブジェクトだ。 モスコビアには小さいながらも宮殿もある。ロシア王朝を思わせる豪華な玉座にはチャール・アレクセイ3世がいる。冒険者にも挨拶をしてくれる気さくな王だ。彼に関わるクエストもあるようだ。モスコビアは防具屋や宿屋など施設も充実している。 広場には「どんぐり」を売るNPCがいる。どんぐりは従来からあるアイテムだが、専用の販売NPCがいると言うことは、何かのクエストに関係してきそうである。この他にも、以前ラグくじで入手できた「耳あて帽」を製作してくれるNPCも登場する。
モスコビアは「ラグナロクオンライン」の世界を広げる楽しい場所になりそうだ。実装直後は観光目的の冒険者達でにぎわうことになるだろう。ロシアならではの、荘厳であると同時に“少し野暮ったい”雰囲気もきちんと表現していると感じた。ゲームを通じてロシアにも興味がわく場所となっている。
■ クジラの背に浮かぶ謎の島を発見! モスコビアダンジョンは中~上級者向けの新しい狩り場に
クジラ島は、その名の通りクジラの背に建物が建っているという驚くべき島だ。側面には目があり、時々まばたきしているのがわかる。島には一人の奇妙な老人が住んでいる。また、体の大きなリスもいる。クエストに関係するため今回は画像のみの紹介だが、どんなストーリーが展開するか気になるところだ。 船を使うことができるようになったプレーヤーはさらに「モスコビアダンジョン」にも挑戦が可能になる。モスコビアダンジョンはフィールドと、ダンジョン1層、2層、3層で構成されている。フィールドはビッグフットなど既存のモンスターがいる。この地域ならではのモンスターに遭遇するのは、ダンジョン1層からだ。 モスコビアダンジョンはたくさんの植物が生えている。1層のモンスターで特徴的なのが「ウッドゴブリン」だ。動く植物といった外見で、長い鼻を持っている。頭の上には卵の入った鳥の巣があって、ウッドゴブリンの頭上には鳥が飛んでいる。女性のような姿をしたモンスター「レス」もいる。1層はレベル30代後半からでも、パーティーを組むことで挑戦できる場所となっているという。 ダンジョン2層は箒を持った魔女のような「ババヤガ」、老婆と植物を合わせたような外見で手に蛙を持った「ウジャス」がいる。そして3層には緑色のローブをまとった妖精のような「マブカ」、さらにダンジョンの奥ではMVPボスモンスター「ゴピニク」が登場する。2層のモンスターはレベル50以上、3層はレベル60以上の冒険者を対象としている。高レベル冒険者ならばソロでの挑戦も可能だ。 ダンジョン3層に行くためには今までのようなワープポイントではなく、石碑からになっている。石碑には「無謀な勇気のある者は進み、そうでない者は戻るが良い」といった警告が書かれている。3層のマブカは足下から植物を出すという特別な攻撃アクションを持っている。レベル60以上の冒険者を相手にするだけの強さを持っているが、これまでの同クラスのモンスターに比べて攻撃力や防御力が比較的低く、獲得経験値が多いため、人気のモンスターとなりそうである。 経験値稼ぎの狩りをする場合には、「中型特化」の持つ武器か、火属性、風属性武器が有効だ。これらの新モンスターもまたロシアの民話を参考にしているものがあるという。ユーモラスな外見をしたモンスターも多い。1層はアクティブなモンスターも少ないため観光気分で訪れるのも面白そうだ。 一方、高レベルの冒険者の新たな目的となるのがMVPボスモンスターのゴビニッツは3つの首を持つ巨大ボスモンスターで、しつこくクァグマイヤ(泥沼で相手の移動速度を落とす呪文)を使う、手強いモンスターとなっている。一撃の攻撃力は高いが、動きが遅いため、逃げ回りながら戦う、という戦法も可能である。これまでのMVPモンスターとして抜きんでた強さ、というわけではないが、MVPボスモンスターを狩るような上級プレーヤーに向けての新たな挑戦状と言うところだろう。
今回のアップデートは島とダンジョンというところで、これまでのアップデートと比べると要素が少なく感じる。これは韓国での大きなアップデートの要素から、モスコビアに関するものだけを抜き出し、実装したためとのことだ。 韓国では新しいGvGや、新しいPvP、そしてストーリー要素を盛り込んだアップデートを昨年末から段階的に実装している。これらの要素はバランスを調整しているところもあって、日本でどのように実装していくかは検討中だという。コアなプレーヤーは韓国の情報を翻訳しており、ガンホーがどのように実装していくかは注目したいところだ。 韓国でのアップデート内容が上級者向けのみになる傾向があるが、日本での「ラグナロクオンライン」は「冒険者アカデミー」といった初心者向け要素を実装したり、公認ネットカフェでプレイすることで獲得経験値が上昇するサービスなどを行なっている。初心者をバックアップし、上級者へのハードルを下げようという方向性だ。 昨年の10月頃から韓国で行なわれていたアップデートの中でモスコビアのみを先行実装したのも、初心~中級者に世界の広がりを感じてもらいたいという思いがあったためだという。モスコビアダンジョンは60レベルより上を目指す冒険者にとって効率の良い狩り場になっている、というのも大きな理由とのことだ。
サービスが長くなったMMORPGは初心者にとってハードルが高くなりがちだ。ゲーム世界を活性化するために、上級者と初心者をどうやって繋げるかも今後の大きなテーマである。韓国でのアップデート内容に1日も早く追いついて欲しいという希望もあるが、初心者へのハードルを下げ、間口を広げようというガンホーの今後の戦略にも期待したいところだ。
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□ガンホー・オンライン・エンターテイメントのホームページ (2008年5月26日) [Reported by 勝田哲也]
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