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会場:エムフォリアビル
当日は、菅野氏の演奏によるミニコンサートが行なわれ、「RO2」で使われている「Intro Thema」、「Yoru」、「Kyokai」のほか、「カウボーイビバップ」や「攻殻機動隊」、「エスカフローネ」などの著名な楽曲を披露した。ピアノの生演奏による「RO2」のBGMは、作中の世界観から独立して柔らかいながらも格調高い調べだった。菅野氏へのQ&Aでは、なんと自ら韓国語で質問に答えるなどファンサービスも旺盛だった。 イベント終了後には、「RO2」プロデューサー、パク・ヨンウー氏のインタビューも実施された。「RO2」は、韓国での第3次クローズドβテストを終え、次回はオープンβテストとなるなど、着実に正式サービスに向かっているように見える。その一方で、実装済みの種族はノーマンのみ、インターフェイスも毎回変わるなど、ゲーム全体の仕様が固まるのはまだ時間がかかりそうだ。インタビューでは、その辺の気になる話を直接伺ってみたので、併せてご覧頂きたい。
■ 「攻殻機動隊」から「RO2」まで、菅野氏のピアノ生演奏!
「RO2」の紹介に続き、菅野よう子氏が登場した。菅野氏は韓国語で自己紹介し、会場を驚かせた。菅野氏には事前に来場者に配られたアンケートから質問がなされ、菅野氏が答えた。「今まで手がけてきた曲のなかで一番のお気に入りは?」という質問に対し「ムルロンイムニダ。ラグナロクII(勿論、『RO2』です)」と韓国語で応じるなど、ファンたちには堪らない時間となったようだ。 続いて「カウボーイビバップ」の渡辺信一郎監督が今回のショーケースのために作ったという菅野氏の紹介ムービーが流された。「攻殻機動隊」など今まで彼女が手掛けてきた作品をさらい、「RO2」で締められた。 最後は彼女自身のピアノ演奏によるミニコンサートとなった。セットリストは「カウボーイビバップ」のメインテーマから始まり、「エスカフローネ」、「攻殻機動隊」、そして「RO2」のBGMである「Intro Thema」、「Yoru」、「Kyokai」が披露され、バレリーナも登場するなど面白い演出だった。時間の都合でアンコールが行なわれなかったのが残念だったが、菅野氏の生演奏には筆者自身非常に楽しかった。
今回のショーケースのメインとなるコンサートは、6月20日にソウル市世宗文化会館大劇場で開催される。菅野氏の他、ロシア出身の歌手Origa氏、山根麻衣氏、坂本真綾氏らの出演が予定されている。
■ 「RO2」プロデューサー、パク・ヨンウー氏インタビュー。次回はオープンβテストへ
注目したいのは新種族の実装を待たず正式サービスに移行することだ。バランスやシステム面を重点的に調整した後、正式サービスの中で徐々に新要素を実装していくサービス形態となるようだ。筆者自身新種族はまだかまだかと期待を胸にβテストをプレイしていたので少し残念ではあるが、オープンβテストで迎える多くの新規ユーザーからのブラッシュアップを経て正式サービスへ繋げられるよう期待したい。
編: 韓国の第3次Cβテストが終わりました。ユーザーの反応と、パク・ヨンウーさんの感想を聞かせてください パク氏: まず、第3次Cβテスト後のユーザーの反応は第2次の時とあまり変わりませんでした。第2次のシステムの改善に注力しました。キーボード操作に不慣れなユーザーの苦情がまだまだありましたね。ネットワークの最適化などの問題もなるべく抑えましたが、ご意見が寄せられました。 一方で「RO2」のキャラクタ性はすごくかわいいという好評を頂きました。私自身の感想はまだまだ道は遠いと感じています。第3次Cβテストでは開発の途中のものをお見せしていますが、ユーザーたちの期待に及ばなかったと思います。プロジェクト全体では4分の1の量にも達していません。 編: 「RO2」韓国語版の開発はどのくらい進みましたか? パク氏: きっぱりと言い切るのは難しいですね。オンラインゲームの、スタートとエンドが不透明な分、どこまでか完成なのかは言い難いですが、オープンβテストを基準として言えば、ただ1つ重要なことを除いて完成されていると言えるでしょう。それは「RO2」の世界を語るシナリオクエストで、オープンβテストから実装される予定です。シナリオクエスト自体は珍しいものではありませんが、「RO2」にメインシナリオが盛り込まれますので、ゲームに対する考え方が大きく変わるはずです。 