★ PCゲームレビュー ★

新機軸Bullet Time Comboを
縦横無尽に使いこなせ!

「MAX PAYNE」

  • ジャンル:3Dアクションアドベンチャー
  • 発売元:P&A
  • 価格:8,800円
  • 対応OS:Windows 95/98/Me/2000
  • 発売日:8月10日


  各ゲーム機には、そのプラットフォームをグンと成長させる「キラータイトル」というものがある。最近ではプレイステーション2における「グランツーリスモ 3」(SCEI)や「ファイナルファンタジー X」(スクウェア)などがこれに当てはまるだろう。キラータイトルは、人々に「これをプレイしたい」と思わせ、「そのプラットフォームを買わせる」という逆転的な現象を生む。

 「MAX PAYNE」は、PCゲーム界のキラータイトルになる可能性がある。つまり、このソフトをプレイしたいがためにギガヘルツ級のCPUやハードウェアT&L搭載型ビデオカードが売れるという現象を生みそうなのだ。


■ MAX PAYNEってナニ? REMEDYってナニモノ?

「FinalReality」のワンシーン。このとき既にMAX PAYNEの看板が
 「MAX PAYNEってなに? そんなに騒がれるようなゲームなの?」と思われている人も多いかもしれない。まずは「MAX PAYNE」の素性から紹介していこう。

 MAX PAYNEを開発したREMEDY ENTERTAINMENTはフィンランドにあるゲーム制作会社だ。もともとDOS時代から「メガデモ」といわれる最新グラフィック技術/ソフトウェア技術を誇示するデモプログラムなどを作っていたFuture Crewというグループが中心になって興された会社だ。なお、Future Crewが制作した有名なメガデモとしては「2nd Reality」などがある。

 余談だが、現在でもフィンランドではこうしたメガデモ系ソフトウェアのコンテストイベントなどが開かれている。今年も8月2日から5日まで、「Assembly2001」という一大イベントが開かれて、大変盛り上がったようだ。優秀作品はこちらで見られるので興味がある人は見てみるといい。

 と、まぁ、話はちょっと横道にそれたが、フィンランドをはじめとする北欧諸国の3Dゲーム制作の技術力はアメリカや西ヨーロッパ、日本に引けを取らないことだけはおわかりいただけたと思う。

「3DMark99」の画面。DirectX 6.1時代の基準ともなったグラフィックス
 REMEDYの名を世界的に広めたのは、'97年に発表されたメガデモ系ベンチマークソフト「FinalReality」だろう。やっと本格的な3Dグラフィックスが扱えるようになった「DirectX5」の登場、初のAGPチップセット440LXの登場……など、タイミング的な幸運にも恵まれて一躍3Dベンチマークプログラムの標準的な存在となった。

 「FinalRealityを速く動かすためにNVIDIA RIVA128搭載ビデオカードに買い替えた」というPCユーザーも少なくないのではないだろうか。なお、前出の2nd Realityとほぼ同一のシーンがFinalRealityにも現れているので、もし可能ならば両方を見比べてみると面白いだろう。

「3DMark2000」の画面。ハードウェアT&Lに対応
 このとき開発が始まったのがこの「MAX PAYNE」だ。つまりMAX PAYNEの開発期間は4年以上ということになり、ゲームソフト、それもPC用ゲームの開発期間としてはかなり長めだといえる。FinalRealityのあと、REMEDYはカナダにベンチマークソフト制作会社「Futuremark」を設立、のちに「MadOnion」となった。FinalRealityの血筋を受け継ぐ「3DMark」シリーズはPCゲームグラフィックスの1つの指標となってきたことはご存じの通りだ。

 MAX PAYNEの開発にあたりREMEDYの開発スタッフが、これまでのメガデモ制作で培ってきたテクノロジーの全てを投入して開発したのが3Dエンジン「MAX-FX」だ。

