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「スカッとゴルフ パンヤ Season4」体験レポートPart2
新要素「セルフデザイン」やコマンドショット仕様変更は慎重に検討

2月18日 収録

 ゲームポットが日本で運営しているオンラインゴルフゲーム「スカッとゴルフ パンヤ (以下、パンヤ)」は、韓国では2月21日に大型アップデートとなる「Season4: Delight」が実装されている。日本での実装予定日、および日本でのバランスなどの詳細は未定だ。

「スカッとゴルフ パンヤ」運営プロデューサーの前田有希氏。前田氏の言葉からは、“日本のユーザーに向けた独自の方向性”への強い想いを感じられた
 「パンヤ」は日本と韓国では、ゲームバランスの方向性が異なっている。韓国がキャラクタのステータスを重視し、どんどんステータスを上げて超人的なゴルフプレイを目指していくのに対し、日本ではバランスを重視しコースの攻略、ショットの正確さを競う方向になっている。

 オンラインカジュアルゲームとしても、「パンヤ」は人気が高い。お互いを褒め、応援できるゲーム内容や、かわいらしいキャラクタ、丁寧なインターフェイスなどコンテンツの優秀さはもちろんだが、ゲームポットが提示したバランス重視のゲーム性が人気を獲得した理由といえるだろう。このため、韓国のコンテンツがそのまま日本に実装されるわけでなく、毎回、各要素を検討した上で実装するかどうかを決めているという。

 今回はゲームポット本社にて、運営プロデューサーの前田有希氏の説明を受けながら、韓国サーバーでの「パンヤ」を触ることができた。「Season4」に関して弊誌では韓国最新オンラインゲームレポートで取り上げているが、本稿ではスクリーンショットと共に、ゲームやキャラクタの感触をより掘り下げてお伝えしたいと思う。


■ 気の強そうな新キャラクタ「ルーシア」、ケンやエリカにも新アイテムが追加

腰まで届く長い髪を持つルーシア。「パンヤ」に新しい雰囲気をもたらすキャラクタだ
キャディは韓国で先行実装されている透明なポンタ。中にドルフが入っていて芸が細かい
 「Season4」で追加されるルーシアはアイドルという設定だ。基本のキャラクタの髪はピンクで、腰まで届く長い髪を持ち、目尻が少しつり上がった気の強そうな女の子だ。

 同時に発売された衣装はアイドルがステージで歌うときに着るような、フリルのついたミニスカートや、大胆にお腹の部分を出した服などが多い。肩を出したセーターやテンガロンハットなども用意されている。長い髪の毛は常に風に吹かれているかのように動いていて、これまでの「パンヤ」のキャラクタとはまた違った強い印象を与える。アイテムでショートカットにもできるが、この長い髪はルーシアの大きなチャームポイントといえるだろう。

 コースでルーシアはツンとすました表情や、ダンスを見せてくれる。カメラの前で頬のところで手の平を広げて笑顔を浮かべたり、手を銃の形にしてポーズを決めたりと、日本人にとってちょっと懐かしい古典的なアイドルの雰囲気が面白い。ボギーでは腹立ち紛れにスタンドマイクを乱暴に扱うが、マイクが倒れるとあわててしまうのがかわいらしい。

 ステータスなどゲームのバランスに関しては韓国と日本では特に衣装でのバランスが異なるため日本のユーザーがこのキャラクタをどう使っていくかはまだわからないが、「パンヤ」に新しい雰囲気をもたらすキャラクタであり、人気を集めそうだ。ちなみに、韓国ではルーシアと一緒に実装されたマイク型クラブは、日本では先行して販売されている。

 この他に新アイテムとしてはケン用の「ジェットボード」と、エリカ用の「傘」が確認できた。この2つのアイテムは装備時にはプレビュー画面に表示されないが、ティーショットの前に新しい演出を加えてくれる。ジェットボードは映画「バック・トゥ・ザ・フューチャー」などに登場する飛行能力を持つスケートボードで、ケンはこのボードで空中に華麗なループを描いてからティーグラウンドにつく。

 エリカの傘は、エリカが傘にぶら下がり、映画「メリー・ポピンズ」の主人公の魔法使いのように天から降りてくる。傘の種類には「花」まであり、さらにユニークな雰囲気を出している。こういったキャラクタに演出をひと味加えるアイテムは、今後も増えるのではないだろうか。

