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「LOTRO」は原作である「指輪物語」の世界を“実際に歩けるフィールド”として描き出し、さらに広大な世界と底に生きる人々との関わり合いが楽しめるシナリオ、スピーディーで戦略性のある戦闘、仲間との連携、原作を越えた世界の描写などゲーム的な楽しさも盛り込み、MMORPGとして高い完成度を誇る作品だ。 しかし一方で「LOTRO」は、ユーザー数は伸び悩んでおり、運営も苦戦している印象がぬぐえない。それが決定的になったのが、11月21日にさくらインターネットが発表した「特別損失の発生及び業績予想の修正に関するお知らせ」において、「LOTRO」で大きな損失を抱えたことを明らかにした件である。この責任を取る形で、「LOTRO」を支えてきたさくらインターネット代表取締役社長の笹田亮氏が辞任。ファンは大きな不安を抱えながら運営を見守っている。 「LOTRO」はこれからどうなってしまうのか? さくらインターネットはこのままゲーム部門を存続できるのか? 苦戦をしているプロモーションに逆転の策はあるのか? 今回のインタビューではさくらインターネットゲーム事業室企画チームマネージャーの新村直樹氏にこれらの質問をぶつけてみた。
■ ユーザーの獲得に苦戦する「LOTRO」。クライアントとレベル制限での無料で今後に期待
新村氏: もともと、「ダンジョンズ&ドラゴンズ オンライン ストームリーチ」(DDO)をさくらインターネットが始めたときから関わっているんです。「DDO」を立ち上げたメンバーの1人です。元々は、笹田と一緒にゲームもやってまして、「エバークエスト」や「ダークエイジ オブ キャメロット」などたくさんやって、Turbineから「DDO」の話が来たときに一緒にやろうと笹田に声をかけられました。 「ロード・オブ・ザ・リングス オンライン アングマールの影」(LOTRO)も立ち上げから関わっていて、両方のタイトルを手がけています。PR、マーケティングなど、プロデューサーの補佐をしています。ユーザーサポートなどもやっていました。現場で何でもやっている、という感じですね。技術部門でもこういう事をやっている人はいますので、僕はソフト面の方は何でも、という感じです。 編: 6月からサービスを開始した「LOTRO」の手応えをお聞かせ下さい。 新村氏: さくらインターネットは11月21日に「LOTRO」に関係する、「特別損失の発生及び業績予想の修正に関するお知らせ」を発表しました。これもあり、あまり大きいことは言えないところもありますが、「指輪物語」の原作ファンと映画ファンに楽しんでもらえているのかな、と思っています。熱心なファンの方には楽しんでプレイをしていただいている手応えはあるのですが、アメリカなどと比べると、やはり「指輪物語」の認知度は違うなと痛感します。ユーザー数の上で苦戦はしていますが、プレーヤーのみなさんにはコンテンツを楽しんでいただいているという自負はあります。 編: 以前笹田氏からは、「『DDO』はコアユーザー向けだが、『LOTRO』はもっとマスを狙うタイトルなんだ」というお話をお聞きしました。 新村氏: 「DDO」は確かにコアユーザー向けです。「LOTRO」は原作ファンが非常に多く集まっている。「LOTRO」は特に序盤が丁寧で、ゲーム性としても「World of Warcraft」に近い初心者でもプレイしやすいゲームになっていると思います。社会人などの仕事をしていても自分のスケジュールでプレイしていく、という人も多いです。 編: 店頭イベントなど、サービス開始時期、「LOTRO」は好調という印象を受けました。しかし、実際の所はユーザー数で苦戦している印象を受けます。ユーザー数の推移についてお聞かせ下さい。 新村氏: オンラインゲームは最初にユーザーが多く、それから徐々にユーザー数が減っていくという傾向があります。「LOTRO」もこれに当てはまってはいるのですが、11月29日からクライアント無料、レベル15までのプレイ無料、という施策を行ない、再び増加しています。 編: 爆発的ではなく、徐々にという感じですか。最初に予定していたユーザー数と比べて、現在のユーザー数はどうでしょうか。 新村氏: 確かに予定していたユーザー数より少ないところはあります。クライアントの無料化とレベル制限での無料プレイは始めたばかりで実際の計測はこれからですが、確かな手応えを感じています。