★PCゲームレビュー★
西川善司と行こう! このアホ格好いい二丁拳銃の世界 ようこそ! 鳩が飛ぶバレットタイム・ワールドへ
「John Woo Presents Stranglehold」 |
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- ジャンル:アクション
- 開発元:Tiger Hill Entertainment
- 発売元:Midway
- 価格:49.99ドル(英語版)
- 対応OS:Windows XP/Vista
- 発売日:9月18日(発売中)
- レーティング:MATURE (17歳以上、Blood、Drug Reference、Intense Violence)
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「笑いのセオリー」に「無駄にハイテンション」と「ベタベタなお約束」というものがある。
「無駄にハイテンション」は今、「そんなの関係ねえ~」でブレイク中の小島よしおやかつてのレイザーラモンHGに代表される、人為的に作り出された勢いで見るものを圧倒して笑わせる仕組み。「ベタベタなお約束」は、ダチョウ倶楽部の熱湯&おでんネタ、ドリフの金ダライ落下に代表されるその先が予想できる定番ギャグ的なもの。
今回紹介する「John Woo Presents Stranglehold」(以下Stranglehold)はまさにこの2つの「笑い」要素を3人称視点の3Dシューティングでまとめ上げた作品だ。しかし、コメディタッチではない。あくまで切り口はシリアスなのだが、「そんなアホな!!」というツッコミを常にプレーヤーに意識させ、それが結果的に「笑い」へと導かれるような作りになっているのだ。
■ Stranglehold=ジョン・ウー×チョウ・ユンファ
この「シリアスだけどなんかおかしい」不思議世界を作り上げるのに貢献したキーパーソンが2人いる。
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なんとゲーム内ショップにジョン・ウーが自ら出演! |
1人は香港アクション映画の巨匠ジョン・ウー監督。近年では「ミッション・インポッシブル2」、「フェイス・オフ」など、ハリウッド・アクション大作の監督を務めており、その名はアジア圏を飛びだし今やワールドワイドな知名度を獲得しつつある。
本作はゲームタイトルに「John Woo Presents(提供)」とあるように、このゲームのアクション監修やシーン演出をジョン・ウーが担当しているのだ。「本当に担当しているの?」という疑問符はおいておくとしても、かなりツボを押さえた演出がそこかしこに見られ、すくなくともジョン・ウー・テイストは濃厚すぎて喉が渇きそうなくらいだ。
「やたらめったらシーン内の大道具、小道具が壊れまくる破壊演出」、「敵に取り囲まれてのチャンバラ的銃撃アクション」、「地形や室内を立体的に駆けめぐる体術アクション」はまさにジョン・ウーの遺伝子以外のなにものでもない。ストーリー的にも、「最愛の人はひどい目に合う」→「それに主人公、激昂!!」、「主人公に近寄ってくる親切な登場人物はほとんどが後で裏切り者」というジョン・ウー・セオリーも期待を裏切ることなく織り込まれている。
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起動直後のタイトル画面からチョウ・ユンファは大写し |
ゲームワールドとはいえ、この蜜溢るるジョン・ウー世界で主人公を務められるのは、彼しかいないだろう。それは香港アカデミー賞俳優チョウ・ユンファ(周 潤發)だ。
チョウ・ユンファといえば、古くは「男たちの挽歌」で名を馳せ、最近では「パイレーツ・オブ・カリビアン ワールド・エンド」での怪演が話題を呼んだアジア圏きってのアクションスター。本作開発にあたっては、そのチョウ・ユンファが自らの正確な顔スキャンモデルを提供してのデジタルキャスティングで臨んでおり、プレーヤーはゲーム中に登場したユンファを自由に操作して、そのアクションを自分本位に楽しめてしまうのである。
■ 本作はジョン・ウー監督の名作映画「ハード・ボイルド/新男達の挽歌」のアフターストーリー!