編: 「RO2」日本語版の開発の進捗状況を教えてください。 パク氏: 「RO2」のローカルライズはそれほど手間のかかる作業ではありません。翻訳をするだけの事です。翻訳の進捗率が日本語版のプロジェクト全体の進捗となるでしょう。現在は第2次Cβテストから第3次Cβテストの50%程だと思います。 編: 「RJC2007」では日本語版が初公開されました。日本のユーザーからの反応はいかかでしたか? パク氏: 日韓でそれぞれユーザーの嗜好が違うため、どう受け止めてくれるか心配なところでした。しかし、日本のユーザーの反応は心配に反してキャラクタの可愛らしさに高い評価を頂きました。また、不満事項としては韓国ユーザーと同じく、操作性の問題やシステムの最適化などがありました。 「RO」の雰囲気を残したまま3D化するのは非常に難しかったです。韓国ではすでに3次までテストが進んで来たので、ユーザーのレスポンスも安定してきましたが、日本のユーザーがどのように受け止めてくれるか心配していました。 編: 「RO2」は日本で今夏からβテストが行なわれる予定になっています。第1次から第3次までのどのバージョンが採用されるのですか? また、韓国語版と異なる点はありますか? パク氏: 第3次Cβテストの内容で行なわれると思います。異なる点はまだ決定したものはありません。開発スタッフは5日から8日まで休暇でしたので、これから各国バージョン別に決定していきたいと思います。
■ 「Ellr」や「Dimago」など、新種族は正式サービス後の公開へ
パク氏: まだ決定していません。おそらくサーバーのストレステストやシステム最適化も完成形に近くなってきましたので、オープンβテストになると思います。もし、Cβテストだとしても4次で最後となります。 編: 日韓それぞれのビジネスモデルを教えてください。 パク氏: 海外の現地サービス開始日程はほぼ同じなので、なるべくパブリシャーの自由にさせようとしています。個人的な意見としてはアイテム課金などでゲームバランスが崩されるようなことは絶対に避けたいですね。 編: 唯一登場しているノーマン族以外の2つの種族はいつ頃実装されるのでしょうか? パク氏: 新種族はまだ開発の段階で、内部で着々とテストを行なっています。「RO2」の種族の概念は既存のMMORPGのそれとは少し違います。他のMMORPGの場合、種族の違いは能力値、スキル、装備ぐらいの違いです。「RO2」が考える種族の差は、種族が違うことによって成長システムそのものが全く違うものになります。これにはどうしても開発に時間が掛かりますね。すべてが完了したらお見せする予定です。まだ確定ではありませんが、私の予想では正式サービス開始後から3~6カ月後になると思います。 編: 現在、「RO2」でノーマンの職業は6つです。これは「RO」並に追加されるのでしょうか? パク氏: 予定はあります。しかし、「RO2」では新種族もあり、種族ごとの職業が全然異なるものになるので、ノーマン族1つが転職可能な職業は「RO」並に多くはなりません。今の6つよりは多くなります。 編: 第3次Cβテストで実装された膝枕のように、キャラクタ同士のインタラクションはどのようなものが追加されますか? パク氏: これを追加すること自体はすごく簡単です。握手、おんぶなど、考えられるものはほとんど追加することができます。膝枕は、上手く表現できるか心配でしたが、予想以上の出来で、ユーザーからの評判も良かったです。私見ですが、次は手を繋いで歩く「手繋ぎ」を追加したいと思います。 編: かなり面白そうですね。第2次Cβテストではキャラクタに当たり判定があり、キャラクタがトーテムポールのように積み重なったり、モンスターが重なって襲い掛かってくるなど、非常に面白い試みでしたが、第3次Cβテストでは削除されました。その理由を教えてください。 パク氏: 当たり判定の設定は、サーバーとユーザーのクライアント間の同期する難しさがありますが、かなり面白い演出ができると考えました。ユーザーの反応も見ようと第2次Cβテストで一応追加してみることにしましたが、反応は散々でしたね(笑)。私は、これは面白い!と考えていました。 第2次Cβテストの時、サーバーが不安定なこともあり、見えないキャラクタとの衝突などの不満が多くありましたし、快適な同期化を完了する時間的余裕もありませんでした。これらの問題が解決したらやり直そうということで、一旦、第3次Cβテストから削除しました。 