この手応えがあれば、これからまた何か面白いことができそうだと思っています。 編: クライアント無料化とレベル制限での無料プレイは日本側の提案によるものでしょうか。この施策を開発側に理解してもらうのは大変だったのではないでしょうか。 新村氏: 日本側の提案です。基本的な課金モデルは地域ごとに決めていく事が可能なんです。ただ、このやり方を理解してもらうのには時間はかかりましたね。 編: この施策は最初からやりたかった、ということでしょうか。 新村氏: もっと多くのユーザーに楽しんでもらうために、日本では「基本料金無料」というオンラインゲームが多いので。間口を広げたサービスをしていこう、と考えたのが8月くらいで、Turbineに働きかけていきました。 編: 低解像度クライアントに関しても日本の提案ですか。 新村氏: このクライアントは、アメリカではすでにあったのです。しかし、僕らは「LOTRO」はきれいなグラフィックスでやって欲しい、という思いがありまして、必要ないんじゃないか、と考えていました。しかし、実際にサービスを始めてみるとこれがネックになってプレイできない、というユーザーさんが多かったことに気付かされました。そこで急遽用意したところ好評で、今ではダウンロード数は低解像度版の方が多いです。 編: サービスを始めてみて「LOTRO」の印象、ユーザーの印象は変わったでしょうか。
新村氏: 結構原作を知らなくてプレイをする人も多いんだな、という印象もあります。ただやはり、本作は原作を知っていればより一層楽しめるので、今後できればですが、原作小説に絡めた何かや、映画で何か動きがあったら一緒に、というのは考えていきたいと思っています。
■ 笹田氏の想いを受け継ぎ、更に多くの人へのアピールを
新村氏: まず最初に、ユーザーのみなさんにお伝えしたいのは、「ご心配をおかけしました」ということです。さくらインターネットとしては引き続き「LOTRO」、「DDO」共にやっていきます。スタッフの削減や入れ替えなどはしていませんし、サービスの質を下げる、というようなことはありませんので、ご安心ください。 確かにゲーム部門は笹田が、洋ゲーに対する強いこだわりのもとサービスをしてきたのですが、基本その路線は崩さず引き継いでやっていきます。その想いはスタッフに引き継がれています。笹田のこだわりは洋ゲー全般でしたが、僕としては、「LOTRO」、「DDO」にこだわりを持って取り組んでいきたいな、と思っています。 逆にこれからサポートの方で、「もっとゲームを面白くしていこう」と、積極的に動くようにしていきました。表面的に見えにくいと思いますが、サポート面でお客さんに楽しんでいただけるような対応を模索しているところです。 編: そのサポートの変化、というものは、具体的にどのようになさっているのでしょうか。 新村氏: お客さんへの対応を、“無難”というと語弊がありますが、固い感じで対応していたのですが、もう少し突っ込んでしていこうかと思っています。問題が起きた場合の報告の対応に、お客様と一緒に考えていく、という姿勢でやっていきたいと思っています。方針の転換というわけではなく、質の向上を目指して、よりお客さんに満足してもらう方法としてスタッフ全体で話をして、考えていった方向性です。 編: 笹田氏が社長を辞任されるということは、やはりいきなりという形でスタッフに知らされたのでしょうか。 新村氏: 笹田の辞任をスタッフが知ったのはリリースのある1週間前くらいからですね。僕自身はもう少し前から知っていましたが。笹田は全てを見ていましたが、悪い意味での「ワンマン」ではなかったです。こちらがやりたいことを提案すれば、きちんとやらせてもらっていた環境でした。 編: 笹田氏の辞任を期に、サービスの方向性をシフトした、ということなのでしょうか? 新村氏: サポートの質を変えようという提案も、笹田の辞任の前から進め始めていました。ポジティブに取り組んでいく姿勢を見せていこう、というのは、前々から考えていたことです。社長の辞任と共にプロデューサーも代わり、これからもっと積極的に取り組んでいこう、というのが現在の所です。 編: 現在プロデューサーはどなたが務められているのでしょうか。笹田氏ほど、ゲームの理解は得られるのか、というところも気になります。 新村氏: 新しい代表取締役社長である田中邦裕と、もうひとり、こちらも技術部門を統括している者ですが、ふたりが受け継ぐ形になりました。