「3DMark2001」。DirectX 8のVertex Shaders、Pixel Shaders、Point Spriteなどのテストが行なえる
 MAX-FXの最初のバージョンはDirectX 5に完全対応し、FinalRealityに使用されている。続いてDirectX 6バージョンのMAX-FAXで「3DMark 99」、DirectX 7バージョンのMAX-FXで「3DMark 2000」が制作された。そして3DMark2001、そしてMAX PAYNEはDirectX 8バージョンの最新版MAX-FXで制作されている。なお、MadOnionは2001年3月末に開発チームを解散し、トロントのオフィスも機能を停止したと報じられている。よって現時点では残念ながら次回作「3DMark2002」の登場の予定はないようだ。

 さて、FinalRealtyや3DMarkシリーズがここ数年間のPCにおける最新3Dグラフィックスのお手本となってきた事に対して異論を唱えるものはいないはずだ。しかし、これらは実際のところ、MAX PAYNEを制作するに当たってのMAX-FXエンジンのテストプログラムに過ぎなかったのだ。テストプログラムでさえあのクオリティの映像やエフェクト、サウンドで我々を楽しませてくれたREMEDY。ここが制作した長編アクションゲーム、これを期待するなという方が無理な話だろう。


■ ゲーム開始直後から引き込まれるストーリー展開

オープニングからのワンシーン。MAX PAYNEが立ちつくすビルに集結するパトカー達。ちなみに、これムービーではなくリアルタイム3DのCG
 3年前のある日のこと、その悲劇は、突然にやってきた。

 一日の勤務を終えていつものように帰宅した主人公MAX PAYNEは、家の中の様子が「いつもと違う」ことに気がつく。家の中は荒らされ、壁には大きく「Valkyr」の文字が。階上から突然聞こえる銃声と悲鳴。襲いかかるギャング達。MAXの正義の銃弾は彼らを地獄へ叩き落とすが、駆けつけた彼を待っていたのは冷たく横たわる最愛の妻と幼い娘の変わり果てた姿だった。

 ニューヨークの街は新興ドラッグ「Valkyr」が蔓延した影響で、犯罪が多発、文字通りの暗黒街と化してしまっていた。この事件のあと、DEA(麻薬取締局)のエージェントとなったMAXは、家族の復讐の意味を込めて、「Valkyr」の謎へ迫るべく命をかけた捜査に乗り出すことになる。

 ゲームは、ショットガンを抱えたままビルの最上階に呆然と立ち尽くすMAX PAYNEをパンした映像から始まる。え? MAXは追いつめられているの? それとも全てが終わった後なの? と最初からプレーヤーはグッと世界観に引きずり込まれることとなる。

 そして、自らが、どうしてこのようなことになったのかを語り出す。ゲームが始まるなりいきなりの回想シーンなのだ。それも全ての「事の始まり」であるあの「悲劇の日」の回想から。プレーヤーは現実世界ではなくMAXの回想世界を最初のステージとしてプレイさせられることになるのである。この時間軸を飛び越えた突飛な物語の始まりは、最近のハリウッド・アクション映画のノリをPC上に体現したという感じだ。「普段ゲームはしないがアクション映画は好き」という人もきっと楽しめることだろう。

最初のステージ。帰宅したMAXは家の中の様子が何かおかしいことに気づく 階上から悲鳴が。イヤな予感が…… MAX PAYNE最後の捜査が今始まる

暗黒街と化したニューヨーク 彼を待ち受けるものは? 物語中盤には悪夢の中のMAXを操作するシーンも


■ MAX PAYNEは「アクション」ゲームである

飛び退きながらのガンアクション。これぞヒーロー
 さて、ゲームはプレーヤーキャラMAX PAYNEの後方に視点を設置した、いわゆる3人称3Dシューティングのスタイルをとる。近いゲームを強いてあげるとすれば「トゥームレイダー」シリーズということになるだろうか。

