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最近では躍進著しいMIDWAYがE3 2007でプレスカンファレンスを開催。EPIC GAMESが誇るUnreal Engine3.0の最新作ゲームタイトル3本が同時に発表されるとあって注目度の高いカンファレンスとなった。
特に、ジョン・ウー監督とチョウ・ユンファ主演のオリジナル・バイオレンス・ガンアクションの「Stranglehold」の完成報告は、北米地区以外のアジア地区からの関心も高かったようだ。
■ 「John Woo Presents Stranglehold」
ジョン・ウー監督といえば、「ありえない」けど「あったら絶対にかっこいい」という切り口のアクションが特徴だが、あの独特のアクションの“カタルシス”が思う存分味わえるのが本作の魅力。 プレーヤーが扮するのは、夏休み映画の「パイレーツ・オブ・カリビアン」の3作目でも重要な役柄を演じたチョウ・ユンファ演じるテキーラ捜査官。ストーリーや世界観は'92年に公開されたジョン・ウー監督作品で、チョウ・ユンファ主演のアクション映画「ハード・ボイルド/新男達の挽歌」をベースにしており、プレーヤーが操作するテキーラ捜査官もこの映画の主役を務めるキャラクタだ。 ゲームは、香港、そしてシカゴなどを舞台に、ロシアン・マフィアに妻子を誘拐された主人公テキーラ捜査官が、妻子を救うべく、単身その巨大組織に挑むというストーリーラインになっているようだ。シュワルツェネッガーやセガールといったアクションスターの映画作品で散々使い古されたストーリープロットだが、そこはそれ、“あり得ないかっこよさ”から“笑い”を浮き立たせるジョン・ウー・マジックを感じるには、そんなことは関係ないのだ。実際、公開されたリアルタイムゲームプレイ映像は最初から最後までテンションは常に沸騰状態で、ジョン・ウー節のジェットコースター状態であった。 ゲームは基本的には「敵を撃ち殺しながら進む」というガンシューティングの王道スタイル。謎解き、パズル要素も無くはないが、「撃ち殺し」と「破壊」が基本的な“解法手段”になる。 本作のゲーム性面での特徴は2つ。1つは、そのシーンにあるほぼ全てのものが破壊可能であり、さらに何かしらのインタラクトが可能というところ。 プレーヤーキャラクタを移動させると、そこからインタラクト可能なシーンの大道具、小道具が軽く点滅し、その際にアクションボタンを押せばかっこいいジョン・ウーアクションが発動する。例えば点滅している階段の手すりの前でアクションボタンを押せばそこによじ登って階段の手すりを移動しながら撃ちまくれる。 また、点滅している石像を撃ちまくれば、これが倒れて敵を押しつぶせたり、あるいは仕掛けられているブービートラップを誘爆させて敵をフッ飛ばしつつ、新たな進路を確保するといったこともできる。 シーンの動的破壊システムには、最新版HAVOK製の物理エンジンをベースに開発されたという新技術「MassiveD」システムを実装。単純な一方向型のシーン展開でゲームが進むのではなく、プレーヤー主導でシーンを自由に破壊していくことで、動的な破壊&アクション展開が楽しめるようなゲームデザインになっている。 もう1つは、テキーラ・タイムと呼ばれる超人的なアクションモードの存在。発動することで、ゲーム世界の時間進行を遅らせることができ、相対的にプレーヤーが高速に動作できるようになる、いわゆる「バレット・タイム・アクション」というやつだ。敵に囲まれたときや、タイミング的に紙一重となるシビアなアクションが必要な場面で発動させるとゲーム進行を優位に進めることができる。プレスカンファレンスにおけるデモでは、拳銃を四方八方から突きつけられた絶体絶命のピンチの中でも、テキーラ・タイムを発動して銃弾をかわしながら敵を撃ち倒していくシーケンスが公開された。 ゲームエンジンはEPIC GAMESのUnreal Engine3.0(UE3)を採用。法線マップによる微細凹凸表現や、リアルタイム“影”表現などが非常にリアルな、UE3らしいグラフィックスを出していた。ダメージにシンクロしてテキーラ捜査官の着ているジャケットに血がにじみ出てくる体力残量表現(?)が面白い。血はちゃんとスペキュラが出ていて湿っている感じもリアルであった。
前述したように物理シミュレーションにはHAVOKを採用している。ゲーム開発はMIDWAYシカゴが自ら担当。北米での発売は2007年8月を予定。プラットフォームはPS3、Xbox 360、PC。日本での発売は未定だが、ローカライズを含めた日本での発売も期待したいところだ。
■ 「BLACKSITE:AREA51」
