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会場:パシフィコ横浜
入場料:前売800円、当日1,000円
■ 全国7ブロックからの勝者がぶつかり合う「パンヤジャパンカップ」決勝戦、優勝は関東Cブロック代表の「幸せ者」選手
「パンヤジャパンカップ 2007 WINTER」は2部構成で行なわれ、「パンヤジャパンカップ」決勝戦では、7つのブロックを勝ち抜いたプレーヤーがぶつかる。この決勝戦を勝ち抜いた1位と2位の選手は、グランドチャンピオン決定戦である「パンヤジャパンカップ2007グランプリ」において、前回、前々回のパンヤジャパンカップ優勝者を含む様々なパンヤの大会で優秀な成績を収めたプレーヤー達と腕を競う。 今回の大会では2008年に予定されているパンヤの国際大会を視野に入れ、ルールが決められた。今回のルールではアイテムの制限が特にきつい。風を止める「サイレントウィンド」や、1打やり直しができる「忘却の花」など便利なアイテムが多数使えない他、マスコットやリング、限定の衣装なども不可だ。 「パンヤ」はトリッキーで“ゲーム的”なコースが多いため、ミスをすると即OBになりかねない。今回のルールではここをリカバーしたり、より安定的に進めるアイテムが少ないが、それでも攻めなければ、勝てない。慎重さと大胆さ、そしてキャラクタの能力を最大限に活かすプレーヤースキルが今まで以上に重要になると感じさせられた。 パンヤジャパンカップ決勝戦では北海道ブロックから1名、東北から1名、関東から3名、中部から2名、関西から3名、九州・沖縄から1名、これにシード選手を加えた14名で行なわれた。試合方式は30人大会モードで、制限時間が決められており18ホールを40分で回らなくてはならない。1回戦と2回戦を行ない、合計スコアで順位を決める。上位1位と2位はこの後に行なわれるグランプリに出場できる。 「パンヤ」のコアプレーヤー達はどこにボールを落とせば最高のスコアがたたき出せるか熟知している。「パンヤ」で勝利の鍵を握るのはボールが爆発を起こしその場で止まる「トマホークショット」(コマンドによりトマホークカーブ、トマホークバックスピンなども可能)と、カップから出ている光に触れることでボールがカップに吸い込まれる「ビームインパクト」にある。 トマホークショットを打つためには「パワー」が必要で、パンヤショットでパワーゲージを溜めるか、アイテムの体力補助剤を使う事によってパワーを確保する。1ラウンドで持てるアイテムは8個であり、アイテムをどのように使っていくかも重要な戦略だ。 1回戦のコースはBlue Water。初心者用のコースBlue Lagoonの難易度を上げたコースで、南の島をイメージした、海の青と植物の緑が美しい。試合が始まってみると、プレーヤー達の集中力には驚かされた。彼等が特に慎重になるのはアプローチショットである。グリーンに乗せる事を考えるのではなく、フェアウェイから直接チップインを狙うのだ。 選手はアプローチショットになると画面を限界まで拡大し、グリーンの芝目までをきちんと見る。距離、方向、風などを計算し、自分がどのくらいのパワーで打てばいいのかを考える。これらの数値をチャットログを使って一瞬でメモし、そして自分の打つパワーを決定する。何度も何度も納得のいくパワーになるまでゲージの上下を繰り返し、そしてほぼ確実にトマホークショットを決める。 打たれたボールはグリーン上で大爆発を起こして静止し、またビームインパクトでカップに吸い込まれる。観客は慎重にショットを打つ選手に息をのみ、チップインが決まると惜しみない拍手を送る。「パンヤ」はゴルフゲームとしては展開も派手で、観戦してわかりやすい作品となっている。解説を行なったGM「(わいん)ぜりー」氏も大きく会場を盛り上げた。 トマホークショットを打つためには、パワーを決めた後のゲージの下降中にコマンドを入れなくてはならない。このコマンドを使えるかが中級者への道なのだが、上級者でもコマンドをミスすることがある。特に大会という大舞台では選手達のようなコアプレーヤーでもミスをする。どうリカバーするかも見所の1つだ。 Blue Waterを征したのは、中部Bブロック代表の「Sound2006」選手。ショートコースではホールインワンを連発し、アプローチショットも決めまくり、スコアは-33と2位の「【佳司】」選手を3打引き離すという大きなリードとなった。2位以下は「【佳司】」選手と同じ-30で「Natural_IX」選手、「Powdery Snow.」選手と続き、-29が2人、-28も2人と上位陣は接戦となった。 2回戦のコースは溶岩が吹き出しドラゴンが飛ぶDeep Infernoである。難しいコースであり、時間切れも心配されるコースだ。このコースで飛び抜けて優秀な成績を残したのは関東Cブロック代表の「幸せ者」選手。他の選手がミスしてスコアを崩していく中、的確にショットを決め-33というスコアをたたき出した。2位は-30でBlue Waterと同じ「【佳司】」選手。「Sound2006」選手は40分でホールを回ることができず+5打のペナルティを受けてしまい大きく順位を落としてしまった。
合計スコアで決勝戦の1位に輝いたのは「幸せ者」選手。勝者のコメントでは「本当はBlue Waterが得意で、Deep Infernoのスコアは自分のこれまでの記録を更新しました」といって会場を驚かせた。2位はどちらのコースでも-30というスコアを出した「【佳司】」選手。3位は「nekonekotan」選手、4位は「PowderySnow.」選手となった。関西ブロックの「nekonekotan」選手をのぞく他の選手は全て関東ブロックの勝者であり、決勝戦は関東ブロックの強さを見せつけられることとなった。
