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“ヴァナ・ディール”の世界は、隅々までゲームデザイナーの想いが張り巡らされた世界観や、個々の世界観を携えた無数のNPCなど、ゲーム全体を底支えする壮大なバックグラウンドの存在が大きな魅力になっている。そうした世界観を最も感じられる機会が「クエスト」だ。クエスト完了時に取得できる報酬もさることながら、クエストのシナリオ、NPCとのやりとり、さらにクエスト中から感じ取れるヴァナ・ディールの世界観に魅力を感じている冒険者も多いはずだ。
本稿で取り上げて行くのは“近東のクエスト”である。「アトルガンの秘宝」の舞台「エラジア大陸」には、西方とは異なった文化があり、NPCより受けられるクエストから近東の情勢や出来事が語られる。これらを知ることで近東の世界観がより深まっていき、今後の展開もある程度推し量れるようになる。後半では、アトルガンクエストの番外編として、現在、アトルガン地方で難関クエストのひとつとして呼び声高い(!?)、アサルトの傭兵昇進クエストを取りあげたい。
今回紹介するクエストは、アトルガン地方で発生するすべてのクエストはなく、シナリオの魅力が高いものや、演出面にこだわりがあるものを優先して紹介している。それらの多くは、クリアするのにそれなりの時間や努力を必要とするかわりに報酬も高い。アトルガン地方を旅する冒険者ならぜひ押さえておきたいところだ。
なお、手際よくクエストを完了させたいプレーヤー向けに、近いエリアで進行することになるクエストを「並行して進めておきたいクエスト」として各クエストの後に加えている。
彼は古代にエラジア大陸に存在していたと伝承される文明「オルドゥーム文明」の遺跡を研究している。オルドゥーム文明とは、星座のラムウ伝承に登場するという古代文明。伝承によればラムウが手に持つ「オルドゥームの杖」の名前を取って、オルドゥーム文明と呼ばれている。 ドゥカーヤは、このオルドゥーム文明の遺跡を調査しているのだが、高齢のため自らの体を動かして調査ができなくなったという。そこで冒険者に遺跡の発掘調査を依頼する。依頼を受けるとドゥカーヤ自身が研究をまとめた書物「だいじなもの:ドゥカーヤ研究書」を渡される。 遺跡を発掘するといえば、やはり「つるはし」が欠かせない。ワジャーム樹林をはじめ、近東の地域には確かに古代文明の物と思える朽ち果てた遺跡が点在しているが、中でも大きな遺跡が残っているのが「エジワ蘿洞」だ。
ワジャーム樹林を抜け、エジワ蘿洞へ。青魔道士のクエストで訪れる地点のほど近くにある「Excavation Site」をつるはしで掘る。筆者の場合「雷池」という遺物が出土した。現実世界の“電池”に非常に近い存在のようだ。古代の伝承として伝えられているオルドゥーム文明には電力の概念が存在していたのだろうか? それもまたラムウの伝承に登場するという文明ゆえか。近東の地には、古代に高度な文明があったことが伺い知れる。
意気揚々とドゥカーヤの元へと帰り、雷池を見せる。だが予想外に彼の反応は小さかった。彼の口ぶりから察するに雷池は、すでに出土しているもののようだ。がっかりしつつも、お礼の品をくれるドゥカーヤ。もらえたのは「雷輪」という指輪。エジワ蘿洞で大量に出土しているものだという。しかし装飾品にしてはどれも同じ型をしており、ファッション目的の指輪ではなかったのではないか、とドゥカーヤは推測している。オルドゥーム文明の人々は雷の力で車を動かすなど、今では考えられない文明を持っていたという。この雷輪にも何か秘密がありそうだ。 続いて「雷輪」を持って訪れるのはワジャーム樹林。マップで言えばちょうど中央のあたりに、「Laypoint」という、いかにもなにか仕掛けのありそうな一帯がある。ここに「雷輪」を所持した状態で触れると冒険者に突如として嫌な予感が湧き上がるのだが……。
このクエストで最終的に得られるアイテムは「オルドゥームリング」という指輪。この指輪にはエンチャント効果でワジャーム樹林へのテレポが込められている。使用すると、このLaypointへと飛ばされるため、低レベルで使うと危険ではある。だが、アトルガン皇国にも近い場所に瞬時に移動できるため、ぜひ入手しておきたいアイテムだ。