プレーヤー扮する主人公Aeran Pierceは、イラク戦争帰りの若き指揮官。この“問題”の鎮圧を命じられ、かつてのエリート戦友を率いて、“かの地”へ下り立つこととなる。 エイリアンの造形はとにかくグロテスク。動きもよく考えたと感心させられるほど気持ちが悪い。エイリアンやエイリアン兵器は、人間と等身大のものから見上げるような巨大なものまで、バリエーションは豊富。基本は撃って撃って撃ちまくれスタイルのゲームだが、与えられた部下達の特殊能力を活用しなければ先に進めないようなパズル的な局面も時折挿入される。 味方への指揮はほぼ完全なオブジェクト指向システムを採用しているのが特徴。照準を合わせて、指揮アクションボタンを押すことで、そのマークした対象物に最適と思われるアクションを味方キャラクタが自動的に行なってくれるのだ。たとえば、壁をマークすれば味方が壁をよじ登って飛び越え偵察に向かい、敵をマークすればその敵を集中的に攻撃するようになる。物陰をマークすればそこに身を潜めそこから攻撃を行なうし、ロックされたドアをマークすれば、爆薬をセットしてその扉を破壊してくれる……という具合。 エイリアンが登場するのでテーマは近未来SFといったところだが、登場する人類側の兵器はほぼ全て最新の軍事技術に従ったものになっており、機動兵器、銃器、歩兵の装備のリアリティにはかなりこだわっているという。また、軍事車両や攻撃ヘリなどの兵器類も現実世界ベースのものになっており、ゲーム中に実際にそうした兵器を操作して戦うシーンも盛り込まれている。エイリアンの侵食という突拍子もないテーマに、厳格なリアリティを持った軍事コンセプトを対比させることによって「リアリティと虚構」のコントラスト感が映えるユニークな世界観を形作っているのだ。 開発はMidwayオースティンが担当。ゲームエンジンはEPIC GAMESのUnreal Engine3.0。グラフィックスのリアリティは他社製競合タイトルに全く引けを取らないレベル。とくにチームメイトとなる自分以外の3人の部下達の人間キャラクタ描写は非常にリアルで、感情表現豊かな表情をプレーヤーに見せつけてくるのでFPSながら、ストーリーラインへの没入度が高い。 ゲームモードはストーリーを進めていくシングルプレイの他、デスマッチや籏取り合戦を含む定番マルチプレイを含んだ対戦モードも搭載される。
発売は2007年9月を予定。プラットフォームはPS3、Xbox 360、PC。発売直前の8月には各プラットフォームに向けてデモ版の配信を予定している。
■ 「Unreal Tournament III」 対戦プレイに特化した一人称シューティングゲーム(FPS)を「スポーツFPS」と呼ぶが、「Unreal Tournament」(UT)シリーズは、この「スポーツFPS」ジャンルの先駆的存在であり、デファクトスタンダードなタイトルだ。 3Dゲームファンならば、いきなり「Unreal Tournament III」といわれても「『I』や『II』ってあったっけ?」と思うことだろう。 実は、これまで「Unreal Tournament2007」と呼称され発売が予告されてきた「UT」シリーズの最新作は、ここに来て、いきなりの名称変更が施されたのだ。結局、紆余曲折あったが正式に「Unreal Tournament III」(UT3)と決定された。 この経緯とネーミング戦略にはちょっとした補足説明が必要だろう。 '99年に最初の「Unreal Tournament」が登場したが、これが「1」に相当する。2002年末には「Unreal Tournament2003」が登場し、2004年初旬に「Unreal Tournament2004」が発表されている。2003、2004と年号付きの「UT」が立て続けに発売されてきたので、「UT+年号」という図式が当たり前のように考えられてきたのだが、これが、最新作では崩されることになる。 とはいえ、1、2、3という連番式でいくならば、「今作はIV(4)ではないのか」という突っ込みが入るわけだが、そこはそれ、いろいろな事情があるのだ。まず、エンジン世代でいくと初代「UT」がUnreal Engine1.0(1st Generation)、「UT」の2003と2004がUnreal Engine2.0(2nd Genereation)ベースとなる。そう、「UT3」はUnreal Engine3.0ベースの「UT」であり、いうなれば第2世代「UT」という意味が込められているのだ。 ところで「UT3」(UT2007)は、E3 2006のソニーのプレスカンファレンスで、PS3のテクノロジーデモンストレーションの広告塔を買って出た経緯もあり、当初PS3専用タイトルとしてアナウンスされていた。