プレーヤーが扮するチョウ・ユンファが演じるのは、香港警察のハードボイルドな捜査官、テキーラ・ユン。実はストーリーや世界観は'92年に公開されたジョン・ウー監督作、チョウ・ユンファ主演のアクション映画「ハード・ボイルド/新男達の挽歌」をベースにしている。そして実は、本作はこの映画の後の話……という設定になっているのだ。
香港の裏社会は長年、そのボス的存在であるジェームズ・ウォンが組織する「龍の爪」という秘密結社によって牛耳られてきたが、ここ最近台頭してきた若手ユン・ジーが組織する「ゴールデン・ケイン」という新興勢力が力を増してきている。若いが野心的なジーは、香港の裏社会を我がものにしようと、デーモン・ザカロフら率いるロシアン・マフィアと結託する。
【スクリーンショット】 |
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チョウ・ユンファ扮するテキーラ捜査官 |
ロシアン・マフィアのボス、デーモン・ザカロフ |
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インゲームシネマ(ムービーシーン)もリアルタイムレンダリング(一部プリレンダー有り) |
悪事の限りを尽くしてきたウォンにも愛する娘ビリーと孫ティコがおり、裏社会に嫌気がさしていた母子はウォンの手が及ばぬ自由の国アメリカで暮らしている。ここに目をつけたジーはロシアン・マフィアと共同でビリーとティコの母子を誘拐し、これを人質としてウォンに対し「龍の爪」会の解体を要求する。
ありがちなギャングムービーな設定だが、ここでありえないジョン・ウー設定がきらめく。
十数年前、マフィア・ウォンの娘ビリーは若かりし頃のテキーラ捜査官と恋に落ちており、永遠の愛を誓い合った仲だったのだ。しかし、愛するが故に自分の立場をわきまえたビリーは、テキーラのもとを去ることを決断。そして、もはや「ベタベタ」なのであえて隠す必要もないだろうが、ティコはテキーラの娘なのであった。
テキーラは二丁拳銃を掲げ、香港の街を駆けめぐる……!!
【スクリーンショット】 |
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香港警察のマジメ人間エド・リー署長 |
ジェリー・イェン潜入捜査官。テキーラに対して協力的で“親切”な同僚 |
囚われたビリー・ウォン。ビリーは香港マフィアのボスの娘でテキーラの元恋人。凄すぎる設定 |
とまぁ、こんな設定のストーリーで、ゲームはのっけからハイテンションでスタートする。この他にも重要なキャラクタは出てくるのだが、それはゲームをプレイしてからのお楽しみ。
ただ、最初に言っておくと、ジョン・ウー世界のお話なので「親切なヤツはみんな裏切り者」だ。これを肝に銘じてプレイすれば、ストーリー展開がさらにおもしろおかしく楽しめるはずだ。
【スクリーンショット】 |
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ギターケースを持って登場のテキーラ |
実はこれ、大量の敵との対峙の前に、ステージ内の任意の位置に回復ポイントを設定できる仕掛け。特定のシーンで使用可能に |
ボスは結構手強い。もはやサイボーグ並みの強さ。頭部に20発くらい撃ち込まないと倒せない! |
■ あなたのそのアクション・プレイ、ジョン・ウー的には何点?