 キャラクタを見て感じることは、最新のキャラクタのモデリングと、ケンやエリカといった初期のキャラクタのデザインとのギャップだ。最近のモデルに近付くほど頭身が上がり、リアルな雰囲気となっている。初期キャラクタの独特の味とゲーム全体のデザインの幅は面白いのだが、特に「セクシーなお姉さん」であるセシリアは、他のキャラクタを並べると頭が大きくて違和感がある。現在の技術とデザインの方向性を加味して過去のキャラクタをデザイン仕直し、アイテムのような形で新旧のキャラクタデザインを選べる、というような選択肢もあれば面白いかもしれない。

【ルーシア】
ルーシアの服装。いかにもアイドルといった華やかな服のほかにも、Tシャツとミニスカートというシンプルなものもある。頭装備では、髪型がセミロングに変わるものが用意されていた
ホールアウト時のルーシアのアクション。古典的なアイドルを思わせるポーズや、倒れるマイクにあわてたり、「パンヤ」はこういった演出も楽しい
【新アイテム】
ケンのジェットボード。高速で滑走し、ジャンプを決める
エリカの傘(花)。開いた傘を片手に持って、空からふわふわと降りてくる。ファンタジーテイストだ


■ ブースターゲートをどう使うか、攻略が楽しい新コース「Lost Seaway」

ブースターゲートと空を飛ぶ海賊船が印象的なLost Seaway
 新コース「Lost Seaway」は、青い海と緑が美しいフェアウェイ、空を飛ぶ海賊船や、ドクロマークが描かれた砦があるステージだ。難易度の設定は☆1つで、初心者向けのコースになっている。

 このコースは、ゲートをくぐらせることでアズテック(ボール)を加速させる「ブースターゲート」が攻略の鍵を握っている。ゲートを無理に使わなくてもパーでは回ることができ、ゲートを使うと更にスコアが短くできる。コースによっては初心者でもゲートのギミックを気軽に使うことができ、上級者ならばゲートを最大限利用してスコアを詰められる、という印象だ。

 ゲートが連続している場所もあって、最初のゲートをうまくくぐらせることで次のゲートに行ける。うまくゲートをくぐらせればそのままグリーンに到達できるコースも少なくない。ゲートのどこを狙えば最適な方向に飛んでいくか、試行錯誤が楽しそうだ。実装直後はコアプレーヤーが熱心に攻略するのだろう。

 海賊船や砦など、障害物をどう越えるかというチャレンジも楽しい。中でも、ブースターゲートが地面と平行に置かれていて、そのゲートの上にボールを落とすことができれば、跳ね返って砦を飛び越す、というギミックが特に面白かった。ブースターゲートで飛距離が伸びるためポイントも稼ぎやすい。グリーンは平坦でロングパットも決めやすく、筆者も初挑戦で9ホールをアンダーパーで回ることができた。入門用としてはもちろん、上級プレーヤーのスコアが楽しみなコースだ。

【Lost Seaway】
バンカーに置かれたブースターゲートに落とすことで砦を飛び越す。どこに落とせばカップの近くに落ちるのか、攻略が楽しそうだ
海賊船は障害物となることもある。ステータスが足りない場合、最初のゲートに届かない場合もある。ブースターゲートを連続でくぐらせるにはどうするかなど、実装直後は試行錯誤が繰り返されるだろう。あえてゲートを使わない、という選択もアリかもしれない


■ 「セルフデザイン」、「トレジャーハント」、「カードホリック」
  新要素で問われるゲームポットのアプローチ

マウスで描き、色も自由に使えるセルフデザイン。ユーザーの創造性が楽しみなコンテンツだ
画面の下のゲージがトレジャーハントポイントを表示している。ホールを進めるごとにゲージがたまっていく
「カードホリック」に使うカードパックをCPで購入。パックを開けると3枚のカードが手に入る
 この他にも新要素としては「セルフデザイン」システム、「トレジャーハント」システム、「カードホリック」システムなどが追加されている。セルフデザインシステムに関しては前回のレポートで詳しく紹介している。ユーザー自身が描画ツールを使ってシャツとミニスカート(ショートパンツ)に自由に絵を描けるものだ。