ゲームへの理解、というところはご心配はおかけしません。総括している者や僕も、「笹田マインド」というと大げさですが、そんなものを受け継いでいます。「LOTRO」、「DDO」に関するこだわりは、僕は笹田にも負けませんよ。 編: 今後の「LOTRO」の変えていくところ、変えないところはどのようなものになっていくでしょうか。 新村氏: 引き続きお客様に楽しくゲームをプレイしていただく環境を目指していく、というところは変えません。変えていく部分としては、「DDO」もそうなのですが、いかにアメリカのアップデートタイミングからのタイムラグを短くしていくか、というのが課題です。今回、アップデートが13日から21日に延期してしまった部分は申し訳ないと思っています。サポートの質も更に向上させていきたいと思っています。 編: 「LOTRO」、「DDO」の運営、プロモーションの方針として「コアプレーヤー向け」という姿勢が強い印象を受けます。ここに関して、今後もコアプレーヤーに向けていくのか、それとももっとライトなユーザーに向けてシフトしていくのでしょうか。 新村氏: クライアント無料、レベル15までプレイ無料、というところでライトユーザーにもゲームに触れてもらいたいと思っています。オンラインゲームはコアプレーヤーだけでも楽しいですが、やはり、たくさんの人がいることで面白さが増すと思っています。そのために認知度を上げ、ライトユーザーさんを取り込んでいきたいと思っています。認知度をいかに高めていくか、という方法を模索している最中です。 編: そうですね、1プレーヤーとして「LOTRO」の存在自体を知らない、という人も多くて、ここをどうしていくかというのはとても気になるところです。 新村氏: 現在、広告媒体に働きかけているのはもちろんですが、ブログに働きかけていこうと思っています。案段階ですが、まずは公認の「指輪物語ブログ」でリレー形式で何かしてもらえればな、という企画を考えています。「指輪物語ブログ」のユーザーを今は考えていますが、これ以外のユーザーにも向けていきたいと思っています。プレーヤーの方に協力を募り、口コミで広げていくつもりです。もうひとつ、コンシューマへの展開も有効なプロモーションだと思っています。 編: コンシューマへの展開はTurbineは具体的にもう進めているのですか?
新村氏: さくらインターネットが交渉しているところです。Xbox 360、PS3といったハードになるとは思うのですが、向こうも乗り気で、こちらも積極的に働きかけています。Xbox 360の方が開発と資金の面で可能性が高いという感じですが、まだ決まっていません。日本で展開する場合にはPS3の方がいいでしょうね。
■ 今まで以上にさくらインターネット“本業”のバックアップを得たプロモーションを展開
新村氏: 今まで基本的に露出をしてこなかったな、というのは反省しています。認知度を上げるということ自体にこちらの方があまり興味を持っていなかった。「指輪物語」の認知度、映画の知名度に甘えていた部分があったかもしれません。この見込みは少し間違っていました。 プロモーション自体、オンラインゲームの戦略と言うよりも、コンシューマゲームの戦略に近かった。パッケージの発売日に合わせたプロモーションを行ない、発表会なども行なっていましたが、βテスト後、サービス開始後がアピール不足だったと言うところは反省材料です。 編: ブログなどの口コミではなく、ゲームの存在そのものを知らないような人達へのプロモーションなどはどのようになさっていきますか。今まで認知度が上げられていないという状況で、今後これを逆転していくにあたり、さくらインターネットとしてどのくらいの力をかけられるでしょうか。 新村氏: ある程度ターゲットを絞って興味を持っていただけるような所にアピールしていく予定で、WEB関係になっていくとは思います。プロモーションとしての予算はまだあるので、これをつぎ込んでいこうとは思っています。更に新しい予算枠も用意しました。新規ユーザーを獲得し、ユーザー数を増やすというのが今の「LOTRO」の大きな目標です。その予算に関しては上層部にどうやって理解をしてもらってつけてもらうか、僕たちもそこが急務だと捉えて動いています。 編: 笹田氏が社長を辞任されたことで、上層部への話も全く変わってきたのではないでしょうか。温度差などは感じませんか。 