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「ロード・オブ・ザ・リングス オンライン アングマールの影」(LOTRO)の緻密に設定された世界と、美しい風景を紹介する連載企画“歩いて旅する「指輪物語」の世界「ロード・オブ・ザ・リングス オンライン」ガイドブック”。 第7回は「さびし野」と「北連丘」という2つの地域を紹介したい。この2つの地域は、キャラクタレベル15~35くらいを対象にしており(「LOTRO」のレベルキャップは50)、さびし野の前半の次は、北連丘の前半のクエストに挑戦、というように、プレーヤーはこの2つの地域を行き来して、キャラクタを育て上げていくことになる。 パーティープレイが必須となるクエストが多くなるのもこのあたりからで、「仲間」の重要性に気付かされる。地域によって印象が変わるのもユニークで、登場する敵も強大で激しい戦いも体験できる。多くのプレーヤーがゲームにぐっとのめり込んでいく場所である。
■ 不毛の大地と砦の廃墟、狂った精霊に縛られた死霊の沼……「さびし野」
目の前に広がる土地は南に向かってだんだん下りになっていましたが、 さびし野を進むフロド達
さびし野はこのフロド達の苦しい旅をまざまざと思い起こさせる、不毛で危険に満ちた地になっている。各種族のスタート地点や、ブリー郷を旅したプレーヤーは各地でサウロンの勢力と戦っていたが、ここからの地ははっきりと「闇の勢力下」にあることを思い知らされるだろう。猪や、山猫などの野生の動物だけでなく、オークやゴブリンがあちこちに小さな集落を作り、冒険者に襲いかかってくる。 すでにブリーの東から姿を現わし始めているが、注目すべきモンスターが2種類いる。1つは「白の手の略奪者」など、“白の手”の名前を冠したオーク達である。白の手とはガンダルフ達魔法使いの代表者となっている「白のサルマン」のことである。権力欲に目をくらまされた彼は、自分の魔術でオークを配下に置き、フロドの運ぶ指輪を手に入れるため活動している。サウロンだけでなく、サルマンの魔手もまた、ブリー郷、そしてその西にあるホビット庄へ伸びようとしているのだ。 もう1つのモンスターが、「半オーク」である。一見人間のように見える怪しい者達で粗野で力強いたくましい体と、邪悪さを持っている。彼等はその外見を利用して闇の勢力のスパイとして活動している。ブリー郷の南でも、盗賊に混じって活動しているが、さびし野では砦を占拠し、大きな勢力を持ち、道行く人々を襲っている。 非常に細々とではあるが、裂け谷へ向かっての旅する人、闇の勢力と戦い道を維持する人々はいる。ブリーからさびし野へ向かう人々を迎えるのが「見限り宿」だ。さびしい宿屋だが、ここのNPCからはたくさんのクエストを受けることになる。さびし野前半ではこの見限り宿を中心に冒険していくことになる。
さびし野の中央から東に行ったところには、「オスト・グルス」という野伏達が守る砦がある。裂け谷へ向かう旅人が留まることができる場所であり、生産施設もあるため、さびし野での冒険の拠点となる場所だ。砦の中は安全だが、オスト・グルスのすぐ近くまでワーグやオーク、巨大な蜘蛛が迫っているので、20レベル前後の冒険者は周囲に気をつけて近付く必要がある。
見限り宿の南には大きな廃墟があり、オークやゴブリン達が住みついている。廃墟の堀には大蜘蛛がいて、足を踏み外し落ちてしまった冒険者はあっという間に彼等に食べられてしまう。見限り宿の北東に大きく見えるのが風見が丘だ。崩れてしまった塔の景観は、近付くものに大きな驚きをもたらす。上にまで簡単に上ることができるが、「風見が丘の奪還」というクエストでは、風見が丘が大柄なオークに占拠されたインスタンスフィールドとなっており、嵐の夜に野伏と共に攻め込むことになる。 風見が丘の奪還は適性レベルのパーティーではフルメンバー(6人)でもクリアが難しく、かなり歯ごたえのあるクエストとなっている。前提クエストもあり、ここで初めてパーティープレイをする、という人も多いだろう。風見が丘の奪還は、集団の敵を相手にするためのパーティー内の息の合った連携が求められる。群れをなして襲いかかってくるオークやワーグ、そしてボスとして出てくるトロルなど、展開も凝っていて楽しい。是非プレイしてもらいたいクエストだ。