 公式ではサポートされていないものの、タブレットを使う気合いの入ったユーザーも多くなりそうだ。シャツの部分を肌色に塗ってオリジナルの水着を作る、というプレーヤーもいて奇抜なアイデアも期待したい。一方で前田氏は、「著作権の侵害や、他のユーザーにとって不快なデザインなどをどのように取り締まっていくかは日本でも考えていく必要がある。現在社内で検討を重ねている」という。

 トレジャーハントシステムは、コースをプレイすることで「トレジャーポイント」を溜め、アイテムをゲットするシステムだが、“人気のないコースだとポイントが溜まりやすい”というルールになっているのが面白い。ホールアウトするとトレジャーポイントのゲージが上昇し、1ラウンド終了までに溜めたポイントで得られるアイテムが変わる。

 このため、18ラウンドを戦う「大会」や、対戦で長いラウンドを戦うという傾向が強まりそうだが、韓国では3ホールでの対戦など短い対戦を繰り返し速いペースでアイテムをゲットする、というプレーヤーも多いとのこと。今回は入手できるアイテムまでは確認できなかったが、韓国版ではCPで購入できるはずのセルフデザイン用Tシャツや、CPの消耗品まで得られたという。日本サービスでどうなるかが気になるところだ。

 「カードホリック」は、カードを衣装のスロットに装備したりすることで、キャラクタの能力をさらに向上させるというシステム。ここでも日本の運営と、韓国の方針の違いがはっきり出ている。今回追加されるカードは有料アイテムか、トレジャーハントで入手できるもので、「スペシャルカード」、「キャラクタカード」、「キャディカード」の3種類がある。

 前田氏は、キャラクタカード、キャディカードのバランスについて特に考えているという。どちらもキャラクタの服のスロットにつけることができるのだが、ステータス重視、キャラクタの能力重視の韓国の方針が強く出た仕組みだけに、日本ではバランスを崩壊させる可能性がある。どう扱うかはこれから考えていくそうだ。

 この他、韓国ではCPで買ったカードが露店で販売されているが、日本ではCPで購入するアイテムは露店では扱えないという仕様になっており、この点も検討が必要な部分だ。後述するコマンドショットの仕様など、今回の新要素に関しては、ゲームポットと開発元(もしくは韓国運営のHanbitSoft)の「パンヤ」に対する方針の違いが問われる要素が強いと感じた。日本のプレーヤーも改めて「パンヤ」とはどのようなゲームかを、考えていくことが必要かもしれない。

【セルフデザイン】
左の写真の上の段がCPで買えるアイテム、下がPPで購入できるアイテムである。CPのアイテムは自由にデザインでき、PPのアイテムでそのデザインをコピーできる。右はプレイ中に見かけた、韓国プレーヤーデザインの服だ
【カードホリック】
キャディーカードは服のスロットにつけることで獲得経験値などがアップする スペシャルカードは消費型アイテムだ。数時間性能やPP獲得量などが増加する キャラクタカードは服のスロットにつけることでキャラクタのステータスがアップする
クーの服のスロットにキャラクタカードを装着する。右の写真の緑色の文字がカードでアップしたステータスだ


■ コマンドショットの間口を広げるべきか否か? ゲームポットが模索する韓国とは違う「パンヤ」像

練習モードであるファミリーモードのセットアップ画面もリニューアル
コース選択時のマップ。あらためてパンヤ島の構造がわかる
検索システム。プレーヤーの趣味などを調べ、声をかけるきっかけを作ることも
 コースや新アイテム、ルールの追加だけでなく、「Season4」では様々なインターフェイスに手が加えられている。練習ができるファミリーモードのメニューがわかりやすくなったり、トレジャーハント実装に合わせて、パンヤ島のマップが実装されコースの位置がわかりやすく、選択が容易になったりと全体的に使いやすさが増している。

 ユニークなのは「検索システム」である。どのコースで、どんなルールで遊んでいるかを瞬時に検索し、すぐに参加できるようになった。この検索システムの興味深いところはゲーム情報だけでなく、「映画好きなプレーヤー」や「年齢」といったプレーヤー情報も検索できるところだ。日本ではどういう項目で検索できるようにするかはまだ決まっていないという。趣味などで仲間を捜せるという考え方は面白そうだ。