新村氏: 僕たちが1つプロモーション戦略として上層部に打診したプランがあって、「否認されるんじゃないか」と思っていたのですが、理解していただけてGOサインをもらえました。これは予算に関する話もそうで、スタッフ自身も話をするまでは「理解してもらえないんじゃないか」と思っていたところが確かにありました。どうなるかわからなくても、運営スタッフとしてできる限りのことはしなくてはならない、そこで出した企画案の中で、一番否認されるんじゃないか、というアイデアにGOサインが出ました。 編: それはどのようなものでしょうか。 新村氏: さくらインターネットが元々持っているリソースを最大限に生かしたプロモーションプランです。具体的な方法に関しては今後詰めていきますが、さくらインターネットの協力のもとで進めていけると思っています。今までゲーム事業はさくらインターネットそのものからは独立したイメージもありましたが、今後は社をあげて盛り上げていこうと思っています。システム部分の開発などもスタートしており、早い段階で具体的にスタートしていこうと考えています。 さくらインターネットはデータセンターとしての知名度は上がってきましたが、運営会社としての認知はまだ低い部分があります。ゲームを運営しているというところをアピールすることで運営会社としても知ってもらいたいという思惑もあります。ゲーム事業に関してはこのまま何もやらせてもらえないんじゃないかという心配も正直ありましたが、理解してもらった上で、プロモーションをやっていきます。 「DDO」もLievoでもサービスできるようになりましたし、こちらもクライアント無料化により会員が増えています。プロモーションは両方の作品で行なっていきます。 編: 特別損失の発表から、それでもきちんと運営は取り組んでいるし、サービスは続けるというところでお話を聞いているとスタッフの意気込みは伝わってくるのですが、現在は何かがあるとネガティブに考えやすい傾向があると思います。例えば、「指輪っ娘」の卒業、というのはどのような経緯があったのでしょうか。 新村氏: 指輪っ娘の方々の卒業に関しては、ちょっと時期的に悪いイメージになってしまいましたが、元々年末まで、というお約束だったのです。その前は実は東京ゲームショウ2007まで、という話だったのですが好評をいただき、年末まで延長した、という話なんですよ。運営が苦しいからというわけではなく、タイミングが悪かったですね。 指輪っ娘の方にはほんとに頑張っていただいて感謝しています。僕自身もサービス前までは、彼女らがコアプレーヤーには受けいられないのではないかと心配していましたが、始まってみると彼女たちのキンシップ(ギルド)の会員は非常に多く、永田さんのキンシップのメンバー数はサーバーで1番です。 1つ付け加えると、代わりの人がプレイしていた、「中の人は指輪っ娘じゃないんじゃないか」という声もユーザーからありましたが、そんなことはありません。彼女たちは今はもう完全なコアプレーヤーで、ハマっていただきました。プレイをしてもらっているところを見たこともあるのですが、コンテンツの面白さをちゃんと理解してくれて、楽しそうにプレイをしていただいているのを見ると、こちらとしてもうれしいですね。 今後のイメージガール、例えば新しい指輪っ娘などをどうしていくかは考えているところですが、現在の指輪っ娘のみなさんはファンの方から応援もいただいています。卒業という形ですが、彼女たちは今後もプレーヤーとして参加していただけるということですし、ゲームのオフラインイベントなどでは元指輪っ娘ということで参加していただく予定です。 編: 新規ユーザーの獲得、というところで指輪っ娘が12月で卒業、SNEさんのブログも12月末までというところで方針を大きく変える印象を受けます。今後はどのような方向性でユーザーの獲得を目指すのでしょうか。 新村氏: 正攻法、というわけではないですが、お客さんに「LOTRO」というゲームの存在を知ってもらう、というのを第1目標としていきます。実はサービス開始直後のユーザーさん達は無料期間が短かったせいもあるのか、会員登録はしてもそれだけ、という人も多かったんです。9月、10月くらいのユーザーさんからはゲームを始めてから課金をスタートするユーザーさんの率が上昇してきています。ゲームをきちんと楽しんでいただいて、その上で続けよう、と思っているユーザーさんが増加しているという手応えがあります。 