この後のさびし野の冒険はオスト・グルスを拠点としてたくさんのクエストに挑戦していくようになる。半オークの砦や、ドルハンド(悪のドワーフ)の居留地、大蜘蛛の砦などがあり、1人の冒険者ではかなりきつい戦いを強いられる。パーティープレイに積極的に参加するのもいいし、組んだ際に、友達になってもらうのを頼んでみてもいいだろう。レベルの近い友達とともに強くなり、信頼を大きくしていく感覚こそ、オンラインゲームの醍醐味だ。
オストグルスの北東は「赤沼」と呼ばれる地帯だ。アガマウア、ガルスアガウェンと地名がつけられたこの地は、その名の通り邪悪さを感じさせる赤い水が流れていて、プレーヤーの視界を赤く染める。この地は「赤の乙女」と呼ばれる精霊が治めていたが、アングマールの魔王との戦いの際(崩壊した風見が丘は、この戦いの名残)、アングマールの力が流れ込む水が赤の乙女を狂わせ、邪悪な死霊やゾンビ、狂った水の精霊や動く樹木がひしめき合う呪われた地になってしまっている。 特にガルス・アガウェンは巨大なインスタンスフィールドになっており、レベル35くらいの力を持った冒険者でも、フルメンバーを揃えなくては攻略することは難しい。アングマールからの尖兵である北方人が兵士を鍛え、来るべき侵攻に備えている風景も見ることができる。赤一色に染められた不気味な死霊の地は、他のフィールドと比べてみても特に強いインパクトがある場所になっている。 赤沼では、魔法使いである「茶色のラダガスト」との冒険も待っている。ラダガストは「指輪物語」ではサルマンからの伝言をガンダルフに伝えるという役を担う他はあまり活躍していないが、「LOTRO」ではアガマウアで冒険者達と共に狂った精霊や死霊に立ち向かうことになる。「薬草と獣達に詳しい」といわれるラダガストは、小さな獣を助けながら前を進む。
「LOTRO」ではいまのところ、“ガンダルフを先頭にモリアの坑道を進む”という原作のシチュエーションは体験できない(時間軸や設定として難しいかもしれない)が、頼もしいラダガストと共に赤沼を進むことができる。魔法使いに導かれて共に戦う、というシチュエーションは、原作ファンにはより一層うれしい場面だろう。
■ 闇の勢力が支配する古の王の都と、奪還を願い戦い続ける野伏達……「北連丘」
しかし北の国々にはもう久しい以前から人が住まなくなっていて、 フォルノストからブリーに続く道に関する記述
野伏達は強大な闇の王国アングマールから中つ国の北方の人々を守るため尽力しているが、力及ばず、北連丘の大半はオークやトロル達が支配する荒廃した土地になっている。かつて南の国ローハンと活発な交易が行なわれ、多くの商人や旅人が通った「緑道」には今は通る人もいない。 「LOTRO」の北連丘はゲームのフィールドで1、2を争う内容のつまった広大な場所になっている。非常に多彩なクエストが用意されており、ブリー村から北にまっすぐ街道を進むと現われる「構脚橋」、野伏の砦「エステルディン」を中心に、ドワーフ達が住む鉱山の街「オスリカー」、エルフの隠れ里「メルイネン」といった拠点があり、さらに各地に野伏達の野営地がある。探索していくことで様々な依頼を受けることになるだろう。レベル20くらいから挑戦できる地域だ。 北連丘の序盤でプレーヤー達が力を合わせることになるのが、「黒魔術の火薬」というクエストだ。このクエストではオーク達の大きな野営地、「ナン・ワスレン」の奥地へ踏み込むことになる。途中まではオーク達も弱く強引に進むことができるが、ある場所からいきなりエリートのオークが出てくる。エリートのオークの体力は今までの敵の数倍、6人のフルパーティーで、1体1体慎重に倒していかなくてはならない。「風見が丘の奪還」以上に、各キャラクタの役割を頭に入れ、連携を考えていかなくてはいけない場面が多くなる。 ナン・ワスレンはプレーヤーが今まで見たことないほどの、大規模なオークの住み家になっている。これまでは乱雑に気を組み上げて砦を作るか、遺跡を利用しただけだったが、この地では敵に攻め込むために火薬を使い、さらに山車のような巨大な攻城兵器を建造しているところも見える。オーク達がただの人間社会に寄生している存在ではなく、荒々しいながらも独自の文化を持っていることをプレーヤーは知ることになる。ゲーム的にも、世界観的にも、「LOTRO」に対する理解が1段深くなる。北連丘の序盤は、そんな場所なのだ。 フォルノスト周辺には激しい戦いの傷跡として、「亡霊」がこの世の未練を断ち切れずさまよっている。この中で強く印象に残るのが「アイダリーンを探して」というクエスト。アイダリーンというのは女の子の名前で、行方不明になった彼女を見つけ出すクエストだ。彼女はフォルノストの死霊達が徘徊する場所で1人立っているのだが、彼女が口ずさんでいる“歌”は非常に恐い。