―― 並行して進めておきたいクエスト
● 「恋のレシピ」
ナシュモ側の港にいるミスラ「エク・ペッシャダ」に煌きの水を欲しいと話してみると、呆れながらテフ・キマスナヤにだけは絶対にあげないことにしている、と返されてしまう。男性を手玉にとってわがまま放題のキマスナヤに嫌気半分、嫉妬半分といった様子で、先にきたエルヴァーンの男性のことをタイプの男性だったのにと、残念そうにしていた。その男性を連れてくれば、煌きの水を譲ってもいいという。もちろんその男性は、エク・ペッシャダのすぐそばにいたエルヴァーンことザバーフだ。
ザバーフと話をし、再度エク・ペッシャダの元へ。タイプの男性と再会できたペッシャダはあっさりと煌きの水を冒険者にくれる。さっさと2人きりにして欲しいということで、冒険者は退散。キマスナヤの元へ煌きの水を渡しに行く。喜ぶキマスナヤ、だが、喜びもそこそこに冒険者にさらにお願いをしようと言い出した。と、そこにペッシャダとザバーフが登場し、彼女のわがままにつきあっていたらキリがないといさめる。キマスナヤのわがままぶりを話題にすっかり意気投合したという二人、それを聞いて腹を立てるキマスナヤ。
2人が立ち去ったあと、キマスナヤは自分が欲しがっている物がなんなのかを冒険者に教えてくれる。彼女は自分の何でも欲しくなってしまう性格をわかっているようで、ある日一人のお婆さんにその性格を治す薬を作ってやろうと持ちかけられたというのだ。その薬の調合に必要なものを次々と多数の男性にお願いしていたという。その材料をさらに持ってきて欲しいと、冒険者にお願いしてくるのだが、ここで出現する冒険者の返答はどれも芳しいものだ。プレーヤーの心理としてもこれ以上のお使いはごめんこうむりたいというのが本音だろう。 残念そうにするするキマスナヤの元にザバーフが現われ、そういう話なら俺が引き受けてやってもいいと持ちかける。嫌味交じりに、周りに迷惑がかからなくなるなら手伝ってやってもいいと話すザバーフにキマスナヤはやはり腹を立て追い払ってしまう。最後にお婆さんの調合がうまくいっているかを気にするキマスナヤ。冒険者は茶屋シャララト近くの区画を歩いていると、偶然にこのお婆さんに遭遇するのだが……。 書き出して見ると、煩雑な手順を要するクエストに思われるが、すべて街中で進行するため、さして苦労はない。あれやこれやと次々に欲しいものができてしまい我慢できない性格のキマスナヤ。なぜか彼女のそばにいつもいるザバーフ。そしてペッシャダ。3人が織り成す恋愛模様は正直ベタベタだが、物珍しさも手伝ってなかなか面白い。素直になれない心とわがままばかりで大切なものに気づかない心のすれ違いが印象に残る。
ちなみに、このクエストの報酬は「ビビキーの潮騒」という投てき装備。アクアンキラー効果に加えて、VITが4アップするという代物だ。盾役を務めることがあるジョブの冒険者にはなかなかに嬉しいアイテムだ。
―― 並行して進めておきたいクエスト
● 「始まりの夜」
イスィーンは夜に出かけているという話のため、ワジャーム樹林の北にある「???」を夜間に調べると、イスィーンが現われる。何か言い争っているような声を聞き、とっさに隠れる冒険者。イスィーンが話している相手はなんとマムージャだった。グクージャという名前のマムージャと会話をしている。グクージャは片言の言葉で、もうイスィーンと会わないと話をしている。イスィーンは一緒に戦いを止めさせようと言っていたじゃないか、と声を荒げている。 なんと彼らは近東に長く続く、獣人と皇国軍の戦いを止めさせようとしているのだ。マムージャが人間と会話ができること、そして中には戦いを望まず平和を望む者もいるのだということが驚きである。だが、そんな2人の関係もグクージャの突然の豹変によって終わりを告げようとしていた。
