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会場:ガンホー本社
今回は、2006年の事業展開に対する評価と2007年の事業戦略の2本柱で話を伺った。ロングインタビューになったため、前後編にわけてお伝えする。前編では2006年度の感想と、ガンホーゲームズや「ラグナロクオンライン」、「エミル・クロニクル・オンライン」など既存コンテンツの今後の事業展開について質問を重ねてみた。 後編では、年末に延期が正式発表された「北斗の拳ONLINE」、2006年にゲームアーツからガンホーに開発体制を移行し、現在完全自社開発を行なっている「グランディアオンライン」、ようやく2006年12月に韓国でクローズドβテストがスタートした「ラグナロクオンライン II」といった次期主力タイトルに対する抱負や、2007年の業界予測、そして昨年末に発足したCESAオンラインゲーム委員会メンバーとしてのリアルマネートレードに対する取り組みなどを伺っている。多少話題が被っている箇所もあるので、前後編あわせてごらんいただきたい。
■ 2007年のガンホーはマルチプラットフォーム展開を推進
森下氏: 2005年度はM&Aを含めて色々やりましたが、2006年は2005年に仕掛けたものを形にしていく、というのが基本的なテーマでした。新タイトルも出せませんでしたし、結果としては仕込みの年になったと思います。 ガンホーとし ては、色々社会的な問題も起こしてしまったこともあり、今まで新しいビジネスの先駆者として突っ走り続けてきたけれども、企業として振り返り、反省し、これからに繋げていく年になりました。自分たちとしてもマイナスをプラスにしていく良いきっかけになったかなと思います。 形になったものとしては、1つは「ガンホーゲームズ」を8月にスタートさせました。さらに「エミル・クロニクル・オンライン」のモバイル版もリリースしました。現時点ではNTTDoCoMoさんだけですが、今年は他のキャリアでもプレイできるようになります。モバイルコンテンツは今後も増えていきます。 もう1つは家庭用ゲーム機向けソフトです。グループ会社のゲームアーツで、プレイステーション 3の「まいにちいっしょ」の中の無料ミニゲーム「まいにち右脳ランキング」の開発を行ないました。 これはガンホーゲームズでサービスしている人気のミニゲーム「右脳パラダイス」が素材となっています。これらはまだスタートしたばかりですが、まず実現できたことが良かったかなと。 次世代機に関しては、2006年に3つのハードが勢揃いし、すべてがオンラインに対応しているという中で、今までガンホーグループとしてはパッケージソフトを中心にしていたのですが、今後はオンラインでのサービスも提供していけると思っています。2007年は家庭用ゲーム機向けのパブリッシングも強化していきたい。2006年にその仕込みができたかなと。 編: オンラインゲームビジネスに関しては、7月の戸枝元職員の不正アクセス事件から、後手後手に回り、ガンホーにとっては誤算の年になったのかなという印象があります。 森下氏: それ自体は誤算でした。後手後手に回ったというのも否めない事実です。あわてた部分もありました。しかし、企業として対応できるように考えられるようになりました。ガンホーは今年の8月で創業から5周年になります。ポジティブな言い方をすれば、自分たちの仕事を見直す良い機会になったと思います。会社の成長をするためにも重要な年でした。 編: 森下さんも先ほどおっしゃったように、2006年はM&Aは1件もありませんでしたし、MMORPGのリリースも1本もありませんでした。これについてはどう思われますか? 森下氏: 予定通り行けば、2006年度末に「北斗の拳ONLINE」のリリースを予定していたのですが、スケジュールだけを重視するより、それ以上に中身をもっと考えていこう、ということになりました。タイミングとしては「G★2006」が韓国で開催している頃(編注:11月10日~13日頃)、堀(取締役開発本部長)ともう少し余裕を見たスケジュールでリリースしていこうと決めました。 もっとクオリティを上げて、様々な点に手を加えて、もっと時間をかけていこうということになりました。全部変えたわけではありませんが、パートごとに見直しを計り、実装内容の充実を目指していくことになりました。我々としては前向きの意味を持った変更です。色々とハプニングがある中で、様々なことを見直すことになりました。 編: 森下さんはAOGCでは基調講演を務められ、東京ゲームショウでも登壇されました。その中で「グランディアオンライン」も2006年の予定に入っていたと思いますが、対外的には何も動きがありませんでした。 森下氏: 「グランディアオンライン」はゲームアーツで開発を進めていましたが、開発、リソース共にガンホー側に移動し、基本的なゲームデザインやシステムは活かしつつ、キャラクタの設定やキャラクタイメージの見直しを行なうことになりました。