 トゥームレイダーでは敵への照準合わせが自動で行なわれていたが、MAX PAYNEでは画面上の照準マークに敵を合わせて撃つ必要がある。このルールはQUAKEシリーズに代表される一人称シューティング(FPS)そのままと考えていい。「FPSルールならば三人称システムである必要はあるの?」という疑問が出てくるかもしれない。実はMAX PAYNEにおいてはそれが大ありなのである。

 というのは、MAX PAYNEは3Dシューティングゲームだが、同時に「アクション」ゲームであるためだ。ただし「アクション」ゲームとはいってもMAX PAYNEにおける「アクション」とはアクション映画における「アクション」の意味の方だ。キョトンとしてしまった人も多いかもしれない。ちょっと補足しよう。MAX PAYNEというゲームは、プレーヤーが操る主人公MAX PAYNEのかっこいい「アクション」を楽しむゲームであるため、主人公の姿が見えている三人称視点でないと都合が悪い……というわけだ。

 プレーヤーは圧倒的物量で攻めてくる敵達と遭遇することになるのだが、その攻撃を、MAXを上手に操作することによってヒラリヒラリとかわしながら敵をやっつけていくことができる。このときのMAXの側転、後転、後ろ飛び退き、横っ飛び、滑り込みといったアクションを行ないながらの銃撃アクションが、痺れるくらいにカッコいいのである。次第にプレーヤーは自分があたかも「ダイハード」におけるマクレーン刑事とか「リーサルウェポン」におけるリッグス刑事になったような気分になることだろう。FPSではプレーヤーキャラクタが見えていないので「このかっこよさ」をゲームシステム上表現できない。……というわけで3人称視点なのである。

応戦する敵。でもMAXの敵ではない 映画でも見たことがあるような気がする精肉所での銃撃戦 肉の合間に銃弾を通せ!

スナイパーライフルではズームスコープが使用可能

スナイパーモードで発砲すると弾丸に視点が移り、時間はゆっくりと流れ……敵に命中!


■ 一対大勢の戦いを劇的に表現する「バレットタイム・コンボ」

奥にいるのがMAX。手前がやられたギャングのボス。ゲーム中、演出の一環でシームレスにこのような視点変更&バレットタイムFXがかかることがある
 さて、先ほど、「かっこよくアクションを決める」というようなことを書いたが「アクションゲームが苦手な人にはどうにもならないじゃん」と気分を害した人もいるかもしれない。ところが、MAX PAYNEでは誰でも彼でもハリウッド映画のスーパーヒーロー級のガンアクションをいとも簡単にできてしまうのだ。順を追って説明しよう。

 バレットタイムFX(Bullet Time Effects)というのをご存じだろうか。

 GAPのCMや映画「マトリックス」で一躍有名になった特撮効果のことだ。無数のカメラを一定の軌道上に設置して、役者の演技中にこれを全てのカメラで同時撮影し、そこで撮影された映像をパラパラアニメのようにして再生すると、時間が静止しているのにカメラだけが移動しているような、独特な視覚効果を上げることができる、アレだ。

 MAX PAYNEでは、このバレットタイムFXを「バレットタイム・コンボ」(Bullet Time Combo)としてゲーム性に取り込んでいるのである。プレーヤーはゲーム中、任意のタイミングでバレットタイムコンボを発動でき、このモードに突入すると、ゲーム内時間が異様にゆっくり過ぎるようになる。それこそ、銃弾の移動速度が自転車くらいの速度に見えるくらいまで時間の進行が遅くなる。銃弾が空気の壁を引き裂きながらトロトロと進んでいく、ちょうどMATRIXの劇中のお馴染みのシーンがMAX PAYNEのゲーム中で起こるのだ。

 このモード中はプレイヤーの移動速度もゆっくりとなってしまうのだが、唯一、視点(照準合わせ)だけはグリグリと動かせる。つまり、このモード中ならば誰でも、敵の弾をかすめるようにして避けつつ、自分の銃口を敵にぴったし合わせながら引き金が引けるというわけだ。