ミシュハルの元へと戻り、見てきたものを伝える冒険者。すでに彼は別の情報筋からイスィーンが敵である獣人と密会していたことを知ったようだ。部隊の隊員の間にも、この話は広まっているようで、隊員たちがイスィーンを問い詰めていた。ちなみにこの時に登場する隊員の男性3人組だが、彼らは先に紹介したクエスト「恋のレシピ」でも登場した3人組だ。部隊の仲間であるイスィーンを3人で囲んで問い詰めたり、わがままミスラのおねだりに付き合ったりと、いろんな意味で大活躍のヒューム3人組だ。今後の登場にも期待したいところである。
3人組に問い詰められるも口を閉ざすイスィーンにミシュハルは納得できる話をして欲しいと促す。イスィーンはある日の獣人との戦いの最中、グクージャと出会ったと言う。あわや戦いになるかという矢先、ブリアレンという少女が現われ、グクージャが助けてくれたのだと場を納めた。グクージャは片言の言葉ながら、「戦いを望んでいない、戦いは悲しい」とイスィーンに伝える……。その言葉を聞き、本来戦いを好まない性格のイスィーンの心は晴れていった。 それ以降、どうやったら戦いをなくせるかを話し合うようになったというグクージャとイスィーン。二人はまるで昔からの友人のように語らい、心を通わせていったのだ。と、その時、イスィーンの話の最中に悲鳴が響く。急ぎ悲鳴の元へ駆けつける部隊と冒険者。そこにはグクージャと少女ブリアレンの姿があった。ブリアレンをさらい立ち去るグクージャ。後を追うイスィーン。彼らが向かった先は敵の本拠地「マムーク」だ。冒険者もその後を追うこととなるのだが……。
このクエストは獣人と人、そのどちらにも戦いを望んでいない者がいるのだということを強く感じられるクエストだ。アサルトやビシージといった獣人との戦乱が色濃く描かれているアトルガンの中にこのクエストがあることはとても興味深い。
―― 並行して進めておきたいクエスト
● 「バラカフ回想録」
クエストの作りとしてユニークなものでは、なんといっても「バラカフ回想録」が特徴的だ。アトルガン白門のナシュモ側港の周辺二階部分で空と海の美しい風景を眺めている老人「バラカフ」からクエストは始まる。彼は、話しかけてきた冒険者の姿を見て、若い頃は多くの地を旅をしていたと語る。高齢になり体が動かず、今では街を出ることすらなくなっているが、体が弱っても頭の方はまだまだ元気いっぱい。旅を辞めてから凝っているのは“発明”だという。 バラカフ老人の最新発明はその名も“虚像の器”という代物。これはアーリマンの網膜を使って作ったという特殊な装置で、強烈な閃光を使い、中の網膜にイメージを焼き付けることができるというのだ。現実世界で言うところのフィルム式カメラだ。隠居した老人の発明にしてはかなり凄すぎる発明品であり、なかなか侮れない人物である。 バラカフ老人の頼み事は、この“虚像の器”を使い、老人がかつて訪れた場所の風景を記録してきて欲しいというものだ。まずバラカフが見たがる風景は、“ワジャーム樹林から火山が見えている場所”だ。いわく曇りの日でも山頂から煙が出ているのが印象的だったと言う。さっそく、この“虚像の器”を持って撮影旅行に行きたいところだが、この装置は単体では機能しない。バラカフの言葉通り“強烈な閃光”が必要。合成アイテムとして使うと光を放つ「光のクリスタル」がその答えだ。
光のクリスタルを用意し、いよいよ撮影地点へ。最初のお題であるワジャーム樹林から火山が見える場所は、マップの北西にあり、比較的わかりやすい。撮影に適した場所で???を発見。調べてみると、冒険者は辺りを見回していい風景だと感想を漏らす。続いてここに光のクリスタルをトレードしてみると、冒険者はバラカフの言葉を思い出し「今は記録すべき時ではない気がする」と感じて、記録を開始しない。バラカフの言葉を思い返してみると“くもり”の日でも山頂から煙が出ている、という風景を求めていることを思い出す。この条件であると、絶えず煙を吹いている山は問題が無いとして、単純にくもりの日であれば記録できるはずなのだが、どうやら風が吹いていない時という条件も加わるようだ。 今回、数日に渡ってこのポイントで撮影チャンスを求め続けてみたのだが、ワジャーム樹林で曇りの日であり、かつ風が吹いていない日は、なかなか巡り会えなかった。ヴァナ・ディール内の季節によるのかもしれないが、根気のいるクエストだと感じた。