ゲームは3人称視点の3Dシューティングゲームスタイル。基本的に悪人しか登場しないので、出てくる人間は全て狙って撃ちまくってよし。弾丸のリロード(弾丸装填)という概念はなし。銃弾は弾倉に自動的にテレポーテーションで自動補給されるのか、手持ちの銃弾がなくなるまでとにかく撃ちまくれる。これはリアリティよりも爽快感を取ったゲームデザインということなのだろう。
とはいえ、ただ敵を狙って撃つだけのゲームがジョン・ウー・ワールドのはずがない。基本は「悪人を撃ちまくれ」なのだが、その撃ち殺し方のかっこよさがゲームシステム側で判定されていくのだ。マイクロソフトのレーシングゲーム「Project Gotham Racing」シリーズのKUDOSシステムのような感じだ。
もっとかみ砕いていうならば、ゲームシステム側に“神”としてジョン・ウーが住んでいると思えばいい。そして、プレーヤーの操るテキーラ捜査官のアクションを常に「ふむふむ」と見ていて、何らかのアクションを行なったときに「おお! それ、いけてるじゃん」と採点されれば、ポイントとして「★」がもらえるという仕組み。
【スクリーンショット】 |
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登場する悪党はアホ格好いいヤツラばかり |
武装ヘリとの対決もあり。もちろんビルのガラスは割れまくりですよ! |
じゃあなにをもってして「いけてるじゃん」と採点されるかがポイントなわけだが、ここが、本作のゲームシステムの根幹となっている。
最も基本的なのは、少ない射撃で敵を連続的に撃ち殺すこと。しかし、これは基本中の基本技ではあるものの、実際は意外に難しい。ところが、この「連続キル・コンボ」を簡単に行なうフィーチャーがゲームシステムに実装されている。
それが、他のゲームでは「バレットタイム・アクション」と呼ばれたり、身も蓋もなく「スローモーション」とか呼ばれたりするもの。そう、ゲーム時間がゆっくりと進むが、照準だけはリアルタイムだけで動かせるアレだ。本作では「テキーラの脳内時間」という意味を込めて「テキーラ・タイム」と呼んでいる。
PC版ではマウス右クリックで強制発動が可能で、画面左上の2つのゲージのうち下段の方を消費する形で利用できる。この発動中にたくさんの敵に照準を合わせて銃撃し、連続で敵を仕留めれば高評価が得られるのだ。なお、このテキーラ・タイム・ゲージは時間と共に回復する。
【スクリーンショット】 |
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バレットタイムアクションといえばこれ。横っ飛びでスローモーションでしょう! |
前のめり気味に飛び込んでテキーラタイム発動 |
テキーラタイムが終了すればそこら中死体だらけさ |
なにも「かっちょよさ」は、連続キルだけじゃない。テキーラ捜査官自身がかっこいいアクションをしつつ敵を撃ち殺しても高評価が得られるのだ。それが数々の「テキーラ・アクション」になる。
テキーラを操作してゲーム内ステージを徘徊させていると、時々、ピカピカとシーン内大道具や小道具、あるいは背景の特定の施設自体が点滅することがある。このときテキーラ・アクション・ボタン(PC版ではスペースキー)を押すと、自動的にその点滅した対象物に対して的確なインタラクションとアクションを行なって「テキーラ・タイム」へと自動移行するのである。
テーキラ・アクションは、もうこれでもかというくらい色んなものが用意されているのだが、まず、全編を通して利用でき、ステージ1からも積極的に利用できるのは「階段の手すり」アクション。手すりの近くに行ってテキーラ・アクションを行なうと、テキーラが階段の手すりによじ登ってそこからツツーっと滑り降りながら銃撃したり、あるいは駆け上がりながらの銃撃したりする。そのスタイルはまるで、スケボーゲームでトリックを決めるような感じで超クール! 同系の応用技では、博物館ステージではティラノサウルスの恐竜の化石に駆け上がることができる。
【スクリーンショット】 |
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階段の手すりに上がって滑れば自動的にテキーラタイムに移行!! |
手すりは上ってもテキーラタイムだぜ! |
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テキーラにとっちゃ、博物館のブロントサウルスの化石も手すりみたいなもんだ。駆け上がりもする |
ステゴサウルス発見!! |
やっぱり駆け上がれます。自由度が高い! |