編: 「RO」の露店システムは、キャラクタ同士のコミュニケーションを活性化させ、たくさんの露店が並ぶ街の様子がゲームの看板でしたが、「RO2」ではなぜ「FF XI」のようなマーケットシステムを採用したのですか。 パク氏: 日本と韓国の状況は多分、違うと思います。露店システムの特徴上、多くの人が集まったところに露店を立てた方が自然と売りやすくなるので、1つのエリアに沢山の露店が乱立し、混雑します。2Dの場合、パソコンが遅くなるのは一瞬のことですが、3Dの場合はテクスチャの量と重さでまったく動かない場合さえあります。そうなると露店の基本的な役目「販売」の機能が死んでしまいます。そればかりか、ユーザーはそのエリアに近寄るのをためらうようになってしまいます。 こうしたシステム面での問題の他に、相場の問題もありますね。あるアイテムを空間的な制約の下に購入することができないとなると、相場が狂ってしまいます。加えて、3D世界の露店が、「RO」の露店が持つ可愛いイメージをそのまま継承できないとも思います。今回の第3次βテストでは実装しませんでしたが、ユーザーマケットに出品者のコメントを追加できるようにし、露店が持つ長所もなるべく活かしていきたいです。 編: 「RO2」の船での移動はかなり時間が掛かり、移動にはやや不便なところがあります。これから登場する新エリアは全て船移動になるのでしょうか? 「RO」で採用されているカプラサービスなどのテレポートによる移動手段は採用しないのですか? パク氏: まず、ホドミメスとプロンテラは島で、コグニートは大陸という設定で出来ています。今後登場するマップはコグニートと繋がる大陸マップとなるので、船での移動は必要ありません。もし、島のマップが追加されれば船の移動になります。 テレポートに関しては大陸内や島内でのテレポートは可能にする予定です。ただし、大陸間を船で旅をする演出は大事にしたいので、大陸と島のテレポート、他の島へのテレポートを可能にする予定はありません。船中での時間潰しとして、ランダムにイベントが起きるなど、飽きさせない努力をするつもりです。 編: 第3次βテストでは第2次βテストまでとは異なり、レベルの上げ方としてクエストよりモンスター狩りに重点が置かれた気がしました。 パク氏: どちらに重点を置いたということはありません。スキルの能力や機能が完璧に実装されていないためにこうした考えが出てきたものと思います。クエストとモンスター狩りそれぞれの魅力を引き立てるように開発を進める予定です。クエストは経験値を得ることも重要ですが、狩りでは経験できない、本作のストーリーやアイテムも重要だと思います。狩りは狩りの魅力、クエストはクエストの魅力が最終的にそれぞれ引き立つことでしょう。 編: パーティーシステムは、バランスが不安定なことやボーナスが無いなど未調整の部分が多く、まだまだ魅力あるものには出来上がっていないように思います。 パク氏: まだ、実装されていない部分があります。例としてモンスターがスキルを使わないことなどです。ユーザーの選択肢は1人で自分と同じぐらいの強さのモンスターを狩るか、パーティーを組んで自分より上のレベルのモンスターを狩ることです。しかしパーティーで戦っても経験値が分割されてしまうので、これにも限界があるというのが現状です。 勘違いしてもらいたくないのは、「RO2」のPTシステムは、単純にパーティーを組むとより多くの経験値が得られるという目的で存在しているわけではないのです。将来的にモンスターの戦略的な動きと、戦術的なスキルが実装されることで、パーティーで協力して攻略していくことになります。それらが抜けている今の状態では、パーティーの利点は見当たらないのも同然です。経験値については今後も調整していきますので、悪いものにはならないと思います。 編: 最後に日本のラグナロクファンの皆さんに一言お願いします。 パク氏: 各国によってユーザーの皆さんの本作に対する考え方は大きく変わりますので、月並みな言葉になってしまいますが、努力して制作していきます。期待に応えられるよう頑張りますので、応援してください。
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□Gravityのホームページ (2007年5月14日) [Reported by Dong Soo “Luie” Han / 三浦 尋一]
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