「ララ、ラリーリララ、きれいな花ね、見事な赤だわ……。血に染まり……すでにこと切れていた……」こんな不吉な歌詞を踊りながらずっと歌っているのである。初めて見たプレーヤーは誰しも「怖い!」とつぶやいてしまうだろう。「LOTRO」では一般フィールドのキャラクタはクエストが終わってもその場に留まっていることが多い。彼女は今でもそこにいて、不気味な歌を口ずさみ続けている……。
ワーグやオークが闊歩している土地では牧畜も難しいのかもしれないとも思うのだが、様々な地域で依頼されるので、「この世界の人々はそんなに猪の肉が好きなのか」と思ってしまう。エステルディンではさらに、「野牛」の狩りを依頼される。この野牛は、明らかにオークより強い。レベル30程度の冒険者では、3人以上が力を合わせ全力で戦わなくては倒せない。この地域の人々のたくましさを強く感じさせられた。 エルフの隠れ里であるメルイネンではトロールのひしめく森での探索を依頼される。これまでイベントがらみでしか戦ってこなかったトロールと、正面から、しかも大量に戦わなくてはならない。トロールは視界のほとんどを覆うほどの巨大な体を持ち、岩を投げてきたり、棍棒でプレーヤーをなぎ払ったりする。ダメージも強烈だ。ここ以降、トロールはオークやワーグと同じように戦場で大量に見かけるようになるが、トロールとも渡り合う自分のキャラクタを見ていると、確かな成長も感じられ、うれしくなる。
北連丘では他にも様々な新しい種族と出会う。アース族などいくつかの部族に分かれている「巨人」達、アングマールから支配地域を広げつつある「山岳人」、さらにはドラゴンのように炎を吐く巨大な「ドレイク」とも遭遇する。彼等はエステルディンから東の地域を支配しており、北連丘の中でも強力な力を持った存在だ。東地域を抜けると魔王の国アングマールの版図となる。さらに厳しい戦いがプレーヤーを待ち受けている。
彼等は虎視眈々と侵攻の機会を狙っている。プレーヤーは彼等の志気をくじくためドル・デイネンの奥深くまで進入し、リーダーを倒していく。敵の領土深く進入し、できるだけ敵に見つからないように行動しつつ、目的を果たさなくてはならない。強大な敵の前にはもはや「潜入と暗殺」という方法でしか対抗するすべはない様に思える。野伏達はこのように敵の戦力をそいでいるのかもしれない。 レベル40近くまでキャラクタを育て上げれば、いよいよフォルノストへ挑戦できるようになる。フォルノストはほとんどがインスタンスダンジョンになっており、砦の周りは、ドル・デイネンほど大規模ではない。しかし、オークの配置の密度が濃く、囲まれないように注意しなくてはならない。野牛や熊なども、非常に凶暴だ。 フォルノストにはたくさんの死霊、オーク、ゴブリン、トロル、そしてそれらを従える4人の「幽鬼」がいる。敵が密集している上に構造も複雑で、攻略するにはかなりの時間が必要となる。そして4人の幽鬼はどれも非常に強力だ。回復薬や食べ物、そして幽鬼達が与えてくる恐怖に対抗するための「トークン」など、プレーヤー達の生産アイテムも必要となってくる。 北連丘はこれまでの冒険で最もバラエティに富んだ冒険ができる地になるだろう。筆者はここで「LOTRO」の広がっていく世界、確かな世界観のこだわり、「指輪物語」をなぞるだけではないオリジナリティを感じ、ぐっとこのゲームに引き込まれた。クエストの中には難しいものや、クリア条件が見つけにくいものもある。仲間と意見を出し合い、協力し、挑戦して欲しい。場合によっては後回しにするのも有効だ。
さびし野と北連丘は特に濃密に「LOTRO」の魅力がつまっていると筆者は感じた。プレーヤー達は是非この冒険をやり遂げ、上級者へのステップを上ってもらいたい。
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