 このバレットタイムコンボモードはプレイヤーが任意のタイミングで発動でき、一定時間が過ぎるか、プレイヤーが中断したときに解除される。モード解除されると一気に時間の流れが通常に戻り、それまでノロノロ中空を動いていた銃弾達はフッと姿を消す。敵の銃弾はことごとく外れ、MAXが放った銃弾だけが全てドンピシャに敵の急所を打ち抜くことになる。

 このバレットタイムコンボモードはバレットタイムゲージが空にならない限り、いつでも発動が可能となっている。コンボの発動により消費したゲージは、敵を倒すごとで徐々に回復していく仕組みだ。

 また、特定の敵を特定の場所で倒すと、演出の一環として「敵のやられシーン」でバレットタイムモードが強制発動することがある。これも最近のアクション映画に対するオマージュだろう。このときは視点がプレイヤーからは外れるし、ゲージも消費しないので、じっくりと敵の吹っ飛ぶ様を観察して楽しもう。

相手が弾をリロードするタイミングを見計らって、飛び退き様にバレットタイムコンボ発動 雪降る波止場での銃撃戦。MAXは滑り込みながらのバレットタイムコンボ発動 無敵のMAXもショットガンを至近距離で受ければ死にます。死亡シーンもバレットタイムFXでお楽しみください?


■ ゲーム展開に深みを与えるアドベンチャーゲーム的要素

行き止まりだが、壁はもろく叩けば崩れそうだ。ならば……
 ところで、MAX PAYNEは終始「撃ちっぱなし」のゲームかというと、これが意外とそうでもないのだ。

 スイッチのON/OFFを使ったパズル、時間制限トラップ、地形トラップなど、それこそトゥームレイダーを彷彿させるアドベンチャーゲーム的なパズル要素も適度にちりばめられていてゲーム進行に緩急と起伏があり、退屈させられることはない。

 例えばこんなシーンがある。

 敵を撃ち倒しながら進んでいき、あるビルに入ると故障寸前の配電盤室があり、近くには引火性のガスボンベなどが転がっている。爆発の危険性が大だ。そのまま無視して奥に進んでいくと背後で大爆発。ビルの壁が崩れて火事に。ボンベのガスに引火したのだ。MAX PAYNEは爆風避けてビルの奥に進むが、進んだ先のドアには鍵がかかっており、事実上の行き止まり。ふと周りを見回すと近くの棚には先ほど爆発したガスボンベと同じものが置いてある……。ここに踏みとどまっていれば背後に迫る火で焼かれるか、酸欠になるか……だ。とりあえずこのドアを開けるしか道はない……。という感じ。もう、答えはわかっただろうか。このガスボンベに向かって……と、あとは自分でプレイして確かめてほしい。

 トゥームレイダーのような「知らなきゃ即死」という感じの凶悪トラップや難解パズルこそ少ないが、ダラダラと敵が出てくるだけのゲームにはならないよう、時々このようなプレイヤーの知力に挑戦してくるシーンがあるのだ。これが反射神経を休めることにも繋がり心地がいい。

 しかし、それでもやはりMAX PAYNEはシューティングがメインということは確か。各地に設置されたこうしたパズル的要素は次なるシューティング・ステージへの小休止、あるいはプレーヤーをゲーム世界にさらに引き込むための仕組まれた演出に過ぎないような気がする。個人的な見解だが、全体のバランスとしてはアドベンチャー要素が2、シューティング要素が8といった感じだろうか。

迫り来る炎。進行方向は行き止まり。どうするMAX? あんなところにガスボンベが? これを使えば…… 乗り物を操作することになる局面も

いかがわしいホテルの一室。バイブレーター付きのベッドのスイッチを入れるとベッドの下から出てきたものは……! 便所でウンコをしていたギャング。銃を取り出す間もなくMAXの銃弾の餌食に。ここは笑うシーンだ このゲームのカットシーンはCGムービーではなく、コミックとその朗読で構成されている。台詞回しが面白い