ジョン・ウー・テイスト炸裂なのは、実生活ではあまり見ないのに、ゲーム世界ではそこら中に置いてある給仕用カート。カートの近くでアクション発動すれば、テキーラはこの上にスーパーマンのようにうつぶせで乗りながらの銃撃が可能。
一応、投影面積を抑えつつ移動する銃撃となるので敵に対して優位……ということのようなのだが、なによりもビジュアル的に「アホ格好いい」風情がステキだ。適当なテーブルの近くで発動すれば、テーブルの上を滑りながら銃撃する同系の応用技になる。こちらは戦略上、全く意味はないが、ジョン・ウー的には好印象となるため★が稼げる。
【スクリーンショット】 |
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ジョン・ウー・ワールドでは給仕用カートがそこら中にある。ドリフコントにおける金ダライみたいなものだ! |
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テーブルの上を滑りまくって撃て! 意味はないけれど。格好いいんだからさ |
噴水の囲いでも滑れます |
そして香港アクションといえばスイングアクション。本作では、ステージ中につり下がっているシャンデリア、電線などもテキーラ・アクションの道具として使え、ぶら下がってスイングしながら銃撃できる。
やたら派手な立ち回りが目立つテキーラ捜査官だが、さすがに敵の数が増えた場合には、大ざっぱに撃っていたのでは反撃にあってやられてしまう。攻勢一方ではどうにもならない局面がこのゲームにもあるのだ。
【スクリーンショット】 |
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ロープがあったらすり降りろ! 滑り降りながらテキーラタイムで眼下の敵を全滅させろ |
博物館で恐竜の化石にぶら下がって銃撃。よい子はマネしちゃダメだよ |
そんなときには使いたいのが壁への退避。「壁に張り付き」ボタン(PC版では左CTRL)で壁にもたれかかって身を隠すことができ、敵の銃弾からしばし逃れられる。この状態から移動すると体本体は壁に潜めたまま上半身をちょっとだけ乗り出して攻撃できるのだ。これは、「Gears of War」(EPIC GAMES)のシステムによく似ている。
ただ、この壁に身を隠す姿勢やアクションがたまらなくジョン・ウー演出的で格好いい。敵の銃弾が近くに着弾すると、テキーラ捜査官も険しい顔で演技したりして、このタイプのゲームでは珍しい表情アクションが緊張感を煽ってくれる。
【スクリーンショット】 |
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壁に張り付いて敵の攻撃をやり過ごせ! |
敵の銃撃がやんだら身を乗り出して反撃だ |
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身を乗り出した瞬間にテキーラタイム発動すれば楽ちん反撃 |
■ 銃乱射したら、そりゃ鳩も飛ぶでしょうよ。だって、ジョン・ウーだもの
さて、格好よくやっつけて★を稼げたら、次は稼いだ★をどうするのか、という疑問が浮上するだろう。稼いだ★は、実質的には「テキーラ・ボム・ゲージ」へのエネルギーチャージになっている。
テキーラ・ボムとはゲームの途中で発生するイベントで身につく、テキーラの必殺アクション。格闘ゲームでいうところの超必殺技的なものだ。全部で4種類があり(発動はPC版では数字キーの[1]~[4]に対応)、最初は、超必殺技と呼ぶにはおこがましい感じもする「体力回復技」。これは、ゲージを1本分消費して体力を回復するもので、ゲーム開始直後の初期状態から身につけている。
【スクリーンショット】 |
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壁で三角飛びしてそこからテキーラタイム、といった複合アクションも格好いい |
実質的な超必殺技は、最初のイベントで身につく「超高精度射撃(Precision Aim)」という技から。こちらはゲージを2本消費することで発動でき、テキーラタイムのように時間が遅く進行するのに加え、視界が強烈なズーム視界に移行して、狙いを敵の特定の部位に合わせることができるもの。顔面、額、首、心臓、股間、手、足……命中したら痛そうなところを狙って敵に的確なダメージを与えられる特殊攻撃だ。このモードで敵を倒すと撃たれた部位をかばいながら吹っ飛んでいく敵の“やられアクション”が見られる。
【スクリーンショット】 |