気楽にいろんなエリアに繰り出して、美しい風景を記録して帰ってくるのだろうとピクニック気分だった筆者はかなり考えが甘かった。さらに、現在はアトルガン地域の天気を教えてくれるNPCがいないことも難易度の向上に拍車をかけている。今後のバージョンアップで天気をガイドするNPCは登場するということなので、このクエストに着手するのはガイドが実装されてからでも遅くない。 さて、根気良く条件のあう天気を待ち続けた結果、風が止み、曇り空に山頂が浮かぶ景色が現われた。ここぞとばかりに光のクリスタルをトレード。すると、記録準備の状態に入った。お次は撮影する構図だ。3種類の構図が順番に紹介され、どの構図で記録するのかを選択する。間違ったものを記録すると、せっかく訪れたチャンスを逃してしまう。慎重に構図を見ていくと、2番と3番の物は、手前の木の枝が大きく画面に入り込み、山頂から吹き上がる煙を木の葉が隠してしまっている。これではダメだろうと考え、1番を選択。無事に記録が完了した。
バラカフの元へと戻り、記録した風景を見せる。緊張の一瞬だ。数日に渡ってやっとめぐり合えた記録のチャンスだったため、失敗だけは避けたい。記録された映像を見て顔を上げ、晴れやかな笑顔を見せるバラカフ、この風景だ、と懐かしんでいる。記録は成功である。これで、ひとつ目のお題は完了である。新しい網膜を取り付けるということで、一度“虚像の器”をバラカフに返却する。この後、他のエリアでの記録をお願いされることとなるのだが、網膜の取りつけには地球時間で日付が変わることが条件となる。どんなに急いでも1日に1記録というわけだ。実際に挑んだ感触では、このクエストだけに専従するのではなく、クエストを取得した状態で他のプレイを楽しみ、記録のチャンスに気がついた時に完了させていく、といった姿勢で取り組むのがよさそうだ。
冒険の必需品と言えば「地図」だろう。アトルガン地域の地図は、皇国軍戦績を消費して手に入れるもの以外に、クエストの報酬としてもらえるものがある。以下に地図が報酬のクエストを紹介していこう。
暴れながらアルカンダーに連れられてくるティンガ。どうやらティンガを錬金術ギルドで働かせて欲しいとお願いにきたようだ。手先が器用だからすぐに仕事を覚えるはずだ、と必死にお願いするアルカンダー。だが、アハーダは、手先が器用でも手癖が悪いのではダメだと返す。どうやらティンガは盗みを働いたことがあるようだ。それに対し、ティンガはなんで働かなくちゃいけないんだと怒り、どこかに走り去ってしまう。 残されたアルカンダーは冒険者に語る。戦争によって両親を失くし、一人ぼっちだったティンガをアルザビに来てすぐに見つけたが、ティンガの引き取り先を探すも歓迎してくれるところはなく、次第に情が移ってしまい、冒険者としての旅を止めて傭兵となってティンガを育てていこうと決心した。だが、彼の体はしばらくして病に蝕まれ、余命が残り少ないと宣告されてしまったのだ。死ぬ前に1人でも生きていけるようにティンガを仕事に就かせてやりたい。だが、ティンガは働こうとせずに盗みを働いてばかりだという。
アルカンダーは、冒険者にティンガを改心させる手伝いをして欲しいと依頼する。それを聞いていたアダーハはその手伝いを申し出る。説得しようとしてもすぐにどこかに逃げてしまうティンガをおびき寄せるべく、南の港にエリクサーを置き忘れたフリをしようと策を練る。
南の港にある樽に近づくと、アダーハが登場。冒険者に商人のフリをするよう話し、会話をあわせていく。その上で2人の様子を見つめていたティンガは、2人が去ったあとに残されたエリクサーに手をかける。引き返してきた冒険者とアダーハはティンガを追い詰める。2人の姿を見て逃げ出したティンガの後を追いかける2人、同じ区画の2階部分へとティンガを追い詰めた。 ギルドから盗んだものを返すように問い詰めるアダーハだったが、ティンガはすでに盗んだものは捨ててしまったと開き直る。さらに、茶屋シャララトの食器や他人の洋服、絨毯などの盗んだ品々を海に捨ててしまう。怒り狂う駆けつけた被害者たち。そこに現われたアルカンダー。被害者の面々は、体を壊して働けないアルカンダーがティンガに盗みをさせているのではないかと、怒りの矛先をアルカンダーに向け始めた。アルカンダーは糾弾された結果、街を去ることになる。