いろいろな角度から検討し、最終的には私の判断で「こう変えるべきだろう」ということになりました。グラフィックスの部分も見直しました。 編: 2005年の東京ゲームショウで一部グラフィックスが明らかになりましたが、あれから変えたというわけですか? 森下氏: あれはあれで良かったと思うのですが、コンシューマゲームとしての良さだったのです。企画やコンセプトとしては面白いところもありますが、このままではただのコンシューマゲームになってしまう。よりオンラインであり、より新しいゲームであること、かつマーケットに合わせたものを作っていく必要があると判断しました。 PS3やWiiなどハードのスペックが決まっている世界ならば、グラフィックスは良ければ良いほどいいのですが、PCを視野に入れた場合は変わってくる。このためコンセプトも含め見直すことになりました。これは堀やマーケティングサイドの意見も含めての総合的な判断です。ガンホーグループとしてコンテンツを大事にしていこうと。 編: 見直しというのは、マルチプラットフォームを考えた戦略転換というニュアンスを含んでいるのでしょうか? 「グランディアオンライン」はPC向けと伺っていますが、その戦略に変化が生じたということはないのでしょうか? 森下氏: マルチプラットフォームというのはガンホーグループとして最初から持っている戦略です。スタートはPCで行きます、というのは発表していますが、いつでも家庭用ゲームソフトの開発もできますよというのが、グループとしての強みなんです。 編: 「グランディアオンライン」はマルチプラットフォームの展開も期待していいと? 森下氏: 当然視野には入れていますが、どのハードでどれだけのことができるか、どのハードが普及し、リリースすることでビジネス的なプラスがあるかということも判断しなくてはいけません。ただ、やらないと言い切るつもりはありません。 編: 次世代機に関しては、販売台数から各ハードの勢いも徐々に見えてきています。ガンホーグループとしてはどのように見ていますか? 森下氏: 普及台数という点から見れば、Wiiが魅力的ですね。ゲームを作るという視点でも、Wiiは色々なことができそうです。ただし、オンラインという視点からは、ハードディスクを標準搭載していて、グラフィックス機能のレベルの高さから言えば、PS3も魅力です。 PS3に関しては、「まいにちいっしょ」ですでに参入を果たしていますし、すでにオンラインの決済システムも実装されています。Wi-Fi機能を持っているニンテンドーDSも、現状MMORPGが動かそうと思ったら大変ですが我々の強みを生かしたオンラインコンテンツと連動したサービスを提供することも可能なのではないかと思っています。 編: ニンテンドーDSに関しては、NEXONが参入を正式表明しました。第1弾がMMORPGの「メイプルストーリー」とのことですが、この発表に関してはどう思われますか。 森下氏: DS版はどんな内容なのか見てみたいですね。ビジネス的にはパブリッシングをするかどうかは、マーケットのポテンシャルを見て、タイミングや条件があったらそのときにやればいいと思っています。 編: マーケットのポテンシャルという視点から見ればDSは充分すぎるほどありますよね。 森下氏: それは確かにそうですが、現在の僕らはそのようには見ていません。今期の我々は、家庭用ゲーム機向けの開発、という視点からもやるべきことをやっていきます。 編: ガンホーは2005年から家庭用ゲーム機への参入を匂わせていましたが、2006年は具体的な動きがないまま、次世代機はすべて登場してしまいました。ローンチに合わせるという発想はなかったのですか? 森下氏: それはまったくありませんでした。具体的な戦略については言えませんが、それは今年見えてきますよ。2007年度はガンホーのコンシューマパブリッシング事業が強化されていくことは確かです。 編: 2007年にコンシューマタイトル発売される、と言うことを具体的に期待して良い、ということでしょうか。 森下氏: 2007年度内にコンシューマタイトルのパブリッシングをスタートするつもりです。 編: それはやはりオンラインゲームでしょうか。 森下氏: 僕らはもう「オンラインゲーム」だけ、という考え方はないんです。スタンドアローンもゲームであって、私たちは決してオンラインゲームのことばかりを考えているわけではありません。総合的なゲームメディア事業としてやっていきます。ただ、ガンホーグループとしての強みを活かすためには、やはりオンラインだろうということは考えています。
■ ガンホーゲームズはまだテスト中!? 今年は「3Dアバタープロジェクト」に注力