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銃弾がゆっくりと飛んでいく超高精度射撃モード。雑魚敵は頭部に撃ち込めば即死! |
3つ目は「超連射攻撃(Barrage Attack)」という、一定時間猛烈な連射攻撃ができる技。しかも、モード発動中は手持ちの弾薬を消費せず、しかも通常の敵の銃撃には無敵になるというダブル特典付き。ターミネーター並みに強いボスとの戦闘には重宝するモードだ。ゲージは3本分消費。
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無敵かつ超絶連写モードな「超連射攻撃」 |
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ロシアンマフィアの息の掛かった傭兵達が屋根からやってきた! テキーラは恐竜の化石を駆け上がりながら迎え撃つ! |
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うぉー、と叫びながら回転撃ち。時間がゆっくりと流れ鳩が飛び上がる! |
4つ目は最後に身につけられる、ジョン・ウー世界観炸裂の「回転銃撃(Spin Attack)」。ゲージを4本全て消費して発動するとこの技専用のBGMが演奏され、完全にプレイ操作がジョン・ウー側に乗っ取られてしまう(?)。そしてテキーラが怒りの表情を浮かべ回転しながら銃を乱射し始め、なぜか、どこからか現われた数羽の鳩が放射状に羽ばたき舞い上がるという演出が入る。
回転銃撃はその威力よりも、そのアクションが見たいだけのために発動することが多くなるとは思うが、実は技としても強力。一定距離内の雑魚敵はこれによって派手なやられモーションと共に全滅。ボスにも一定量のダメージが与えられるほど威力が高い。
【スクリーンショット】 |
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周囲の敵が全滅! これが鳩の力なのか……(違います) |
■ ヤツラは殺られるために出てきたんだ
さて、前出の「テキーラ・アクション」やこの「テキーラ・ボム」は、冒頭で述べた「ハイテンションが作り出す笑い」に相当する。
では、「ベタベタなお約束」の笑いは? ゲーム中、強力な敵が出現したり、あるいは大勢の敵がいっぺんに出現したときは、なるべく取り乱さず、画面内をよく観察しよう。すると見えてくるはずだ。「お約束」のドリフの金ダライ、ダチョウ倶楽部の熱々おでんが!
ある意味、「画の間違い探しゲーム」的な要素になっているとも思えるのだが、よく見ると、敵の周りに大爆発を有するガスボンベやら、落石をせき止めているバリケードやらと、危険物が置いてあるのだ。このゲームに登場する敵達は、「どう考えても、やられたくてウズウズしている」としか思えないシチュエーションを背負って戦っていることが多いのだ。
そんなときは黙ってガスボンベを撃とう。バリケードを支えている木材を撃とう。すると、ガスボンベは誘爆して大爆発を起こし、バリケードは崩れ大規模な落石が発生する。そのあとは吹っ飛ぶ敵達のリアクション。
「これだよ、これこれ」という“定番”を味わったものだけが得られるカタルシスが、きっとこみ上げてくることだろう。ガスボンベとバリケード以外にもゲーム中には「お約束の仕掛け」が一杯仕掛けられているので探してみよう。ある意味、この部分に限っては脳トレ的なパズルゲーム要素が盛り込まれていると言っても過言ではないかもしれない(?)。
【スクリーンショット】 |
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目前の敵。よく見るとヤツラの頭上には岩石を支えている板が。わざとらしいまでの仕込み。これぞベタベタ! |
間抜けな敵の頭上に金ダライ……じゃなくて岩石落下で全員まとめて片付ける |
そして「ベタベタなお約束」はもう1つある。それは「もう絶対無理」っていうくらいに敵に囲まれてしまったとき。この状態になるとゲーム世界は再びジョン・ウー時空へと飛び、特別なアクション「絶体絶命(Standoffs)」モードに移行する。
敵がテキーラ捜査官を蜂の巣にしようと銃撃してきた瞬間、「だめか!?」と思うやいなや、時間がゆっくりと流れ出し、銃弾は蚊が飛ぶような速度でノロノロと進み出す。プレーヤーはここで弾道を読み、「モグラ叩きゲーム」の逆の要領で左右方向入力をして、この銃弾を避けることができるのだ。その際、照準は自由にリアルタイムで動かせて銃撃も可能。つまり、敵の銃弾を華麗にかわしつつ、敵を撃ち殺すという、近年の特撮ガン・アクションの「お約束」が楽しめてしまうのだ。
【スクリーンショット】 |