■ 驚愕のグラフィッククオリティ

この正確なスケール感がリアリティを感じさせてくれる
 今年5月にロサンゼルスで開催されたE3(Electronic Entertainment Expo)のREMEDYブースにいた開発チーム・プロジェクトリーダーのPetri Jarvilehto氏は「MAX PAYNEはフォトリアリティ(実写品質)ゲームの第一号になる」と豪語していたが、確かにそのグラフィックスは凄い。普段ゲームをしない人でも一見の価値はあると思う。まず、注目して欲しいのはそのグラフィックスのディテールだ。

 背景のビルディング、自動車、各種オブジェクトはデフォルメ無しのエピックスケールでデザインされており、そこに登場する人物達との大きさ関係が非常に正確に表現されている。また、道や壁に至るまでのテクスチャのクオリティが非常に高いのにも気づくことだろう。なんでも建物の壁のテクスチャも、本物の煉瓦の写真からデータを起こしているという。そのためか、どの建物も、妙にこぎれいなCG臭さが無く、人間くささというか、生活感の漂った出で立ちをしている。

このテクスチャの品質を見よ!!
 人物キャラクタの顔も同様で、MAX PAYNEを初めとした全てのキャラクタの顔は実写写真から顔モデルやテクスチャが起こされている。今までの3Dゲームのキャラクタはいかにも「描いた顔」という感じだったが、MAX PAYNEではどのキャラクタも、本物の人間に近い存在感があるのだ。敵役で中国人のマフィアも出てくるが、見事に東洋系の顔が再現されている。また、表情も実写からテクスチャを起こしているようで、銃弾をくらうと表情を歪めて痛がるのだ。

 そして、ゲーム世界は「もはや無意味なのでは」といいたくなるような細部にまで「リアル」を再現している。暗い部屋でテレビを付けるとパッと明るくなり、ちゃんとテレビでは放送をやっている。テレビを銃で撃てばブラウン管が破裂して破壊され、部屋は再び暗くなる。部屋にあるビンなども撃てば吹っ飛ぶし、壁の照明も撃てば割れて消える。

 こうした小道具の破壊はゲームの本筋には何の関係もないように思える。しかし、現実の室内の銃撃戦では、流れ弾が周囲の小道具に当たることもあるし、当たればそれらが壊れて、細かいことだが環境に変化が生じるのは間違いない。人間というのはそういうところでもリアリティとか臨場感を感じる。MAX PAYNEにおける「ゲームのリアリティ」というのはここまで追求しているということだ。

主人公MAX PAYNEのアップ。このクオリティのモデルがゲーム中グリグリ動く
 Jarvilehto氏は「MAX PAYNEでは物理エンジンにもこだわった」といっていたが、これも凄い。これまた細かいことなのだが、排出される薬莢はちゃんと床で弾んで転がるのである。しかも、その薬莢はいつまでもそこに転がって存在し続けるのだ。「何を当たり前のことを」といわれそうだが、一般的な3Dゲームではキャラクタの管理テーブルの制限から特に存在価値のないものは一定の表示期間が過ぎると消えてしまうのが普通なのだ。

 よく3Dゲームなどで倒した敵が倒れた後に消えてしまうというのを見たことがあるだろう。MAX PAYNEでは、倒した敵の死体はいつ間でもその場所にあり続けるのだ。しかも、敵の出血は壁や床に付着し、これもずっとそのままあり続けるのだ。また、流れ弾によって開けられた壁の穴もそのまま存在し続ける。Jarvilehto氏は「壁に弾痕で落書きもできるよ」といっていたが、まったくREMEDYという連中はどこまでやれば気が済むのだろうか。

 と、そんな「職人集団」REMEDYが送る「MAX PAYNE」だが、細かく見ていくと手抜きがないわけでもない。まず、筆者が気が付いたのは、3D-CGのリアリティ演出の基本中の基本である「影」表現が手抜きであること。表示キャラクタの真下に薄い既成の丸い影を表示しているだけなのだ。だからスポットライトの前に立っても人型の影が落ちない。GeForce3などではハードウェア・シャドウマッピングができるので、ぜひともこれを活用して欲しかったところだ。

実写? CGムービー? いえ、全てリアルタイム3DCGです 敵は弾をくらうと表情を変える! 自然なライティング処理が素晴らしい

波止場にはギャング団の所有する船が。死体はいつまでも転がってる 血もいつまでも床や壁に付いたまま ライトの前に立っても影が出ない。MAX PAYNE唯一の手抜きが影の処理


■ MAX PAYNEの動作条件は厳しい?