しかし、今回のプレスカンファレンスでEPIC GAMESのVP、Mark Rein氏が「早とちりするな。PC版も確実に出す」と明確に宣言したことで、正式にPC版の発売が決定したと考えて良さそうだ。ソニーとの関係性に配慮して、競合するXbox 360版の発売は未定とされているが、発売されるとしてもおそらく2008年以降となると見られる。そう、年号をつけてしまうと、Xbox 360版だけ妙に出し遅れた印象を与えてしまうため、その意味でも「UT2007」ではなく「UT3」の方が都合がいいというわけなのだ。 ゲーム性については良くも悪くも“UTシリーズの正統進化”が施されており、ファンの期待を裏切らないデザインとなっている。 スポーツFPSとしてのバランス取りはもちろん、続編として期待される武器や乗り物のバリエーション追加についても“正統進化”と呼ぶに相応しい充実ぶり。武器や乗り物は全24種類以上にまで増えている。今作では地上戦だけでなく、フライトシミュレータ並みのアクロバティックな激しい空中戦までがサポートされる。 スポーツFPSらしく、対戦モードはデスマッチ、籏取り合戦などの定番を搭載。そして、「UT」シリーズとしては初となるストーリーベースのシングルプレイモードが実装されているのも「UT3」のホットトピックだ。ストーリーは「UT」宇宙の世界観に準拠した正統な物語。敵性エイリアンNECRISの侵略行動がついに開始され、これを阻止すべくプレーヤーの属する小隊が立ち上がる……といったような内容になるらしい。 PC版には「UT」ベースでオリジナルのゲーム拡張が行なえる「Unreal Engine3ツールセット」が同梱される。このツールで作成したMODプログラムはPCとPS3の両方で共有が可能とのことで、ソニーが今年のGDCで提唱したユーザーメイドのゲームコンテンツ発進コンセプトである「Game2.0」の一端を担うものとして注目されることになる。 「UT」シリーズは、スポーツFPSということで、グラフィックスよりもパフォーマンスが重視されてきたが、「UT3」はUnreal Engine 3.0ベースということで、グラフィックスの進化レベルも前作までとは異次元の表現力になっている。 詳しくはトレーラーを見て欲しいが、ライティングやエフェクト、光と影の表現などは、彼らEPICのグラフィックス・セントリックな作品だった「Geas of War」に全く引けを取らないレベルとなっている。
発売は2007年内を予定。日本での発売は未定だ。
■ 「ULTIMATE MORTAL KOMBAT」 MIDWAYというば「モータルコンバット」を思い出すというコアなゲームファンもいるのではないだろう。2007年末、あの「モータルコンバット」の最新作がニンテンドーDSで発売されることが発表となった。 ゲームそのものはアーケード版「Ultimate Mortal Kombat3」の移植版に相当。キャラクタは総勢20名+α、バトルステージも15+αが実装されている。 意表をついた追加要素として「Puzzle Kombat」という「モータルコンバット」の登場キャラクタをフィーチャーした「落ちものパズルゲーム」も搭載される。 限定されたキャラクタであれば、1枚のゲームカートリッジで2台のDSにて対戦プレイが可能。対戦は落ちモノパズル、格闘本戦のいずれもOK。プレーヤーそれぞれがゲームカートリッジを持っていればもちろんフルキャストでの対戦が可能。Wi-Fiにも対応済みでフレンド同士のインターネット対戦もOK。
発売は2007年冬を予定。開発はOther Ocean Interactiveが担当。
□MIDWAYのホームページ(英語) http://www.midway.com/ □Electronic Entertainment Expo(英語)のホームページ http://www.e3expo.com/ □関連情報 【2006年5月14日】Electronic Entertainment Expo 2006現地レポート MIDWAYブースレポート http://game.watch.impress.co.jp/docs/20060514/midway.htm Electronic Entertainment Expo 2007 記事リンク集 http://game.watch.impress.co.jp/docs/20070712/e3link.htm (2007年7月13日) [Reported by トライゼット西川善司]
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