その上で僕たちがやって行かなくてはいけないのは、「LOTRO」というゲームそのものを知らない人達に、ゲームの存在そのものを知っていただくこと。ゲームを触ってもらえればきちんと作品の面白さを知ってもらえる。今以上間口を広げる施策としてクライアント無料、レベル制限での無料を行ないました。「遊んでください」というところでプッシュしたいと思っています。 編: まず認知度を上げるということで、コンテンツの面白さの説明などはどのようにしていくのでしょうか。 新村氏: 説明は公式サイトで行なっていこうと思っていますが、「初心者応援キャンペーン」なども考えています。期間中にユーザー登録したプレーヤーには特別なアイテムを配布する、というところですね。現在まだ具体的な日にちはお教えできませんが、「DDO」と同じように、ゲームパッドを同梱したクライアントを発売する予定です。特別なアイテムも用意をします。
現在もキーボード操作をゲームパッドに割り当てるソフトを使えばできますが、基本操作をゲームパッドで「DDO」と同じようにプレイしてもらえるようにしていきます。ゲームパッドへの要望はユーザーから多かったです。笹田が進めていたプロジェクトですが、引き継いで進めています。
■ 日本オリジナルコンテンツを! 原作のある作品のコンテンツの追加、プロモーションの難しさ
新村氏: 北米では1月下旬から2月頭に実装される予定です。日本でもBook12は現在翻訳作業に入っています。北米での状況によっても変わりますが、2月下旬を目標として作業を進めています。 編: 今までの実装のタイミングと比べて、北米のスケジュールに近づいていますね。 新村氏: そうですね、今のところスケジュール通りに進んでいます。できるだけ早い実装を目指しています。 編: 「エリアドールの守護者達」は北米のバグフィックスに合わせて遅れた、という経緯もあると聞きましたがどうでしょうか。13日の予定から、急遽1週間実装が伸びてしまったのはどのような原因があったのでしょうか。 新村氏: 向こうのバグフィックスを待って、というのはありました。1週間延びてしまったのは、パッチの実装時に日本語版のランチャーで当たらなくなってしまった。パッチ自体の作業は完了していたのですが、これを当てるためのところで不具合が起き実装を見送らざるを得ませんでした。申し訳なく思っています。 編: 今回の「エリアドールの守護者達」ではバルログやスメアゴルなど原作ファン注目のモンスターも登場するようですね。 新村氏: バルログはなかなか倒せないですよ(笑)。原作に登場するモリア坑道のバルログとは違う個体なのですが非常に強いです。モリアは今後実装予定です。「LOTRO」は原作に沿った形で地域が実装されていく予定なので、これからもっと面白くなっていきます。 編: モリアに関してはアナウンスされていますがまだでないと言うことは、それだけ気合いを入れて作っている、ということなのでしょうか。 新村氏: Turbineの社長もずっと言っていますしね。まだ実装されないのかな、とも思うのですが、期待しています。なるべく長く遊んでもらうために、とも思っているのでしょうが、こちらとしても要望として「早く物語に沿った舞台を」というユーザーの声も多く、Turbineにも伝えています。 編: 日本側から要望というのはどのようなものを出しているのでしょうか。 新村氏: 基本的にはお客さんから寄せられたものをピックアップはしますが、できるだけほぼ全てを伝えています。ゲームの内容の声、バグ修正の要望も多いです。日本独自のコンテンツを求める声も多いです。日本向けコンテンツは日本独自になるか、ワールドワイドに実装されるかはわかりませんが、要望としては出しています。 編: レベル制限での無料などはこちらの要望により実現したことですがそのほかにはどのようなものがあるでしょうか。 新村氏: 「DDO」のLievoとの連動は最初はなかったので、お願いして実現しました。この他はバグフィックスなどで、具体的なコンテンツ追加はまだ、というところですね。日本独自のコンテンツに関しては、ちょっと難しいというのが現状です。「DDO」は「Dungeons & Dragons」側の、「LOTRO」はトールキン財団の許可を得なくてはならないため、開発会社であるTurbineも安易にコンテンツを追加できないのです。 編: 日本のお正月イベントなどはちょっと世界観として合わないですよね。 新村氏: クリスマスは北米のイベントなのであるのです。中つ国にキリストはいるのか、という問題は置いておいて。