森下氏: 8月にスタートできましたが、現状に満足してはいません。全面的に不満、というわけでもないですが、すべての面において満足できる内容ではないと思っています。 編: なるほど。現時点で森下さんが想定しているところで何%くらいが実現できているのか? また足りない要素としては何だと考えていますか? 森下氏: まだ10~20%位だと思いますね。現在はまだサービスの準備をしているという段階ですので、これからもっと深みを増していきたいと思います。一番足りないものとしては、「アバターサービス」ですね。アバターを利用する価値というものを見出せない。それは例えば対戦ゲームであったり、自分のアバターを披露できるような、そういったフックがまだ入っていない。 もちろん対戦ゲームは現在準備しているところです。こういったものが実装されてくれば、ユーザーのアバターの利用価値や持っていることの意味をもっと出していけると思っています。 編: 現在充実しているところはゲームメディア事業としての「エンタメ」のページだと思います。特にエンタメのページは更新頻度が高く、コンテンツも豊富で凄く力が入っているなという印象がありますが、あれをどうビジネスに繋げていくかがわからない。現状だと100%持ち出しではないかと思うのですが、エンタメページは今後どのようなビジネスに発展していくのでしょうか? 森下氏: 現在、色々な企画をテストをしている段階です。本格的なものではありません。 編: そうすると、森下さんの中での“正式サービス”というのは、いつぐらいを考えているのですか? 森下氏: 「ガンホーゲームズ」全体の正式サービス、という意味では、まさに今年ということになると思います。 編: コンテンツでは「ラグナロクオンライン」や「エミル・クロニクル・オンライン」のパチンコやパチスロが未だに実装されませんが、これはなぜでしょうか。 森下氏: システムや開発という問題ではなく、周りに付随する問題をクリアするのに時間がかかっていました。実装は今年の早いタイミングになるかと思います。 編: 次に3Dアバターですが、発表会では年内という話でしたが、こちらも動きがありませんでしたね。 森下氏: プロトタイプはすでに完成しています。「制作委員会」を社内で作り、プロジェクトを進めています。損益に関する計画シミュレーションも含めてやっている最中です。これも2007年度内にやっていきます。 編: 3Dアバターに関してですが、これはどのようなビジネスになるのでしょうか。純粋なアバタービジネスなのか、一種のゲームコンテンツとして有料化していくのか、それともまったく新しいものでしょうか。 森下氏: パブリッシングタイトルに非常に近い位置づけです。ただし、今までのパブリッシングタイトルとはイメージが違ったものになります。 編: となるとサーバークライアントタイプですよね。比較的大きなビジネスになりそうですね。 森下氏: そうです。規模としてはそれなりに大きくなります。 編: 2Dのアバターキャラが、3Dアバターとなって他のプレーヤー達と遊んだり、チャットしたりできるわけでしょうか。 森下氏: いえ、2Dのアバターキャラクタとは完全に切り離したものになります。別のパブリッシングタイトルという位置づけです。コミュニケーションができるだけではなく、「ゲーム」であることは強調しておきたいです。 編: 3D空間を提供して、単にコミュニケーションを楽しむだけではないということですか。 森下氏: それはおいおい発表します。「3Dアバタープロジェクト」という名前ですが、今後正式名称も決めていきます。我々としてはプラットフォーム的なビジネスだと考えています。 編: 現在「ガンホーゲームズ」はWebブラウザ上のコンテンツですが、それの3クライアント版ということでしょうか。 森下氏: 実現化していくと最終的にそういうことになっていくかもしれません。ソフトウェアプラットフォームというビジネスになるかと思います。 編: 昨年、堀さんが「RONDO」というコードネームで推進しているソフトウェアプラットフォーム戦略とは違うのですか? 森下氏: それとはまったく別な話です。彼の言うソフトウェアプラットフォームはエンジニアリングレベルの話です。 編: ゲームコンテンツとして提供していくということは、Webブラウザではなく、専用のゲームクライアントを使うことになるのですか? 森下氏: 専用クライアントを使います。もう何も言えません(笑)。 編: それでは「ガンホーゲームズ」の今後の展開について教えてください。 森下氏: リニューアルも視野に入れつつ、整備していきます。やはり「ガンホーゲームズ」はゲームのポータルサイトとしてサービスを追加していきたい。また、PCだけでなく、マルチデバイスに向けて提供していくことも目指していきたいと思っています。 編: それはつまり、家庭用ゲーム機への対応も視野に入れるということですか?。 森下氏: 家庭用ゲーム機向けも考えています。ガンホーはPCにこだわっているということは全くありません。 編: そうはいっても現在のガンホーはPCをベースに展開しているわけですが、今年はそれがガラッと変わっていくと? 森下氏: 外から見ればガンホーはPCのオンラインゲームでスタートしたために、それのみという感じで見られることも多いですが、内部的にはずいぶん前から家庭用ゲーム機向けの議論も活発です。今年はガンホーとしての家庭用ゲーム機向けのパブリッシングも行なっていきます。 