この後にはチゴータイプのNM「Plague Chigoe」が出現し、冒険者との戦闘になる。Plague Chigoeは、非常に速い間隔で攻撃を繰り出してくるため、油断しているとレベルキャップの冒険者でもやられる場合がある。素直にパーティーで挑むのがよいだろう。さて、このクエストでは戦乱によって独りになってしまったタルタルと、剣が振るえなくなり生きる気力を失っているヒュームが描かれている。本当に大好きな人と、いつまでも一緒にいたいと願うトリックスターの描く夢。きっと叶うはずだ。
―― 他の地図が報酬のクエスト
この階級を上げるためには、サラヒム・センチネルの勤務評価を高めることが必要だ。勤務評価はナジャ社長のそばにいる人事担当のNPCアブクーバのセリフで確認できる。勤務評価は、未クリアのアサルトを達成することが最も上昇し、各アサルトすべてを達成すれば確実に昇進のチャンスが与えられる。また、未クリアのアサルトが残っている状態でも、クリア済みのアサルトを数多く成功させることでも勤務評価は高まっていく。
一定以上に勤務評価が高まると、全五段階あるアブクーバのセリフが「社長から一声かかりますよ!」という内容に変化する。この状態でナジャ社長に話しかけると“階級昇進クエスト”とも言うべき任務が与えられる。このクエストを達成することで昇進となる。ちなみに傭兵階級が上がると、皇国軍戦績で入手できるアイテムが増えるほか、サンクションの持続時間も増加する。参加可能なアサルトが増えるばかりでなくメリットポイントや戦績稼ぎの狩りにおいても有益だ。いち早い昇進を狙っていきたいところだ。 ● 昇進試験~一等傭兵
その男が言う“魔除け”を作るには“インプの翼”が2つ必要とのこと。験を担いでいるだけで怖がってはいないと言うものの、明らかにビビっているナジャ社長。社員たちの面倒が忙しくて用意できないと言いつつも、ひとつは手に入れてあるという辺り、実は相当な怖がりである一面が見え隠れする。この魔除け作りに必要なインプの翼を持ってきたら、勤務評価をグンとアップしてもいいと太っ腹な話をする辺りに必死さが感じられる。 どうにも“ある男”やら“闇が迫っている”やら、あやふやな話が多いのだが、すでに近東を探索済みの冒険者の中には、この魔除けの話に聞き覚えがある人もいるはず。この話は、アルザビにいるスルディランというNPCから取得できるクエスト“闇への抵抗II”そのものだからである。彼は、真の闇が迫っているような気がするということで、話しかけた冒険者に魔除け作りに必要なインプの翼2つを要求する。さして怖がるポイントが見当たらない話なのだが、この話を“ある男”ことスルディランから聞いてナジャ社長は怖がっているのだろう。 さて、インプの翼自体はそれほど入手難度は高くない。アズーフ島監視哨から出たエリア一帯に多く生息しているインプが比較的頻繁にドロップする。さらにインプは高レベルの狩りの対象にもなっており、日々多くの冒険者によって翼が採取されている。競売所にも出品されているため、購入しておくのもひとつの手だ。
入手したインプの翼をひとつナジャにトレードすることでクエストは完了する。これでようやく魔除けを作ってもらえる、と大喜びのナジャ社長。この世のものはお金しか信じていないが、あの世のものには敏感であり、想像するだけで体が震えるらしい。その震えは、武者ぶるいならぬ“傭兵ぶるい”だと強がって主張するナジャだが、要するに彼女は幽霊の類の話がとても苦手らしい。なにはともあれ、社長の恐怖を和らげた冒険者は見事に昇進。晴れて一等兵になるのだった。
● 「昇進試験~上等傭兵」
