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ゲームポットが日本で運営しているオンラインゴルフゲーム「スカッとゴルフ パンヤ (以下、パンヤ)」は、韓国では2月21日に大型アップデートとなる「Season4: Delight」が実装されている。日本での実装予定日、および日本でのバランスなどの詳細は未定だ。
オンラインカジュアルゲームとしても、「パンヤ」は人気が高い。お互いを褒め、応援できるゲーム内容や、かわいらしいキャラクタ、丁寧なインターフェイスなどコンテンツの優秀さはもちろんだが、ゲームポットが提示したバランス重視のゲーム性が人気を獲得した理由といえるだろう。このため、韓国のコンテンツがそのまま日本に実装されるわけでなく、毎回、各要素を検討した上で実装するかどうかを決めているという。
今回はゲームポット本社にて、運営プロデューサーの前田有希氏の説明を受けながら、韓国サーバーでの「パンヤ」を触ることができた。「Season4」に関して弊誌では韓国最新オンラインゲームレポートで取り上げているが、本稿ではスクリーンショットと共に、ゲームやキャラクタの感触をより掘り下げてお伝えしたいと思う。
■ 気の強そうな新キャラクタ「ルーシア」、ケンやエリカにも新アイテムが追加
同時に発売された衣装はアイドルがステージで歌うときに着るような、フリルのついたミニスカートや、大胆にお腹の部分を出した服などが多い。肩を出したセーターやテンガロンハットなども用意されている。長い髪の毛は常に風に吹かれているかのように動いていて、これまでの「パンヤ」のキャラクタとはまた違った強い印象を与える。アイテムでショートカットにもできるが、この長い髪はルーシアの大きなチャームポイントといえるだろう。 コースでルーシアはツンとすました表情や、ダンスを見せてくれる。カメラの前で頬のところで手の平を広げて笑顔を浮かべたり、手を銃の形にしてポーズを決めたりと、日本人にとってちょっと懐かしい古典的なアイドルの雰囲気が面白い。ボギーでは腹立ち紛れにスタンドマイクを乱暴に扱うが、マイクが倒れるとあわててしまうのがかわいらしい。 ステータスなどゲームのバランスに関しては韓国と日本では特に衣装でのバランスが異なるため日本のユーザーがこのキャラクタをどう使っていくかはまだわからないが、「パンヤ」に新しい雰囲気をもたらすキャラクタであり、人気を集めそうだ。ちなみに、韓国ではルーシアと一緒に実装されたマイク型クラブは、日本では先行して販売されている。 この他に新アイテムとしてはケン用の「ジェットボード」と、エリカ用の「傘」が確認できた。この2つのアイテムは装備時にはプレビュー画面に表示されないが、ティーショットの前に新しい演出を加えてくれる。ジェットボードは映画「バック・トゥ・ザ・フューチャー」などに登場する飛行能力を持つスケートボードで、ケンはこのボードで空中に華麗なループを描いてからティーグラウンドにつく。 エリカの傘は、エリカが傘にぶら下がり、映画「メリー・ポピンズ」の主人公の魔法使いのように天から降りてくる。傘の種類には「花」まであり、さらにユニークな雰囲気を出している。こういったキャラクタに演出をひと味加えるアイテムは、今後も増えるのではないだろうか。
キャラクタを見て感じることは、最新のキャラクタのモデリングと、ケンやエリカといった初期のキャラクタのデザインとのギャップだ。最近のモデルに近付くほど頭身が上がり、リアルな雰囲気となっている。初期キャラクタの独特の味とゲーム全体のデザインの幅は面白いのだが、特に「セクシーなお姉さん」であるセシリアは、他のキャラクタを並べると頭が大きくて違和感がある。現在の技術とデザインの方向性を加味して過去のキャラクタをデザイン仕直し、アイテムのような形で新旧のキャラクタデザインを選べる、というような選択肢もあれば面白いかもしれない。
■ ブースターゲートをどう使うか、攻略が楽しい新コース「Lost Seaway」
このコースは、ゲートをくぐらせることでアズテック(ボール)を加速させる「ブースターゲート」が攻略の鍵を握っている。ゲートを無理に使わなくてもパーでは回ることができ、ゲートを使うと更にスコアが短くできる。コースによっては初心者でもゲートのギミックを気軽に使うことができ、上級者ならばゲートを最大限利用してスコアを詰められる、という印象だ。 ゲートが連続している場所もあって、最初のゲートをうまくくぐらせることで次のゲートに行ける。うまくゲートをくぐらせればそのままグリーンに到達できるコースも少なくない。ゲートのどこを狙えば最適な方向に飛んでいくか、試行錯誤が楽しそうだ。実装直後はコアプレーヤーが熱心に攻略するのだろう。
海賊船や砦など、障害物をどう越えるかというチャレンジも楽しい。中でも、ブースターゲートが地面と平行に置かれていて、そのゲートの上にボールを落とすことができれば、跳ね返って砦を飛び越す、というギミックが特に面白かった。ブースターゲートで飛距離が伸びるためポイントも稼ぎやすい。グリーンは平坦でロングパットも決めやすく、筆者も初挑戦で9ホールをアンダーパーで回ることができた。入門用としてはもちろん、上級プレーヤーのスコアが楽しみなコースだ。
■ 「セルフデザイン」、「トレジャーハント」、「カードホリック」