画面はステージデザイン用ツールの「MAXED」
 MAX PAYNEはネットワークゲームには対応していないが、MODを作るためのツール類が標準付属している。「ハーフライフ」のような盛り上がりを見せるか、今から楽しみだ。

 最後に、みんなが気になるMAX PAYNEの動作条件について記しておこう。なお、これ以下の内容は筆者がいくつかの性能の異なるテストマシンでプレイした経験を元にして記述している。

 まず、CPUについて。メーカー側の設定した最低動作条件としては「450MHz」となっているが、現実的にはこれではちょっとツラいと感じた。最低でPentium III/Athlon 600MHz、できれば800MHzは欲しいところ。MAX PAYNEはAthlonのEnhanced 3DNow!、Pentium III以降のSSEの両方にフル対応しているので、最新CPUの特徴はちゃんと活用される。これを機会にCPUを載せ替えてしまうというのはいかがだろうか。

こちらはキャラクター制作ツール「ActorFX」。ユーザーメイドの別シナリオの登場を予感させてくれる
 次にビデオカードだが、これはハードウェアT&L必須といっておこう。最低でもGeForce256は欲しい。GeForce2系以降ならば問題はない。ちなみにCPUがPentium III 1GHzの時はRIVA TNT2 Ultraでも640×480/32ビットカラー、GeForce256では800×600/32ビットカラー、GeForce3では1024×768/32ビットカラーでならばそれほど大きなストレスを感じずにプレイできた。

 最後にメモリだ。これはなるべく多めに搭載しておくこと。死体や薬莢が残ったり……という凝った演出は聞くからにメモリを食いそうだが、まったくその通りなのだ。メーカー側の設定した最低条件は「96MB」となっているが、256MBは搭載しておきたい。

 なお、いまのところ日本語版の登場予定はないが、ゲーム中にキャラクタが話す台詞は日本語化されてP&AのMAX PAYNE公式サイトにアップロードされる予定だという。期待して待っていよう。

Max Payne and the Max Payne logo are trademarks of Remedy Entertainment, Ltd. 3D Realms Entertainment and the 3D Realms logo are trademarks of Apogee Software, Ltd. Remedy and the Remedy logo are trademarks of Remedy Entertainment, Ltd. Godgames and the godgames logo are trademarks of Gathering of Developers, Inc. All other trademarks and trade names are properties of their respective owners. (C) 2001 Remedy Entertainment, Ltd. and 3D Realms Entertainment. All Rights Reserved.


【動作環境】
  • CPU:Pentium II 450MHz 以上(Pentium III 1GHz 以上を推奨)
  • メモリ:96MB以上(192MB以上を推奨)
  • HDD:50MB以上(本編と合わせて300MB以上)
  • CD-ROMドライブ:4倍速以上 (起動時必須)
  • ビデオメモリ:16MB以上(64MB以上を推奨)


□P&Aのホームページ
http://www.panda.co.jp/
□「MAX PAYNE」の公式ページ
http://www.panda.co.jp/maxpayne/
□関連情報
【5月29日】「MAXPAYNE」デモムービー
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20010529/demo0529.htm
【5月18日】失うものなど何もない。死ぬのはおまえらだ ~超弩級PCアクションゲーム「MAX PAYNE」近日リリース予定
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20010519/e3_max.htm

(2001年8月9日)

[Reported by トライゼット西川善司]

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ウォッチ編集部内GAME Watch担当 game-watch@impress.co.jp

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