編: 家庭用ゲーム機という流れでは、昨年「スカッとゴルフ パンヤ」のWii版が発売されました。同様に、ガンホーとGravityが協力して「ラグナロクオンライン」、「ラグナロクオンライン II」を家庭用ゲーム機向けに移植して展開する、ということはあり得るのでしょうか。 森下氏: ビジネス的には充分あり得ますが、技術的にできるかどうかは別な問題です。実現可能かというところではまだわかりません。僕らとしては可能性があればやっていこうとも思っています。ただし、やることを焦ってはいません。今年にそういうものが見えてきます。何が見えるかは詳しくは言えませんが、見えてきます。 編: それはつまり、ガンホーさんが展開しているコンテンツの家庭用ゲーム機版が今年展開されると? 森下氏: そのまま移植するかどうかは別な問題です。別な試み、外伝的なやり方、いろいろあると思います。ビジネス的に見ても、チャンスとタイミングがあれば、可能性は0ではありません。
■ 「RO」アイテム販売は好調。いよいよ「ECO」の海外展開スタート
森下氏: アイテム販売に関しては新しいことなので、Gravityと話し合って決めていきましたが、販売に関して少しトラブルがあったことと、カスタマーサポートへの問い合わせの中では、ユーザーから値段に関する質問も多く寄せられました。そういった中で指摘の多かったものに関しては社内で再検討して値段を下げたりということもありました。結果としては我々が想像していた以上の売り上げ実績を上げることができました。 編: ユーザー数に関してはいかがですか。 森下氏: ユーザー数に関しては右肩上がりの状況に変わりはありません。ただ、ほんとの意味での実績、という話だと、我々が考えているレベル格差の問題などが、もう少しバランスが取れて欲しいとは考えています。ユーザーさんがよりプレイを継続していけるような、そういった実績を上げられることが本当の意味での成功なので、現在の状況に満足しているわけではありません。 編: 実際にそういう変化は見えてきたのでしょうか? 森下氏: レベルの低いプレーヤーが課金アイテムを使ってより快適なプレイをしていくというところは見えました。しかしまだアイテムの販売も始めたばかりなので、ちゃんとしたデータとしては半年くらいは見ていかないと明確なところはわかりません。 編: そのほかのタイトルに関してはいかがですか。 森下氏: 特に「ECO」が頑張ってくれたタイトルですね。やはり自社タイトルということもあって、ユーザーの要望にレスポンスよく応えることができて、私たちがやりたかったことをある程度実現できたタイトルだと思います。その一方でユーザーさんの意見を“聞きすぎ”というご意見もありますが(笑)、我々はこういったことを実現したくてやっていたわけです。 コンテンツもスタート時から比べると深みも増してきて、売り上げも良くなってきています。かゆいところに手の届くようなタイトルになっていってくれればいいと思っています。「ラグナロクオンライン」ほどの大きなタイトルにはなっていませんが、月額固定のMMORPGとしては日本でも珍しい成功事例のひとつに数えられると思います。100%満足はしていませんが、これからも期待しているタイトルです。今後は韓国だけでなく、他の国でも展開も見えてきたので、もっとグローバルな意味で盛り上げていこうと。 編: 確かに現在Gravityでは「ECO」に関する動きが慌ただしくなってきました。「ECO」の海外展開についてはどのような抱負をお持ちですか。 森下氏: 日本の純国産タイトルなので、日本のキャラクタはある程度受け入れられるという実感はあるのですが、やはり現地ならではのパブリッシャーが持っているマーケティングや企画にも期待したいです。日本の場合だと「エヴァンゲリオン」とのタイアップでしたが、現地にあったコラボレーションもできるようにしていきたいと思います。 我々はライセンサーとなりますが、パブリッシャーの気持ちがよくわかるデベロッパーだと思ってもらえればいいなと。海外のパブリッシャーやお客様の意見を取り入れていって、現地にあったサービスを積極的にしていければと思います。 編: ひとつ気になるのは、関係するメーカーの多さです。現地のパブリッシャーからすると、Gravity、ガンホーに、ヘッドロックというプロセスを踏む必要があるわけで、ちょっと中が長いのではないかと。 森下氏: 海外パブリッシャーのサポートはGravityが行なうことになっています。また、Gravity社内にガンホーのスタッフが常駐しており、ある程度のものは対応可能となるようにしています。 編: 海外展開する際の目標となるエリアと、ユーザー数を教えてください。 森下氏: エリアとしてはすでに発表していますが、韓国の次は東南アジアですね。Gravityの方からリリースも出していますが、タイ、インドネシア、マレーシア、シンガポール、フィリピン、ベトナム、ブルネイ、オーストラリア、ニュージーランドの計10カ国へ展開していきます。