公式ではサポートされていないものの、タブレットを使う気合いの入ったユーザーも多くなりそうだ。シャツの部分を肌色に塗ってオリジナルの水着を作る、というプレーヤーもいて奇抜なアイデアも期待したい。一方で前田氏は、「著作権の侵害や、他のユーザーにとって不快なデザインなどをどのように取り締まっていくかは日本でも考えていく必要がある。現在社内で検討を重ねている」という。 トレジャーハントシステムは、コースをプレイすることで「トレジャーポイント」を溜め、アイテムをゲットするシステムだが、“人気のないコースだとポイントが溜まりやすい”というルールになっているのが面白い。ホールアウトするとトレジャーポイントのゲージが上昇し、1ラウンド終了までに溜めたポイントで得られるアイテムが変わる。 このため、18ラウンドを戦う「大会」や、対戦で長いラウンドを戦うという傾向が強まりそうだが、韓国では3ホールでの対戦など短い対戦を繰り返し速いペースでアイテムをゲットする、というプレーヤーも多いとのこと。今回は入手できるアイテムまでは確認できなかったが、韓国版ではCPで購入できるはずのセルフデザイン用Tシャツや、CPの消耗品まで得られたという。日本サービスでどうなるかが気になるところだ。 「カードホリック」は、カードを衣装のスロットに装備したりすることで、キャラクタの能力をさらに向上させるというシステム。ここでも日本の運営と、韓国の方針の違いがはっきり出ている。今回追加されるカードは有料アイテムか、トレジャーハントで入手できるもので、「スペシャルカード」、「キャラクタカード」、「キャディカード」の3種類がある。 前田氏は、キャラクタカード、キャディカードのバランスについて特に考えているという。どちらもキャラクタの服のスロットにつけることができるのだが、ステータス重視、キャラクタの能力重視の韓国の方針が強く出た仕組みだけに、日本ではバランスを崩壊させる可能性がある。どう扱うかはこれから考えていくそうだ。
この他、韓国ではCPで買ったカードが露店で販売されているが、日本ではCPで購入するアイテムは露店では扱えないという仕様になっており、この点も検討が必要な部分だ。後述するコマンドショットの仕様など、今回の新要素に関しては、ゲームポットと開発元(もしくは韓国運営のHanbitSoft)の「パンヤ」に対する方針の違いが問われる要素が強いと感じた。日本のプレーヤーも改めて「パンヤ」とはどのようなゲームかを、考えていくことが必要かもしれない。
■ コマンドショットの間口を広げるべきか否か? ゲームポットが模索する韓国とは違う「パンヤ」像
ユニークなのは「検索システム」である。どのコースで、どんなルールで遊んでいるかを瞬時に検索し、すぐに参加できるようになった。この検索システムの興味深いところはゲーム情報だけでなく、「映画好きなプレーヤー」や「年齢」といったプレーヤー情報も検索できるところだ。日本ではどういう項目で検索できるようにするかはまだ決まっていないという。趣味などで仲間を捜せるという考え方は面白そうだ。 前田氏は仕様の変更の中で、日本プレーヤーが激しく議論しているのが、コマンドショットの仕様変更だと語る。「パンヤ」には「トマホークショット」や「コブラショット」などいくつかのコマンドショットがある。ゲージの下降時に方向キーでコマンドを入れ、ゲージの白い部分、「インパクトゾーン」でカーソルを止めなくては発動しなかったが、今回からピンクの部分でもショットの効果が出るように変更された。 今回変更された仕様では、例えば「トマホークバックスピン」を使ってもインパクトゾーンでなければバックスピンがかからなかったり、方向がずれたりする。しかし、これまでのようにトマホークが発動せずOBになるような状況からは救われる。この点で、日本のプレーヤーの間では議論が交わされている。 コマンドショットは「中級者への道」であり、テクニックが求められる要素だ。プレーヤー達はコマンドショットの成功率を上げるためステータスを調整し、大事なときはアイテムを使ってコマンドショットに全神経を注ぎ込む。この緊張感は「パンヤ」のゲーム性の大事な部分だという意見がある。プレーヤーはゲームポットがこの仕様に対してどのような決断をするか注目している。 日本と韓国では「パンヤ」の方向性が大きく違っている。衣装でのバランスや、プレーヤースキルでのコース攻略、コミュニティへの志向などを考慮し、韓国で入っている要素も日本ではあえて入れていない場合もある。ボールを打った後の時間を短縮するアイテム「タイムブースター」は、ボールが飛んでいるときに会話を楽しんでもらうために入れていないという。バンカーやラフの地形効果をなくす「セーフティー」や、パワーの正確な距離を計算できる「オートキャリパス」は、コース攻略を簡単にしてしまうために実装が見送られている。 ステータスの調整、ゲーム内ポイントであるPPで購入できるアイテムと、CPで買えるアイテムの露店をどうするか、セルフデザインの著作権、カードシステムなど、「Season4」は様々な要素が「パンヤ」の方向性に大きく関わってくる。現在ゲームポットが新要素の実装時期を発表できないのも、いくつもの問題が関わってきているからだろう。今回の体験会で、前田氏の意見は聞くことができたが、具体的にどうするか、という部分がまだ検討中というのは少し残念だった。しかし、それだけ難しい問題なのだ、ということも改めて感じた。
ゲームポットは「パンヤ」に関して、開発元と方向性の異なる日本独自のバランスを志向している。その姿勢が日本での「パンヤ」の人気をもたらした1つの要因なのは間違いない。日本のユーザーの望む方向、現在の人気をさらに大きくする方向はどういったものなのか、ゲームポットのこれからのアプローチに注目したい。
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□ゲームポットのホームページ (2008年3月31日) [Reported by 勝田哲也]
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