続けざまに気を引き締めて行ってきな! と棍を突き出すナジャ社長。だが、肝心の中身が話されておらず、困惑する冒険者。どうやらナジャ社長、今回は相当焦っているようだ。冒険者の指摘で、自分のうっかり加減、焦り加減に気づいたのか、昇格試験で冒険者にお使いをさせてまで作った魔除けを投げつける。ナジャ社長がこれほどまでに動揺する話題と言えば、もちろん「あの世」関係のお話。ナジャ社長は魔除けの効果に相当期待していたようだが、またしてもそうしたナジャ社長の苦手な話が飛び込んできたのだ。 今回ナジャ社長を怖がらせているのは「冥路の騎士」という近東の伝承に登場するという騎士。地獄を戦場に永遠に戦い続けているというものだ。その冥路の騎士が、最近、近東の地域に現われるというのである。ナジャ社長が耳にした目撃談では、巨大なマンモスのようなモンスター「マーリド」よりも巨大な獣に跨っていたというものや、“槍”の一閃でマムージャの小隊が吹き飛んだ、などの細かな話が挙がっているらしい。上等傭兵への昇進試験は、その存在しているともいないとも判明していない冥路の騎士がいるという証拠をつかんでくるという、かなり無謀なものだ。 情報が少なく難度の高いクエストであり、筆者も「冥路の騎士」がいるという証拠を見つけるのにかなり苦労した。探す対象となるエリアはワジャーム樹林、バフラウ段丘、ゼオルム火山、カダーバの浮沼など、かなり広範囲に散らばっている。クエストの完了に必要となるのはWarhorse Hoofprintという騎士の乗る獣の足跡だ。これを調べることで“冥路の騎士の痕跡”という「だいじなもの」を取得できる。 筆者が助けられたのは、他の冒険者のシャウトだ。本稿でも紹介しているクエストを進めつつワジャーム樹林を進んでいる最中、座標入りの足跡発見シャウトを耳にした。そこで急いでシャウトの場所に向かうと、4、5人の冒険者がすでに詰めかけていた。それぞれにかなり苦労していたのか、その場にいた報告シャウトの冒険者に向かって口々に感謝したり、喜びのエモートをかけていた。 さて、このクエストだが、正直なところ構造がよくわからないクエストだ。まず、このナジャ社長からの話と会話中に流れるイベントムービー以外には、ヒントらしいヒントが見当たらない。近東のエリアと言ってもかなり広いのだ。また、「冥路の騎士」がいる証拠とだけ言われても、何を見つけてくればいいのか想像がつかない。 上記の点は、ヒントが少なめの難度の高いクエストだと思えば、まだ許容範囲ではある。最大の問題は、探す対象の出現条件だ。このクエストで探す“冥路の騎士がいる証拠”、すなわちWarhorse Hoofprintがなかなか出現しないのである。 Warhorse Hoofprintが出現する直前には、DarkRiderというNMの出現が目撃され、そのNMの出現後にWarhorse Hoofprintが出現しているという。問題はNMの出現周期だ。2週間に渡って出現しないこともあるようで、ワールドのメンテナンスから2、3日が経過すると各ワールドで時間差こそあるものの一斉に出現し始めているようだ。この周期には、時間制のHNMと似た印象を受ける。
別段、運が良くないとクリアできないクエストがあっていいと思うし、根気よく待たなければクリアできないクエストがあってもいい。そのサイクルは1日でも1年でもかまわないと思うが、そういう性質のクエストだとわかるヒントなり演出がないのは、ちょっと不親切過ぎるように思う。難易度調整ではなく、演出周りの調整が必要なのではないだろうか。
今回は、近東のクエストを紹介した。アトルガンクエストは、いずれも完成度が高く充実している内容のものが多い。特に濃厚なストーリー展開は、既存のオフラインRPGに勝るとも劣らぬ印象で、今後のクエスト拡充が楽しみである。
今回唯一、番外編として紹介した上等兵昇進のクエストに関しては、クリア条件以前に、クエストのドライブのさせ方にやや難があるように思う。1日30分で楽しめるアサルト本来の魅力を損なわないためにも、何らかのアクションを求めたいところだ。 (C)2002-2006 SQUARE ENIX CO.,LTD All Rights Reserved.
□スクウェア・エニックスのホームページ (2006年6月29日) [Reported by 山村智美 / Pomm]
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