ユーザー数については、日本では40万人という数字が出ていますが、海外に関しては本当にわかりません。 韓国で多かったから日本でもというわけでもありませんし、現地で受けいられるかどうかは現地パブリッシャーと、それをいかに取り入れていくかというライセンサーの努力につきると思います。成功するかどうかはそこだと思います。 編: 逆に期待しているエリアは何処でしょうか。やはり台湾でしょうか。 森下氏: 台湾、そして東南アジアですね。最初は僕らも直接各国に回っていったので、そのときの温度感からいえば、特に台湾と東南アジアがマーケティング提案などもイメージとしてマッチしました。しかし、台湾に関しては、現時点でまだ契約できていないのでどうなるかはまだわかりません。 編: 「ECO」に関しては制作担当の岩田さんのリーダーシップが際だっている印象があります。岩田さんに聞くと「森下が全面的に任せてくれている」とのことでしたが、運営に関してどのような感想をお持ちですか。 森下氏: 基本的には現場に任せていくというスタンスにしています。「ラグナロクオンライン」も制作に関しては廣瀬に任せています。ただ、細かいことに関しては呼び出して確認する、ということもしています。そこでは指示ではなくて、意見を言ったりすることもあります。たとえば「ECO」に関しては走り方が気に入らなくて4回くらい直させたこともありました(笑)。今はマーケットサイドにも制作サイドにもアドバイスをすることもありますし、方向性などのプレゼンテーションを定期的に開いています。 編: 森下さんにお伺いしたかったのは、2005年に森下さんが発表された「ECO」のアップデート構想からずいぶん遅れているという現状です。たとえば、パラレルワールドに関しては、2008年とのことでしたが、これについてはどう思われますか。 森下氏: 開発スタート時の企画草案がパラレルワールドというコンセプトだったんです。時機はともかくとして、開発が進んでいく中で水平方向に進んでいく中、時機が見えてくれば初期の構想を実現化していくというのも当然あると思います。初期の開発コンセプトはぜひ実現して欲しいと思いますが、それは2008年でもいいし、2009年でも、2010年でもいいと思うんです。ただし、2007年の時点で「ECO」が充分面白いゲームである上で夢見て欲しいなと思います。 実際「ラグナロクオンライン」は、初期構想にあったものが、実現ができなくなってしまったものもある。「ECO」の初期コンセプトも大事ですが、他が充分面白ければ、それは別に良いんじゃないかなと考えています。 編: 基本的には現在の「ECO」に関して充分満足しているということですね。 森下氏: はい。やるべきことはやっているとは思います。私個人としてもすごく応援しています。ただ、個人的な印象を言ってしまうと、アップデートが早すぎてユーザーがついてこれるか、毎週だと疲れちゃうんじゃないか、ユーザーと歩調を合わせた方が良いんじゃないかというところもあります(笑)。ただ、それが「ECO」の特徴でもあるとは思いますので、会社としては満足しています。 編: 「A3」ではプロゲーマー制度が導入されましたが、これに関してはどうでしょうか。 森下氏: プロゲーマー制度は、タイミング的なこともあって「A3」でまずやっていくのはどうか、ということではじめたプロジェクトです。もともとプロゲーマー制度と「A3」はまったく違うレイヤーで考えていたことです。ですから、今後は他のゲームにも派生していけばいいなと思っています。実績とトラックレコードが取れれば、「ラグナロクオンライン」でもできればいいなと考えています。 編: コンテンツ面で1つ誤算だったかなと思うのは、2006年夏サービス予定だった「エクストリームサッカー」が無期延期という形になっています。これは今後どうなるのでしょうか? 森下氏: 開発元と昨年の12月にも協議をしていました。開発も継続していこうということになりました。 編: 今何が行なわれているのでしょうか? 森下氏: 開発会社に私たちの方から要望を出して対応してもらっているというところです。「こうじゃないとダメだろう」というところを直してもらっています。開発遅延というよりも修正がメインです。 編: では「エクストリームサッカー」は2007年のタイトルとしてリリースされるのでしょうか。 森下氏: 現在は中国でオープンβテストが行なわれていますが、我々が見る限り、バグも結構多く、更に日本のクオリティに合わせたものに直していくという調整をしている段階です。2007年度にリリースをできるように話をしています。我々としてはできるだけ早くにリリースしてもらいたいと思っています。 (以下、後編へ)
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□ガンホー・オンライン・エンターテイメントのホームページ (2007年1月18日) [Reported by 中村聖司]
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