■ グランドチャンピオンは昨年の雪辱を果たした「がん太」選手。来年のジャパンカップは2008年春予定
ルールは決勝戦と同じ2回戦での合計スコアを競う。1回戦のコースはWhite Wiz、2回戦のコースは9つの候補コースから会場でランダムに決定される。このため出場者は事前に練習することが難しくなっていた。会場でサイコロを転がし、2回戦はWiz Wizに決定した。White Wizは雪が降り積もるコースで雪や氷といった地形効果がある。Wiz Wizは城や奇妙な形をした風車などファンタジー世界を思わせるオブジェクトのある難易度の高いコースで、ミスがそのままOBに繋がりやすい。解説は「(わいん)ぜりー」氏とGM「夏みかん」氏が行なった。 カメラが積極的に向けられたのが第2回パンヤジャパンカップ優勝の「(おんぷ)モカ」選手だ。彼はカメラが向けられた選手の中では唯一、「スパイクハンマーセット」を使っていた。トータルバランスで見れば他にも良いクラブはたくさんあるが、パワーに絞ったチョイスだ。「【佳司】」選手もそうだが「パンヤ」ではパワーに重点を置くとゲージのスピードが速くなる。そのスピードは一般のプレーヤーには驚異的で、彼等のゲージが写る度にギャラリーは「ありえない」などと話をしていた。しかし「(おんぷ)モカ」選手や「【佳司】」選手はそのスピードでも正確に、的確にショットをしていく。 「パンヤ」のプレーヤーは女性も多く、アプローチを決めたときに上げる黄色い声や、ミスを挽回したときの感心した話し声、プレーヤーならではの意見など、試合の展開に合わせての話など、会場全体が華やかな雰囲気があるのが特徴だと感じた。18ホール、40分という比較的長い時間のため、観客は選手達のプレイを見ながら友達と話す余裕がある。それでいながらコマンドショットを使うときの緊張感は観客の目を釘付けにする。展開にメリハリもあり、観戦に向いているコンテンツだと感じられた。 時には選手はミスショットしてしまう場合もある。パワーすら使えない状況でもコマンドショットでリカバーする姿に観客は強く惹き付けられていた。少しだけ残念だったのが観戦システムのためかモニターに限られた選手しか写らないことだ。上位選手でもカメラが切り替わらなければ会場では彼等の活躍が見えないため、順位のダイナミズムな動きをモニターでは把握しづらい。次回以降は改良し、できれば出場選手全員にカメラを回してもらいたいところだ。 試合の結果は1回戦で「がん太」選手が-34で1位、「うぇ(げー)」選手が-32で2位、「あるちゃん@」選手が-30で3位となった。続く2回戦では「がん太」選手が-28で1位、「幸せ者」選手が同じく-28でポイント差で2位、「うぇ(げー)」選手が-27で3位となった。2回戦のWiz Wizは上級者でもOBが出やすいコースであり、前回行なわれた大会でも忘却の花を使ってリカバーするという場面が見られた。今回は「幸せ者」選手が他の選手を突き放すスピードで周りながらも最高ランクの成績をおさめたところが話題となった。 1回戦、2回戦の成績を総合し、パンヤジャパンカップ2007グランプリのグランドチャンピオンは「がん太」選手に決定した。2位は「うぇ(げー)」選手、3位は「(おんぷ)モカ」選手だ。「がん太」選手は2005年にもグランドチャンピオンに輝いたものの、2006年は「(おんぷ)モカ」選手に敗れている。2007年はふたたび「がん太」選手が勝利を手にすることになった。 表彰式では「がん太」選手に、100万円と大きなトロフィーが贈られた。「がん太」選手は「前日、ネットカフェで『(おんぷ)モカ』選手と特訓をしたのですが、僕は寝ないでやったのですが、彼は寝た上に起き抜けに『ファンタジーアース ゼロ』を始めて。この人には負けたくないと思いました」と語った。「うぇ(げー)」選手は「賞金でラーメンいっぱい食べたい」とコメント、「(おんぷ)」モカ選手は「3位で10万円だと親に怒られちゃうので、来年は『パンヤ』と『ファンタジーアース ゼロ』で200万獲得したいと思います」とコメントし、会場を大きく沸かせた。 続いて壇上に上った「パンヤ」の運営プロデューサー前田有希氏は「来年のジャパンカップは2008年春を予定しています。ユーザーのみなさんの練習時間、我々の準備時間として少ないかもしれないと思うんですが、お互い努力をしてよりよい大会にできればと思っています。来年は他にも国際戦も予定してます。日韓戦などをできればと思っています。また、こういった戦いだけではなく、今後は、性別や、年齢などの制限のある上でのトーナメント、更にゲームがうまくない方でも楽しめるような施策も考えていきたいと思っています。今後ともよろしくお願いします」と語った。 「パンヤ」はミスがそのまま減点に繋がるシビアなゲームである。上位プレーヤーでは、チップインなどのスーパープレイが「当たり前」で、そこにいかに近づけるかを競うストイックな作品だ。選手にとっては様々なプレッシャーをはね除けなくてはいけないきつい戦いになる。このゲーム性は、「いかにうまいプレイをするか」ではなく、「いかにミスをしないか」に繋がり、消極的なゲーム姿勢にもなりかねない。それでも会場では、1打でも良いスコアを稼ぐためにあえて危険に挑む、という選手達が多く、その姿勢がファンを惹き付けた。
キャラクタの派手なアクションや、頻発するホールインワン、後ボール1個分届かないアプローチなど、「パンヤ」は観客にとってわかりやすい展開のある面白いコンテンツでもある。間口の広さがあるだけに、「理想の姿」として上級者達に感情移入しやすいのも魅力だと感じた。今後、本作がどのように展開していくか注目したいところだ。
□ゲームポットのホームページ (2007年12月17日) [Reported by 勝田哲也]
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