版権元もきちんと世界観を出すために気をつけています。こちらの要望を実現させるのはなかなか難しいですが、それでも要望を出して、より日本でも受け入れられやすいコンテンツを目指して行きます。 Turbineも日本市場に意欲を持っていて、こちらの提案に関してトールキン財団と話し合っています。しかし、なかなか許可が下りないので待って欲しい、ということを言われることもあります。やはり原作付きの作品は難しいところがあります。こちらが広報用にバナーを作るのにも許可が必要なんです。許可が下りるのに数週間かかる場合もあるので、動きは遅くなり、プロモーションにも影響が出てしまうところがあります。 ただ、「DDO」でも同じように版権元とやりとりをしているので、方法そのものは学んでいます。ポスターの構図などもこちらで簡単に作れない、というのは苦しい部分ではありますが。オリジナルイラストなどが使えないなど、できないことも多いです。ただ、歩み寄れる部分もあるなと最近は感じています。許可を待っているコンテンツも非常に多いです。 編: 仮に許可されると、「LOTRO」はどのような方向性になるのでしょうか。 新村氏: 新規のユーザー、ゲームを知らない人に「LOTRO」を紹介できるアイデアから、コアユーザーに喜んでもらえそうなアイデア、許可を求めているものには様々な企画を出しています。許可がもらえればゲームとして今以上に盛り上がるのではないか、という気持ちはあります。 編: Turbineは今後、有料の拡張パックの発売などは予定しているのでしょうか。 新村氏: Turbine側からは今のところそういったパッケージ販売を行なう予定は聞いていません。無料でアップデートしていく予定です。日本で販売しているパッケージに関しては現在のものですとアップデートに時間がかかってしまうので、先ほどお話ししたゲームパッド同梱版も含めて、今後最新版のパッケージを販売する予定です。 編: 無料クライアント、レベル制限での無料により、モンスタープレーヤーは無料で楽しめるようになりました。実際モンスタープレーヤーが増えている印象を受けますが、北米ではモンスタープレイも有料なため、バランスが変わってくると思うのですが。 新村氏: 僕としてはモンスタープレーヤーがどんどん増えてくれれば、英雄側のプレーヤーも盛り上がると思うんですよね。原作もモンスターの方が数が多い。まずモンスタープレーヤーが盛り上がってくれれば、英雄側プレーヤーもより一層やる気を出してくれるんじゃないかと思っています。モンスター側がもっと人が増えてくれることで良いバランスになっていくと思っています。無料化により戦いが激しくなっていくのはこれからだと思います。 編: 新村さん個人として、今後「LOTRO」をどうしていきたいという想いをお持ちですか。 新村氏: 1ユーザーとしても、もっと「LOTRO」を盛り上げていきたいと思います。そのためにも日本独自のコンテンツも必要なのかなと考えています。Turbineに強くプッシュしてそこは実現させていきたいなと。それとPCだけではなく、コンシューマで実現させていきたい。日本ではコンシューマの市場が大きいので、やはりそのためにもコンシューマハードに展開して、「DDO」と「LOTRO」の認知度を上げてオンラインゲームそのものも盛り上げていきたいです。 編: 新村さんの考える日本独自のコンテンツとは、どのようなものでしょうか。 新村氏: まず日本独自のスキンですね。絵が“濃い”ので受け入れられにくい部分があると思います。後は世界観との兼ね合いですが、刀とか欲しいじゃないですか。日本でしか持てないアイテムを実装して行ければと思います。 編: 最後に、ユーザーへのメッセージをお願いします。 新村氏: まず、ご心配をおかけして申し訳ありませんでした。「LOTRO」、「DDO」は引き続き運営していきます。クライアント無料化、レベル制限での無料化が実現し、今まで以上に気軽に遊べるようになりました。これによりユーザーも増えつつあります。スタッフ一同、今まで以上にゲームを盛り上げていきます。今後とも「LOTRO」、「DDO」をよろしくお願いします。
編: ありがとうございました。
□さくらインターネットのホームページ (2007年12月27日) [Reported by 勝田哲也]
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