 前田氏は仕様の変更の中で、日本プレーヤーが激しく議論しているのが、コマンドショットの仕様変更だと語る。「パンヤ」には「トマホークショット」や「コブラショット」などいくつかのコマンドショットがある。ゲージの下降時に方向キーでコマンドを入れ、ゲージの白い部分、「インパクトゾーン」でカーソルを止めなくては発動しなかったが、今回からピンクの部分でもショットの効果が出るように変更された。

 今回変更された仕様では、例えば「トマホークバックスピン」を使ってもインパクトゾーンでなければバックスピンがかからなかったり、方向がずれたりする。しかし、これまでのようにトマホークが発動せずOBになるような状況からは救われる。この点で、日本のプレーヤーの間では議論が交わされている。

 コマンドショットは「中級者への道」であり、テクニックが求められる要素だ。プレーヤー達はコマンドショットの成功率を上げるためステータスを調整し、大事なときはアイテムを使ってコマンドショットに全神経を注ぎ込む。この緊張感は「パンヤ」のゲーム性の大事な部分だという意見がある。プレーヤーはゲームポットがこの仕様に対してどのような決断をするか注目している。

 日本と韓国では「パンヤ」の方向性が大きく違っている。衣装でのバランスや、プレーヤースキルでのコース攻略、コミュニティへの志向などを考慮し、韓国で入っている要素も日本ではあえて入れていない場合もある。ボールを打った後の時間を短縮するアイテム「タイムブースター」は、ボールが飛んでいるときに会話を楽しんでもらうために入れていないという。バンカーやラフの地形効果をなくす「セーフティー」や、パワーの正確な距離を計算できる「オートキャリパス」は、コース攻略を簡単にしてしまうために実装が見送られている。

 ステータスの調整、ゲーム内ポイントであるPPで購入できるアイテムと、CPで買えるアイテムの露店をどうするか、セルフデザインの著作権、カードシステムなど、「Season4」は様々な要素が「パンヤ」の方向性に大きく関わってくる。現在ゲームポットが新要素の実装時期を発表できないのも、いくつもの問題が関わってきているからだろう。今回の体験会で、前田氏の意見は聞くことができたが、具体的にどうするか、という部分がまだ検討中というのは少し残念だった。しかし、それだけ難しい問題なのだ、ということも改めて感じた。

 ゲームポットは「パンヤ」に関して、開発元と方向性の異なる日本独自のバランスを志向している。その姿勢が日本での「パンヤ」の人気をもたらした1つの要因なのは間違いない。日本のユーザーの望む方向、現在の人気をさらに大きくする方向はどういったものなのか、ゲームポットのこれからのアプローチに注目したい。

【トマホークショット】
わずかにインパクトゾーンをはずれたトマホークショット。バックスピンもかけたのだが、その効果が出ず、左にずれて着地している
【日本未実装アイテム】
地形効果をなくすセーフティー ボールを打った後の時間を短縮するタイムブースター パワーの正確な距離を計算できるオートキャリパス

(C)2004 Ntreev Soft Co.,Ltd. All Rights Reserved.
Exclusive License (C)2004 HanbitSoft, Inc., All rights reserved.
(C)2004 Gamepot Inc., All rights reserved.
※スクリーンショットは韓国サーバーのものであり日本実装時は変更される可能性があります

□ゲームポットのホームページ
http://www.gamepot.co.jp/
□「スカッとゴルフ パンヤ」のページ
http://www.pangya.jp/
□関連情報
【3月13日】HanbitSoft、「スカッとゴルフ パンヤ Season4」体験レポート
ユーザーオリジナル衣装「セルフデザイン」、新キャラクタ「ルーシア」など新要素盛りだくさん!
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20080313/korea_23.htm
【2月14日】ゲームポット、WIN「スカッとゴルフ パンヤ」
「Pangya Japan Cup 2008」開催決定
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20080229/pan.htm
【2月14日】ゲームポット、WIN「スカッとゴルフ パンヤ」
ダイスケ専用のアイテム10種類を追加
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20080214/pangya.htm
【2007年12月17日】「スカッとフゴルフ パンヤ」2007のグランドチャンピオンは「がん太」選手
来春には次のジャパンカップを開催。国際戦の他、様々なアプローチも?
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20071217/gpf2.htm
【2007年12月17日】ゲームポット、リアルイベント「ゲームポットフェスタ2007」開催
「パンヤ」、「FEZ」に人気集中。来場者数は約5,000人
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20071217/gpf.htm

(2008年3月31日)

[Reported by 勝田哲也]



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