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完全に包囲されてしまった! でも焦る事なかれ。テキーラにはあるじゃないか「絶体絶命モード」が! |
「絶体絶命」モードが発動。銃弾を見切って左右に避けろ! でもってできれば同時に敵を撃ち倒せ |
■ おわりに
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グラフィックスは結構美しい |
本作のゲームエンジンは、何かと世の中を騒がせているEPIC GAMESの「Unreal Engine3.0」(UE3)だ。グラフィックスはUE3採用の甲斐あってか、「HDRレンダリング」、「セルフシャドウ付きリアルタイム影生成」、「法線マップ、バリバリ」というXbox 360の標準的なクオリティになっており、大きな不満はなし。
物理エンジンはUE3を使いながらもHAVOKを採用(UE3では標準物理エンジンはAGEIA PhysX)。ゲーム中のやたらめったら壊れるステージの仕掛けは、このHAVOKによる効果が大きいものと思われる。
今回はPC版で評価したが、Xbox 360版、そしてPS3版が発売されており、内容は完全に同一となっている(いずれも北米版)。1点だけ注意したいのは、PC版は「Game For Windows」に対応しながらも、Xbox 360ゲームパッドに未対応という点。これについては相当MIDWAYに意見や問い合わせが殺到したようで、販売元のMIDWAYサイトのFAQには「Xbox 360ゲームパッドには未対応である。Game For Windows要件にXbox 360ゲームパッド対応は必須となっていないから、問題はない」と返答されているおり、対応の見込みは薄い。
なお、PC版ではキーボードのAWSDで移動、マウスで照準操作という1人称シューティング(FPS)ゲームライクなキー操作でプレイしなければならないので、ゲームコントローラ派はPS3版かXbox 360版を買うべし。
【スクリーンショット】 |
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とにかくゲーム中のあらゆるものが銃撃によって壊れる。やたらモノが壊れるのがジョン・ウー的ガンアクション! |
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HAVOK採用と言うことでこれ見よがしな物理パズルもあり。画面はつっかえ棒をぶっ壊して橋を架けているところ |
ゲームそのものは、往年の名作「MAX PAYNE」とかなりに通っており、あの手のアクションが好きならば本作は絶対に「買い」。
冷静に見れば、ストーリーはベタベタだし、ゲームプレイそのものは単調。うっかりすると「どこかおもしろいの?」といわれてしまいそうだが、やはり、本作の面白さは、良くも悪くも、ジョン・ウー的な演出による「無駄にハイテンション」と「ベタベタなお約束」に尽きると思う。
「Stranglehold」は2007年秋、一番「笑える」エンターテインメント3Dシューティングだ!
【スクリーンショット】 |
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1人称モードイベントもあり。ヘリで飛び回って敵のアジトを破壊しまくれ! テキーラの暴走は止まらない |
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□Midwayのホームページ
http://www.midway.com/
□「John Woo Presents Stranglehold」のホームページ
http://strangleholdgame.com/
□関連情報
【8月1日】西川善司の3DゲームファンのためのE3ゲームグラフィックス講座
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20070801/3de3.htm
【7月13日】【E3 2007】MIDWAYタイトルレポート
ジョン・ウー/チョウ・ユンファのコンビで送る二丁拳銃アクション大作がUnreal Engine 3.0ベースで完成!
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20070713/mid.htm
(2007年10月16日)
[Reported by トライゼット西川善司]
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